導入事例

株式会社GSIクレオス

株式会社GSIクレオス

伝票入力にOCR/AI OCR、請求書発行にWeb配信を利用し、
社内業務のデジタル化を進め、ニューノーマルな働き方に対応

株式会社GSIクレオス
業種

卸売・小売

繊維および工業製品の専門商社である株式会社GSIクレオス(以下、GSIクレオス)は、ウイングアークの「invoiceAgent AI OCR」「invoiceAgent TransPrint」を活用し、OCR/AI OCRで仕入伝票データを自動で基幹システムに取り込む仕組みと、社外向けの請求書をWeb配信できるシステムを構築した。社内業務のデジタル化を進めるとともに、アフターコロナの新常態を見据えた外部との取引に対応する体制を整えている。

導入背景

GSIクレオスは、業務におけるIT化を推進する中で、伝票・帳票関連業務のデジタル化に取り組んできた。第一弾として婦人アパレル子会社であるクレオスアパレルでOCR/AI OCRを導入し、仕入伝票の入力作業を省力化。その後、コロナ禍における新たな働き方に対応するため、請求書をWeb配信する仕組みを導入した。

課題
  • 社内の働き方改革で業務の電子化対応が課題となっていた
  • コロナ禍により請求書のWeb配信の仕組みが社内外で求められていた
解決策導入ポイント
  • invoiceAgentによるOCR/AI OCRの導入で仕入伝票の入力作業を省力化
  • invoiceAgent TransPrint導入による請求書のWeb配信を実現
効果
  • OCR/AI OCRの導入による伝票入力の手間の削減
  • 請求書発行にかかわる印刷・封入などの手間の削減と、郵送料や紙代のコスト抑制
業務のデジタル化を推進し、仕入伝票の入力作業の省力化と請求書のWeb配信を実現

働き方改革への対応でIT化を推進


 GSIクレオスは、繊維分野および化学品、機械・機器、ホビー、ライフ、ナノテクノロジー領域の工業製品分野の事業を柱とした専門商社である。国内7ヶ所カ所、海外20ヶ所の拠点を有し、グループ内で連携を強化しながらグローバルに事業を拡大している。近年では、生分解性プラスチックをはじめとする環境関連事業に注力し、そのほかにも「環境」「生活・健康」およびエネルギー分野での事業拡大に取り組み、コロナ禍での事業環境および感染症収束後の新しい環境の変化へ対応している。


 社内では、「人材の充実と働き方改革への対応」を重要な施策として掲げ、営業活動の支援を強化し、従業員に新しい働き方を提供するために、IT化を促進してきた。2019年には、従業員の時間創出と創造活動をサポートすることを目的とした「SMILEプロジェクト」を3年計画で発足。「モバイル機器の充実」「事務所の無線化」など、社員のデバイス環境を改善しつつ、業務におけるIT化の範囲を広げ、経費精算や勤怠管理などの業務をクラウドベースに移行することで、大幅な事務効率化を実現してきた。


 現在は、基幹系のペーパーレスやワークフローの導入に取り組み、新しい働き方と業務のデジタル化を進めて継続的な業務改善の基盤を構築することを目指している。「社員一人ひとりが当事者意識をもってIT化に取り組んでいるのが当社の強みです。活動に勢いを感じています」と話すのは、同社の経営企画部 情報システム課 課長の青木 光 氏だ。


 「既存の取り組みを2021年度末までに完了させ、マーケティング機能の拡充にも着手する予定です。目まぐるしく変化する環境の中で、経営陣がよりスピーディーに意思決定できる仕組みを構築しながら、従業員にスキルアップ、レベルアップのための時間を提供したいと考えています」と、青木氏は基盤強化による企業と個人の“進化と成長”に向けて意欲を示す。


