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請求書に印鑑は必要?押印する理由や方法、電子請求書のメリットも紹介!

帳票の基礎知識作成日:2022.09.25 更新日:2024.02.09

企業が扱う代表的な文書に請求書がありますが、以下のような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「請求書に印鑑はいる?いらない?」
「請求書の押印で使用する印鑑の種類は?」
「請求書に押印する際のマナーや注意点はある?」

この記事では、請求書における印鑑の要否や、使用する印鑑の種類、押印のマナーや注意点を解説します。
さらに、紙とハンコによる請求業務を効率化する方法や事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

請求書を電子化するには?Q&Aでわかりやすく解説

・請求書の電子化にはどのような法対応が必要?
・電子化した請求書の保管はどうすればいい?​
・どのように電子化を進めればいいのかわからない…
そんな請求書の電子化に関する疑問に、Q&A形式でわかりやすく​お答えします。​

請求書に印鑑は必要?

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そもそも、請求書に印鑑を押すことは必須なのでしょうか。
請求書に印鑑は必要かどうか、法的な必要性も含めて確認していきましょう。

請求書への押印は義務ではない

結論から言うと、請求書への押印は法的に義務付けられているものではありません

そもそも、請求行為は必ずしも書面で行う必要はなく、双方の合意さえあれば口頭での請求も可能です。

それでも多くの企業が請求書を発行しているのは、トラブルの防止や取引の円滑化を図る目的があるためです。

つまり、たとえ請求書に印鑑を押さなかったとしても、請求書の効力が損なわれることはありません。

また、2023年10月から始まる適格請求書等保存方式(通称:インボイス制度)においても、適格請求書(インボイス)の要件として押印の有無は含まれていません。

請求書に印鑑を押す理由

法的には請求書に印鑑を押す必要がないことがわかりましたが、なぜ請求書への押印が一般的に行われているのでしょうか。

これには、大きく以下3つの理由が存在します。

  • 文書の信頼性・証拠力の向上
  • 不正・トラブルの防止
  • 長年の商習慣として

次は、請求書に印鑑を押す理由について詳しく見ていきましょう。

文書の信頼性・証拠力の向上

請求書に押印する目的のひとつが、文書の信頼性向上です。

請求書に印鑑が押されていることで、その企業によって発行された文書であるという信頼性が高まります。

さらに、もしも請求内容について訴訟に発展した場合、押印の有無で証拠力に違いが生じるケースもあります。

民事訴訟法の第228条には、以下のように記されています。

第二百二十八条 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
(略)
4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
引用:民事訴訟法|e-GOV法令検索

つまり、請求書に押印があることによって「本人(企業)によって正しく発行された請求書である」と推定され、取引の事実に関する客観的な証拠となります。

不正・トラブルの防止

請求書に印鑑を押すことは、改ざんや複製などの不正・トラブル防止にもつながります。

押印されていない請求書に比べ、押印されている請求書のほうが改ざんや複製などの不正が困難です。

また、押印された文書の偽造は、押印されていない文書の偽造よりも厳しく罰せられます。

そのため、請求書に印鑑を押すことで不正行為の抑止にも効果が期待できるのです。

長年の商習慣として

請求書への押印は日本の商習慣として広く普及しています。

法的義務がないとは言え、請求書への押印を社内ルールとして定めている企業は多く、押印されていない請求書は受理しないという企業も存在します。

取引先によって押印の有無を使い分けると請求業務が煩雑になってしまうため、基本的には請求書は印鑑を押すものと考えておくとよいでしょう。

請求書に押印する印鑑の種類

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企業では、場面に応じてさまざまな印鑑が使い分けられています。

  • 銀行印
  • 丸印(代表者印)
  • 角印(社印)
  • 三文判

どの種類の印鑑でも請求書への押印に使用することはできますが、基本的には「角印」を使用するのが好ましいとされています。「角印」での押印に加えて、担当者印として「三文判」を押印する場合もあります。

