導入事例

丸木医科器械株式会社

丸木医科器械株式会社

改正電帳法対応とあわせて入力業務を改善
運用開始直後に受領納品書の20%を電子化

丸木医科器械株式会社
業種

卸売・小売

丸木医科器械株式会社(以下、丸木医科器械)は、ウイングアークのinvoiceAgent 文書管理を導入し、社外から受け取る帳票類と社内業務で発生する文書の電子保管を実現した。改正電子帳簿保存法(以下、電帳法)への対応により税務に関するコーポレートガバナンス強化に加えて、年間約40から50万枚仕入れ先から受領する納品書・請求書やお客様からの注文書などの帳票類を、OCR機能を活用することでデジタル化し、業務の効率化とコスト削減を実現した。

導入背景

同社では事業の特性上外部との取引数が多く、その際に発生する多くの帳票を紙で運用していた。2020年に書類の電子化による社内の業務改善およびコスト削減を模索する「文書電子化プロジェクト」を立ち上げ、検討を進める中で、販売管理システムの内部書類の電子保存の対応を検討したが、翌年春より2022年1月施行の改正電帳法対応への対応と合わせて、外部から受領する注文書と納品書をスキャン、OCR読み取りし、電子化して保管する一連の仕組みを検討した。

課題
  • 社内業務および取引業務の過程で大量の紙文書が発生し、システムへの入力作業負荷と帳票の保存コストがかかっていた
  • 改正電帳法に併せてスキャナ保存・電子取引に対応する必要があった
  • 業務改善も含めて、文書保管とOCR読み取りにひとまとめで対応できる文書管理ソリューションを探していた
解決策導入ポイント
  • 電帳法に併せて帳票類の電子保管を実施する際に、OCRによる自動読み取りを組み合わせ業務効率化を伴う形で電子化した
  • OCRから電子保管までをカバーしたinvoiceAgentを選定
効果
  • 紙文書の保存コストや印刷コストが大幅に削減できた
  • 仕入先から受領する納品書の20%を電子化、販売管理システムに入力する作業工数が大幅削減した
  • 改正電帳法の要件に併せる形での業務改善、ガバナンス強化を実現

取引の過程で大量の帳票が発生し業務に負担


 丸木医科器械は、東北地域の医療機関向けに事業を展開する専門商社である。それぞれの医療機関に最適な設備や機器システムを提案し、機器やシステムの販売のみならず課題解決までを支援する「医療支援サービス業」として、長きにわたり地域医療に貢献している。


 同社では、メーカーのさまざまな商品を仕入れて顧客に販売するという業態上、多くの取引先を抱えている。その際に各社との取引はFAXをはじめとする紙ベースで行われ、注文書や請求書、納品書という外部との取引系書類が大量に発生し、内部でも経費関係の請求書、契約書、入札関連の書類および社内の内部資料などの書類が膨大な量となっていたと、管理部 チームリーダーの青木 誠氏は振り返る。


 「当社では、取引の際に受領する帳票は年間約40万枚を数え、社内のすべての帳票となると数百万枚に達します。当然基幹システムへの入力作業には負荷がかかり、それらを紙で保存していたため社内で保管しきれず、外部の倉庫を借りるコストもかかっていました。そこで以前から情報システムサービス室のメンバーと、OCRを利用した帳票運用の電子化について話し合っていたのです」(青木氏)


 ただし電子化による業務改善を進めたいという考えはあったものの、ツール導入や内部のシステム改修にかかる投資対効果の問題と、スキャナした電子帳票の中身を読み取るOCRの精度が期待するほどではなかったこともあり、なかなか実現には至らなかった。そこで同社ではまず、社内の基幹システム(会計・販売管理)領域において、書類の電子保存から開始した。


 「2020年7月に、基幹系システムにおける内部書類の電子保存を目的とした文書電子化プロジェクトが始まりました。その際は、あくまで今あるシステムをベースに考えるという形で、従来のスキャナ保存要件に併せた形で2021年3月に紙保管をやめ、社内文書のペーパーレス化に踏み切りました」(青木氏)


