導入事例

早稲田大学

早稲田大学

年間20万件におよぶ経理証憑の電子保管を実現し、
経理処理業務の抜本的な構造改革を推進

早稲田大学
業種

教育

中長期計画「Waseda VISION 150」のもと、研究・教育から組織運営まで幅広い領域にまたがる改革を進めている早稲田大学は、経理処理業務についても抜本的な構造改革を実現すべく、全学を挙げたプロジェクトを推進している。この取り組みを支えるシステム基盤の一つとしてウイングアーク1stの文書活用ソリューションinvoiceAgent 文書管理を導入した。経理証憑の電子化および電子保管を実現することで、問い合わせ対応を担っているアカウンティングセンターおよび各部署の業務を大幅に効率化した。

導入背景

早稲田大学は2018年度にRPAを導入して経理業務における定型処理を自動化した。しかし、さらなるICT化を進め、紙の状態のまま大量に保管している経理証憑のペーパーレス化を進めなければ、経理処理業務の抜本的な改革はありえないという結論に至った。

課題
  • 年間20万件におよぶ支払伝票を紙で管理していたため、保管のための場所が必要
  • 各部署担当者が過去の証憑を確認するのに時間がかかっていた
  • アカウンティングセンターでは、各部署担当者からの問い合わせに対応する負担がかかっていた
解決策導入ポイント
  • 処理完了した経理証憑をinvoiceAgent 文書管理に保管することにより、各部署の事務担当者が自席からinvoiceAgent 文書管理にアクセスし、証憑を確認できる仕組みを実現
  • 既存システム環境に合ったオンプレミス型でinvoiceAgent 文書管理を利用
効果
  • アカウンティングセンターにおける問い合わせ対応時間を半減
  • 各部署における経理証憑の二重管理を解消し、原本保管を徹底

経理処理業務の構造改革を目指した全学的なプロジェクトを推進


 2032年に創立150年を迎える早稲田大学は「Waseda VISION 150」という中長期計画のもと、「世界で輝くWASEDA」を目指して、研究・教育から組織運営まで幅広い領域にまたがる改革を進めている。その一環として行われているのが経理処理業務の構造改革であり、各種帳票の電子化および電子保管を実現すべく全学を挙げたプロジェクトを推進している。




 財務部 経理課 課長の三好 裕明氏は、「2018年度にRPAを導入して定型処理を自動化しましたが、経理処理業務の効率化を図るためには、さらにICTを活用する必要があるという共通認識のもと、財務部と情報企画部のメンバーを中心に議論を重ねてきました。そうした中で俎上に上がったのが紙の状態のまま大量に保管している経理証憑で、ここにメスを入れなければ経理処理業務の抜本的な改革はありえないという結論に至りました」と語る。


 実際に同学の証憑管理はどのような状況にあったのだろうか。財務部の外局として各部署から提出される支払伝票をチェックする内部統制機能を担っているアカウンティングセンターの課長を務める上松 朋子氏は、このように語る。


 「当センターには、理工系学部等を除いたほぼ全学から支払伝票が集まっており、その件数は年間で約20万件に達します。紙の状態で回ってくるこれらの伝票を受け付け、RPAにより会計システムに入力されたデータと1件ごとに内容をチェックし調達手続きの適正性を確認、支払データの作成を完了させます。その後、紙の伝票は処理済みの証憑としてファイリングし、保管するというのが大まかな流れです」


 もちろん作業はこれで終わりではない。各部署の事務担当者から過去の証憑を確認したいという依頼を受けた際や、監査で求められた際には、必要な証憑を書庫から探し出し、コピーをとって学内便やFAX等で送らなければならない。「各部署からの問い合わせ件数は平均して年間4,200件程度あり、毎日2時間以上をその対応に費やしていました。またコピーを取る際の紙代や印刷費も相当な額に膨らみます」と上松氏は語る。


「invoiceAgent 文書管理」導入の決め手となった3つの判断基準


 上述のような課題を解決するために早稲田大学が導入したのが、ウイングアーク1stの文書活用ソリューションinvoiceAgent 文書管理である。


 invoiceAgent 文書管理の選定に際して、特に重視した判断基準として三好氏が挙げるのが次の3点だ。


 1点目は、すでに導入されていたRPAとの互換性だ。ロボット化されたワークフローとスムーズに連携し、できる限り人手をかけずにinvoiceAgent 文書管理に証憑を入力できることが望ましい。2点目は、検索機能。会計システムでは財源や取引先といった単位で支払いを管理しており、これと準拠したキーを用いて膨大に蓄積された電子文書の中から必要な証憑を簡単かつ迅速に抽出できることを求めた。3点目は、閲覧権限の設定。セキュリティの観点から、事務担当者は基本的に自部署が所管しているデータしか見られないように制御する必要がある。また、電子帳簿保存法のスキャナ保存ソフトとしてJIIMA認証を取得していることもポイントの一つとした。