また、個人事業主やフリーランスの場合には「三文判」のみを使用するケースもあります。

それぞれの印鑑の意味や主な用途を確認しておきましょう。

銀行印

銀行印は、口座開設の際などに金融機関に届け出た印鑑のことで、金銭の出納や手形・小切手の発行など、銀行との取引の際に使用します。

後述する丸印と同様、銀行印は企業にとって重要性が高い印鑑であり、日常的に発行される請求書などの文書には原則として銀行印を使用しません

丸印

丸印は代表者印とも呼ばれ、法人設立の際に法務局に登録した実印のことを指します。

丸印を使用するシーンとしては、官公庁に提出する書類や重要な契約書などへの押印です。

銀行印と同様、基本的には請求書に丸印を使用することはありません

角印

角印は、会社名が入った角型の印鑑であり、印鑑登録されていない「認印」に該当します。

請求書の押印には角印を使用するのが一般的で、請求書以外にも見積書や注文書などの押印にも使われます。

三文判

三文判とは、文房具店などで安価に購入できる名入りの印鑑のことで、朱肉を必要としないスタンプ印も三文判の一種です。

個人事業主やフリーランスの場合、角印を用意していないことも多いため、角印の代わりに三文判で押印するケースがよくあります

請求書への押印方法や注意点

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請求書に印鑑を押す際には、覚えておきたいマナー・注意点がいくつか存在します。

次は、請求書への押印マナー・注意点として、以下の3つをご紹介します。

  • 印鑑を押す位置
  • 訂正印は使用しない
  • 印影をはっきり残す

印鑑を押す位置

請求書の押印位置に厳密な決まりはありませんが、一般的なルールが存在します。

使用している請求書フォーマットに押印欄がある場合は、そこに押印しましょう。

請求書に押印欄がない場合には、社名が記載されている箇所の右側に押印するのが一般的です。

この場合、社名と印影が一部重なるように押印することで、容易に複製することができなくなり、請求書の非改ざん性を高めることができます。

訂正印は使用しない

請求書発行で意識したいマナーとして、訂正印を使用しないことが挙げられます。

一般的な書類では、記載内容に誤りがあった場合、二重線を引いた上に訂正印を押して修正することがあります。

しかし、請求書はお金に関する文書であり、間違いがあれば会社としての信用に影響します。

たとえ訂正印で修正していたとしても、取引先からの印象を損ねる恐れがあるため、訂正が必要な場合には正しい内容に修正した上で再発行しましょう。

印影を鮮明に残す

請求書に限った話ではありませんが、印影が鮮明に残るように押印することが大切です。

印影がかすれていたり一部が欠けていたりすると、見栄えが悪いだけでなく、本来の印影と一致しないため証拠力を損ねてしまう可能性もあります。

請求書に印影が鮮明に残らなかった場合は、そのまま提出するのではなく、再発行して押印しなおしましょう。

請求書データには電子印鑑の利用が可能

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業務のデジタル化やペーパーレス化が進む昨今、紙の請求書ではなくPDF形式などの電子データとして請求書を発行する企業が増えつつあります。

請求書は原則として紙での保存が義務付けられていますが、電子帳簿保存法の要件を満たせば電子データとして保存することが可能です。

そして、請求書を電子データとして発行する場合、印鑑による押印の代わりに電子印鑑を利用することができます。

次は、電子印鑑とはどのようなものかを説明するとともに、請求書を電子化する方法やメリットを見ていきましょう。

電子印鑑とは?

電子印鑑とはデータ化した印鑑のことで、PCなどのデバイス上で作成した請求書データに印影を付与することができます。

先述の通り、そもそも請求書への押印は法的に義務付けられたものではないため、電子印鑑による押印であっても問題はありません。

電子印鑑には、単純に印影を画像データ化しただけのタイプと、画像データに識別情報が付与されたタイプがあります。

印影を画像データ化しただけの電子印鑑であれば、Excelで作成したり、無料の電子印鑑作成ツールを使って作ることが可能です。
識別情報が付与された電子印鑑は、有料の専用サービスを利用する方法が一般的です。
識別情報が付与された電子印鑑であれば、「本人(企業)によって正しく発行された請求書データである」ということを示す客観的な証拠になるでしょう。

電子印鑑について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご確認ください。

請求書をPDF形式で出力する方法は?

請求書データには電子印鑑を利用できるとお伝えしましたが、請求書を電子化する方法について気になっている方もいらっしゃるかもしれません。
請求書を電子化する簡単な方法としては、エクセルなどで作成した請求書を書面で印刷するのではなく、PDF形式で出力する方法があります。
また、帳票作成システムで請求書を作成して印刷機でプリントアウトする仕組みであれば、システムの出力設定をPDFに変更する必要があります。

請求書のPDFについて詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてお読みください。

請求書を電子化するメリット

請求書を電子化することで、請求に関わる業務を大幅に効率化することが可能です。

印刷や目視による確認、手作業による押印や郵送準備など、従来の請求業務で行っていた作業をPC上で完結することができ、業務の効率化・迅速化が見込めます。

また、請求業務に関わる人的コストや、紙の印刷・郵送コストを削減することができ、文書の保管スペースを縮小することも可能です。

さらに、オフィスにいなくても請求業務を遂行できるようになるため、テレワーク促進にも有効です。

請求書を電子化するメリットについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。

請求業務の電子化なら「invoiceAgent 電子取引」

紙による請求業務を電子化するなら、ウイングアーク1stが提供するクラウド型の電子取引ソリューション「invoiceAgent 電子取引(インボイスエージェント 電子取引)」がおすすめです。

