導入事例

富士ゼロックスマニュファクチュアリング株式会社

富士ゼロックスマニュファクチュアリングの鈴鹿事業所における
生産に関わる業務を24時間支え続ける統合データベースとして、
Dr.Sum EAは「基幹システム以上に止められないシステム」に
  • Dr.Sum EA
  • 機械・電気機器
  • 生産管理
  • ユーザー開発
Before
富士ゼロックスの生産本部と4つの生産会社の基幹システムをERPで統合するプロジェクトにおいて、事業統合の効果を速やかに出すことに加え、システム統合を推進しながら生産業務を滞りなく行う必要があった。
after
各生産現場の改善速度を担保しつつ、データの統合管理を両立させるITインフラに求められる要件を満たし、生産管理のフロントエンドとして鈴鹿事業所にとって不可欠な存在に。

導入背景

● 生産会社統合による高品質・低コストなどの生産力強化と業務改善スピード

● 高頻度で発生するシステム仕様変更への即応

● 業務要件を着実に実現するための「ユーザー開発」環境の提供

導入ポイント

● 現場レベルでの操作・開発が可能なアプリケーション

● 開発したアプリケーションの変更が容易

● 異なる製造ライン間における情報整合性の担保

導入効果

● 情報システム部を増員することなくシステム統合を完遂

● 工場内在庫の極小化を成立させるための生産計画、調達業務、原価管理業務などの工数削減

● マイナス在庫(エントリ漏れなど)の撲滅による会計精度向上

導入製品

Dr.Sum EA / Dr.Sum EA Datalizer for Web / Dr.Sum EA Datalizer MotionChart

Company Profile

設立 : 2010年
本社 : 神奈川県海老名市本郷2274
鈴鹿事業所:三重県鈴鹿市伊船町1900番地
事業内容 : 富士ゼロックスにおける日本国内の製造事業会社として、プリンター・デジタル複合機およびトナーや感光体、転写ベルトなどキーコンポーネントの製造、および一部機種の組立生産を担当
富士ゼロックスマニュファクチュアリング株式会社
人事総務部 情報システムグループマネージャー 兼 人事総務部鈴鹿人事総務グループ情報システムチーム チーム長 田中 俊毅氏


※字幕付

富士ゼロックスマニュファクチュアリングでは、独自の生産方式「XPW」(Fuji Xerox Production Way※1)を採用して部品や設備の内製化や部材のジャストインタイム生産など、様々なチャレンジにスピーディーに取り組んでいる。

この生産現場におけるスピーディーな変革を支えるシステムに求められる要件は、「アプリケーションの変更容易性」「要件を握っているユーザー自らによる開発」「製造ライン間の情報の整合性を担保する統合データ」であった。Dr.Sum EAはこれらの要件を満たし、生産システムの統合された情報を照会・検索する機能として鈴鹿事業所が導入。現在では、同事業所の生産業務を24時間稼働で支えており、「基幹システム以上に止められないシステム」となっている。

富士ゼロックスマニュファクチュアリングでは、鈴鹿事業所で成功した仕組みをベトナム・ハイフォン市に建設中の新生産拠点「富士ゼロックスハイフォン」に横展開し、新設工場の垂直立ち上げを目指している。次に目指す姿は、自ら実践しているモノづくりプロセス全般における見える化の取り組みを、富士ゼロックスのお客様にソリューションとしてお届けする「言行一致※2」活動だ。

※1:XPW...ダントツのお客様満足を得るために、最高のQCDと高い柔軟性および優れた環境性能を成立させるトヨタ生産方式をベースとした富士ゼロックス独自のモノづくりの考え方や取り組み方の総称。

※2:言行一致...富士ゼロックスが自社で実践・検証したうえで、お客様にソリューションとして提供する一連の実践活動。

基幹システム統合を機にたどりついた生産現場の効率的な稼働に必要なIT要件

富士ゼロックスの製造事業会社である富士ゼロックスマニュファクチュアリング株式会社は、それぞれ別会社だった鈴鹿、富山、新潟、竹松の4つの生産会社を再編・統合することにより2010年に設立された。同社の鈴鹿事業所は、制御基盤、印刷プロセス部品、レーザーマーキングユニットやLEDプリントヘッドなど、高い技術と高品質が求められる部品の生産や、個別要素が高い大型機の製造を通じてワールドワイドのプリンティングニーズに応える一方、環境保全活動として使用済み商品や部品の回収を行い、リサイクル・リユースの部品や商品の生産を通じて循環型社会への貢献に取り組んでいる。

