導入事例

丸善食品工業株式会社

Dr.Sum EAとMotionBoardを使い分け、経営層から営業部門、工場まで
あらゆるユーザーが知りたい情報をタイムリーに閲覧・分析できる基盤を構築
  • Dr.Sum EA
  • 食料品
Before
販売管理と生産管理の2つのシステムから別々にデータを抽出して加工しなければならず、例えば月報や日報の作成のために営業側40名、工場側40名の担当者が、トータルで月間約330時間を費やしていた。
after
Datalizer for ExcelやMotionBoard上で必要なデータをタイムリーに分析し、加工・展開できるようになり、工数ロスはほぼ全面的に解消された。また、工場全体、生産ライン、製品単位といった管理レベルの原価データを取り込むことで、原材料価格の変動による製品利益への影響を考慮した売上単価の試算、損益分岐点の分析などを迅速に行うことが可能となった。

導入背景

● 食品業向けERPパッケージ「スーパーカクテル デュオFOODs」(内田洋行)の導入により、販売管理、生産管理、原価管理の業務プロセスが統合・標準化された

●「一目で経営状況がわかる情報をビジュアルに見たい」という要望が、経営層に高まっていた

● 営業部門や工場の担当者が作成する日報や月報など、様々なデータ加工に多大な工数が発生していた

導入ポイント

● スーパーカクテル デュオFOODsから売上、仕入、在庫、生産、原価のデータを抽出・蓄積し、分析するエンジンとしてDr.Sum EAを活用

● 自由な切り口でデータ分析・集計を行う担当者に対してDatalizer for Excelを展開

● 経営層に向けてビジュアルな情報提供を行うことができるダッシュボードとしてMotionBoardを活用

導入効果

● 担当者自身が手軽にデータ分析・集計ができるようになり、日報・月報にかかっていた工数を月間330時間削減

● 商品や得意先の動向をダッシュボードから1クリックで確認できるようになり、経営層の素早い意思決定に貢献

● 原価データの緻密な分析によって収益力を向上

導入製品

Dr.Sum EA /Dr.Sum EA Datalizer for ExcelMotionBoard

Company Profile

所在地 :(本社)東京都板橋区、(工場・生産本部)山形県鶴岡市
事業内容 : 1962年の創業以来、「すべては“ 味力” のある食のために」というスローガンのもと、プロフェッショナルな料理の下支えとなるプレーンオイルやシーズニングオイル、エキスなど、食品原料を開発・販売。国内のみならず中国の拠点やオセアニアの協力企業からも“ 味力” を発信し、事業のグローバル展開を推進している。
丸善食品工業株式会社

生産管理部 業務二課 課長
内沢 博昭 氏

丸善食品工業株式会社(以下、丸善食品工業)は、スープやエキスなどの天然調味料製造において、プロ料理人の味を支える“味力”を追求。「業界で知らぬ者はいない」というポジションを獲得してきた。2008年に販売管理を対象としてERPに移行し、業界標準の業務プロセスを導入。さらに2015年、その対象範囲を生産管理や原価管理にも拡大してきた。そして、このERPに集約される売上、仕入、在庫、生産、原価などのデータを分析・集計するためのBI基盤として活用しているのが、Dr.Sum EAとMotionBoardだ。経営層から営業部門や工場の管理職、担当者にいたるまで、あらゆるユーザーが全社横断の情報をタイムリーに入手し、素早い判断を行える環境を整えた。

食品業向けERPパッケージを導入し、まずは販売管理から基幹業務システムを刷新

丸善食品工業が大手食品メーカーや外食店、航空会社などに提供しているOEMや自社ブランドの商品は、洋風・中華向けスープやエキス調味料を中心に約800種類を数え、商圏も国内全域のみならず広くアジアまで拡大している。2012年度に51億円だった売上高は2015年度には55億円に拡大するなど業績も好調だ。こうした近年における同社の成長の背景にあるのが、基幹業務システムの刷新とデータ活用に対する絶え間ない取り組みである。

その原点となったのは、2007年におけるERPパッケージの導入だ。それ以前の同社はスクラッチ開発したシステムで長らく基幹業務を運用してきたが、このシステムは旧世代のWindowsをベースとしたもので、OSのバージョンアップにも耐えられない状況だった。そこで食品業向けERPパッケージ「スーパーカクテル デュオFOODs」(内田洋行)を導入し、まずは販売管理から基幹業務システムの刷新に踏み切ったのである。プロジェクトを先導した同社 生産管理部 業務二課の課長を務める内沢博昭氏は、このように話す。