 「これらの判断基準を満たし、かつ他大学での実績など複数の項目で検討した結果、invoiceAgent 文書管理を選定しました」と三好氏は振り返る。


 invoiceAgent 文書管理の導入にあたっては、パートナーであるテクバン株式会社によって着実にシステム構築が進められた。


証憑の電子化が進むとともに問い合わせ対応はゼロに近づく


 invoiceAgent 文書管理の導入によって、アカウンティングセンターおよび各部署の事務担当者の業務は大きく変化した。各部署から紙の支払伝票が集まってくるところまでは従来と同じだが、アカウンティングセンターで支払処理完了後にこれら紙媒体の伝票をスキャンし、invoiceAgent 文書管理にアップロードするとOCR機能によりデータ化され、フォルダに自動仕分けされて格納される仕組みだ。


invoiceAgent 文書管理の導入で経理証憑の電子化および電子保管を実現

 「2020年4月から、支払処理完了後の伝票のスキャンを開始しました。2020年度は、コロナ禍で例年よりも支払処理件数自体が減少しましたが、それでも2021年3月には約13万件の証憑が電子化され、invoiceAgent 文書管理に登録されました。2021年度に入った現在も順調に運用されています」と上松氏は語る。


 なお、早稲田大学では1年前の2020年10月よりinvoiceAgent 文書管理の本格運用を開始している。以降、各部署の事務担当者はアカウンティングセンターに問い合わせなくても自席からinvoiceAgent 文書管理にアクセスし、必要な証憑を検索して確認できるようになった。


 具体的には早稲田大学内に約150ヶ所ある事務所の1,000人近い職員および派遣スタッフがinvoiceAgent 文書管理を利用しており、月間のアクセス数は1万件以上を数え、年度末などの繁忙期には2万件を超えることもあるという。


 「invoiceAgent 文書管理の利用が進んだことによって以前は毎日2時間以上を費やしていたアカウンティングセンター側での問い合わせ対応時間は、現在では1時間程度まで半減されています。この先さらに証憑の電子化が進んでいくことで必然的にinvoiceAgent 文書管理でのヒット率は高まり、対応時間がゼロに近づいていくことを期待しております」と上松氏は手応えを示す。


 また、invoiceAgent 文書管理は各部署の業務効率化にも大きく貢献している。


 「実は部署によっては問い合わせの手間と時間を削減するため、アカウンティングセンターに提出する前に支払伝票をコピーしているケースも散見されました。invoiceAgent 文書管理が定着していくに伴い、こうした二重管理も解消されると考えています」と三好氏は補足する。


 支払伝票をコピーして独自に管理するとなれば、紙や印刷に関わる経費がかさむだけでなく、事務所内の限られたスペースをどんどん圧迫していくことになる。何よりコピーを取る作業に要する労力が削減できる。「このストレスから解放してくれるinvoiceAgent 文書管理は、まさに現場が待ち望んでいたシステムです」というユーザーからの声も寄せられている。


最終的に目指すのは完全なペーパーレス化


 こうした多くの成果を踏まえつつ、早稲田大学では経理処理業務のさらなる効率化を推進し生産性向上を目指していく考えだ。すぐにでも取り掛かろうとしているのは、各部署におけるinvoiceAgent 文書管理の利用改善である。


 「前述したとおりinvoiceAgent 文書管理の検索機能は会計システムの管理項目に準拠していますが、セッティングには導入パートナーであるテクバンや、ウイングアーク1stから多くの知見をいただきました。電子発行の請求書や領収書が増えてきている昨今、現在本学では、ペーパーレスに対応した業務フローの構築も検討しており、この延長線上で、引き続きウイングアーク1stの力を借りながらその仕組みづくりを進めていきたいと考えています」と三好氏は語る。


 将来的には電子帳簿保存法への対応も視野に入れ、経理処理業務のワークフロー全体をエンドツーエンドで電子化し、最終的には完全なペーパーレス化を目指すという構想を描いている。


 「言葉を変えれば、今回実現した経理証憑の電子保管はこの目標実現にいたるまでの途中過程なのです。経理証憑の電子化に至るまでの学内業務フローは依然として紙を前提としたものですので、経理手続き自体を電子的なワークフローで回していく仕組みを構築することで、経理処理のペーパーレス化を推進していきます。また、取引先の協力が必須となるため一気に進めることはできませんが、請求書や領収書などの伝票を最初から電子データでやりとりして保管する形に徐々に移行していくことで、人手によるスキャン作業などを減らしていくことも模索していきます。あわせて、今後invoiceAgent 文書管理の活用を発展させていくためには、キャンパスや部署ごとに異なるやり方や独自のルールを見直し、業務の標準化を図っていくことが必須です。現在もハード面、ソフト面において、ひとつひとつハードルを乗り越えながら経理処理業務の電子化実現に向けて財務部、情報企画部が中心となり大学全体で取り組んでいます」と三好氏は語る。


 早稲田大学はこうした全面的な帳票電子化の基盤としてinvoiceAgentを活用し、大学運営業務全般のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していく。


※2022年6月より「SPA」および「SPA Cloud」は「invoiceAgent 文書管理」「invoiceAgent AI OCR」に名称を変更しました。


Company Profile

早稲田大学

所在地:東京都 新宿区
大学概要:前身は大隈重信によって1882年に創設された東京専門学校。1949年に新制大学となり、現在は10の学術院(政治経済学術院、法学学術院、文学学術院、教育・総合科学学術院、商学学術院、理工学術院、社会科学総合学術院、人間科学学術院、スポーツ科学学術院、国際学術院)のもと13学部・22研究科を設置している。創立150周年(2032年)に向けた中長期計画「Waseda Vision 150」を掲げ、「世界で輝くWASEDA」となることを目指している。
URL :https://www.waseda.jp/

インタビュイー:
財務部経理課 課長 三好 裕明 氏
財務部アカウンティングセンター 課長 上松 朋子 氏

導入製品

あらゆる帳票の仕分けから保管、検索、他システムとの連携も可能な文書管理ソリューションです。

 
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