導入事例

リコーインダストリー株式会社

間接部門のKAIZEN活動を支援する“ワンクリ”を全社的な“使える化(情報活用・分析)”基盤へ
海外含めた1,600名が利用し、10分間隔でサイネージの最新情報/KPIを確認
  • MotionBoard
  • 製造
Before
「特定製品に関する品質トレンドや着荷指摘率の変化を数年間にわたって知りたい」といった要求を事業部門から受けた場合、従来はさまざまなシステムからデータを寄せ集めて集計する必要があり、報告書にまとめるまでに1週間くらいの時間を要した
after
ワンクリには主要なシステムのデータが過去分も含めて統合されているため、集計は瞬時に終わる。特別なテクニックも必要としないため、質問者にダッシュボードやDatalizer for Webの画面の“見方”を教えてあげるだけで対応は完了する

導入背景

● 間接部門の業務改善によるムダの排除

● 生産現場と間接業務の見える化の統合

● 経営統合に伴うデータ利用者層の拡大

導入ポイント

● 初心者にも使える容易な操作性

● 高い開発生産性による高速開発の実現

● サーバーライセンス/グループライセンスによる大規模展開

導入効果

● 企業内データの見える化

● 利用者の業務と目的に応じた分析

● データ分析の個別対応負荷を軽減

導入製品

Dr.Sum / Dr.Sum Datalizer for Web / MotionBoard

Company Profile

設立   : 2012年12月19日
本社所在地: 神奈川県厚木市
事業内容 : 事務機器、光学機器、印刷機器、機械装置、およびこれらの消耗品などの製造・販売
リコーインダストリー株式会社
生産システム本部 情報システム開発室
副室長 馬場 保 氏(写真左)

生産システム本部 情報システム開発室
情報活用G スペシャリスト 梅津 晃憲 氏(写真中央)

生産システム本部 情報システム開発室
情報活用G シニアスペシャリスト 大鳥居 優子 氏(写真右)
リコーグループの国内マザー工場としてプリンターやコピー機の生産を手掛けるリコーインダストリー株式会社(以下、リコーインダストリー)が、2007年より取り組んできたのが間接部門の業務効率化を推進する「ワンクリ」と呼ばれるシステムだ。グループ4社による経営統合を経て企業規模が数倍に拡大した後もこの取り組みは継承され、現在のワンクリは社内の主要な業務システムと連携した全社的なデータ見える化・分析の基盤へと発展している。従来から活用してきたDr.Sumに加え、新たにMotionBoardを導入。裾野の広いユーザーの業務を支援するとともにマネジメント層や経営層におけるBIへの要求にも対応し、グローバルを一気通貫したデータ活用、マネジメントサイクルの短縮、そして先読み経営の実現を目指す。

1回目の入力+1クリックの簡単操作で必要なデータがすべて集まる

2013年4月にリコーユニテクノ株式会社、東北リコー株式会社、リコープリンティングシステムズ株式会社の3社、および株式会社リコー生産事業本部の一部の機能を統合して誕生したリコーインダストリー。主にプリンターやコピー機の生産を一貫して手がけるリコーグループの国内マザー工場の役割を担っている。

そうした中で同社が精力的に取り組んできたのが、間接業務の効率化を推進する「ワンクリ」と呼ばれるシステムだ。もともと2007年より旧リコーユニテクノを舞台に開発を進めてきたもので、「最初に入力されたデータ(1回目の入力データ)を全社で活用できるよう共有化することで重複入力を撤廃し、1クリックの簡単操作で誰でも必要な時に、必要な情報を集計・分析できる」をコンセプトとするものだ。

2008年初めに稼働を開始したワンクリは、Web画面から入力された各ラインの作業日報や基幹システムから抽出した生産管理、購買、経理、人事などのデータをはじめ、生産現場システムからの品質情報や日常管理データをDr.Sumに蓄積し、グラフ化や分析を行う仕組みを提供した。

これにより製品の品質や当月の生産進捗や予実績、ラインに配置した人員などの情報を生産現場と間接部門をまたいで共有化し、見える化が可能となった。例えばライン作業日報を入力すると、当日までの生産予実績(工数情報)やライン別能率差異、ライン別出勤率推移などのデータがワンクリのグラフに即座に反映される。また、そのグラフをクリックすることでより詳細な情報にドリルダウンできるので、課題解決へのスピードアップに貢献している。