「属人化していた業務プロセスを標準化するためにERPパッケージに注目しました。中でもスーパーカクテル デュオFOODsは、賞味期限の管理を必須とする食品業界の業務プロセスに特化し、多くの導入実績を持っています。他社にできたことを私たちにもやれないはずがない、と導入を決断しました」

実際、同社はわずか8ヶ月という短期間でシステムの更新を完了。翌2008年3月に本番稼働を開始した。これにより見積から受注、引当、出荷、売上にいたる販売管理業務を効率化し、大幅な業務のスピードアップを実現することができた。

BIツール活用ステップ1:販売管理の見える化
販売管理のデータ分析・集計を担う現場主導ツールとしてDr.Sum EAを導入

販売管理システムの刷新とともに進めたのが、BI(ビジネスインテリジェンス)ツールの導入である。それまでは基幹業務システムに蓄積されたデータを分析・集計するための専用ツールを持たず、その都度AccessやExcelを使って個別に対応していた。しかし、データに対する要望はユーザーによって千差万別だ。例えば営業部門や工場の管理職や担当者は、「売れ筋商品や得意先実績などをタイムリーに知りたい」というニーズを持っている。一方で経営層からは、「ビジネスの状況を迅速に把握できるように、グラフやチャートを活かした直感的な報告書を準備せよ」という指示が寄せられる。こうした依頼が集中するIT担当者の負荷は増大する一方で、「ユーザー自身が、ある程度データを分析できるEUC(エンド・ユーザー・コンピューティング)環境を提供できればいいのだが・・・」と考えていた。

この課題の解決策として、内田洋行から提案されたのがBIツールの導入だった。「いくつか提示された製品候補の中で目にとまったのが、唯一の国産ツールであったウイングアークの『Dr.Sum EA』です。分析に関する専門知識を待っていなくてもビューやテーブルを定義し、エンドユーザーが使い慣れたExcelインターフェイス上でデータ分析・集計を行える点に魅力を感じました」と内沢氏は語る。

BIツールの導入により、同社は、任意の期間や前年度との売上比較、商品別・担当者別の進捗状況など、エンドユーザー自身が柔軟に視点を切り換えながらデータ分析・集計を実施し、全社統一の“物差し”で予実管理や経営の迅速な意思決定を行える環境を整えた。

BIツール活用ステップ2:経営層・管理部門への展開
BIのパワーをより広い業務や用途に拡大。
ビジュアルなダッシュボードMotionBoaradを導入

2014年、同社は経営品質ならびに顧客満足度の向上を支えるIT基盤のさらなる強化の一環として、ダッシュボードの導入に踏み切った。Dr.Sum EAの導入によってデータ活用は大きく前進したものの、そのユーザーは主に営業部門に集中しており、より幅広い業務や用途にBIのパワーを普及させたいと考えたのである。

「経営層や管理部門から寄せられていた『タイムリーな情報をより簡単に、いつでも、どこからでも見られるようにしてほしい』という要望に応えるべく、Dr.Sum EAとの連携を重視してウイングアークの『MotionBoard』の導入を決めました」と内沢氏は語る。

KPI(重要評価指標)の推移や売れ筋商品のトレンドなど大局的な情報をMotionBoardで俯瞰し、より自由度の高いアドホックなデータ分析・集計をDr.Sum EAで行うというのが2つのBIツールの基本的な使い分けとなる。

MotionBoard導入の狙いはそれだけではない。セキュリティの観点からDr.Sum EAのExcelインターフェイス上でアクセス権限が与えられているのは、各部門の管理職や担当者がそれぞれの責任範囲とする顧客や取引先、商品などのデータに限られている。これに対してMotionBoardを活用すれば、ビジュアルなダッシュボードのもとで全社的なガバナンスを効かせながら、より広範なデータを提供することができる。これによって営業担当者も営業所別の予算の進捗状況を見たり、身の回りのライバルと成績を比較したりすることが可能となる。

「現場の担当者は、どうしても自分本位の近視眼的な活動に陥りがちです。そこに全社的な集計データをタイムリーに提供することで、全体の中での自分のポジションを認識させるなど、競争意識を促していければと考えました」と内沢氏は語る。

BIツール活用ステップ3:生産管理・原価管理の統合
生産管理、原価管理の統合に対応し、Dr.Sum EAのユーザーインターフェイスをVer.4.2にバージョンアップ

2015年、同社はスーパーカクテル デュオFOODsの生産管理および原価管理のモジュールを追加導入し、基幹業務のすべてのプロセスを同じERP基盤に統合した。

「販売管理と生産管理で二重登録されているマスターを統合したかったのです。また、人件費や原材料の相場変動を正確にシステムに反映できていない現状を解消し、業界標準の原価管理方法に移行したいと考えました」と内沢氏は、その狙いを語る。

