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BCP(事業継続計画)とは?意味や策定手順、取り組み事例を紹介!

業務効率化作成日:2022.09.25 更新日:2024.02.16

自然災害や人的災害、感染症の流行、従業員による不祥事など、企業の存続を脅かすリスクは数多く存在します。
近年では、新型コロナウイルス感染症の流行により、事業活動に大きな影響を受けた企業も少なくないことでしょう。
こうした非常事態を乗り切るための取り組みとして、「BCP」の重要性に注目する企業が増えつつあります。

しかし一方で、
「BCPとはどういう意味?」
「BCPに取り組むメリットは?」
「どうやってBCPを策定すればいいの?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、BCPの基礎知識や企業がBCPに取り組むメリット、BCP策定の手順を解説します。
BCP強化に役立つソリューションや事例もご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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BCPの基礎知識

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まずは基礎知識として、BCPの意味や重要視されている背景、国内企業におけるBCP策定状況を確認していきましょう。

BCPとは?

BCPとは、企業が緊急事態に遭遇した際に損害を最小限に抑え、事業の継続もしくは早期復旧を目指すための計画を指し、「Business Continuity Plan(事業継続計画)」の頭文字を取った用語です。

BCPにおける緊急事態には、以下のような状況が含まれています。

  • 自然災害(地震・台風・水害など)
  • 人的災害(戦争・紛争・テロなど)
  • 感染症の流行(新型インフルエンザ・新型コロナウイルスなど)
  • 事故(システム障害・従業員による不祥事など)
  • その他、事業の継続を脅かす事態

上記に挙げたような緊急事態下では、平常時とは異なり「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」といった経営資源の利用に制約が発生してしまいます。

そうしたなかで事業を継続したり早期復旧するためには、平常時から考えうるリスクの排除と具体的な行動戦略を立てておくことが大切であり、BCP策定が重要視されているのです。

BCP対策が重要視される背景

BCPは、欧米では1970年代から、日本では1980年代から議論が行われてきたとされています。

とくに日本においては、2011年に発生した東日本大震災をきっかけにBCPへの関心が高まりました。

東日本大震災では、国内の多くの企業・組織が深刻な被害を受け、その影響はサプライチェーンを介して国内のみならず海外の企業にも及びました。

さらに2020年、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行したことで、事業構造や活動環境が変化した企業は少なくないことでしょう。

こうした背景から、企業におけるBCPの重要性は一層高まっており、内閣府は「事業継続ガイドライン」を公表するなどBCP策定を企業に対して強く推奨しています。

国内企業におけるBCP策定状況

次に、国内企業におけるBCP策定状況について確認していきましょう。

内閣府が公表している「企業の事業継続及び防災に関する実態調査」では、2021年度(令和3年度)時点での企業のBCP策定状況を報告しています。
この調査によれば、BCPを「策定済み」と回答したのは、大企業で70.8%、中堅企業で40.2%であり、大企業を中心にBCPの策定が進んできている状況が示されています。
(参考:企業の事業継続及び防災に関する実態調査結果| 内閣府

また、中小企業庁は「2022年版中小企業白書・小規模企業白書」のなかで、中小企業・小規模事業者のBCP策定状況について報告しています。
この調査によると、2021年(令和3年)の時点でBCPを「策定している」と回答した中小企業は15%に留まっており、先述の大企業・中堅企業と比べてBCP策定が進んでいないことがわかります。
(参考:2022年版中小企業白書・小規模企業白書|中小企業庁

BCP策定のメリット

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次に、企業がBCPを策定するメリットについて確認していきましょう。

事業縮小・倒産リスクの軽減

BCP策定の目的であり最大のメリットとも言えるのが、事業縮小・倒産リスクの軽減です。

緊急事態が発生した際、事業活動の停止期間が長くなるほど損失は大きくなります。

事業再開の目途が立ったときには、事業規模を縮小せざるを得ない状況に陥ってしまうリスクが高くなるほか、最悪の場合には倒産してしまうケースも否定できません。

また、競合他社には緊急事態の影響が及ばなかった場合、もしくは自社よりも事業の早期復旧に成功した場合、自社の顧客が競合他社へと流出してしまうリスクも高まるでしょう。

反対に、BCPを策定して緊急事態でも事業を継続・早期復旧することができれば、事業縮小や倒産リスクを軽減することができ、市場における優位性を高めることにもつながります。

従業員が安心感・満足度向上

BCPを策定することは、従業員が安心して働ける環境づくりにもなります。

緊急事態の被害により事業が倒産した場合、従業員は働く場所と収入源を失うことになります。

そのため、勤め先の企業でBCPが策定されていない場合、従業員は不安や不信感を募らせてしまう恐れがあります。結果として、優秀な人材が流出してしまったり、就職・転職活動中の人材から敬遠されてしまう可能性が高まってしまうでしょう。

