導入事例

株式会社買取王国

ID-POSによる商品の単品管理と連携したBIツールで
「経営」「情報本部」「現場」が一体となったデータ活用
  • MotionBoard
  • 卸売・小売
Before
売り場1坪あたりの粗利について3 ~ 7万円/月という基準を設定しており、これを下回った場合にすぐに手を打たなければならない。仮に在庫が足りなくて粗利が上がっていないとすれば買い取りをもっと強化したり、他店から商品を融通したりする必要がある。しかし買取原価を管理しているだけでは現場の状況は把握できない。
after
買取原価だけでなく売価までしっかり押さえて商品在庫の中身と動きを詳細に把握できるようになったことで、的確なアクションのための判断を迅速に下せるようになった。また、ダッシュボードに最新の実績データが自動的に反映されるようになったことで、業績管理資料の作成に費やしていた工数がゼロになった。

導入背景

● 同じ商品が2つとないリユース小売業では商品の単品管理が必須

● POSシステムの刷新により実績データの収集体制を強化

●「 経営」「情報本部」「現場」が一体となったデータ活用を指向

導入ポイント

● 各店舗のバイヤーなど現場で活用できるBIツールを選定

● 数千万件に及ぶマスターの全件処理が可能

● 基幹システムで更新された実績データをほぼリアルタイムにダッシュボードに反映

導入効果

● 売価在庫に着目した各店舗の実績値の推移をダッシュボードに一覧表示

● 設定した値入率の検証を可能とすることでバイヤーの目利き力を向上

● 手作業で業績管理資料を作成していた工数を“ゼロ”に削減

導入製品

MotionBoardDr.Sum EADr.Sum EA Datalizer for ExcelBIコンサルティングサービス

Company Profile

設立 : 1999年10月
本社所在地: 愛知県名古屋市
事業内容 : 買取王国・マイシュウサガール・Reco(リコ)・WHYNOTの直営店舗展開・運営、古着・ホビー・雑貨・デジタル家電等の販売/買取、CD/DVD・ゲームの販売/買取。
株式会社買取王国

(左より)

情報本部/企画・販売推進 本部長 伊藤 悟 氏

代表取締役 長谷川 和夫 氏

営業本部 プロデューサー 嶋本 匡能 氏

「夢ある商品とサービスを通して、喜びと心の満足を創りだしていきます」という経営理念を掲げ、総合リユース小売ビジネスを展開する買取王国は、経営体質をさらに強化すべく、値入率の適切な設定による粗利の最大化や商品回転率の改善による業績向上を目指している。そこで必須となるのが商品在庫の鮮度を含めた単品管理の徹底であり、同社はPOSシステムの刷新にあわせてBI ツールとしてMotionBoard、Dr.Sum EAを導入。商品ごとの買取・在庫・販売のサイクルを可視化し、経営者や情報本部はもとより、エリアリーダーから店長、バイヤーにいたるまで現場主導でデータ活用を行う体制を整えた。

商品の単品管理を徹底し買取・販売・在庫のサイクルを可視化する

愛知・岐阜・三重の3県および大阪府にリユースショップ約30店舗を展開する買取王国は、自らの事業ドメインを「価値再生感動創造業」と定義。「夢ある商品とサービスを通して、喜びと心の満足を創りだしていきます」という経営理念のもと、買取王国やマイシュウサガールといった業態を通じて古着からブランド品、きもの、楽器、スポーツ用品、おもちゃホビーまで豊富なアイテムを取り揃えている。

これらの商品の98%は、実際に店頭で顧客から買い取ったものだ。「売り場は、買い場」と強調する同社 代表取締役の長谷川 和夫氏は、「専門的な商品知識を持った担当者(バイヤー)を各店に配置し、買取価格や販売価格の値付け、陳列、演出方法まであらゆる権限を委譲した個店経営による店舗展開を行っています」と話す。こうした現場主義のビジネススタイルが、同社ショップの最大の魅力である「わくわく・ドキドキ・大発見!」の源泉となっているのである。