経営企画部 情報システム課 課長 青木 光 氏

70店舗に送られてくる月に1千枚の仕入伝票をOCRで処理


 これらの取り組みの過程で、2019年に婦人アパレル子会社であるクレオスアパレルがinvoiceAgent AI OCRを導入して伝票処理を電子化し、業務の効率化を実現した。クレオスアパレルは、約70店舗の直営店を店舗展開しており、各店舗に商品を配布する際の入荷伝票が月に1千枚発生する。もともと仕入伝票のデータを基幹システムに取り込むために、本部の担当者がデータを手入力していたが、入力作業を省力化するため、2019年の春にOCR導入の検討を開始した。


 「データ入力を簡素化、効率化する方法としてはWebで仕入れ先のお客様に入力してもらうWeb-EDI方式も考えましたが、それは仕入れ先にとってハードルが高いだろうと断念しました。仕入れ先には負担をかけず従来通りに伝票を起票してもらう方式では、OCRが最適だと考えました。当時ブームだったRPAを使うことも検討してみましたが、手書きの伝票があるので難しく、OCRにしました」と、導入プロジェクトを担当した同社の経営企画部 情報システム課 井口 伸次 氏はシステム化の経緯について語る。


 製品を選択する際に重視したのは、OCRの精度とコストのバランスだという。月に1千枚という数は、担当者の負担にはなるが途方もないというほどの数ではない。ただし、取引先の数は多く、筆致も入力文字の精度もそれぞれだ。


 「最近のOCRは、印字したようなOCR文字といわれるきれいな文字以外でも、枠の中に手書きで入れる文字の認識率が高まっていますが、実際に伝票に書かれた手書き文字を正確に読めるものはありませんでした。AI OCRも検討したのですが、費用の面で当初は導入を諦めざるを得ませんでした」(井口氏)


経営企画部 情報システム課 井口 伸次 氏

OCRとAI OCRを使い分けることでコストを抑制


 そこで同社が注目したのが、ウイングアークの「invoiceAgent AI OCR」である。元々GSIクレオスは、基幹システムで帳票基盤の「SVF」とBI基盤の「Dr.Sum」を活用しており、ウイングアークの製品に対する信頼感があった。加えて、invoiceAgent AI OCRは必要に応じてOCRとAI OCRを使い分けることができるというメリットがあった。


 「invoiceAgentで利用できるAI OCR自体が安価という印象でしたが、それだけではなく、適材適所でOCRを利用できるのでトータルコストを抑えられる部分を評価しました」(井口氏)


 invoiceAgent AI OCRの導入に際してまず、OCRでの読み取り率を高めるため、取引先にきれいに書いてもらいやすいような形に帳票のフォーマットを変更。同社では複写式の伝票を使用しているが、一番上のカーボン紙に印字された帳票の枠を小さくすることで、手書きした文字が下の複写紙の枠からはみ出すこと防ぐように工夫した。また、OCRに誤認識されないように、余白に斜線を入れるなどの感覚的な伝え方をしないように仕入れ先に要望するなど、書き方についても周知することで対処した。


 運用のフローについては、クレオスアパレル社内のPCにブリッジ機能を実装。そこで手書き文字と活字で2つのOCRエンジンを使い分け、読み取ったデータをinvoiceAgent AI OCRに送り、取引先のフォルダごとに振り分けて基幹システムに自動的に流すという仕組みである。OCRを利用する際に必要となる担当者による目視確認は、OCRソフトでinvoiceAgent AI OCRに取り込んだ際ではなく、基幹システムに取り込んだあとに、通常の伝票チェック(論理チェック)と併せて行うため、2度手間にならない仕組みとなっている。


 こうして半年間のテスト運用を経て、GSIクレオスでは同年11月からinvoiceAgent AI OCRの利用を開始した。「OCRの認識率も想定したとおりです。また、採用する過程でブリッジサーバーをPCで使えるようにそもそもの仕組みを変えてくれるなど、ウイングアーク社には寄り添った対応をしてもらえました」と井口氏は評価する。


