丸善株式会社活用事例

散在する膨大な情報から“生きた”データベースへ。社内外を一気通貫する、戦略的データ活用を実現。

業務効率化と営業支援、“守り”と“攻め”のデータ活用

その後、店舗展開のさらなる拡大を想定して、Dr.Sum EA Enterpriseを中心にDr.Sum EAシリーズを本格的に導入。前日売上などの短期的な帳票だけでなく、在庫管理や予算管理などの中長期的な帳票も作成・運用することで分析のバリエーションが増えた。これにより、業務効率化に加えて営業支援の面でもより多彩なデータ活用が可能となったのである。

まず業務効率化という点では、店舗・本部ともに迅速な意思決定が可能になったことが大きい。一般に書籍のリードタイムは1週間程度かかると言われており、書籍が売れたその日のうちに発注をかけないと、客に対する商品提供が滞ってしまう。そこで丸善では、スムーズな商品管理を目的に売上ベスト(※1)という帳票を運用している。店舗担当者は前日の売上ベストを参照することで、自分が担当するジャンルの売上履歴に応じた追加発注を行う。一方、本部は全店舗の売上ベストをグラフ化し比較分析をすることで、各店舗へ在庫状況の確認などの指示を速やかに出せる、という仕組みだ。

また営業支援においては、ひとつの成功事例としてDr.Sum EA Visualizerを利用した出版社向け販促ツールMCS(※2)がある。

「MCSは、書籍ジャンル別のシェアをグラフ化したり新商品の売れ行きを分析したりなど、弊社が保有する商品データを出版社側がオンラインで自由に検索・閲覧できるサービスです。こうしたサービスは他社でも実施しているところはありますが、弊社では特に、スピード面について高い評価をいただいています」(石塚氏)

また、MCSは出版社へのサービス提供という側面だけではなく、丸善側においてもメリットがあるという。ひとつは、販売・返品の加減を、担当者自身の経験則や勘に任せなくて済む点だ。MCSのデータを閲覧した出版社から店舗担当者へさまざまな意見や要望がフィードバックされるため、その情報に基づいた販売戦略の練り直しなどが速やかに行え、販売機会のロスを抑制できるのだ。また、MCSの提供により出版社との営業コンタクトが増えることで、人気書籍を優先的に確保できるなど商品調達がやりやすくなるというメリットもある。

「出版社向けサービスとしてのMCSと、社内向けの分析帳票として見ている情報は、基本的には同じです。その同じ情報をもとに、店舗担当者は販売管理を行い、本部は分析や営業に利用し、出版社は自由検索で閲覧する。ひとつのデータを無駄なく有効に活用できる仕組みができてきました」(石塚氏)

また、データ活用を進める過程のなかで、ナレッジの共有に対する社員の意識も高まっていった。例えば、本部からの販売戦略が各店舗へ指示として下りてきた場合、店舗担当者は関連データを参照することで、戦略の本質を的確に把握した上での販売展開が可能になる。つまり、本部と店舗で同じ情報を共有しつつ、各々が即座にデータを欲しい形で見ることができるという環境が、互いの感覚を刷り合わせるのに大きく貢献しているのだ。

全社的なデータ活用で、顧客満足のさらなる高みを目指す

丸善では行動指針のひとつに“お客様中心主義”を掲げており、“いかに顧客満足度を高めるか”という点に今後の経営スタンスの重心を置いている。そのため今後は、店舗における業務プロセスのさらなる効率化に加え、出店計画やお客様サービスといった方面へもDr.Sum EAの活用範囲を拡大させていく予定だ。

例えば出店計画においては、各店舗に設置されたPOSレジにて収集した顧客の性別年代情報を分析することで、出店予定エリアでの売上高見込みなどをシミュレーションすることが可能になる。またDr.Sum EAの導入により、経験の浅い社員でも売上データをもとに返品などの判断がしやすくなることで、店舗運営に一定のクオリティを保つことができる。これは今後の店舗展開にも関わる大きなメリットだ。

さらに丸善では、特に注力しているというお客様サービスについても、Dr.Sum EAをさまざまな形で活用していく考えだという。

「弊社では、来店したお客様自身が欲しい商品をスピーディに検索できるMサーチ(※3)という端末を各店舗に設置していますが、こうした情報提供もお客様サービスの一環です。また他にも、売上や在庫数、お客様の属性情報などこれまでに蓄積されたデータベースをもとに、お客様のニーズに応じたさまざまなサービスをご提供していきたいと考えています」(石塚氏)

かつて、業務に大きな負荷をもたらしていた膨大なデータベースは、Dr.Sum EAの導入により、業務効率化・営業支援・顧客満足度の向上などといった、さまざまな経営課題の解決に貢献する“生きた”データベースとして生まれ変わった。

そして丸善ではいま、より精度の高い商品管理プロセスやデータマイニングの手法などを確立するべく、Dr.Sum EAを軸にした、全社的なデータ活用環境を着実に整えつつある。


※1:売上ベスト
書籍ジャンル別の売上や現在の在庫数などがリスト化された、商品管理用の帳票。
※2:MCS(Maruzen Communication Square)
書籍の仕入先である出版社向けに販促ツールとして利用する、丸善独自のシステム。
※3:Mサーチ
お客様自身が簡単に操作できる、書籍検索用の店頭端末。

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