しかし、経営面で課題を抱えていたのも事実だ。

買い取った商品が一定期間に売れなければ、どんどん売り値を下げていくしかなく、なかには不良在庫化してしまう商品もある。リユース品はゲームソフトやCDなどを除いて同じモノが2つとなく、一つひとつ価値が違うだけに、現場の勘だけに任せていたのでは、どんぶり勘定の経営に陥ってしまうのだ。客観的な数字に裏付けられた商品の徹底した単品管理によって買取・販売・在庫のサイクル全体を可視化し、計画的に収益を確保しなければ、安定的な成長を続けることは困難だ。

そこで買取王国が2015年4月に実施した基幹システムの刷新にあわせ、導入に踏み切ったのがID-POSとBIツールである。

「ID-POSを通じて基幹システムに蓄積される実績データをBI ツールで集計・分析することで、売り場ごとの商品構成や人員配置、価格帯ごとの販売・在庫構成、バイヤーごとの値入率などを見える化し、予測に基づいた経営の意思決定や現場の指導・教育に活かせる環境を整えたいと考えました」と長谷川氏は語る。

Excel の限界を超えていた大量データの全件処理に対応

経営トップの思いを具現化するBIツールとして買取王国が導入したのは、MotionBoard、Dr.Sum EAである。情報本部/企画・販売促進本部長の伊藤 悟氏は、選定の決め手として次の二つのポイントを挙げる。

一つはユーザー主導によるBI 活用だ。「現場に“ 気づき”を促すため、今回導入するBIツールはエリアリーダーから店長、バイヤーまでユーザーを制限することなく広く公開したいと考えており、その意味でも誰にでも扱えるツールでなければなりませんでした。ダッシュボードについても外部に作成やメンテナンスを依頼するのではなく、現場の要望を受けながら情報本部のメンバー自身で内製できることを重視しました」と伊藤氏は話す。

もう一つは、膨大なデータ量への対応である。

先に述べたように同社の取扱商品は単品管理が基本となるため、マスターは数千万件にも及ぶ。

「従来のExcelへのデータ取り込みでは軽く限界を超えてしまっていたこの大量データを全件処理できることが、BI ツールに対する条件でした」と伊藤氏は話す。

実際、一連のBIツールは、この期待に応えるものだった。今回はID-POSの刷新というデータ体系の大幅な変更が伴うため、ウイングアークのBIコンサルティングサービスを活用し、汎用的なデータウェアハウスの構築と、プロトタイピングによる初期導入を行った。

その後は、BI ツールの定着化を進めるため、定期での技術支援を受けながら、情報本部への引き継ぎを進め、自社内でメンテナンス等を行えるようになっていった。「2016年3月に全店舗からこのBI ツールの利用が可能となり、基盤の運用からエンドユーザーへのダッシュボードの作成・メンテナンスまで、すべて自力で行っています」と伊藤氏は語る。

各店舗のリアルな実績を一覧表示し売価在庫の見える化を実現

ID-POSを介して基幹システムで管理されている各店舗の買取・販売・在庫に関する実績データは、30分ごとのバッチでDr.Sum EAのデータウェアハウスに反映される。これにより各店舗の状況をMotionBoardのダッシュボードにほぼリアルタイムに表示し、分析を行うことが可能となった。

これによる最大の効果として「売価在庫の見える化」を挙げるのは、ユーザーの立場からこのダッシュボード作成を主導してきた営業本部 プロデューサーの嶋本 匡能氏である。各店舗や売り場ごとの売価在庫の推移を見ることで、商品別の粗利や在庫滞留状況を分析することが可能となった。

「取り扱っている商品ジャンルにもよりますが、弊社では売り場1坪あたりの粗利について3~7万円/ 月という基準値を設定しており、これを下回った場合にすぐに手を打たなければなりません。仮に在庫が足りなくて粗利が上がっていないとすれば買い取りをもっと強化したり、他店から商品を融通したりする必要があります。逆に在庫が十分にあるにもかかわらず粗利が上がっていないとすれば、お客様に需要のない商品が大量に滞留していることを意味し、売り場面積の縮小も考えなくてはなりません。買取原価だけでなく売価までしっかり押さえて商品在庫の中身と動きを詳細に把握できるようになったことで、こうした判断を正確かつ迅速に下せるようになり、改善する速度が上がりました」と嶋本氏は語る。

