導入事例

農業生産法人 有限会社トップリバー

農作物の生育状況や農場経営データをMotionBoardで見える化
100種類以上のダッシュボードを駆使し“儲かる農業”を実践
  • MotionBoard
  • その他
  • 農業
Before
各システムに蓄積されたデータについて、『こういう見方をしてみたい』『こんな分析はできないか』と、試行錯誤しながら毎年バージョンアップを行っていたが、ベンダーに新しい帳票を1つ作ってもらうたびにニーズの伝達をはじめ、開発に時間がかかっていた。
after
プロトタインピング手法を実践し、わずか半年足らずの短期間のうちに100種類を超えるダッシュボードが作られた。例えば農場経営の見える化では、農場ごとの収支状況をデイリーで表示するほか、前年同期との売上比較、農場間の実績比較などもダッシュボード上で簡単に行えるようになった。収益の推移を一目瞭然で把握できるようになり、経営のスピードアップに役立っている。

導入背景

● 新しいデータの見方に対応した帳票作成に手間や時間がかかっていた

● 高原野菜の一大産地を形成するプロジェクトに公的基金からの助成が決まった

導入ポイント

● 日立グループでの農業分野における実績

● 日立グループの農業情報の見える化に関するノウハウ

● 数名のライセンスからスモールスタートできる利便性

導入効果

● プロトタイピング手法により100種類を超えるダッシュボードを短期間・低コストで作成

● 生育予測と実績を組み合わせた計画立案で精度の高い出荷を実現

● 収益の推移を一目瞭然で把握できるようになり経営のスピードアップに貢献

導入製品

MotionBoard

Company Profile

本社所在地 : 長野県北佐久郡御代田町
事業内容: 「儲かる農業」をビジョンに掲げ、実践する農業生産法人。2000年に創業し、外食産業やスーパーなどの実需者と年間契約を交わすことで確実に利益を出せるビジネスモデルを構築。新規就農者の育成にも積極的に取り組んでいる。
農業生産法人 有限会社トップリバー
農業生産法人 有限会社トップリバー
専務
嶋崎 田鶴子 氏
大手外食チェーンやスーパーマーケットとの契約栽培を柱とした“ 儲かる農業” を実践するとともに、次世代を担う農業経営者の育成に取り組む農業生産法人有限会社トップリバー(以下、トップリバー)。生産者自身が情報を活用し、業務改善につなげていくため、農業のIT 化に積極的に取り組んでいる。そうした中で導入したのが、ウイングアークのBI ダッシュボード「MotionBoard」を活用したデータの見える化の仕組みである。この基盤を、全社的な情報共有ならびに農業経営のノウハウ伝承にも役立てていく考えだ。

次世代の農業の担い手を育成する上で欠かせないIT活用

「儲かる農業」を実践する農業生産法人として2000年に設立したトップリバーは、長野県内の3つの産地(北佐久・南佐久・富士見)の標高差を生かし、レタス、サニーレタス、グリーンリーフ、キャベツ、白菜など高品質な野菜を生産している。

この事業の最大の特長は、製造業におけるマーケットインやSCM(サプライチェーン管理)の考え方を取り入れたビジネスモデルにある。外食・中食産業、スーパーマーケットなどを顧客とした契約販売をビジネスの主体とし、顧客が望む時期・量・規格に合わせて納入する。背景にあるのは、「契約を順守する栽培こそが、生産者の育成・利益の出せる経営体質・生産者の拡大・安定供給につながる」という理念だ。

一方で同社は、次世代の農業の担い手となる若者を有給の研修生として雇用している。栽培技術はもとより時代や環境に合った農場管理の方法、人材マネジメント、データマネジメントなど、経営者として必要な知識やスキルを5~6年かけて学ばせた後、独立した営農者として“ 卒業” させる。これにより地域の発展を担う農業経営者を一人でも多く輩出することが、同社が追求する農業革命の核心なのだ。

そうした中で注力しているのがIT の活用である。トップリバーは2008年頃より、トレーサビリティーを確保する情報管理や各圃場における生産計画・実績管理といった業務のシステム化に積極的に取り組んできた。

しかし、そこで直面したのが開発スピードの問題だ。同社の専務である嶋崎 田鶴子氏は、「各システムに蓄積されたデータについて、『こういう見方をしてみたい』『こんな分析はできないか』と、試行錯誤しながら毎年バージョンアップを行っていましたが、ベンダーに新しい帳票を1つ作ってもらうたびに、ニーズの伝達をはじめ開発に時間がかかっていたのが実情でした」と振り返る。