BCPを策定して事業継続性の強化に取り組むことで、従業員が安心して働ける環境・体制が整い、従業員の満足度向上や人材の獲得・定着の面でも好影響が期待できます。

社会的信用の獲得

BCPに積極的に取り組むことは、社会的信用の獲得にもつながります。

当然ですが、事業継続性に不安がある企業に対して、積極的に出資や取引を行いたいと考える投資家や金融機関、企業はありません。

一方、BCPを策定して事業継続性の強化に努めることで、ステークホルダーからの信頼性が増し、資金調達や新規取引先の開拓にも有利に働くことでしょう。

BCP策定の基本的な手順

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次に、中小企業庁が公開している「中小企業BCP策定運用指針(第2版)」を参考に、BCP策定の手順をご紹介します。

大まかな流れとポイントは以下の通りです。

  1. 基本方針の立案
    何のためにBCPを策定するのか決める
  2. 重要商品(商品・サービス)の検討
    緊急時にリソースが限られた際の優先度を明確にする
  3. 被害状況の確認
    想定できる被害状況をシミュレーションする
  4. 事前対策の実施
    これまでのステップを踏まえて事前対策を実施する
  5. 緊急時の体制の整備
    BCP発動時の従業員の役割分担、指揮系統を決めておく

では、各ステップについて確認していきましょう。
(参考:中小企業BCP策定運用指針(第2版)

1.基本方針の立案

まずは、BCPの基本方針を立案します。

BCP策定の基本方針は、経営方針の延長線上に位置するものです。

たとえば、

  • 経営の安定性を高めるため
  • 従業員や顧客の人命を守るため
  • 取引先への供給責任を果たして信頼性を高めるため
  • 従業員の雇用を守るため
  • 地域経済の活力を守るため

など、「何のためにBCPを策定するのか」という点を明確にしましょう。

2.重要商品・サービスの検討

緊急事態下では、人員や生産設備などの経営資源が限られてしまうケースがあります。

業務停止による損失を最小限に留めるために、限られた経営資源で優先的に製造や販売を復旧する商品・サービスを決定する必要があります。

自社の売上に大きな影響がある、あるいは顧客への影響度が大きいなど、自社にとって重要な商品・サービスがどれなのかを検討・決定しましょう。

3.被害状況の確認

企業が想定するべき緊急事態には、自然災害や人的災害、感染症流行によるパンデミックなど、さまざまな状況があります。

このような緊急事態が発生した場合に、自社にとってどのような被害・影響が起こり得るのかをシミュレーションしておくことが重要です。

さまざまな緊急事態をリストアップした上で、自社の経営資源や社会インフラにどのような影響が発生するのかを具体的に確認していきましょう。

4.事前対策の実施

ステップ3で想定した被害状況に実際に直面した場合でも、ステップ2で決定した重要商品・サービスを提供し続ける必要があります。

重要商品・サービスの提供に必要な経営資源を確保するために、事前対策を実施しましょう。

たとえば、商品・サービス提供に必要な資源の代替策を用意したり、重要な情報資産をよりセキュアな保管方法に変更したり、といった対策が考えられます。

5.緊急時の体制の整備

実際に緊急事態が発生した場合に適切な行動・判断を行えるような体制を整備します。

緊急事態時の意思決定を行う統括責任者を決定し、統括責任者が不在もしくは被災してしまった場合の代理責任者も決定します。

さらに、統括責任者の指揮のもと「誰が・何の対応を行うのか」という役割を整理し、緊急事態発生時の体制を整備しましょう。

文書の電子化がBCP強化につながる理由

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ペーパーレス化やDXの重要性が高まっている昨今、文書の電子化に着手する企業が増えつつあります。

そして、文書を電子化することは、BCP対策の面でも有効です。

次は、文書の電子化がBCP強化に役立つ理由をご紹介します。

災害時の業務停滞防止

文書を電子化することにより、在宅勤務などのテレワークを推進することが可能です。

紙の文書を使った従来の業務では、書面の印刷や手渡しによる回覧、取引先への郵送手続き、受領した文書の仕分け保管など、オフィスにいなければ行えない作業が少なくありません。

