導入事例

日立造船株式会社

あらゆる経営情報の可視化を実現する
全社的なBI基盤で高収益企業への変革を推進
  • MotionBoard
  • 機械・電気機器
  • 経営企画
  • 人事管理
  • 安全管理
  • 生産(工場)管理
Before
「経営企画、人事管理、安全管理、生産(工場)管理で扱う情報は、共通部門に集められた後Excelによる手作業で集計され、報告資料としてまとめられていた。しかし、こうした紙の報告資料から大まかなトレンドは把握できるものの、各項目を構成している元々の詳細情報を読み取ることはできない。さらにこれらの報告資料は会議などで役目を終えると、それらの情報(データ)はほとんど活かされることがなかった」
after
「1週間近く要していた報告書作成のリードタイムをなくした。これにより経営者は、よりリアルに近いデータを見て状況を判断し、将来を予測することができる。また、詳細を知りたい案件や事象に対してその場でドリルダウンやドリルスルーできる“見せ方”を提供することで、経営者や現場の責任者に新たな“気づき”を与えられるようになった」

導入背景

●会社が健全かつ安全に活動するためのあらゆる経営情報を可視化したい

●将来予測に基づいた経営者の意思決定を支援する指標を提示したい

●ICT基盤の一つとして全社的にサービスを提供するBI基盤を整備する

導入ポイント

●データソースを選ぶことなく多種多様なデータを収集し、グラフィカルに表現できる

●用途や要件に応じた柔軟な画面設計が可能

●ユーザー権限に応じたアクセス制限によりセキュリティを担保できる

●ユーザービリティ(わかりやすさ)に優れている

●サーバーライセンスで利用でき、ユーザー数が制限されない

導入効果

●1週間近く要していた報告書作成のリードタイムを解消

●Excelを使った手作業によるデータ集計を自動化

●データをさまざまなグラフで表現することで“気づき”を促す

導入製品

MotionBoardDr.Sum EA

Company Profile

本社所在地:【本社】大阪市住之江区 【東京本社】東京都品川区
事業内容:「環境・グリーンエネルギー」および「社会インフラ整備と防災」を事業ドメインとし、環境保全装置、プラント、水処理装置、機械、プロセス機器、インフラ設備、防災システム、精密機械などの設計・製作を手掛ける。
日立造船株式会社
左から順に、
日立造船株式会社 ICT推進本部 ICT情報システム部 ナレッジマネジメントグループ
下山 昭子 氏/脇田 紗弥佳 氏/松澤 侑唯 氏/荒木 夏治 氏/松本 涼平 氏
国内屈指のプラント・機械メーカーである日立造船株式会社(以下、日立造船)は、「技術立社」の考え方のもと社会に高い付加価値を提供すべく、多岐にわたる事業の最適化と経営資源の集中を行っている。そうした中で推進しているのが、財務会計にとどまらないあらゆる経営情報の可視化である。この取り組みを支える全社的なBI基盤としてDr.Sum EAおよびMotionBoardを導入。「経営企画」「人事管理」「安全管理」「生産(工場)管理」の4つのテーマにおいて、Excelを使った手作業によるデータ集計の重い負担とタイムロスを解消。データのグラフィカルな表現による“気づき”の促進、自由な視点の切り替えや詳細情報へのドリルダウンによるアドホックな分析、さらには将来予測のサポートなど、すでに多くの成果が現れている。

持続的な成長を実現するために不可欠なあらゆる経営情報を可視化する

130年を超える歴史の中で培ってきた「ものづくりとエンジニアリング」を強みとする日立造船は現在、環境・プラント、機械、プロセス機器、インフラ、精密機械にまたがる幅広い事業を展開している。基盤技術(狭義の技術)のみならず、製品やサービスを顧客へ提供するために必要な業務プロセスも含めた広義の技術力を磨いていく「技術立社」の考え方に基づき、事業の選択と経営資源の集中、開発プロセスの変革による新製品や新事業の収益化のスピードアップ、グループ力強化によるシナジーの発揮、フラットマトリックス経営体制※1の強化を図る。これらの技術によりさらなるシェア向上と高収益化を実現していくというのが、今後に向けた経営の基本方針だ。