管理部 チームリーダー 青木 誠 氏

文書保管だけでなくOCRによる業務改善も視野に製品を選択


 ところがその過程でコロナ禍によって電子取引促進の機運が高まり、電帳法の改正で電子保存要件が緩和されることになった。それを受けて同社では、全社的な電帳法対応を目的に、外部との取引領域も含めた業務の電子化、ペーパーレス化に向けたシステム改修プロジェクトを開始した。プロジェクトのリーダーを務めた情報システムサービス室 室長の中村 隆氏は、要件を検討するにあたっての心境を次のように振り返る。


 「元々OCRを利用した業務効率化は懸案事項だったこともあって、今回の法対応のためだけにわざわざ電子保管だけを目的としシステムを導入するのは費用対効果がよくないという思いがあったのです。またその際には、紙の書類をスキャナ保存する形になりますが、スキャンという仕事が単に増えるだけだと、業務負荷が増えてしまいます。そのため、OCRを活用してデータ化し業務効率化を図ることは必須だと考えました」(中村氏)


 実は、同社はDr.SumおよびSVFのユーザーで以前からウイングアークと接点があり、折々にOCR機能を実装した製品の採用も検討はしていたが、当初の精度とコストの問題で採用に至らなかった。それが2022年1月に電帳法の改正が後押しとなってinvoiceAgentの採用が決定した。


 とはいえ、その際には複数の製品を比較検討した。導入の決め手になったのは、大量に発生する帳票に対するOCRの利用コストが圧倒的に抑えられたことと、文書管理システムまで1製品内で使えるという製品形態を評価した。


 「2022年1月の施行日までに何らかのシステムを導入することは決めていましたが、当初は販社さんから紹介してもらった複数の製品に対して、AI OCRの精度が不十分だということで再考してもらっている状態でした。invoiceAgentも、2年前に紹介された時にはFAXの読み取り精度が低いという判断でしたが、2020年10月に改めてデモをお願いしたらそこが改善されていた上に、比較検討した他社製品は従量課金制でコスト面の観点から難がありました。けれどinvoiceAgentであれば無料のOCRも併用できるので圧倒的にコストが押さえられることがわかったのです。さらに、文書管理もinvoiceAgentでできることを知り、機能と費用対効果の両面からinvoiceAgentの優位性が目に留まって一気に採用を決めました」(中村氏)


情報システムサービス室 室長 中村 隆 氏

OCR読み取りから販管システムまでの情報連携を効率化


 そこから急ピッチで稟議を通し、2021年12月にinvoiceAgent導入。同社では2022年1月から、量が多い帳票を中心に優先順を決めて、改正電帳法の要件に併せた電子保管に対応する形となった。OCRの運用に当たっては、仕入先からの納品書、顧客からの注文書について文書ごとのOCR定義やテスト運用期間を含めて、半年後の7月から稼働を開始している。


 構築したシステムの全体像については、外部からFAXや郵送、Webフォームを通じて送られてくる注文書や納品書をスキャンして、OCRをかけてinvoiceAgentに取り込み、中間アプリを介し、データを販売管理システムに入れるという流れとなっている。その際に入り口から販売管理システムまで、いかに手間をかけず効率的に情報を流すかについて工夫して仕組みづくりをしたと、導入を担当した情報システムサービス室の三野 宏之氏は振り返る。


 「取引先様からはさまざまな形の帳票が送られてきますし、社内文書では冊子のスキャンも必要であったため、まずそれらの要件に最適なスキャナを選定しました。次にOCRの運用については invoiceAgentに取り込んだ読み込んだ内容を文書のカスタムプロパティに入れて、電帳法の検索機能の確保要件に則った取引先、取引金額、取引年月日といった取引記録、さらに販売管理システムで必要な発注番号、商品名、規格などの情報を追加する形で、帳票ごとにOCRの定義を作ります。その後の文書管理システムと販売管理システムとのデータ連携に関しては、間にデータをチェックして整えるための中間システムを用意して、APIでつなぐようにしました」(三野氏)


