導入事例

AGC株式会社 化学品カンパニー

AGC株式会社 化学品カンパニー

生産工程で細分化されていた情報の可視化により、全工程を最適化
データにより優先順位が明確化され、納得感のある業務遂行を実現

AGC株式会社 化学品カンパニー
製品
業種

製造

AGC株式会社 化学品カンパニーでは、高度な生産技術に最新デジタル技術を融合させることで、工場における問題解決と新たな価値創造を目指している。「見える化(可視化)」「わかる化(効果実感)」「変わる化(変革)」の3ステップによるDXを推進するなか、MotionBoardを導入。各工程で細分化されていた情報を集約し可視化することで、生産工程全体の最適化を図れるようになった。

導入背景

データを有効活用するには、利用したいときに適切な形でデータが整理されていることが前提となるが、生産現場にはホワイトボード上での情報共有やシステム上での情報管理など、多様な形式でのデータが存在している。また、工程ごとに情報が細分化されているため、全体としての生産の最適化を図るのが難しいケースがある。生産現場が今必要とするデータをスピーディに見える化する仕組みが求められていた。

課題
  • 生産に関するさまざまなデータをデジタル化して一元管理したかった
  • 管理担当者がデータの収集、分析を行う際に手間と時間がかかっていた
  • 生産の各工程で情報が細分化されており、全体を通した生産の最適化に課題があった
解決策導入ポイント
  • 生産の各工程で発生するさまざまなデータを、多様なツールを活用しデジタル化して蓄積
  • MotionBoardでデータをスピーディに共有・活用
  • 製造業に特化したサンプルダッシュボードが用意されており、画面の作成が容易
効果
  • 生産の各工程での情報が共有されることで、作業の優先順位や指標が明らかに
  • 管理担当者のデータ収集・分析にかかる作業時間を10分の1に削減
  • 他の生産現場への横展開や、サプライチェーンなどへの展開も視野に

デジタル活用による生産現場の課題解消と価値創造を目指す


 ガラス・化学・電子・セラミックスの分野で、グローバルに事業を展開するAGCグループの中にあり、化学品事業を担う化学品カンパニー。カンパニービジョン“Chemistry for a Blue Planet”のもと、基礎化学品からフッ素系高機能化学品、ライフサイエンス製品など、安全・安心・快適な暮らしと、環境負荷低減に貢献するさまざまな製品を提供している。


 現在同社では、デジタル技術を活用して生産現場における問題解決と価値創造の実現を目指して、DXを積極的に推進している。その中心となるのが、DX推進室だ。「見える化(情報のデジタル化・整理・可視化)」「わかる化(デジタル化による効果実感)」「変わる化(変革)」の3ステップで改革を推進。生産現場の業務をヒアリングしながら、カンパニー内のDX企画や有用な製品の探索と評価・選定、PoC(概念実証)の実施、現場への教育と各部門への横展開を図っている。


 化学品カンパニー 戦略本部 DX推進室 室長の本庄 哲氏は、「本格的にデジタル化の取り組みを始めたのは2017年ごろです。先行企業に追いつくにはどうすべきか苦心するなかで一つ分かったことは、全て自前でシステムを作るのではなく、優秀なアプリケーション製品を使っていくべきだということです。製品のポテンシャルが我々の要求に合い、使いこなせるかを判断して選定しています」と語る。


戦略本部 DX推進室 室長 本庄 哲 氏

各工程で細分化されていたデータを「MotionBoard」で集約して見える化


 DX推進室では、手書き中心だった現場での作業記録のデジタル化を進めるために電子帳票ツール「XC-Gate」の導入を検討していた。そのツールに「MotionBoard連携」という機能があったことが、MotionBoardを知るきっかけとなった。


 DX推進室 技術企画グループ グループリーダーの石井 崇則氏は、「電子帳票ツールで入手できる多様なデータを可視化し、工場のメンバーと共有したいと考えました。その上で、生産現場で多数の導入実績があることから、MotionBoardを導入することにしました」と振り返る。同カンパニーが進めているDXの3ステップのうちの「見える化」の部分だ。


 生産現場では、需要にあわせて原材料の確保、仕掛品の調整、製品の在庫管理などが必要になる。しかし、各工程の情報が細分化されていると、在庫があるにもかかわらず、原材料を多く仕入れすぎてしまったり、中間工程で過剰に生産してしまったりするなど、全体を通した生産管理ができなくなる。


 また、データ集計・分析に時間がかかるという課題もあった。データを蓄積することはできても、管理担当者がそれらのデータを収集し、表計算ソフトを使って集計・分析・グラフ化するのには手間がかかっていた。現場で今日行うべきことや各種指標などの情報は、ホワイトボードに貼り出してメンバーと共有していたが、手作業が数多く発生して業務負荷がかかっていた。これを自動化し、情報共有を効率化するツールとして、MotionBoardにたどり着いたわけだ。他製品との比較・検討も行ったが、MotionBoardを選定した理由として石井氏は次のように話す。