2010年に同社が設立される際、富士ゼロックスの生産本部と4つの生産会社の基幹システムをERPで統合せよ、というトップダウンの指示が出た。基幹システム統合の狙いは、事業統合の効果を速やかに出すという観点に加え、「新たな拠点や企業を立ち上げるときに短期間で垂直立ち上げができるように、ITインフラをあらかじめ『カセット化』しておく」という将来の事業拡張を見据えた2つ目の観点があった。一方、経営とは異なる現場の観点としては、システム統合を推進しながら生産業務を滞りなく行う必要がある。これら3つの観点をすべて満たすための方策を考える必要があった。

同社人事総務部 情報システムグループ マネージャー 兼 人事総務部 鈴鹿人事総務グループ 情報システムチーム チーム長の田中 俊毅氏は、当時を振り返りながら次のように話す。「事業統合効果を速やかに出すには、ERPという手法が確かに必要ではありました。しかし、生産現場のIT責任者として現場業務を如何に効率よく稼働させるか、そのために必要なITインフラとは何かを一生懸命考えました。その結果、XPWによる各生産現場の改善速度を担保しつつ、データの統合管理を両立させるITインフラ要件として求められるのは、『アプリケーションの変更容易性』『要件を握っているユーザー自らによる開発』『アプリケーション分散とデータ統合の両立によるIT統制の実現』の3つでした」

要件1:アプリケーションの変更容易性

田中氏は続けて語る。「生産現場で必要な情報は、改善活動により日々変化しています。当社で体現している『XPW』で求めている改善スピードを現場に適用すると、細かな業務プロセス変更が頻繁に発生します。プロセスのなかで判断条件の変化を伴う場合、判断を下す際に必要となる情報も変化します。その情報照会にはITを活用することになるのですが、業務部門から照会画面をひとつ求められたときに、毎回要件定義からテストまでという一連のシステム開発工程を踏んでいる時間は生産現場にありません。毎期70件ほどの改善テーマをこなしている生産現場にとって、カスタマイズに時間とコストを要するERPに依存しない別の仕組みが必要でした」

そこで、照会画面を高生産性で開発できるツールの選定を開始し、Dr.Sum EAと出会うことになる。

Dr.Sum EAの開発生産性は驚異的なものであった。「基幹システム統合プロジェクトのさなか、1時間程度のOJTを受けただけで15の照会画面を2日間で完成させることができました。統合基幹システム機能のなかで、生産現場にとって必要な情報を照会する機能の開発が未着手な状態であったため、Dr.Sum EAの高い開発生産性に救われました」(田中氏)

こうして、同社は、情報システムの人員リソースを増やすことなく、生産現場にとって必要なツールを提供しながら基幹システム統合プロジェクトを完遂することができた。

要件2:要件を握っているユーザー自らによる開発

「基幹システムをカットオーバーさせるために、最低限必要な照会画面は情報システム部門で用意しましたが、カットオーバー後は業務ユーザー部門にDr.Sum EAの開発権限を解放しました。業務ユーザー部門は、Dr.Sum EAを使って次々と自分たちの生産業務に必要な照会画面を作成していきました」(田中氏)

元来、同社には「ユーザー開発」の文化が浸透していた。1990年代半ばに起こったオープン化の波に乗り、SFC(Shop Floor Control System)※3をオープンシステムに移行する際に、ユーザー開発という方法を採り入れた経緯からだ。これはシステムの使いやすさやシステム改善速度を上げることに大きな効果を上げた。しかし、開発にはプログラミング知識を必要とし、またシステム保守のためのドキュメントが十分整備されないため、開発者の異動や退職に対して課題があった。

「情報システム部門が、要件を把握している業務部門からヒアリングしてシステム機能を構築するよりも、要件を把握しているユーザー自身がシステム機能を構築できた方が素早く要件を満たしたシステム機能が実現されます。そこには要件の反映漏れが存在しないわけです。その点、Dr.Sum EAはデータ抽出・加工、一覧表示・ダウンロードといった処理をノンプログラミングで実現でき、またドキュメントなどがなくてもプロパティによるロジック可視性が高いため、ユーザー開発を実践するには最適です」(田中氏)

ユーザー開発を実践できる環境を提供できるようになった恩恵は、業務部門のみならず情報システム部門でも見てとることができた。「コスト削減やリードタイム短縮が求められるのは、製造現場だけでなくIT部門も同様です。Dr.Sum EAにより、画面開発を業務部門に解放したことで、情報システム部門はシステム開発の、より上流プロセスである改善すべき業務プロセスの発見と解決、データの整備と業務部門に対する教育にリソースをシフトし、専念できるようになりました。さらに現在では、事業所内広報など人事総務の業務を兼務できるまで効率化されました」(田中氏)