そうした中で目指しているのが、全社的な経営情報の可視化である。財務会計に関する情報だけでなく、会社が健全かつ安全に活動し、持続的な成長を実現するために不可欠なあらゆる情報を、日立造船は経営情報と定義している。

この取り組みを主導する同社 ICT推進本部 ICT情報システム部 ナレッジマネジメントグループの荒木 夏治氏は、「これまでもICT推進本部は、全社に対して業務改革を促進するためにICTの積極利用を促すことを使命として活動してきました。経営情報の可視化もその延長線上でとらえています」と語る。

もっとも、各事業はそれぞれ多種多様な情報を扱っているのが実情で、最初からそのすべてを取り込むことは難しい。

そこで日立造船は、全社共通部門で可視化に取り組みやすく、比較的短い期間で効果を示しやすいと思われるテーマとして、「経営企画」「人事管理」「安全管理」「生産(工場)管理」の4つを選定。2016年2月よりプロジェクトを開始した。

※1:日立造船が目指す、全体最適の視点に立って経営を推進する体制。具体的には、フラット(本社/共通部門と事業部門とは対等で相互協力関係)とマトリックス(本社/共通部門は事業部門に対し、サポート&ガバナンス機能をもつ)による、フラット・マトリックス組織(本社/共通部門・事業部門・関係各社で人材が活発に異動し、経営目標等のベクトルを共有する)により、経営施策のスピードアップと、具体策の充実度アップ、目標の達成度アップを目的とする。

手作業に依存していたExcelの限界をBIで超えることを目指す

具体的にどうやって経営情報を可視化するのか−。その基盤となるソリューションを模索する中で日立造船が着目したのがBIツールだ。

「経営企画、人事管理、安全管理、生産(工場)管理で扱う情報は、共通部門に集められた後Excelによる手作業で集計され、報告資料としてまとめられています。しかし、こうした紙の報告資料から大まかなトレンドは把握できるものの、各項目を構成している元々の詳細情報を読み取ることはできません。さらにこれらの報告資料は会議などで役目を終えると、その後はほとんど活かされることがありません。こうしたExcelの限界をBIツールなら超えられるのではないかと考えました。Excelに集められる情報は数値表現を標準としていることも、BIツールに馴染みやすいと考えた理由です」と荒木氏は語る。

経営者にとって重要なのは、現状把握もさることながら、「これからどうなるのか」という将来予測である。もし、これまでほとんど活用されず捨て去られていた過去データをもっと効果的に利用できるならば、今後の動向を推測するための指標として役立てられるかもしれない。例えば、過去数年分のデータから平均値を算出し、それらを比較対象とすることで、現状が上手くいっているかどうかの判断を行えるだろう。

こうした“気づき”を促すことこそが経営情報の可視化の本質であり、BIツールならばそれを実現できると考えたのである。

あらゆる事業の要求に応えるためにはユーザー数が制限されないことが大前提

こうした狙いから日立造船がBI基盤として導入したのが、SIパートナーの日立ソリューションズより提案を受けたウイングアークのDr.Sum EAとMotionBoardだ。多岐にわたる事業のデータを集約するデータウェアハウスをDr.Sum EAで構築。そこにアクセスして各種データの加工・分析を行うユーザー用のインターフェイスおよびダッシュボードとしてMotionBoardを活用するという構成である。

ここで重視したのは、「データソースを選ぶことなく多種多様なデータを収集し、グラフィカルに表現できる」「用途や要件に応じた柔軟な画面設計が可能」「各ユーザーの役職や権限に応じたアクセス制限など、セキュリティをしっかり守れる」「ユーザービリティ(わかりやすさ)に優れる」といった特長である。

もっとも世の中には、さまざまなタイプのBIツールが存在している。実際、日立造船は並行して「セルフサービスBI」と呼ばれる製品についても導入を検討したという。その結果としてなぜ、最終的にDr.Sum EAとMotionBoardを選定するに至ったのか。荒木氏は次のように話す。
「日立造船におけるBIツールの役割は、ICT情報基盤の一つとして全社にサービスを提供するということです。あらゆる事業の要求に応えるためには、『ユーザー数が制限されないこと』が大前提となるのです」こうしたニーズを考慮したとき、特定のアナリストの利用を想定して設計されたセルフサービスBIはやはり不向きだ。サーバーライセンスで利用することができ、クライアントへの専用アプリケーションのインストールも必要としない「エンタープライズBI」が求められる。この要件を満たすのがDr.Sum EAとMotionBoardだったわけだ。