請求書のWeb配信に着手、ひと手間を省ける「invoiceAgent TransPrint」を導入


 invoiceAgent AI OCRで仕入伝票の処理を電子化できたが、そのほかの伝票の処理の多くの部分は、従来どおり紙で行われていた。そのひとつが、外部との請求書のやり取りである。そこで次にGSIクレオスは、請求書の電子化に取り組んだ。このコロナ禍で、紙の請求書が経理担当者のテレワークを阻害する要因としてクローズアップされたが、同社ではその前から対応に向けて調査を開始していたと井口氏は話す。


 「請求書を電子化してくれないかという要望が目立ち始め、当社も対応した方がよいだろうと検討を開始した矢先にコロナ禍となり、導入の追い風となりました」(井口氏)


 以前同社では、基幹システムから月末などの締め日ごとに請求書を発行していた。請求書はPDFで作られるが、それを紙に印刷して取引先ごとに仕分けして封入し、郵送していた。取引先は約1千社あり、作業は管理部門の13名程度が担当していたという。


 システムの選定にあたっては、複数社の中から2社に絞り、最終的に「invoiceAgent TransPrint」(以下、TransPrint)を選択した。理由としては、帳票システム基盤としてSVF、OCR基盤としてinvoiceAgentをすでに導入していたため、既存の仕組みと連携しやすいということも大きかったが、何より運用面での負担の少なさが決め手になったと井口氏は語る。


 「他社の製品は、基幹システムから出力されたPDFファイルを取引先ごとに手作業でフォルダ分けしなければならない仕様でした。当社は取引先の数が多く、それではかなりの手間になってしまうのです。TransPrintには、ファイルの自動仕分け機能がありました」(井口氏)


請求書のWeb配信で手間とコストを削減


 こうして2020年11月からTransPrintの利用を開始した。「Web対応に応じてくれている取引先はまだ半数を超える程度ですが、当社としては郵送作業の半減と、郵送料や紙代を削減できて大きなメリットがあります」と井口氏は話す。


 請求書のWeb化の効果を感じた同社では、年間で約10万枚にのぼる納品書など、他の帳票のWeb配信の検討にも前向きだ。


 「TransPrintはどんどん機能を追加しているので、より使いやすくなるよう期待しています。そうすれば送れる帳票の種類も、対応していただける相手の数も増えていくと思います」と井口氏は期待を示す。


 また一方では、TransPrintが提供する郵送のアウトソーシングサービスの活用も検討している。紙の運用を完全になくすことは現実的ではないなか、アウトソーシングサービスを併用することが自社の経理担当者のテレワーク実現にも有効だからである。


invoiceAgentを使い、文書管理のさらなるデジタル化に挑戦


 GSIクレオスは、invoiceAgent AI OCR、TransPrintともに、製品がリリースされた初期段階からのユーザーである。


 井口氏は一連の導入プロジェクトを経験してきた中で、「ウイングアークのサポート体制についても、非常に満足しています。色々と無茶な要望もしましたが、常にタイムリーな回答をしてくれました。ユーザーの立場に立って動いてくれて、かなり要望を聞き入れてもらえたと思います」と話す。それだけにウイングアークに対しては、今後の取り組みに対しても期待は大きい。


 青木氏は、「invoiceAgentを活用し、他のプロジェクトで進めているペーパーレス化や電子帳簿保存法への対応など、文書管理の仕組みを高度化していきたいと考えています。基幹系でウイングアークの製品を使っており当社の状況も理解してもらえているので、今後も幅広く新しい提案をしてもらいたいですね」と、社内におけるさらなるデジタル化への取り組みに意欲を示している。


※2022年6月より「SPA」および「SPA Cloud」は「invoiceAgent 文書管理」「invoiceAgent AI OCR」に名称を変更しました。


Company Profile

株式会社GSIクレオス

創業:1931年
所在地:東京都千代田区
事業内容:繊維および工業製品(化学品・機械・機器・ホビー・ライフ・ナノテクノロジー)分野の事業を柱とする専門商社
URL :https://www.gsi.co.jp/

写真左より
経営企画部 情報システム課 課長 青木 光 氏
経営企画部 情報システム課 井口 伸次 氏

導入製品

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