同社 生産システム本部 情報システム開発室の副室長である馬場 保氏は、「旧リコーユニテクノにおけるこの取り組みと実績が高く評価され、ワンクリはリコーインダストリーにおける全社的なデータ活用のプラットフォームとして継承され、現在も適用範囲を拡大しています」と語る。

4社統合の先にワンクリが目指す先読み経営の実現

ワンクリの経緯を簡単に振り返ってきたが、実はその後、リコーインダストリーは大きな壁に直面した。先述したとおり同社は4社の経営統合によって規模を大きく拡大しており、旧リコーユニテクノ時代と比べて従業員数は5倍の約3,000人に増えている。事業所も埼玉県、神奈川県、宮城県、茨城県、静岡県と広域に分散し、さらにはタイ工場や中国工場をはじめとするグローバルな生産拠点の生産情報も集約し、ワンクリの展開を検討しなければならなくなった。

「そもそも旧各社ごとに導入している業務システムが異なります。バラバラのデータソースからどうやってデータを収集し、ワンクリに統合するのか。全社のシステムを標準化することから始めなければ何も進められないのが一番大変なことでした」と馬場氏は振り返る。

数年をかけてこの課題解決に注力しつつ、同社はこれからのワンクリが目指すべき新たなコンセプトを打ち出した。そこには大きく次の3つのポイントがある。

まずは「グローバルを一気通貫したデータ活用」だ。旧各社ごとではなくグローバルな情報を集約し、可視化する。これにより経営トップから現場まで、同じデータソースに基づいて議論できるようにする。また、グローバルを横串で貫いた数字をベースとした意思決定を行えるようにする。

次に「マネジメントサイクルの短縮」だ。経営判断・業務に必要な情報を集約し、想定外の事象を迅速に把握し、素早い対応を打てるようにする。

そして最終的に目指すのが「先読み経営の実現」だ。分析しただけで終わっては意味がなく、その結果を必ず何らかのアクションにつなげなくてはならない。データから未来を予測し、先手を打てるようにするのだ。

生産現場と間接部門のみならずマネージャー層や経営層のニーズにも応える

新たなワンクリで見える化を目指すKPI(重要評価指標)の対象範囲も、従来からの業務効率化や品質のみならず、在庫管理、能力、環境、メンテナンスへと大幅に計画範囲を拡大した。また、これに合わせてワンクリのサービスを提供するユーザー層も生産現場と間接部門から、マネジメント層や経営層にまで広げていくことにし、更に国内ユーザーだけでなく海外ユーザーからのアクセスもあるため、ボードも多言語で用意する。

同社 生産システム本部 情報システム開発室情報活用Gのシニアスペシャリストである大鳥居 優子氏は、「経営統合を機にワンクリを、間接部門のカイゼンを目的とした見える化の仕組みから一歩進めた、全社的な“使える化”(情報活用・分析)の基盤に発展させることを目標に活動を継続しています」と語る。もちろん、「1クリックの簡単操作で誰でも必要な時に、必要な情報を集計・分析できる」というワンクリの大原則はしっかり守ったうえでのことだ。

ただそうなると、従来からのDr.Sumだけで多様なデータ活用の要求を満たすには不十分だ。裾野の広いユーザーがそれぞれの業務でより簡単に利用することができ、なおかつ「いま何が起きているかを迅速に把握したい」というマネジメント層のニーズ、「KPIの推移を定型的なレイアウトで毎日報告してほしい」という経営層のニーズにも応えていく必要がある。

そこで2014年、同社が新たに導入したのがMotionBoardだ。

「経営統合前の旧個社が使っていたBI ツールも含めて複数の製品を比較検討しましたが、開発生産性が一番高く、多様なデータソースとの相性もよいと感じたのがMotionBoardでした。また、BI のサービスを全社に展開するミッションは必須の条件でしたので、ユーザー数の制限を受けないサーバーライセンスやグループライセンスで運用できることは大きな決め手となりました」と馬場氏は語る。

実際のところ、MotionBoardの使用感はどうだったのだろうか。ダッシュボード開発を主導している大鳥居氏は、「個人的にダッシュボードの見栄えや使い勝手などのデザインには徹底的にこだわりたいのですが、あまり難しく構える必要はなく、気軽に試行錯誤できるのがいいですね。求めている画面はこれじゃない、失敗したと思っても素早くリカバリーできるのがMotionBoardの一番の魅力です。また、失敗すればするほど技術ノウハウが蓄積されていきますので、失敗も宝と言えます」と評価する。