「invoiceAgent」は、電子帳簿保存法の要件を満たすソフトウェアに与えられるJIIMA認証を取得しているほか、2023年10月から始まるインボイス制度に対応する機能を実装しています。

「invoiceAgent 電子取引」には簡易承認フロー機能と画像イメージ付加機能が備わっています。これらの機能により、紙と印鑑で行っていた請求書の承認作業を、invoiceAgent上で再現することが可能です。

PDF形式で出力した請求書をinvoiceAgentにアップロードするだけで取引先に配信することができるため、既存の請求書フォーマットを変更する必要はありません。また、取引先から発行される関連帳票もinvoiceAgent上で受け取ることができます。

さらに、郵送サービスを利用することもできるため、紙での受領を希望する取引先に配慮しつつ請求書の電子化を促進可能です。

「invoiceAgent」で請求業務を電子化した事例

最後に、「invoiceAgent」で請求業務を電子化した事例をご紹介します。

請求書発行の作業時間が従来の半分に(エムオーテックス)

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「LanScopeシリーズ」をはじめとしたソフトウェア開発・販売を行うエムオーテックス株式会社は、「invoiceAgent」を導入して請求書発行業務をWeb配信に切り替えました。

同社では従来、プリントアウトした請求書に責任者が押印し、経理部門の担当者が内容を確認しながら封入封緘・郵送を行っていました。
しかし、紙ベースの請求書発行業務は担当者2人がかりで40時間程度を要し、人手による作業のため人的ミスのリスクも課題となっていました。
また、コロナ禍に入ったことで、一部の取引先を対象にPDFとメールを使った請求書送付を試みましたが、宛先や添付ファイルの確認などの負担が大きく、紙ベースの運用以上に工数が掛かってしまいました。

そこで同社は、請求書の電子化・Web配信を実現する仕組み作りとして「invoiceAgent」の導入を決定。
請求書データをアップロードするだけで取引先ごとに自動で振り分け・配信する仕組みが整い、紙の請求書を希望する取引先については郵送サービスを活用。
請求書発行にかかる作業時間が従来の半分に短縮するなど、請求業務の効率化に大きな効果を得ています。

▼事例詳細はこちら
エムオーテックス株式会社のinvoiceAgent導入事例をもっと見る

請求書のWeb配信を実現し電帳法対応も推進(JFEスチール)

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世界有数の鉄鋼メーカーであるJFEスチール株式会社は、「invoiceAgent」の導入により営業統括部門における請求書のWeb配信を実現しました。

同社では各営業部から請求金額情報を集約し、営業統括部が請求業務を行う体制となっており、この業務は主に紙ベースで行われていました。
しかし、請求書の発送や問い合わせ対応を人手で行わなければならないため負担が大きく、20日締め月末支払いという鉄鋼業界特有の商慣習により遅れが許されないプレッシャーもありました。
また、コロナ禍の影響で全社的に在宅勤務に切り替わるなか、営業統括部の担当者は郵送作業のために出社せざるを得ない状況が発生していました。

これらの課題解消が急務であったことに加え、全社的に押印廃止やペーパーレス化の計画が進められていたこともあり、「invoiceAgent」導入による請求書のWeb配信化を決定。
請求書の発行当日にWeb配信することが可能になったことで、営業統括部門の業務負荷および心理面のプレッシャーが軽減したと同時に、電帳法対応への基盤整備という面でも効果を実感されています。

▼事例詳細はこちら
JFEスチール株式会社のinvoiceAgent導入事例をもっと見る

まとめ

今回は、請求書における印鑑の必要性や、使用する印鑑の種類、押印の際のマナーやルールをご紹介しました。

請求書への押印は法的に義務付けられていないものの、印鑑を押すことで請求書の信頼性が高まり、取引の円滑化やトラブル防止にもつながります。

また、請求書を電子化することにより、紙の請求書や印鑑による請求業務の効率を改善することができます。

紙ベースでの請求業務に課題を感じている企業は、今回ご紹介した情報も参考に請求業務の電子化に着手してみてはいかがでしょうか。

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・約40時間かかっていた請求書発行業務がほぼ半分に削減
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