導入事例

株式会社りそな銀行

銀行業界における構造変革の時代を、営業力強化で勝ち残る

  • MotionBoard
  • 金融・保険
  • クラウド
Before
日々の報告書や会議用資料など書類のほとんどがExcelで作られていた。手作業でデータを転記して集計・加工を行い、体裁を整え、印刷して上司の印鑑をもらう。さらにそれを複数部数コピーして会議の出席者に配布したり、本部に送付したり、煩雑な手間がかかっていた。
after
会議の場で、例えば「この商談はその後どうなった?」と聞かれれば、タップするだけで現在の進捗状況を表示することができる。Excelベースの報告書では困難だった機動的なデータ活用の世界を実現できたことは、業務効率化や意思決定のスピードアップといった観点からも飛躍的な前進だ。

導入背景

● 法人ビジネスにおける収益拡大を実現するため営業力強化が必須

● 営業業務を効率化するSFA / CRMの基盤としてSalesforceを導入

導入ポイント

● 日頃から数字に慣れた銀行ならではの表形式の可視化に最適

● ウイングアークが持つ営業改革ダッシュボードMAPPAのノウハウ

● 渉外担当者のiPadにダッシュボードを提供できる

● ダッシュボードの表示項目からタップでドリルダウンが可能

導入効果

● 顧客ごとの商談の進捗状況(パイプライン)を常に把握

● 会議でも報告や情報共有のツールとして活用

導入製品

MotionBoard Cloud for Salesforce

Company Profile

設立   : 1918年5月15日
本社所在地 : 大阪市中央区
事業内容 : 銀行・信託業務
株式会社りそな銀行

コーポレートビジネス部 営業力強化グループ グループリーダー
鶴見 亮祐 氏(右)

コーポレートビジネス部 営業力強化グループ 担当マネージャー
大滝 貴光 氏(左)

りそな銀行は、「リテールNo.1」を掲げて独自のオムニ・チャネル戦略を推進し、法人ビジネスにおける収益拡大を目指している。その大前提となるのが営業力の強化だ。一人ひとりの渉外担当者が顧客対応により多くの時間を充てられるようにすることで訪問件数を増やし、密度の濃い商談を実践していく体制を築くことが急務だ。Salesforceを基盤としたSFA / CRMとともに、そこで管理される営業データをリアルタイムに可視化するBI ツールとしてMotionBoard Cloudを導入し、営業活動の効率化と渉外担当者の意識改革を促していく。

10年先を見据えて今から営業力を高める

日本の銀行の市場規模は約22兆円に達しており、昔も今もあらゆる産業の活動と発展を支える屋台骨だ。しかし、そんな銀行業界にも大きな構造変化の波が押し寄せている。少子高齢化に伴う人口構成の変化や成熟社会の進展、マイナス金利の継続、FinTech に象徴されるデジタルテクノロジーを活用した金融ビジネスのイノベーション、ディスラプター(創造的破壊者)と呼ばれる異業種企業の参入による新たな競争の激化などにより、銀行はビジネスモデルの変革を迫られている。

今後、日本の銀行はどうやってこの変革に対応していくのか。大まかに俯瞰すると、3大メガバンクは増加する海外需要に対して積極性を見せており、業務提携やM&Aを推進している。一方で地方銀行は、同じ地方銀行同士の統合等の動きが見られ、地元有力企業のメインバンクとして競争力を強化しようとしている。

そうした中にあって異彩を放っているのが、りそな銀行だ。同行 コーポレートビジネス部 営業力強化グループのグループリーダーである鶴見 亮祐氏は、「我々はメガバンクでもなく地方銀行でもないポジションに立っています。そこに妙味があると考えています」と語る。

具体的にどんな戦略を立てているのだろうか。現在りそな銀行は2017年度からの中期経営計画で「リテールNo.1」を目標として掲げ、「オムニ・チャネル」の進化(お客さま層の拡大、お客さま接点の拡充、マーケティングの高度化)、26,000名の「オムニ・アドバイザー」の育成(全員ソリューション体制、ソリューションの多様化)、「オムニ・リージョナル」体制の確立(オープンプラットフォームの拡充、スマートストアの本格展開)を基本戦略と定めている。そこで狙いとしているのが、法人ビジネスによる収益拡大である。

例えば、りそな銀行の強みとして挙げられるのが創業企業に対するマーケティング力だ。日本国内では毎年約10万社の企業が創業していると言われるが、そのうちの実に1万社近い企業がりそな銀行と取引している。こうした独自の“目利き力”を活かしつつ、ヘルスケアや環境、エネルギーなど成長業種への取り組みを強化。資産形成サポートビジネス、決済ビジネス、承継ビジネス、中小企業向けビジネス、国際ビジネス、ローンビジネスなどに注力したクロスセルでトップラインを高めていくとする。

そして当然のことながら、この取り組みにはスピードが問われることになる。「りそな銀行が10年後にも存在しているためにも、今のうちから営業力を高めておかなければなりません。足場を固めるために残された時間はわずかです」と鶴見氏は気を引き締める。

業務改革の出発点は無駄な作業をなくし顧客と接する機会を増やす

営業力強化の基本は顧客と接する機会を増やすこと、すなわち訪問件数を増やすことにある。どの銀行にとってもこの方程式は同じだ。しかし、働き方改革が叫ばれる今日、かつてのように長時間の残業もいとわないという渉外担当者の努力に依存し、これを達成しようとするのは間違いだ。通常の勤務時間の中でどれだけ多くの顧客を訪問することができるか、どこまで時間を有効に活用できるかが大きなポイントとなる。