次のステップは価値創造の仕組み化とBI/ビッグデータを活用した知的サービス

新たにMotionBoardを加えたワンクリは、グループポータルのトップメニューから機能ごとに関連するダッシュボードを配置して呼び出す形で運用されている。例えば、人事に関しては「人員構成表」や「スキルマップ」、生産に関しては「生産進捗」や「出荷進捗」、品質に関しては「グローバル品質(着荷不良分析)」、業績に関しては「全社経費予算実績」といったダッシュボードが公開されている。

また、より詳細なデータの見える化や分析を必要とするパワーユーザーに向けては、同じポータルのトップ画面からDr.Sum Datalizer for Webを直接呼び出せるボタンを用意している。

そして、「新しいワンクリについても、利用は着実に浸透しています」と語るのは、同社 生産システム本部 情報システム開発室 情報活用Gのスペシャリストである梅津 晃憲氏だ。

「ワンクリの利用には、ユーザー申請を受けて専用のID を発行する体制をとっており、リコーインダストリー及びリコー海外工場のスタッフなど、グループ内の国内・海外の生産機能の業務部門ユーザーから約1,600名がワンクリを利用しています。基本的に生産に関連する情報にアクセス制限はかけていませんが、従業員の個人情報を大量に扱う人事ダッシュボードについては人事部門限定、あるいは各部門の一定以上の役職者以上のみといったアクセス権限を設定しています。一方、計画どおりに各製品の生産や出荷が行われているかといった進捗状況については、生産機能に関連する業務部門は見て・知るべきKPIですので、オフィスの大型ディスプレイにダッシュボードをサイネージ表示し、10分間隔で最新情報に更新することでカイゼンに向けたモチベーションを高めています」と梅津氏は説明する。

こうした取り組みにより、「ユーザーそれぞれの業務や役職における、データ活用/分析に対する意識が着実に高まってきていると実感しています」と馬場氏も手応えを示す。

加えて新しいワンクリは、情報システム開発室のメンバーの作業負荷軽減にも大きく貢献している。

「例えば、『特定製品に関する品質トレンドや着荷指摘率の変化を数年間にわたって知りたい』といった要求を事業部門から受けた場合、従来はさまざまなシステムからデータを寄せ集めて集計を行う必要があり、報告書を仕上げるまでに1週間くらいの時間を要することがありました。これに対して現在のワンクリには主要なシステムのデータが過去分も含めて統合されているため、集計は瞬時に終わります。特別な操作テクニックも必要としないので、質問者にMotionBoardやDatalizer の“画面の見方”を教えてあげるだけでサポートは完了します」と大鳥居氏は語る。

ユニークな取り組みとしては、“隠しメニュー”で情報システム開発室専用のポータルも用意しており、サーバールームの温湿度を常時モニタリングするダッシュボードや、メンバーが抱えている開発案件を管理するダッシュボードなども用意して、システム部門の中で今どんな開発案件を抱えていて、どんな進捗状況なのかを俯瞰して見えるようにしている。

もっとも、新しいワンクリを基盤としたデータの見える化・分析への取り組みは、まだ道半ばだ。「2020年までのロードマップを策定しているのですが、その全体構想の中でようやく『予実管理情報や異常正常の見える化』『定量的な根拠に基づく効果的なアクションへの支援』を達成できた段階で、現在は『経営レベルの機能的・合理的な意思決定の支援』を進めているところです」と馬場氏は語る。そして、その先に見据えているのが「価値創造の仕組み化」や「BI /ビッグデータを活用した知的サービス」といったテーマだ。

「技術のコラボレーションは日々進化する最新技術を活用すれば比較的簡単にできるが、人と人とのコラボレーションを上手く進めるのは難しいテーマです。そのためにもチャレンジ精神はとても重要で、業務部門と一緒に課題解決に取り組み、一緒に苦労する。この繰り返しで信頼関係が生まれていくはずです。ものづくりの業界が生き残るためには変化・チャレンジが必要です。では変化・チャレンジとは?常にカイゼンを止めないことです」

「誰もがデータを効果的に使えるようにならなければ意味がありません」と馬場氏、大鳥居氏、梅津氏は共に意を新たに語る。Dr.Sum、Datalizer for Web、そしてMotionBoard からなる一連のBI 基盤を最大限に活用して無駄な作業を廃し、イノベーティブな時間を増やしていくことで、新規事業や強化成長領域事業に向けて人材をシフトできるような環境を側面から支援する考えだ。

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