※3:SFC…製造ライン周辺の生産管理・物流システム。同社では会計を中心とした基幹システムを補う存在の総称として位置付けている。

●ユーザー開発の実践例:需給管理部の場合
では、具体的にユーザー開発を実践している各業務部門でDr.Sum EAはどのように利用されているのだろうか。

まず、需給管理部で構築した「部品在庫シミュレーション」画面を、需給管理チームの杉本啓氏からご紹介いただこう。

「急な追加注文があったときなど、部材のやりくりを需給管理部で行っています。ラインサイドの在庫だけで足りるのか、ライン間で調整しなければいけないか、あるいは仕入先との調整が必要かなど、Dr.Sum EAでシミュレーションしながら検討しています。品目によっては、短期的な需要が大きく変動するものや、一部には部品調達後の損傷率などを勘案する必要もあります。そういった、複合的な情報を横串でスピーディーに集計検索する際にDr.Sum EAは欠かせません」

XPWでは、在庫をギリギリまで圧縮して生産コストを抑え、利益を生むジャストインタイムの実現を生産現場に求めている。そのため、生産計画を平準化し、材料や部品の発注に細心の注意を払い、あらかじめ発注先にはフォーキャスト(発注見込)を伝えることで、生産スケジュールにタイミング良く納入してもらうことで在庫を絞っている。当然、在庫を圧縮すればお客様や仕入先の都合による影響を受けやすくなるため、きめ細かな調整が必要となる。部品在庫シミュレーションは、その調整に欠かせないメニューというわけだ。

●ユーザー開発の実践例:調達部の場合
こうして需給管理部が立てたシミュレーションに応じ、仕入先との間で電話やメールを通じて具体的な調整を行っているのが調達部だ。調達部鈴鹿調達グループ エレキチームの竹下 さおり氏は、部品在庫シミュレーションにより連携がスムースになったと語る。

「部材調達の調整プロセスは、需給管理部門と社内の複数部門間で行う必要があります。調整対象部門のひとつが我々の調達部ですが、Dr.Sum EAには画面定義の配布や共有ができるため、部門間調整に必要な情報共有をスムースに行えています」

「『部品在庫シミュレーション』画面が作られるまでは、調達事案毎に調達要求部門に確認しなければ仕入先への連絡ができませんでした。今では、シミュレーション画面を参照すれば『なぜこの調達が必要なのか』をすぐにキャッチアップでき、連絡を取る回数が減りました」

●ユーザー開発の実践例:製造部の場合
次に、製造部で構築した「マイナス在庫分析」画面を、第一製造部製造グループの堤 信孝氏にご紹介いただこう。

「製造部では、『マイナス在庫』を無くすための在庫チェック画面としてDr.Sum EAを活用しています。工場内の在庫は、一日の締めに部品在庫と製品在庫の辻褄が合うはずですが、生産を優先させる必要があるため在庫エントリ作業の優先度は下げられがちです。そのため、モノの移動実態と在庫データのかい離が進むときもあります。以前は、月次会計締めのタイミングで在庫チェックを行っていましたが、それでは、かい離要因を突き止める調査がかなり困難になり、十分な調査と原因追及を終えないまま修正エントリを行っていました。それが2次的障害を生む結果となることもありました。この実情は工場会計の信頼性に影響する問題であり、経営課題だと言えます。我々製造部では、在庫データと現実とのギャップ要因を逐次突き止めて、業務プロセスを改善し、マイナス在庫を無くして工場会計の精度を高める作業を行っています」

「我々は、この画面を使って前日までの在庫データを毎朝チェックしています。日付や組織などを指定して検索・集計し、組織別に積み上げたグラフで動きを見ながら、気になる変化があれば明細へドリルダウンし、担当ラインのリーダーの記憶が薄れる前に問い合わせます。Dr.Sum EAは、毎朝の業務をこなすためになくてはならない存在となっています」

要件3:アプリケーション分散とデータ統合の両立によるIT統制の実現

ここまで生産現場にとってアプリケーションを自由に解放して分散させることの必要性とそのメリットを中心に説明してきたが、ここで生産現場の情報システム部門にとっての要件に目を向けてみよう。それは、「アプリケーション分散とデータ統合の両立によるIT統制の実現」である。

会社統合前の時代は、ユーザー開発によるシステムの使いやすさと開発リードタイム短縮の効果があった一方で、部分最適のシステムが乱立し、生産管理部、調達部、経理部などの全社のデータを統合的に見る必要がある部門にとっては、データが分散しすぎており、業務効率を下げる結果ともなった。