 「製造業に特化したサンプルダッシュボードが用意されているため画面の作成が容易で、動作や描画のスピードも速いと感じました。アップデートのときにも、ユーザーインターフェイスを極力変えないといった既存ユーザーへの配慮があることも好感がもてました」(石井氏)


戦略本部 DX推進室 技術企画グループ グループリーダー 石井 崇則 氏

現場とのきめ細やかなすり合わせで、意思決定に集中できるダッシュボードが完成


 新しいツールは、現場のメンバーが使いこなしてこそ真価を発揮する。そのためDX推進室では、MotionBoardの活用にあたって現場の担当者と入念なすり合わせを行った。


 DX推進室 技術企画グループの安井 泰観氏は、「PoCの段階で、MotionBoardの画面を数多く試作し、現場で実際に使う人に繰り返し見てもらいました。『これはいい』『これはいらない』など、現場のマネージャーや作業担当者の方々に、実際に画面や操作感を見てもらった上でダッシュボードをつくっていきました。本当に必要としているものをアジャイルで試行錯誤しながら作ることができるツールだと実感しました」と話す。


戦略本部 DX推進室 技術企画グループ 安井 泰観 氏

 こうした取り組みを経て、生産現場のメンバーが今の状況を知り、意思決定を素早く行えるダッシュボードが完成した。


 ツール活用の定着化のために、DX推進室では社内Wikiによるナレッジ共有や問い合わせ対応などの仕組みも用意した。本庄氏は「いきなりハンドルを切っても組織はすぐには動けません。そのため、DXを推進する仲間づくりに腐心しました。工場の幹部による推進担当者を30名ほど集めて会議をしながら裾野を広げ、盛り上げていきました」と説明する。


 導入効果について石井氏は、「管理担当者が表計算ソフトで集計して配布する作業がなくなったので、手間は10分の1程度に削減されているでしょう。また、集計スピードも速くなりました」と話す。以前はその週の成果をまとめて、翌週の作業計画を立てていたが、現在では夜間に自動的に集計され、翌朝に結果が出るため日次での判断が可能になっている。


 MotionBoardでスピーディに情報を可視化できるようになったことは、メンバーの意識にも大きな影響を与えている。目指すべき指標とともに各種情報をメンバー全員が共有できることで、業務の優先順位が分かり、個々のやるべきことが明確化された。以前は管理担当者の指示どおりに業務を行うということもあったが、現在はデータを知ることで「なぜそれをやるべきなのか」という納得感を持って業務を進められるようになった。



生産現場の各工程を可視化するダッシュボード ※サンプルデータを使用

今回の取り組みを雛形として、横・縦への展開を計画


 デジタル活用によって生産現場における業務情報の「見える化」「わかる化」「変わる化」を進めている化学品カンパニー。こうした成果を受けて石井氏は、「今回の取り組みを雛形として、海外を含めたほかの工場にも横展開できると感じています」と意欲をみせる。さらにその先には、経営やサプライチェーンなど縦方向への展開も視野に入れて取り組んでいく計画だ。


 最後に石井氏は、「他の製造業のユーザーとのつながりによるノウハウの共有や、今後の製品ロードマップや背景となる技術トレンドについても興味がありますので、さまざまな情報を提供してほしいです」とウイングアークへの期待を語ってくれた。


 ノウハウやトレンドを積極的に吸収しようとするDX推進室の積極的な活動によって、化学品カンパニーのDXは着実に前進している。


Company Profile

AGC株式会社 化学品カンパニー

設立 :1950年6月1日
所在地 :東京都千代田区
事業内容 :ガラス・化学・電子・セラミックスの4つの分野で、グローバルに事業展開を進めるAGCグループ。その中で、化学品カンパニーは、カンパニービジョン「Chemistry for a Blue Planet」のもと、基礎化学品からフッ素系高機能化学品、ライフサイエンス製品まで、豊かで安全・安心な社会と環境に役立つ多彩な製品を提供し続けている。
URL :https://www.agc-chemicals.com/jp/ja/

写真右:
戦略本部 DX推進室 室長
本庄 哲 氏

写真左:
戦略本部 DX推進室 技術企画グループ グループリーダー
石井 崇則 氏

戦略本部 DX推進室 技術企画グループ
安井 泰観 氏

導入製品

BIツールを超えたダッシュボード「MotionBoard」。様々なデータをリアルタイムに可視化。クラウドサービスは月額30,000円から

 
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