こうして売上、仕入、在庫、生産、原価のあらゆるデータがERPに一元化され、Dr.Sum EAのデータマートに蓄積されるようになったことを受け、同社はBI環境の改善に乗り出した。これまで同社が利用してきたDr.Sum EA Advanced Ver.2.5は、集計様式を個々のローカル端末に保存して運用していた。そこからDr.Sum EA Datalizer for Excel Ver.4.0を経て、Dr.Sum EA Datalizer for Excel Ver.4.2にバージョンアップすることで、サーバーベースでの運用に移行したのだ。

「集計様式を一つひとつ変換してサーバーに登録し直す作業には少し苦労しました。しかし、新たに追加されたサービスマネジメントサーバーおよびDatalizer Clientの機能により、ユーザーはメニュー画面からワンクリックで定義ファイルにアクセスし、条件を変えながら再集計を行えるようになるなど、分析の自由度と利便性を高めることができました」と内沢氏は語る。

この結果、Dr.Sum EAのユーザー層を広げるとともに、営業部門から工場まで横串で貫いたデータ分析・集計が大幅にスピードアップした。

「従来は販売管理と生産管理の2つのシステムから別々にデータを抽出して加工しなければならず、例えば月報や日報の作成のために営業側40名、工場側40名の担当者が、トータルで月間約330時間を費やしていました。Datalizer for ExcelやMotionBoard上で必要なデータをタイムリーに分析し、加工・展開できるようになった現在、工数ロスはほぼ全面的に解消されています」と内沢氏は語る。

また、原価管理については、労務費、経費、原材料費の3つの原価を実態に合わせた基準に沿って按分し、工場全体、生産ライン、製品単位といった任意の管理レベルで算出することが可能となった。

「これらの原価データもDr.Sum EAに取り込むことで、一定期間の平均原価を計算するほか、原料価格の変動による製品利益への影響を考慮した売上単価の試算、損益分岐点の分析などを行うことができます。特にここ数年は原材料の相場が高騰する傾向にあり、どこまで値上げすることなく踏みとどまり、お客様からの要求コストにお応えできるかという判断が非常に難しくなっているだけに、緻密な原価管理ができるようになったことは、当社にとって大きな前進と言えます」と内沢氏は語る。

食品業向けERPパッケージを導入し、まずは販売管理から基幹業務システムを刷新

生産管理の原価管理の刷新・統合が実現してすでに1年以上が経過した現在、Dr.Sum EAのデータマートには順調なペースでデータの蓄積が進んでいる。

「今後、数年間分のデータが蓄積されれば、例えば原材料の相場変動の傾向をより詳細に分析し、将来を先読みした仕入れや生産計画によって調達効率を上げるなど、収益アップのための様々なアクションを起こすことが可能になると考えています」と、内沢氏は今後を見据えている。

エンドユーザー主導のデータ活用によって、品質改善をはじめとする様々な現場業務の改善を推進していくというのが同社の一貫した構想なのだ。「サーバーライセンスで利用できるDr.Sum EAのメリットを生かし、全社員180名のうち120名にアカウントを発行すると共に、新規のPCにはすべてセットアップ済みで配布しています。MotionBoardについても、社内ポータルのように全社員の身近な情報共有基盤として活用していきたいですね」と内沢氏は言う。

この取り組みの一環として同社は、2016年5月よりiPadの導入を開始した。当初の狙いは「MotionBoardのダッシュボードを、どこからでも、より簡単に見えるようにしてほしい」という経営層の要望に応えるものだったが、導入台数を十数台に増やして生産現場への配備も進めつつあるのだ。

「スーパーカクテルに登録されているレシピ(製品構成マスター)を見やすく加工して表示するほか、最新の製造マニュアルもiPadを通じて提供しています。最終的には生産現場のペーパーレス化を実現するとともに、品質改善のための“気づき”を与えるシステムに発展させていきたいと考えています」と内沢氏は語る。

同社は日本で磨いてきた“味力”を中国やアジア諸国、オセアニアなどグローバル市場に発信すべく、海外の協力会社とのネットワークを拡大している。また、長年にわたり培ってきたスープ・エキス・オイル抽出製造のノウハウを活かし、食品を超えた「機能性食品原料」という新たな領域へのチャレンジも開始した。こうしたビジネスの進化をさらに加速すべく、同社は戦略的なデータ活用環境の革新を続けている。

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