荒木氏とともにBI推進センターとして活動している日立造船 ICT推進本部 ICT情報システム部 ナレッジマネジメントグループの下山 昭子氏も、「2018年にはERPが更新される予定です。これに伴い各事業や拠点ごとにバラバラに管理・運用されてきたデータやコードの統合が進みます。Dr.Sum EAやMotionBoardの適用範囲も拡大し、経営情報の可視化は大きく前進すると見込んでいます」と期待を膨らませている。

先行する4テーマにおけるBI活用の動向

さまざまな事業の現場で、Dr.Sum EAとMotionBoardから構成されたBI基盤は実際にどのような活用が進んでいるのだろうか。日立ソリューションズのサポートを受けながら日立造船が先行して取り組んでいる「経営企画」「人事管理」「安全管理」「生産(工場)管理」の4つのテーマについて、それぞれの動向(2017年1月現在)を以下にまとめる。

(1)「経営企画」における取り組み〜受注予測分析〜

各事業部門の受注に関するデータに着目し、業績と見込みを可視化することを目指している。具体的には現時点における「案件状況の確認」を行い、「受注総括表」を作成し、最終的に経営者にとって最大の関心事である「受注予測分析」につなげる。
先述したように、従来はこうした受注状況の把握についても、各事業の営業部門から寄せられてくるデータを経営企画部門の担当者がExcelを使って手作業で集計し、月に1〜2回行われる経営会議に合わせて報告書(紙)を作成するという流れで行われていた。すなわち各事業の受注データをネットワーク経由でDr.Sum EAに直接入力することでこのワークフローを自動化するとともに、MotionBoardのダッシュボードによる報告書のペーパーレス化を実現するわけだ。

「今まではExcelでの集計データに過ぎなかった会議用の資料があらゆる角度からグラフ化(可視化)され、たった1人の担当者でも楽々と作成できるようになりました」(荒木氏)

もっとも、これまで紙で配布していた報告書を単純にダッシュボードに載せかえるだけでは、こうした変化を起こすことはできない。Excelでは困難だったどのようなデータの表現を提供するのかが重要なポイントとなる。

「各事業部門の受注に関するデータに着目し、業績と見込みを可視化することを目指しています。

これまで複数の担当者が1週間がかりで行っていたExcelでの作業が、数時間で行えるようになり、実質的な作業時間は1/10程度に縮減されます。また、集計データに過ぎなかった資料も、あらゆる角度からグラフ化(可視化)することで経営者は実情が明確化されたデータを見て状況を判断し、将来を予測することができます。また、営業担当者が具体的にどのようなアクションをとっているかドリルスルーすることにより、実態を確認できることで、経営陣やマネージャーに“気づき”が得られると考えています」(荒木氏)

(2)「人事管理」の取り組み〜アクションプランの可視化〜

人事管理でのBIの活用は、社内のアンケート集計業務から始まった。個々の社員が会社の経営方針をどれだけ理解できているか、所属部門でコミュニケーションがとれているかといった状況を調査し、分析するものである。

「個々の社員が能力を発揮できていないとすれば、その原因がどこにあるのかを突き詰めていく土台にしたいと考えています」(荒木氏)

特に、オプション機能である帳票については、カード明細を複数まとめて印字(PDF化)できる機能が備わっており、「ありそうでない」機能であるため、重宝されているという。「さらに、現行バージョンではExcel出力機能が当該オプションに備わり、ダッシュボードをExcelへ連携した見える化の取組は安全管理でまさに今実現していることです」(荒木氏)

今後に向けては、社員ごとに策定されたアクションプラン(目標達成シート)を可視化するという計画もある。

「アクションプランにはテキストで記述されている項目も多いのですが、それも含めて分析することで個々の社員のスキルマップやマインドセットを明らかにし、さらに能力を伸ばしていくためのキャリアプランの策定、適材適所の人事異動(ミスマッチの解消)などに活かしていきたいというのが、この計画の狙いです」(荒木氏)

