
ベストケア創造企業を目指すアルケア
生産管理システムのデータ活用を模索
1953年、日本初のギプス包帯であるスピードギプスの開発および製造に成功し、1955年に「有限会社東京衛材研究所」として創業したアルケア。より良い快適な医療を支援するためのメディカルケア製品の開発・製造・販売を事業の柱とし、医療分野で培った技術やノウハウを活かしたホームヘルスケア製品のラインナップ充実やスポーツケアブランドである「リガード」の展開などに取り組んでいる。
また災害被災地に弾性ストッキングやストーマ(人工肛門・人工膀胱)ケア装具などのメディカル向け医療消耗品を提供したり、「オストメイト(人工肛門・人工膀胱用装具の利用者)の集い」を開催するなど、社会貢献活動を積極的に展開。さらに、カテーテル固定専用キットが2013年グッドデザイン賞の「グッドデザイン賞」を受賞するなど、製品開発における技術力を市場で高く評価されている。
同社では、2011年にNECのFlexProcessを採用し、生産管理システムを刷新。運用開始から約2年分のデータが蓄積されたのを機に、蓄積データをいかに活用していくかを模索していた。当時、現場担当者がデータ分析を行うためには、システム担当者にデータ抽出を依頼し、生産管理システムから抽出されたデータを表計算ソフトなどを使って集計・加工した後、レポートを作成する必要があった。
執行役員 生産管理部 部長である伊藤 克己氏は、次のように語る。「時間と労力をかけて、壮大な集計レポートを作っていました。例えば必要なデータは20品目なのに、全品目で集計レポートを作成するなどです。こういった集計レポートの作成時間を、別業務に費やしてほしいと思っていました。そこで集計レポート作成における時間や労力のムダを排除し、本当に必要なデータだけを提供できる仕組みが必要でした」
加えて伊藤氏は、「経営トップからの指示で、これまでも経営状態や生産現場の状況が把握できる分析用データベースを持っていましたが、満足のいくものではありませんでした。そこで会社の状況をひと目で把握できる情報の“コックピット”を作りたいと思っていました」と話す。
MotionBoardの生産性と操作性を評価
Dr.Sumの導入実績も採用を後押し
生産管理システムのデータを活用し、生産現場を見える化する「生産コックピット」を構築するにあたり、分析用ツールの検討を開始。数ある分析用ツールの中から3つの製品を選定し、実際に機能比較を行った結果、MotionBoardの採用を決定した。採用の理由について情報企画部の藤田 昌史氏は、次のように語る。
「分析レポートを作るのに、毎回外部委託するのは非効率です。また、現場担当者が容易にデータを分析できれば、迅速な意思決定や業務の効率化も期待できます。そこで、システム担当者が必要な機能を容易に開発できる高い生産性と、現場担当者が直感的に使える高い操作性の2点から3つの製品を評価しました。この要件に柔軟に対応できたのがMotionBoardでした」
また伊藤氏は、「MotionBoardの“ダッシュボード”という機能の説明を受けた際に、これまで作りたいと思っていた“コックピット”という考え方に非常に近いと感じたことが、MotionBoardを採用するに至った背景でした」と話す。また、FlexProcessを導入した際にDr.Sum EAを採用した実績があったこともMotionBoard採用の後押しとなった。
将来的に常時5年分のデータを保持
階層別、役職別にアクセス権限を管理
MotionBoardを基盤とした「生産コックピット」は、2012年9月よりプロジェクトがスタートし、2013年1月からシステム構築が開始、9月に本稼働した。「生産コックピット」の運用は、FlexProcessのデータを夜間バッチまたは随時処理でDr.Sum EAサーバーに取り込み、MotionBoardのダッシュボードから参照する仕組みになっている。
現在参照できるのは、製造実績、生販実績、調達実績、在庫実績、生産設備実績、資源管理、製造原価実績の大きく7項目。生産管理部の堤 健二氏は、「最大のデータは在庫実績で、約1万品目のデータを日次で保有しています。現在、約2年分を蓄積していますが、将来的には常時5年分のデータが参照できる環境に拡張していく予定です」と話す。
同社は「生産コックピット」の導入に向けて、伊藤氏を中心に、役割・責任といった観点から組織別・階層別に必要となる実績データの組み合わせを、約3ヶ月にわたり入念に評価。その結果に基づき、各社員にとって最適化された定型帳票が瞬時に出力されるとともに、アクセス制限をかけることで不適切な情報開示を防ぐ仕組みになっている。
シミュレーションが格段に高速化
組織や体制も含めた変革を目指す
「生産コックピット」にMotionBoardを採用した効果を、生産管理部の岩佐 伸也氏は「例えば設備の稼働時間を5%アップさせたら原価にどれだけ影響するか、材料費が値上がりするとコストにどれだけ影響するかなど、MotionBoardを使うことで、これまでの手計算やExcelに比べ、シミュレーションが格段に高速化されました」と話す。
以前は「ある仕入先の前期分の調達データがほしい」という依頼に対し、システム部門で全て対応しなければならなかったが、現在は必要なデータを現場からMotionBoardで参照できるばかりでなく、データファイルとしてダウンロードすることも可能になった。藤田氏は、「MotionBoardが現場に浸透すれば、データ抽出依頼が減り、システム管理の負荷軽減が期待できます」と話す。
同社は今回、千葉工場の生産部門で利用する「生産コックピット」にMotionBoardを採用したが、営業部門にも「営業コックピット」と呼ばれる仕組みがあり、今後は、「営業コックピット」にもMotionBoardを適用することを検討している。営業コックピットにMotionBoardを採用することで、約150名の営業担当者の営業力向上が期待されている。
伊藤氏は、「MotionBoardによるデータ活用で、管理職の意識は大きく変化しています。今後はMotionBoardの機能毎にミーティングをひもづけ、決めるべきことは全てその場で決定できる体制を確立します。組織や体制も含めて変革できるのがMotionBoardを導入した最大の効果です。これにより、全社で取り組むコスト構造改革も支援できます」と今後の抱負を語る。