さらに、これらのデータをバイヤー単位で深掘りすることで、そもそも各商品の値入率((販売価格-買取原価)÷ 販売価格×100)は適切だったのかを検証することが可能となる。要するに買い取った商品がそのまま放置されてしまうのが一番まずいことなのだ。

「一定期間を超えて滞留している商品在庫は、結局どんどん値下げを行っていかないと売り切ることができません。こうした当初の見込みと結果のズレが、ありのままの数字で示されるようになりました」と嶋本氏は語る。

「弊社のようなリユース業態におけるビジネスの競争力は、突き詰めると個々のバイヤーの“目利き力”に大きく依存します。ダッシュボード上に可視化された事実をしっかり認識することで値入率の精度を高め、その結果として粗利を最大化しつつ商品回転率を上げていくといった、一人ひとりのスキルアップにつなげていければと思います」と、長谷川氏もその効果に大きな期待を寄せている。

また、業績管理のための各種資料作成の工数を大幅に削減するという効果ももたらしている。

「従来は基幹業務システムからAccessを使って各店舗の実績データを抽出し、さらにそれをExcel に投入して集計するという手作業で各種業績管理資料を作成しており、情報本部の担当者は毎日1~2時間、毎月の締めの時期には1~2日の時間を費やしていました。ダッシュボードに最新の実績データが自動的に反映されるようになった現在、こうした資料作成の工数はゼロになりました。これによって余力のできた時間を、経営のさらなる高度化のためのサポートに集中させています」と伊藤氏は語る。

一例として同社は全商品アイテムについて、その保有期間に応じた管理会計上のみなしコストとして在庫金利を計算し、経営改善に役立てていくことを検討している。その時々の状況に応じて在庫金利にかかわる利率をきめ細かく設定・変更することで、より迅速な意思決定を支援することを目指しているのである。具体的にはDr.Sum EA Datalizer for Excel を使用して単品管理の対象とする商品のジャンル、あるいは店舗およびバイヤーごとに在庫金利を計算し、業績管理に反映していく考えだ。

データ活用を現場に定着させビジネス競争力のさらなる強化に臨む

もっとも、同社にとってBIツールの本格的な活用はこれからが“本番”だ。

「新しいPOSシステムの運用を約1年続けてきたことで、ようやくDr.Sum EAに実績データが蓄積され、各店舗やバイヤーごとの時系列での売り上げや粗利の推移の把握、商品回転率の前期比較など、詳細な分析を行う環境が整いました」と伊藤氏は語る。

そうしたデータ活用を現場に定着させていくためには、各種ダッシュボードを「自由に使ってください」と公開するだけでは不十分だ。「パッと数字を見ることができるのは大変便利ですが、ダッシュボードを制作した人でないと本当の数字の意味に気づかないものです。そうではなく、そこに可視化された一つひとつの数字の意味や意義をしっかり理解してもらう必要があり、啓蒙活動や教育にも力を入れていきたいと考えています」と嶋本氏も意欲を示す。

この取り組みを補完する施策として、同社はMotionBoardを活用したダッシュボードによる強みを活かし、各種グラフや地図などを効果的に駆使したデータ表現のビジュアル化にも取り組んでいく計画だ。

「買取価格の再検討のほか売り場レイアウトの見直し、販促活動など、バイヤーや店長による打ち手がどのような業績向上に結びついたのか、一目瞭然で確認できるようにしたいのです。また、会員データベースと地図を連携させて、どの地域の店舗がお客様の再来店の拡大に成功しているのかといった、これまでなかった視点での“ 気づき”を促したいと考えています」と伊藤氏は語る。

さらにその先の展開を見据えているのは長谷川氏だ。「様々なデータの分析結果から一人ひとりが学ぶことはもちろん大切ですが、できればもう一歩踏み込みたいのです。例えば値入率を設定する際にシステムから何らかのアドバイスを示すなど、経験の浅いバイヤーに対して的確な判断を支援し、目利き力を高めていくための道具としてもBI ツールを活用できないかと考えています」と語る。

一連のBI ツールによって身近になったデータを最大限に活用することで、同社は現場から経営まで一体化したビジネス競争力のさらなる強化に臨んでいる。

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