(3)「安全管理」の取り組み 〜危険予知や災害の抑制向上〜

さまざまな現場や拠点で発生した災害データを可視化し、全社的に共有することで危険予知の啓蒙や災害に対する抑止力向上に役立てる。

特に休業を伴う災害について発生した割合を示すとともに、実際にいつ、どこで、どんな災害が発生したのかドリルダウンして詳細情報を見ることができる。さらにその場で切り口を変えて、特定の現場や拠点でどれだけ災害が発生しているのかを確認できるダッシュボードを作成した。この結果は即座にSharePointを使って各現場の安全管理責任者に配信され、安全に対する意識を喚起する。

「万が一にも重大な災害を起こした場合、被災者やご家族に多大な損害をあたえるだけでなく当社も社会的信頼を失い、公共事業への入札から外されてしまうなど大きな損失につながります。実は経営にとって最も大きなリスク要因の一つが安全なのです。そこで今後は、災害につながる設備の不備など、原因究明のためのデータの可視化をさらに進めていきます」(荒木氏)

(4)「生産(工場)管理」の取り組み〜プロジェクト予算の遂行状況把握〜

日立造船のマテリアル製品などを生産する若狭事業所で先行し、プロジェクト予算の遂行状況を可視化する予実算管理への取り組みが始まった。

若狭事業所では小規模なものまで含めると、常時300を超えるプロジェクトが進行している。これらのプロジェクトに投入される工数や原材料、電力・エネルギーなどの予算は、これまで月次でしか集計されていなかった。この段階で予算の超過が発覚したとしても、すでに手遅れで、どうすることもできない。

そこにBIツールを適用することで、リアルタイムに近いプロジェクト予算の遂行状況を把握することが可能となる。それぞれの現場レベルでも、「あとどれくらいコストをかけられるか」を常に意識した的確なコントロールを行い、予定された利益を確実に確保するための動きを取れるようになる。

「経営企画で行っている受注予測分析の結果と連携させることで、経営陣もより確度の高い経営計画を立てられるようになると期待しています」(荒木氏)

収益構造の飛躍的な向上を成し遂げ新規開発への投資を拡大する

日立造船における経営情報の可視化プロジェクトはまだ始まったばかりだが、上記のように確実な前進を続けている。

「経営企画における受注データの可視化を例にとっても、これまで約10人の担当者が1週間がかりで行っていたExcelでの集計作業が、たった1人の担当者で楽々と数時間でこなせるようになりました。BIツールの導入によって、1/10〜1/100といった絶大な工数削減とスピードアップを実現できたことになります。同様の効果は、他の人事管理や安全管理、生産(工場)管理でもあらわれています」と、荒木氏は手応えを示す。

では、ここまでの施策を支えてきたDr.Sum EAとMotionBoardの使い勝手はどうだったのだろうか。荒木氏、下山氏とともにBI推進センターとして活動し、数多くのダッシュボード作成を担当している同グループの脇田 紗弥佳氏は、次のように評価する。

「ICTやデータ分析の専門的な知識を持たなくても、十分に使いこなしていけるBIツールだと感じています。特に便利だと思ったのは、どういうデータの見せ方をしたらよいのか迷ったときに、MotionBoardが『おすすめのグラフ』を示してくれることです。意外なデータ表現から新しい“気づき”を得られることも多いのです。少し慣れれば、簡単なダッシュボードなら総務や経理といった事務系の担当者が自ら作成して展開することが可能になると思います」

このようにBI基盤の全社展開に向けたシナリオは徐々にカタチになっている。

「あらゆる経営情報の全社的な可視化が実現すれば、これまでICTの恩恵を受けることが少なかった工場やプラント建設などの現場も、よりインテリジェントな状況判断とそれに裏付けられたスマートな活動を行うことが可能となり、収益構造の飛躍的な向上を達成できます。その結果として拡大できるのが、新たな製品やソリューション、サービスへの開発投資なのです」と荒木氏は、今後を見据えている。これこそ日立造船が理念とする“技術立社”のあり方そのものであり、これによって変革への取り組みがいっそう加速しそうだ。

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