情報システムサービス室 三野 宏之 氏

デジタル化のための一連のフローを現場に教育し17時間/月の工数を削減


 OCRの定義については、最初に情報システムサービス室でフォーマットを決めて、現場の担当者にレクチャーしながら入力してもらう形とした。当該領域を担当した情報システムサービス室 の櫻田 のぞみ氏は、社内への周知活動と浸透状況について次のように語る。


 「OCRの文書定義の作成からフォルダ振り分け定義の作成、アーカイブまでの一連の流れのマニュアルを情報システムサービス室側で作成した上で、仕入れ処理をしている部署の担当者向けに説明会を行いました。現在は量の多い取引や項目数の多い帳票から順番に対応を進めてもらっています。その際に現場が感じている操作性については、慣れるまでは大変でもその後は問題ないかなという印象です」(櫻田氏)


 導入目標としては、7割の取引帳票の処理をOCRによって自動化したいと考えているという。現時点での成果としては、invoiceAgentを活用して販売管理システムまでデータがつながっている取引として、仕入納品書は、仕入れ量が多い順に10件自動化できている。仕入納品書の総量(EDIを除く)でいうと、約20%程度に相当する仕入れ先に適用している段階であり、1件の仕入先あたり月に100分、トータルで月に17時間弱の作業減を実現している。 注文書の方は5件自動化できているところであり、時間効率で換算すると、手作業の半分程度に抑えられている。


 またinvoiceAgentに関する導入効果については、保管コストや印刷コストの削減に加えて、管理部での契約書や経理人事・財務系などの重要書類を運用する際に、invoiceAgentのセキュリティ設定を使って安全に運用できるようになった。


情報システムサービス室 櫻田 のぞみ 氏

自動化領域をさらに進めて社内の業務負荷を減らす


 現時点で同社では、改正電帳法に対応したシステムと運用のためのルールが用意され、これから本格的にスキャナ保存からのOCRによるデータ化と、保存した電子帳票の運用が全社レベルで進んでいく計画である。


 「invoiceAgentを直接利用しているのはまだ一部の社員なのですが、今後他の社員にも周知して社内で電子文書の活用を定着させていく計画です。今後各拠点での利用や、今まで電子化できていなかった株主総会等議事録や稟議書、人事系書類などの電子保存を進めていくことで、もっと社内での評価が高まっていくものと考えています」(青木氏)


 外部との取引領域に関しても、現在現場を教育してOCR定義の作成を進めている導入過程の段階だが、それ以外に情報システムサービス室としても、さらなる入力作業の削減や帳票運用の自動化に向けて取り組んでいく。


 「今はまだ、販売管理システムから出ている納品書の受領書を登録する作業が電子化できていないため、お客様にサインしていただいた受領書をスキャンして電子化することに加えて、受領書を照合するまでのワークフローを電子化していく計画です。それも含めて現在、情報システムサービス室ではデジタル化やアプリケーション開発の内製を進めているので、ウイングアークには引き続き適切な対応および情報提供を期待しています」(中村氏)


システム構成図

Company Profile

丸木医科器械株式会社

設立:1965年2月
所在地:宮城県仙台市
事業内容:病院、医院の設備関係および医療器械器具の販売・医薬品の販売
URL:https://maruki-ms.co.jp/

(写真右より)
管理部 チームリーダー 青木 誠 氏
情報システムサービス室 室長 中村 隆 氏
情報システムサービス室 三野 宏之 氏
情報システムサービス室 櫻田 のぞみ 氏

導入製品

あらゆる帳票の仕分けから保管、検索、他システムとの連携も可能な文書管理ソリューションです。

 
このページのトップへ