既存の業務のやり方を変えずにデータを自由に見える化する

そんなシステムへの取り組みが大きな転機を迎えたのが2014年のこと。トップリバーと地元行政(長野県富士見町)、地元農家(JA信州諏訪)が協業し、作付面積100ヘクタールを超える高原レタス・キャベツの一大産地を形成する「富士見みらいプロジェクト」が発足。社団法人農林水産業みらい基金からも資金面の助成が決定した。

これを機にトップリバーは、システムの根幹を支える統合データベースを再構築し、そこに蓄積されたデータをより柔軟に見える化できるダッシュボードの構築に乗り出した。「日常的なデータ入力をはじめ、皆が慣れ親しんだ既存の業務のやり方を変えることなく、農場長や営業担当者など従業員の要望に合わせて、アウトプットをもっと自由にカスタマイズできる仕組みがほしいと考えました」と嶋崎氏は語る。

そして、相談を受けた日立ソリューションズ東日本が提案したのがMotionBoardである。同社ビジネスイノベーション部 技師の大江 康一氏は、その狙いを次のように語る。

「日立グループでの農業分野におけるMotionBoardを活用してきた実績があり、農業情報の見える化に関してはノウハウの蓄積がありました。また、従業員数名のライセンスからスモールスタートできる規模感も、トップリバー様のニーズにぴったり合っていると考えました」

半年足らずの短期間で100種類を超えるダッシュボードを作成

こうした経緯を経て2015年7月にMotionBoardを導入したトップリバーは、日立ソリューションズ東日本よりトレーニングを受けた後、すぐに本格的な活用を開始した。

「部門をまたいだ圃場情報の共有」「作物の生育状況」「農場経営」の3つの観点からデータを見える化すべく、日立ソリューションズ東日本はその“ たたき台” となるサンプル画面を用意。嶋崎氏らトップリバー側の主要メンバーと議論し、アイデアを出し合いながら、その場で要望を反映していくプロトタイピング手法を実践し、わずか半年足らずの短期間のうちに100種類を超えるダッシュボードが作られた。

「仮に旧システムにおいて、これと同じ感覚で次々に帳票を作ったとしたら、1,000万円を超える膨大なコストと開発期間がかかるところです。

MotionBoardの柔軟な生産性は本当に驚くばかりです」と嶋崎氏は語る。

そして、これらのダッシュボードは、トップリバーの実際の業務で即座に効果を示し始めた。例えば、「圃場カルテ」は、圃場での日々の作業を通じた“ 気づき” を記録・管理し、そこから得られた知見を全員で共有できる。また、「生育状況の見える化」ボードでは、作物の生育予測と生育日数(実績)を組み合わせた計画立案により、今まで以上に精度の高い出荷を実現できる。

さらに、「農場経営の見える化」ボードでは、農場ごとの収支状況をデイリーで表示するほか、前年同期との売上比較、農場間の実績比較などもダッシュボード上で簡単に行えるようになった。

「これまで個別に検索操作を行って紙の帳票に出力し、机上で突き合わせて見比べていた非効率な作業は完全に解消されました。収益の推移を一目瞭然で把握できるようになり、経営判断のスピードアップに役立っています」と嶋崎氏は語る。

“卒業生”や地域の農家に対するシステム提供のあり方を検討

2016年8月現在、トップリバーにおけるMotionBoardのユーザーは経営陣のほか直営各農場の農場長、営業担当者など約20名だ。この仕組みをより広範な業務に普及するとともに、「最終的にはすべての従業員が、必要なダッシュボードを自分自身で設計・カスタマイズできるレベルにまで持っていきたいと思っています」と嶋崎氏は語る。

もうひとつの大きなテーマが、トップリバーから巣立った若手営農者や地域の農家に対するシステム提供だ。公的基金から助成を受けた経緯もあり、地域全体として農業経営者の育成ならびに高収益化を支援し、富士見高原野菜のブランド化と雇用促進を通じて日本の農業を変えていくことは、トップリバーにとっての義務でもある。

「当社と同じシステムをそのままの形で展開したのでは各農家の導入負担が重すぎるため、普及の鍵はダウンスケールにあると考えています。データをどんな形で共有するのが望ましいのか。各農家が必要とするダッシュボードやサービスのみを選択しながら、もっと手軽に利用できる仕組みを、日立ソリューションズ東日本やウイングアークと一緒になって検討していく計画です」と嶋崎氏は今後を見据えている。

トップリバーが作成し、ブラッシュアップを続けているダッシュボードには、“ 儲かる農業”のための実践的なノウハウが盛り込まれている。新規就農者に対する幅広い教育効果をもたらすとともに、持続的な農業経営にも貢献すると、行政をはじめ多方面から期待が寄せられている。

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