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福岡県 糟屋郡 篠栗町
住民の“声なき声”をデータから聞き出し、わからなかった“なぜ”を読み解く
新たな街づくりに踏み出すための「地方創生支援システム」を導入
  • MotionBoard

  • その他

  • 地方創生

Before
若い世帯の転出が増加していることは何となく肌感覚でわかっていたが、実際にどの地区の住民の転出が多いのかといった数字を定量的に把握するのは困難だった。また、役場内の各課もそれぞれ有益なデータを持っているが、それらを横串で見る仕組みがなく、住民が町を離れていく理由を多角的に分析することもできなかった。
After
なぜそこに新しい施設を設置する必要があるのかを実証すためには、その地域に何人の子どもがいるのかといった数字の裏付けが必要。対象となる母数をきちんと把握してこそ、その後の施設の利用率なども予測することができる。これまで感覚や経験に頼って推進してきた様々な施策を、客観的な数値に裏付けられたPDCAサイクルに則って実行することが可能となった。

福岡県 糟屋郡 篠栗町

篠栗町役場
まちづくり課地方創生担当
熊谷 重幸氏
導入背景

● 2004年までは町への転入数が転出数を上回っていたが、以降は逆転も起こっており社会動態における人口減少が問題に

● 人口減少に対応した新たな街づくりとして、2015 ~ 2019年度の5 ヶ年計画で「篠栗町まち・ひと・しごと創生総合戦略」を推進

導入ポイント

● 住民基本台帳、福祉、保育、医療保険、税関連、財務会計などの情報を一元化

● 地域の情報や役場内の蓄積されたデータをグラフィカル(グラフ、折れ線、地図)に見える化し、分析・考察・意思決定をサポート

導入効果

● 子育て世代の定住促進、子育て環境の充実のためのKPIを見える化

● これまで感覚や経験に頼って推進してきた様々な施策を、数値に裏付けられたPDCAサイクルに則って実行

● 過去の人口推移のデータと、その背後で起こっていた出来事を紐づけた分析

導入製品

MotionBoard

福岡県糟屋郡(かすやぐん) 篠栗町(ささぐりまち)は、近い将来に直面する人口減少に対応すべく、新たな町づくりに踏み出していくための取り組みとして、「篠栗町まち・ひと・しごと創生総合戦略」を推進している。その一環として立ち上げた「子育て計画支援事業」を支える基盤として導入したのが、BIダッシュボード「MotionBoard」を活用した「地方創生支援システム」(販売:株式会社BCC※)だ。「子育て世帯300戸増」を数値目標とする様々な施策のKPIを“見える化”するとともに、将来的には行政と住民が一体となった連携を促し、皆で知恵を出し合って解決策を探る“言える化”の実現を目指す。

※本社:福岡市中央区

町からの転出数が転入数を上回る状況をどうやって食い止めるか

昨今、全国各地に「森林セラピー基地」の認定が広がっている。森林のリラックス効果が科学的に実証され、さらに関連施設などが一定の基準で整備されていることを条件とするもので、福岡県・篠栗町は2009年3月にその認定を受けた。

こうした豊かな自然を有しながら、車で福岡中心部から都市高速道路経由で約15分、電車でもJR博多駅から乗り換えなしで約20分という都市圏からのアクセスの良さが篠栗町の魅力だ。実際、篠栗町は福岡市のベッドタウンとして発展し、2000年代初頭まで右肩上がりの人口増を続けてきた。

ところが近年、今までのような増加傾向が見られなくなった。現時点ではまだ出生数が死亡数より多い状態が続いているため自然増を維持できているが、少子高齢化の影響は篠栗町にも表れはじめており、増加幅は年々縮小していく傾向にある。

そして、より大きな問題として顕在化してきたのが、社会動態における減少傾向だ。2004年までは転入数が転出数を上回っていたが、以降は転出数が転入数を逆転することが多くなってきたのである。篠栗町役場まちづくり課地方創生担当の熊谷重幸氏は、次のように危機感を募らせる。「どんな住民が篠栗町から離れていくのか、転出者アンケートなどから調べてみると、小学校就学前のお子さんのいる世帯が思っていた以上に多かったのです。近隣の市や町に新しい宅地が開発されたり、マンションが建ったりすると、そちらに引っ越してしまっているようです。『転ばぬ先の杖』という言葉もあるように、この対策を今のうちからしっかり考えていかないと、篠栗町の将来は先細りになってしまいます。」

地方人口ビジョンや地方版総合戦略で必要となる地域の情報や役場内のデータをビジュアルで

しかし、熊谷氏が掴んだ住民転出の傾向は、個人的な調査による定性的なものであり、様々な施策を打ち出すための“裏付け”としてはまだまだ弱い。「他の職員も私と似たような状況にあり、若い世帯の転出が増加していることは何となく肌感覚でわかってはいるものの、実際にどの地区の住民の転出が多いのかといった数字を定量的に把握するのは困難でした。また、役場内の各課もそれぞれ有益なデータを持っているのですが、それらを横串で見る仕組みがなく、住民が転出していく理由を多角的に分析することもできませんでした。」と熊谷氏は言う。

