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タイムスタンプとは?意味や必要性、導入事例をご紹介!

業務効率化作成日:2022.09.25 更新日:2024.01.25

あらゆる業種・業界で、業務の電子化・ペーパーレス化の動きが活発化している昨今、「タイムスタンプ」という技術の重要性が高まっています。

しかし、
「タイムスタンプとは?」
「なぜタイムスタンプが必要なの?」
「タイムスタンプの仕組みは?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、タイムスタンプの意味や電子署名との違い、活用シーンといった基礎知識から、タイムスタンプの仕組み、さらにはタイムスタンプを活用して業務改善を実現する方法・事例をわかりやすく解説します。
タイムスタンプについて知りたい方や、文書の電子化を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

【事例】文書の電子化によりペーパーレスを実現!

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文書管理ソリューション「invoiceAgent文書管理」により、ペーパーレス化・業務効率化に成功した事例をご紹介します。

タイムスタンプとは?

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タイムスタンプとは、電子文書などの電子データが作成された日時を記録し、証明するための技術のこと。「時刻認証」と表記・呼称されることもあります。

まずはタイムスタンプの基礎知識として、以下の3点について解説します。

  • タイムスタンプの役割
  • 電子署名との違いや関係性
  • タイムスタンプの主な活用シーン

タイムスタンプの役割

タイムスタンプには、大きく以下2つの役割があります。

  • 存在証明
  • 非改ざん証明

電子文書に対してタイムスタンプを付与することで、「その時刻に電子文書がたしかに存在したこと(存在証明)」「その時刻以降に改ざんされていないこと(非改ざん証明)」を公的に証明することができます。

企業の文書電子化・ペーパーレス化が進む現代、電子文書などの電子データのやり取りで安全性・信頼性を担保するために重要な役割を果たす技術だと言えます。

電子署名との違いや関係性

タイムスタンプとともに語られることが多い用語に「電子署名」があります。

タイムスタンプが電子データの「存在証明」と「非改ざん証明」の役割を果たすのに対し、電子署名は誰が作成した電子データなのかという「本人性証明」の役割を果たします。

言い換えると、タイムスタンプは「いつ」「何を」作成したのかを証明し、電子署名は「誰が」「何を」作成したのかを証明する技術だと言えます。

タイムスタンプと電子署名をセットで用いることで、「誰が」「いつ」「何を」作成したのかを証明することができ、電子文書の原本性を高めることが可能です。

タイムスタンプの主な活用シーン

タイムスタンプは、主に以下のようなシーンで活用されています。

  • 企業が扱う電子文書の信頼性担保
  • 知的財産権の確保・権利の管理
  • 医療電子カルテの安全管理 など

タイムスタンプの主な活用シーンとして、企業が文書を電子化する場面を挙げることができます。
企業間で交わされる契約書や、請求書や注文書といった帳票など、企業では日々数多くの文書がやり取りされています。
これらの文書を電子化し、紙における署名や押印と同等の信頼性を担保するために、タイムスタンプは用いられています。

また、知的財産権の確保にタイムスタンプが用いられることもあります。
特許取得におけるコスト削減や、特許公開によるコア技術の流出を避けるために、あえて特許を取得しないケースがあります。このような場合、実験資料・図面・仕様書などの作成時期や原本性を担保するために、タイムスタンプが用いられているのです。

さらに、医療現場でもタイムスタンプ技術が活用されつつあります。
従来の紙のカルテから電子カルテに移行するにあたり、診療記録などの真正性を確保するために、タイムスタンプが用いられています。

タイムスタンプが注目を集める背景

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タイムスタンプは、企業における文書の電子化をはじめとしたさまざまなシーンで活用されています。