そのため、非常事態により出社が困難な状況に陥った際、業務が停止してしまう可能性が高まってしまうでしょう。

一方、文書の電子化が進んでいれば、ノートPCなどのモバイルデバイス上で作業を行うことができるため、テレワークを導入・推進することができます。

テレワークに移行できる体制が整っていれば、出社が困難な非常事態下でも業務の停滞を防ぐことができるでしょう。

情報資産の損失リスク軽減

文書の電子化は、情報資産の損失リスク軽減にも効果を発揮します。

紙ベースで文書を管理している場合、地震や水害などの自然災害によって文書が破損したり紛失したりする可能性が否定できません。

文書が破損・紛失することは企業にとって重要な情報資産の損失であり、場合によっては機密情報の流出にもつながります。

電子化された文書であれば、物理的に紛失・破損してしまう恐れがなく、万が一システム障害などが発生した際もバックアップデータから復元することができます。

また、文書の重要度によって閲覧権限を設定したり、システムで証跡を記録することもできるため、セキュリティ・ガバナンスの強化という面でも効果的です。

文書の電子化を実現するソリューションは?

次は、文書の電子化を実現する具体的なソリューションとして、ウイングアーク1stが提供する電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent(インボイスエージェント)」をご紹介します。

「invoiceAgent」は電子帳簿保存法の法的要件を満たすソフトウェアに与えられるJIIMA認証を取得しており、法令に準拠しつつ文書を電子化することが可能です。

紙文書のデータ化なら「invoiceAgent AI OCR」

「invoiceAgent AI OCR」は、紙文書のデータ化を実現するソリューションです。

高精度な5つのOCR(光学的文字認識)エンジンに加え、文書の傾きや歪みの自動補正機能により、紙で保存していた文書や取引先から受領する文書を高い認識率でデータ化することが可能です。

活字だけでなく手書き文字をデータ化することができるため、目視確認やシステム入力の作業負担を削減することが可能です。

文書データの一元管理なら「invoiceAgent 文書管理」

「invoiceAgent 文書管理」は、文書データの一元管理を実現するソリューションです。

「invoiceAgent AI OCR」や他システムで出力したり新規作成した文書データを、まとめて「invoiceAgent 文書管理」内に取り込んで自動で仕分け保存を行うことが可能です。

また、「invoiceAgent 文書管理」は複雑な条件での検索に対応しているため、保存している文書データを必要に応じて速やかに参照することができます。

さらに、文書の保存期間に応じた自動削除機能や証跡管理機能により、文書管理を大幅に効率化することが可能です。

文書データの送受信なら「invoiceAgent 電子取引」

「invoiceAgent 電子取引」は、企業間取引における文書データの送受信を実現するソリューションです。

PDF化した文書データを専用のWebサイトにアップロードするだけで、取引先との間で相互に帳票を送受信することが可能です。

既存の帳票フォーマットを変更する必要がなく、書面でのやり取りを希望する取引先に対しては郵送サービスを利用することもできるため、現場と取引先の負担を抑えつつスムーズに導入することが可能です。

契約手続きの電子化なら「invoiceAgent 電子契約」

「invoiceAgent 電子契約」は、契約業務の電子化を実現する電子契約ソリューションです。

導入企業・取引先の社内確認や署名をクラウド上で完結することができ、煩雑な契約手続きの効率化・迅速化を実現します。

また、ウイングアーク1stが立会人となって電子署名とタイムスタンプを付与することで、改ざんなどの不正リスクを低減し、書面の契約書と同等の証拠力を担保します。

業務継続性の観点からWeb配信を導入した事例

伊藤忠商事株式会社は、コロナ禍における社員・取引先の安全・安心および業務継続性の観点から、「invoiceAgent」を活用して請求書をWeb配信する仕組みを構築しています。

「invoiceAgent」の導入以前、同社では請求書を紙ベースで運用しており、約600課ある営業部署の担当者がそれぞれ請求関連業務を行っていました。

しかし、2020年春に新型コロナウイルス感染症の流行により在宅勤務へと移行するなか、紙の請求業務がネックとなり社員が出社せざるを得ない状況が発生。

そこで同社は、請求書などの社外向け帳票をWeb配信する仕組みを構築するため、「invoiceAgent」の導入を決定しました。

まずは納品書や支払通知書、検収書といった請求書付属書類からスタートし、導入決定から半年後には請求書をWeb配信する仕組みを構築。

「invoiceAgent」の導入により、在宅勤務でも請求業務を行える体制の構築に成功しています。

▼事例詳細はこちら
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まとめ

今回は、BCPの意味や必要性、策定手順のほか、文書の電子化がBCP強化に役立つ理由や事例をご紹介しました。

予測できない緊急事態への備えはあらゆる企業にとって重要であり、緊急事態下で事業を継続・早期復旧するためにもBCPの策定が必要です。

今回ご紹介した情報も参考に、BCP策定および事業継続性強化の取り組みとして、文書の電子化を検討してみてはいかがでしょうか。

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