そうした中で篠栗町が立ち上げたのが「子育て計画支援事業」である。内閣府による平成26年度地域活性化・地域住民生活等支援交付金(地方創生先行型)を活用したもので、住民基本台帳、福祉、保育、医療保険、税関連、財務会計などの情報を一元化し、子育てに適した環境づくりを目指す。

そして、その基盤として導入したのが、株式会社BCCが提供する「地方創生支援システム」だ。ウイングアークのBI ダッシュボード「MotionBoard」を活用し、地方人口ビジョンや地方版総合戦略で必要となる地域の情報や役場内のデータをビジュアル(グラフ、折れ線、地図)で分析・考察・意思決定をサポートするものである。

「BCCには以前より住民情報システムの構築・運用でお世話になっており、そのデータを最大限に活用したいと相談を持ちかけたところ、提案をいただいたソリューションを採用することになりました。」と熊谷氏は語る。

地方創生支援システムは具体的には、現在と将来の人口構成を把握して医療や福祉サービスなどを検討する「人口ピラミッド」、人口流入促進や人口流出防止の対策を検討する「人口流出・流入マップ」、過去からの人口推移および出生年齢や生産年齢などの状況を把握する「人口推移」、市町村民税や固定資産税を地図上で把握して地域産業政策などを検討する「エリア別税収マップ」、住民に対するアンケート結果と各種データとの関連性を把握する「住民満足度アンケート分析」、待機児童や未入所児の所在を把握して子育て支援施策を検討する「子育て情報マップ」といった機能を有する。

「長年の付き合いから篠栗町の強みも弱みも熟知しているBCCの開発者と町役場の職員がタッグを組み、これらの基本テンプレートの拡張やカスタマイズを進めることで、従来にない子育て計画支援事業を推進していきたいと考えました」と熊谷氏は語る。

例えば、初期設定では5年刻みの推移でデータ表示を行っていた人口ピラミッドや人口流出・流入マップを1年刻みの推移に変更するなど、現場レベルでの意見のすり合わせを何度も重ねながら地方創生支援システムのカスタマイズは進んでいった。

若い世代の結婚・出産・子育ての希望に応えていくKPIの見える化を担う地方創生支援システム

こうして篠栗町に導入された地方創生支援システムは、2016年2月より運用を開始した。

2015~2019年度の5ヶ年計画で推進する「篠栗町まち・ひと・しごと創生総合戦略」のもと、「子育て世帯300戸増」という具体的な数値目標を設定し、若い世代の結婚・出産・子育ての希望に応えていくことを目指す。そうした中で地方創生支援システムが担っていくのは、表のようなKPI (重要業績評価指標)の見える化である。

これらのKPIのうち、例えばキッズコーナーの設置に着目すると、地方創生支援システムを活用することで、より緻密な計画ならびに施策のコントロールが可能となる。

「なぜそこに新しい施設を設置する必要があるのか実証するためには、その地域に何人の子どもがいるのかといった数字の裏付けが必要です。対象となる母数をきちんと把握してこそ、その後の施設の利用率を予測することも可能となります。これまで感覚や経験に頼って推進してきた様々な施策を、数値に裏付けられたPDCAサイクルに則って実行することが可能となり、地方創生支援システムは総合戦略の審議会メンバーからも高い評価を獲得しています」と熊谷氏は語る。

皆で知恵を出し合って解決策を探る“言える化”を実現する場に育てたい

さらに地方創生支援システムが大きな成果を発揮しているのが、過去データの分析だ。

「データベースには2007年度からの人口推移が登録されており、ある地域で急に人口が増えたり減ったりしたときに、その背後でどんな出来事が起こっていたのかを紐づけて分析することができます」と語る熊谷氏は、「住民の“ 声なき声”をデータから聞き出し、これまでわからなかった“ なぜ”を読み解くことが可能となりました」と強調する。

そして篠栗町では、この地方創生支援システムを町役場の職員だけでなく、機能を簡略化しながらゆくゆくは住民にも公開していきたいという構想も持っている。

篠栗町は全体の約70%を山林が占めており、人口を維持するためには残りの30%の平野部の土地をいかに有効利用するかが鍵を握っている。

そこで遊休地を若い世代のための宅地や保育施設に転換していくなど、先に述べたようなKPIを設定した様々な施策の着実な遂行が求められているわけだ。

とはいえ、どんなに効果的な施策であっても、行政からの一方通行の唐突なものであっては、多くの住民はついてこない。明確な根拠を示してこそ、はじめて合意を得ることができる。そうした行政と住民の緊密なコミュニケーションを促す情報共有基盤としても、地方創生支援システムを活用していきたいというのが、篠栗町の意向なのだ。

「篠栗町が今どんな状況に置かれているのか、正確な情報を広く伝えると共に、住民の皆さまにも当事者としての危機意識を持っていただきたいのです。直面している課題に対して、皆で知恵を出し合って解決策を探る、そんな“ 言える化”を実現する場に地方創生支援システムを育てていければと考えています」と熊谷氏は語る。

国が進める「地域経済分析システム(RESAS)」との連携強化、アンケートに記入されたコメントなどのテキストデータを分析する「Dr.Sum EA TextOLAP」の活用など、新たな機能の拡充も検討しつつ、篠栗町は今後の地方の向かうべき道(To-Be)を描き出すモデルシステムとして、地方創生支援システムの発展を図っている。

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