ここでは、ビジネスシーンでタイムスタンプが注目を集めている背景として、以下2つの要因を説明していきます。

  • ペーパーレス化の進展
  • テレワークの普及

ペーパーレス化の進展

タイムスタンプが注目を集める要因として、ペーパーレス化の進展を挙げることができます。

コスト削減や業務効率化、さらにはSDGsの観点から、近年では多くの企業がペーパーレス化に取り組んでいます。

ですが、ペーパーレス化を進めるためには、単純に紙の文書を電子化すればよいわけではありません。

企業が扱う文書の多くは、会社法や法人税法などの法律で一定期間の保存が義務付けられており、電子データとして保存するためには「電子帳簿保存法」や「e-文書法」で定められた一定要件を満たす必要があります。

そして、電子帳簿保存法における「真実性の確保」や、e-文書法における「完全性の確保」といった要件を満たすために、タイムスタンプが必要とされています。

テレワークの普及

近年のテレワーク普及も、タイムスタンプの必要性が高まっている要因です。

2020年の新型コロナウイルス感染症の流行により、多くの企業がテレワークへの移行を余儀なくされました。しかし、紙の書類に押印するための出社、いわゆる「ハンコ出社」により、テレワークが定着しなかったという企業も少なくありませんでした。

つまり、テレワークを導入して定着させるためには、ペーパーレスを促進して紙やハンコによるアナログ業務から脱却することが必要だと言えます。

先述の通り、ペーパーレス化を進める上では法律に準拠した文書の電子化が必要であり、やはりタイムスタンプが不可欠になります。

タイムスタンプの仕組み

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タイムスタンプは、「TSA(Time-Stamping Authority)」や「時刻認証局」と呼ばれる第三者機関「時刻認証業務認定事業者」によって発行されます。

TSAは一般社団法人日本データ通信協会によって承認された事業者であり、2022年4月現在、5社がTSAに認定されています。

タイムスタンプが発行される流れは以下の通りです。

  1. 文書作成者は電子文書のハッシュ値をTSAに送り、タイムスタンプを要求
  2. TSAは送られてきたハッシュ値に時刻情報を加えたタイムスタンプを発行
  3. 文書作成者は電子文書とあわせてタイムスタンプを保管

電子文書などにタイムスタンプを付与する場合、電子文書の「ハッシュ値」をTSAに送信し、タイムスタンプを要求します。

ハッシュ値とは、電子ファイルから得られる固有の文字列で、ハッシュ値が1文字でも異なれば別の文書とみなされます。

TSAは、送られてきたハッシュ値にその時点での日付・時刻情報を組み合わせたタイムスタンプを発行し、文書作成者は電子文書と一緒にタイムスタンプを保管します。

こうして発行されたタイムスタンプと、文書作成者が保管する電子文書のハッシュ値が合致すれば、文書が改ざんされていないことを証明できるという仕組みです。

電子帳簿保存法におけるタイムスタンプ

先に触れた通り、電子帳簿保存法では「真実性の確保」という要件を満たすためにタイムスタンプの付与が必要になるケースがあります。

電子帳簿保存法には以下のように大きく3つの保存区分が存在し、そのうちタイムスタンプが関わるのは「スキャナ保存」と「電子取引」の2つです。

  • 電子帳簿等保存
  • スキャナ保存
  • 電子取引

 

では、電子帳簿保存法におけるタイムスタンプについて、詳しく見ていきましょう。

「真実性の確保」とは?

そもそも、電子帳簿保存法の「真実性の確保」とは何を意味するのでしょうか。
「真実性の確保」とは、保存された電子データに改ざんが加えられていないことを証明する仕組みのことです。
そして、「真実性の確保」を満たすために必要な措置のひとつがタイムスタンプです。

スキャナ保存におけるタイムスタンプ

スキャナ保存とは、紙で受領したり保存した書類をスキャナで読み取り、画像データとして保存すること。
スキャナ保存においては、原則としてタイムスタンプの付与が必須となります。
※日時の証明が担保されているクラウドサーバで保存し、訂正削除の確認ができる場合は不要。

