ホーム「IoTでビジネスに…

「IoTでビジネスにイノベーションを」
考えるよりやってみよう。

2016/10/24

※ 『流通ネットワーキング』2016年9・10月号への寄稿文を、発行者の許可を得て掲載しています。

はじめに

以前は「ビッグデータ」がデータ活用のキーワードだったが、最近は製造業だけでなく、どの分野においても「IoT」がキーワードとなっている。

経営者からは「ビッグデータ」のときと同様に、IT部門や現場部門に対して自社のIoTの実施状況はどのようになっているのか、具体的な計画はどのようになっているのか、との話が下りている。そのため、他のIT投資案件も「ビッグデータ」や「IoT」が記載されていないと通りにくいとの話もでている。
その理由は、自社の競争優位というよりも、競合他社が「ビッグデータ」や「IoT」により強力な競争優位性を持つのではないか、あるいは最近は異業種からの参入により新たな競合相手が現れるのではないか、そしてここで乗り遅れてしまうと取り返しのつかない状況になってしまう、という危機感だ。
一方で、企業の情報システム部門やIT企業からは、「ビッグデータ」や「IoT」について、「どんなデータをどのようにビジネスに活かしたらよいかわからない」「ビッグデータやIoTは、実際には市場でいわれているほど活用されていない」との話もよく聞く。

当社では、2001年からデータ活用のソリューションを市場に展開しており、すでに累計5,000社を超えるお客様に導入いただいている。また、年間10社を超えるお客様の導入事例を公開しており、すでに100社近い企業の導入事例を公開している。
実際に多くのお客様とお話をさせていただく機会があるが、一般の認識は「ビッグデータ」や「IoT」について、大きな誤解があるのではないかと思う。

まず1点目は、「ビッグデータ」や「IoT」は競合に対する対応策ではない。
「ビッグデータ」や「IoT」については、これまで使っていない、あるいは従来のITでは使えなかったデータを活用することで、これまで誰も知りえなかった新たな気づきや事実を見つけられる可能性があるということに他ならない。すでに実ビジネスを行っていれば、過去のデータや顧客、市場も持っており、大きな可能性を持っている。重要なことは、その可能性を見つけ出し、現実に変えようとする意欲があるかどうかだ。

2点目は、「どんなデータをどのようにビジネスに活かしたらよいかわからない」という点だ。これを自分たちの問題と捉えてしまい二の足を踏むケースが多いが、わからないのは当たり前なのである。業務システムのデータ活用と異なり、今まで使っていなかったデータを利用するということでは、「このデータを使ったら、何が見つかって、どのようにビジネスに価値を生むのか」は、実際にやってみないとわからない。また、同様に「ビジネス上でこんなことをやってみたいのだけれど、現時点でどのようなデータがあり、またはどのようなデータが必要か」についてもビジネスとITの両方を知っている必要があり、やはり答えを持っている人は少ない。

3点目は、「ビッグデータやIoTは、実際には市場でいわれているほど活用されていない」という点だが、データ活用が企業文化となっている企業では、基幹システムのデータ活用と「ビッグデータ」や「IoT」のデータ活用をあえて区別しておらず、「ビッグデータ」や「IoT」という言葉は使っていなくとも、他社では使っていないデータの活用の取り組みはすでに特別なこととしてではなく、普通に行われている。

例えば、当社が事例として公開している飲食業の事例だ。
料理を載せた皿に貼り付けたICタグで、「いつ、どの商品が提供され、いつ消費されたのか」、またタッチパネルでは、「いつ、どのテーブルが、どの商品が注文されたのか」という情報を把握している。これらのデータに、POSの売り上げや来店状況、食材の在庫/納品予定量、従業員のシフトデータなど店舗運営に関わる様々なデータを紐付け、AWS(Amazon Web Services)上に構築したデータウェアハウスに蓄積し全店舗で活用できる環境を備え、現場で適切なオペレーションを取れるようにしている。

第1章:IoTは、考えるより可視化から

~まずはやってみよう。トライアルや実証実験のススメ~

それでは、これから「ビッグデータ」や「IoT」のデータ活用に取り組むという企業はどのようにしたらよいのだろうか。おそらく現時点では「どんなデータをどのようにビジネスに活かしたらよいかわからない」だと思われる。

「このデータを使ったら、何が見つかって、どのようにビジネスに価値を生むのか」
「ビジネス上でこんなことをやってみたいのだけれど、現時点でどのようなデータがあり、またはどのようなデータが必要か」

これらの要件を明確にしたうえで、システム構築をと考えてしまうと、非常に遅くなってしまう。 最近のアプローチは、まず「今あるデータ」の可視化だ

データの可視化は、答えを教えてくれるわけではないが、まずは可視化することで、業務現場の担当者は、客観的な事実が見えてくる。
実は、現場は事実を正確に知らずに、あるいは勘違いや思い込みで議論していることが意外と多い。事実が正確につかめると、「例えば、こんなことをやってみたら効果があるのでは」というように具体的な打ち手が見えてくる。
また、ある程度可視化ができてくると、現場担当者からは、「こんなことが起きているようだけれど、事実だろうか。こんなデータを可視化できれば、こんな打ち手があるのだけれども」という話になってくる。
例えば、図1は全国の物流拠点間、物流拠点から配送先への実際の物流の動きを線で表現したものだ。

【図1】物流の動きの可視化 情報提供 株式会社フレームワークス

【図1】物流の動きの可視化 情報提供:株式会社フレームワークス

本来は、物流拠点を中心に線が引かれるはずが、実際に線を引いてみると日本地図が真っ黒になってしまっている。
全国に店舗展開されている小売業を例に説明しよう。シーズン前に計画配送を各店舗に実施したとする。実際に販売が始まると、計画配送で店舗在庫になったものでは対応できずに品切れを起こし、近くの店舗から移送したり、売れ残りそうなものは、自店舗のセールで一掃したり、といったことが日常茶飯事に行われているのではないだろうか。こうしたことを可視化すると、右の<現状実績>のような状態になる。

具体的に可視化されると、次の打ち手が見えてくる
例えば、計画配送の計画値をより精緻にする、あるいは店舗在庫を減らし物流拠点への在庫とするなどだ。また、仮にそれらを実施していたとしたら、実際にどのようになっていたかというシミュレーションを実施し、効果を測定するといった仮説検証も可能だ。

具体的には、BIツールを使い、まずこうした可視化をプロトタイプで実現し、それをベースに業務現場を巻き込んで議論し、実際に活動に適用させてみる。そこからさらに改善していくサイクルを継続的に社内に根付かせるのだ。

このページのトップへ