「Dr.Sum EAの良さは、データ統合とアプリケーション分散をワンストップで実現できるという点です。業務部門に提供するシステム上のデータ整合性の担保は、我々情報システム部門の責任です。かつ、業務部門に自由に解放したアプリケーションが『いつ』『どこで』『誰が』利用しているのか常々把握して効率的な使い方がされているかどうかを管理することも情報システム部門の責任です。Dr.Sum EAでは、ログ管理やアプリケーションメニュー管理といった運用責任者にとって必須の機能を備えているため、安心してアプリケーションを分散させることができます」(田中氏)

Dr.Sum EAは、生産管理の日常業務を支えるミッションクリティカルな存在へ

本番稼働から2年半ほど経過した2013年10月1日時点で、鈴鹿事業所の各業務部門におけるDr.Sum EAのユーザー数は669名にのぼる。これは同事業所内でPCを利用している約1,200人の社員の半数以上を占めている。うち、業務部門の開発ユーザーは39名、これまでに開発されたメニュー数は909にものぼる。

田中氏は、鈴鹿事業所全体にヒアリングした結果として以下のように語る。「Dr.Sum EAは、生産管理のフロントエンドとして鈴鹿事業所に不可欠な存在になっています。生産ラインは、24時間交代制で稼働しています。基幹システムにはオンライン閉塞時間がありますが、生産現場を支えているDr.Sum EAは24時間業務解放しているため、鈴鹿事業所にとって基幹システム以上に止められないミッションクリティカルなシステムです」

海外工場の短期間での垂直立ち上げ時にDr.Sum EAを採用

鈴鹿事業所の日常業務を効率的に稼働させるために必須のITインフラを実現したDr.Sum EA。業務現場の要件は実現できたが、経営に対する貢献という点ではどうだったか。

「Dr.Sum EAは、富士ゼロックスの経営指示である『生産に必要なITインフラをあらかじめカセット化しておき、新たな拠点は短期間で垂直立ち上げせよ』という要請を着実に実現しています。具体的には、同事業所におけるDr.Sum EAの仕組みをそのまま富士ゼロックスハイフォンに横展開しました。2013年7月にライセンスを購入、鈴鹿事業所の情報システムグループから3名が、6月に構築、7月に現地社員に対するトレーニングを行い、11月の操業開始に向けた準備を着々と進めています」(田中氏)

自ら実践した成功パターンをお客様に届ける「言行一致」活動

「我々富士ゼロックスでは、当社におけるDr.Sum EA導入の成果を、是非お客様にソリューションとしてご紹介したいと考えております。お客様に提案・訴求するソリューションは、まず自分たちで実践して自社の問題を解決し、成果を出してこそお客様の課題解決に貢献できると考えています」(田中氏)

Dr.Sum EAのユニークな利用例:電力利用状況の見える化

Dr.Sum EAを使ったユニークなアプリケーション「電力見える君」。富士ゼロックスでは2011年3月に発生した東日本大震災による全国的な電力供給事情を鑑み、グループ全体で省電力活動を推進している。グループ全社方針を受け、鈴鹿事業所では数百箇所に設置された電力計から収集された1時間毎の電力利用実績をDr.Sum EAに格納し、全従業員にフィードバックする仕組みを構築した。フィードバックするアプリケーションのメイン画面は、カエルの形をした小さなウインドウで表示。電力が逼迫してくると緑色から黄色、黄色から赤色へ変わり、さらにカエルの悲しそうな表情でユーザーに通知する。カエルの形をしたアイコンをクリックすると、Dr.Sum EA Datalizer Motion Chartで構築された電力消費量推移グラフが表示される。このアプリケーションを構築した人事総務部 鈴鹿人事総務グループ 環境安全ファシリティチームの水越 保之氏は、導入効果を次のように説明する。

「電力使用量のピークを抑えることができれば、電力料金を年間で数%下げることができるため、事業所全体で捉えたときには大きなコスト削減につながります。従来は、電力利用状況を環境部会の月次発表で通知していただけであったため、従業員が自分自身や自組織の電力節約の取り組みによってどれだけ会社に貢献できているか認識できませんでした。結果として、取り組み姿勢に主体性を欠いた状況が続いていました。しかし、『電力見える君』を導入したことによって従業員一人ひとりの主体性が劇的に向上し、各現場でさらなる空調の使用抑制など具体的な節電努力を実施するようになり、結果としてトータルでのコスト削減も実現できています」

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