2022年1月の改正以前は、書類の受領からおおむね3営業日以内にタイムスタンプを付与する必要がありましたが、2022年1月からはタイムスタンプの付与期間が最長約2か月+概ね7営業日以内に延長されました。

電子取引におけるタイムスタンプ

電子取引とは、電子データによって取引情報の授受を行う取引方法のことで、ここていう取引情報とは「取引に関して交付・受領する注文書や契約書、請求書などの書類に通常記載される事項」を意味します。

 電子取引においては、「真実性の確保」を満たすために以下いずれかの措置を行う必要があります。

(1)タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行う
(2)取引情報の授受後、速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す
(3)記録事項の訂正・削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認できるシステム又は記録事項の訂正・削除を行えないシステムで取引情報の授受及び保存を行う
(4)正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定め、その規定に沿った運用を行う
(参照元:Ⅱ 適用要件【基本的事項】|国税庁

つまり、上記の(1)(2)で対応する場合にはタイムスタンプの付与が必要になります。

タイムスタンプを使った文書管理・契約業務の電子化なら「invoiceAgent」

タイムスタンプを使用した文書の電子保管や電子契約は、ウイングアーク1stが提供するソリューション「invoiceAgent」で実現可能です。

次は、紙文書の電子化を実現する「invoiceAgent 文書管理」と、電子契約を実現する「invoiceAgent 電子契約」の特徴をご紹介します。

※2022年6月より「SPA/SPA Cloud」は「invoiceAgent 文書管理」「invoiceAgent AI OCR」に名称を変更しました。

電子化から管理まで一気通貫で実現「invoiceAgent 文書管理」

「invoiceAgent 文書管理」は、文書の電子化から管理・運用までを一気通貫で実現する文書活用ソリューションです。

タイムスタンプ機能や検索機能、証跡管理機能など、電子帳簿保存法の保存要件に対応する各種機能を搭載しており、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会による「JIIMA認証」を取得しています。

5つのOCRエンジンで紙文書を電子化

さらに、高精度な5つのOCR(光学的文字認識)エンジンを搭載している「invoiceAgent AI OCR」と組み合わせることで紙文書の電子化が可能です。

文書の特徴に応じて最適なOCRエンジンを選択できるほか、1つの読み取り項目に対して複数のOCRエンジンによる処理を行うこともできます。さらに、自動補正機能によって高い認識率を実現します。

これらの特徴により、紙の文書を高い精度でデータ化することが可能で、目視や手作業による工数の削減や、RPAツールとの連携によって運用を自動化することも可能です。

文書のライフサイクルマネジメントを実現

「invoiceAgent 文書管理」は、文書管理を効率化する機能も充実しています。

OCR機能でデータ化した文書はもちろん、他システムから出力される文書データや新規作成した文書データを取り込み、自動で仕分けを行います。

保存した文書は、取引年月日や取引先名、金額などのさまざまな条件で検索することができ、必要なときに速やかに参照することが可能です。

また、文書の保存期間に応じた自動削除機能や、文書の作成から破棄までを記録する証跡管理機能を備えているので、効率的に文書のライフサイクルマネジメントを行えます。

電子契約を実現する「invoiceAgent 電子契約」

「invoiceAgent 電子契約」は、契約業務に新たな安心と価値をもたらす電子契約ソリューションです。

既存システムを大きく変更することなく、契約業務の一連の流れを電子化し、ペーパーレスとハンコレスを促進します。

契約の締結にあたり、ウイングアーク1stが立会人としてタイムスタンプと電子署名を付与し、電子契約の信用性とセキュリティを担保します。

また、ウイングアーク1stが提供する別のクラウドサービスと連携することで、電子契約書はもちろん、契約に基づく関連文書のWeb配信と電子保管を実現可能です。

タイムスタンプを活用した文書の電子化事例

最後に、ウイングアーク1stのソリューションのタイムスタンプ機能を活用して電子帳簿保存法への対応を実現した事例をご紹介します。

電帳法対応にタイムスタンプ機能を活用(ロジクエスト)