りそな銀行の場合はどうだろうか。同行コーポレートビジネス部 営業力強化グループの担当マネージャーである大滝 貴光氏は、「移動時間も必要なことから、1人の渉外担当者が1日に訪問できるお客さまの件数は平均3件程度にとどまっています」と語る。当然のことながら、この現状は渉外担当者の能力を最大限に活かしきれているとは言えない。1日の勤務時間の中で渉外担当者が顧客対応に使う時間は30%以下に過ぎないからだ。「少なくとも40~50%の時間をお客さま対応に充てられるようにすることで、訪問件数を4件以上に増やしたいというのが現在の目標です」と大滝氏は語る。

そもそもなぜ顧客対応の時間を30%しか確保できないのか。残りの70%の時間は何をしているかというと、そのほとんどが書類作成に追われているのが実情だという。もちろん提案書や見積書など顧客対応のために欠かせない書類作成もあるが、日々の報告書や会議用資料などの作成にもかなりの時間をとられている。「これらの書類のほとんどがExcelで作られています。手作業でデータを転記して集計・加工を行い、体裁を整え、印刷して上司の印鑑をもらう。さらにそれを複数部数コピーして会議の出席者に配布したり、本部に送付したり、とにかく手間がかかっていました」と大滝氏は話す。

そこでこの課題を解決すべく、導入に踏み切ったのがSalesforceだ。「業務改革の出発点は無駄な作業をなくすことにあり、法人営業のワークフローを抜本的に見直すためのSFA/CRMツールとしてSalesforceを活用することにしました。同時にこれまで支店ごとに書式がバラバラだった報告書を廃止し、Salesforceに入力された訪問データなどから自動的に報告を行える仕組みを導入しました」と鶴見氏は語る。

SalesforceをベースとしたSFA/CRMは、2017年8月頃から行ってきた一部支店でのPoC(概念実証)を経て、2018年5月からは約2,200人の行員(渉外担当者、融資担当管理職、本部職員)を対象とした本番運用を開始。定着が進むに従い、渉外担当者が顧客対応のために専念できる時間を大きく増やすことが期待されている。

MotionBoard Cloudでモチベーションを高める

ただ、訪問件数を増やすことはあくまでも基本的な施策であり、本当の意味で営業力を高めていくには、顧客が抱えている課題やニーズを理解した上で、より密度の濃い商談を実施できるようにする必要がある。そうした一人ひとりの渉外担当者の育成を図り、モチベーションを高めていくためのツールとして、りそな銀行が着目したのがBIツールだ。

具体的にはSalesforceで管理されている営業データをiPad上で見える化することで、渉外担当者がそれぞれ担当している顧客ごとの商談の進捗状況(パイプライン)を常に把握し、自分なりの戦略を立てながら行動を起こせるようにしたいと考えた。

この目的から導入したのがウイングアークのMotionBoard Cloudだ。「当初はSalesforceが提供しているツールを導入することも考えたのですが、普段から数字に慣れた渉外担当者にとっては派手なグラフやチャートよりも、むしろ表形式で表示してくれた方がしっくりくるのです。こうした銀行ならではの要件にあった可視化を実現するダッシュボードとして、MotionBoard Cloudの方が業務になじみやすいと考えました」と鶴見氏は語る。

さらに、りそな銀行の心を大きく動かしたのが、ウイングアーク自身によるMotionBoardの社内活用事例だ。ウイングアークが営業の実務で活用している「MAPPA(マッパ) 」と呼ばれるダッシュボードがそれである。一人ひとりの営業担当者に対して「現状と目標のギャップを可視化して状況理解と目的達成を意識させる」ことを狙いとしたもので、全体の売上数字の推移、営業案件の受注および失注をリアルタイムに把握し、状況確認やリカバリー指示を即座に実行することができる。また、活動件数やパイプラインの推移、昨年度実績との比較などから、“打つべき手”と“新たな気付き”を得ることができるのが特徴だ。

「同様の目的と機能を持ったダッシュボードを、当行の渉外担当者にも提供したいと思いました」と鶴見氏は語る。

年数回、定期的に新しいダッシュボードをリリース

りそな銀行は、MAPPAからヒントを得て開発したダッシュボードをMotionBoard Cloud上に展開し、Salesforceと同時に2018年5月より本番運用を開始した。これらのダッシュボードは各渉外担当者の日々の活動で利用されるほか、案件会議や業務推進会議などの場面でも報告や情報共有のツールとして積極的に活用している。

「MotionBoard Cloudのダッシュボードでありがたいのは、気になった項目について、その場からドリルダウンできることです。例えば『この商談はその後どうなった?』と聞かれれば、タップするだけで現在の進捗を表示することができます。Excelベースの報告書では困難だった機動的なデータ活用の世界を実現できたことは、業務効率化や意思決定のスピードアップといった観点からも飛躍的な前進です」と大滝氏は語る。

もっとも、りそな銀行はこれらの成果に満足しているわけではない。SalesforceをベースとしたSFA CRMの仕組みにしても、MotionBoard Cloudのダッシュボードにしても展開してからまだ日が浅く、営業活動をはじめとする様々な業務への定着はこれからの課題だ。従来の支店ごとの報告書の書式にこだわりや愛着をもつ渉外担当者や管理職から、現状のダッシュボードについて否定的な意見がでる可能性もある。

そうした中で鶴見氏は、「今あるダッシュボードはプロトタイプにすぎません。仮に不満の声が寄せられたとしても、表示項目やレイアウトなどを簡単にカスタマイズできるのがMotionBoard Cloudの良いところです」とし、「今後も、年数回、定期的に新しいダッシュボードをリリースしていきたいと考えています」と語る。

これまでの銀行の企業文化では考えられなかったアジャイル手法を実践することで、りそな銀行は組織全体に革新を起こそうとしている。

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