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株式会社ロジクエストは、『あらゆる届けるを解決する』という理念を掲げ、配送代行・緊急配送・国際輸送といった事業を展開する物流会社。

全社的にDXを推進している同社では、組織全体のインフラに関わるDXプロジェクトとして、「invoiceAgent」を活用した文書の電子保管・ペーパーレス推進に着手しました。

「invoiceAgent」の導入により、全国の委託ドライバーから届く月7,000枚の月報兼請求書の電子化を実現。「ハードルが高い」と感じていた電子帳簿保存法への対応も、タイムスタンプをはじめとした各種機能を活用することで保存要件をクリアしています。

請求書の電子化によりコスト削減および文書管理の効率化に成功した同社では、請求書以外の帳票や、e-文書法の対象文書の電子化にも意欲を見せています。

▼事例詳細はこちら
株式会社ロジクエストのinvoiceAgent導入事例をもっと見る

タイムスタンプ機能で電帳法の保存要件に対応(JFEスチール)

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世界有数の鉄鋼メーカーであるJFEスチール株式会社では、電子取引プラットフォーム「invoiceAgent」を導入して電子帳簿保存法への対応を推進しました。

同社では、全社的に押印廃止およびペーパーレス化を推進する計画があり、新型コロナウイルス感染症の影響で自社と取引先がテレワークに移行するなか、請求書を文書データとして送付するニーズが高まっていました。

「invoiceAgent」導入により、請求書をWeb配信する仕組みが構築され、タイムスタンプオプションを活用することで電子帳簿保存法への対応も実現。

今後は「invoiceAgent」の社内展開と適用範囲の拡大を図り、さらなる帳票電子化および業務効率化を推進していく想定です。

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JFEスチール株式会社のinvoiceAgent導入事例をもっと見る

配信する注文書にタイムスタンプを付与(CTCビジネスエキスパート)

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CTC(伊藤忠テクノソリューションズ株式会社)グループの財務・経理・受発注に関連するバックオフィス業務などを受託しているCTCビジネスエキスパート株式会社は、発注業務のペーパーレス化を目的に「invoiceAgent」を導入しました。

CTCにおける調達の多くは同社を介して仕入先各社に発注を行っており、こうした発注業務の大部分は紙ベースで行われていました。
そのため、アナログな作業が多々発生しており、コロナ禍に入りメールでの注文書送付の要望が増えたこともあり、個別対応や誤送信防止のダブルチェックが大きな負担となっていました。

こうした背景もあり、注文書を電子化してWeb配信することを決定。
既存システムや業務への影響が少なく、電子帳簿保存法の保存要件に対応でき、外部との連携機能があるという点が決め手となり「invoiceAgent」の導入に至りました。

導入後、基幹システムで発注処理を行うと注文書のPDFファイルが生成され、自動で「invoiceAgent」への仕分けとアップロードが行われる仕組みを構築。
仕入先は通知メールの案内に従ってログインし、タイムスタンプ付きの注文書PDFをダウンロードする流れとなりました。
平常時で月間約3,000件、年度末のピークでは月間6,000件以上に上る注文書配信が自動化され、作業の効率化だけでなくリモートワークとBCP対策の実現にも効果を得ています。

▼事例詳細はこちら
CTCビジネスエキスパート株式会社のinvoiceAgent導入事例をもっと見る

まとめ

今回は、注目度が増しているタイムスタンプに焦点を当て、基礎知識や仕組み、タイムスタンプを用いた業務改善の方法や事例をご紹介しました。

業務の電子化やペーパーレス化の重要性が高まりつつある昨今、タイムスタンプは非常に重要な技術だと言えます。

また、電子帳簿保存法に対応して文書を電子データとして保存する上でも、タイムスタンプは必要不可欠です。

ペーパーレス化や電子帳簿保存法への対応に課題を感じている企業は、今回ご紹介した情報も参考にウイングアーク1stが提供するソリューションの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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