導入事例

株式会社ディーアンドエムホールディングス

IT部門が環境を整備、業務部門が主体的にBIへ取り組む
~誰もが情報活用できるBIのあるべき姿を実践~
  • Dr.Sum EA
  • 機械・電気機器
Before
多様かつ大量データをExcelで処理するためには、フィルタリングをかけて対象を絞り込むとともに、仮説に沿ったシナリオをあらかじめ設定しておく必要がある。この複雑な処理のほとんどをマクロに頼っていた。年度初めに各国のアナリストから提示される要求が不明確なこともあり、アウトプットを提示する度に視点変更やレイアウト変更が発生し、1 ヶ月半くらいの期間を費やしていた。その後もメンテナンスのための手間が多く発生していた。
after
Dr.Sum EAであれば大量の生データをそのまま蓄積し、複雑な分析シナリオも『ビュー』として簡単に定義することができる。ウイングアークのBIコンサルティングによる短期構築サポートでそのメリットを最大限に活かし、Excel時代に苦労していたマクロ作成の手間から完全に解放。データ分析の下準備に費やしていた工数は、数百分の1に削減された。

導入背景

● Excelを利用して大量データを集計していたが、分析に至る前の下準備が煩雑で時間を要していた

● Excelのマクロに頼ったデータ分析では、作った本人以外にはアウトプットやメンテナンスができず、属人化してしまう

● Excelマクロでは、レポート化までの全工程に於いてほぼ手作業となるため、ヒューマンエラーが入り込むことがしばしばあった

導入ポイント

● 2005年にすでにDr.Sum EAが導入されており、全社で利用できる環境が整っていた

● ユーザーフレンドリーな操作環境

● IT部門とウイングアークのBIコンサルティングが緊密に連携し短期構築をサポート

導入効果

● いつでも、どこからでも、誰でも、同じデータを簡単に見ることが可能

● データの下準備の作業を自動化し、煩雑な手間を削減

● データに対するガバナンスを効かせるとともに、データ分析の中身を透明化

導入製品

Dr.Sum EA / Dr.Sum EA Datalizer for Web / Dr.Sum EA Datalizer for Excel /  Dr.Sum EA DataLoader / BIコンサルティングサービス

Company Profile

設立:2002年5月14日
所在地:神奈川県川崎市
事業内容:音響映像機器等の企画・製造・販売。主なブランドは、DENON、Marantz、HEOS byDenon、Boston Acoustics。HiFi製品はもとより、ライフスタイルにあわせて最適な視聴環境を提供するヘッドホンやネットワークオーディオなどの分野でも高い評価を獲得している。
株式会社ディーアンドエムホールディングス
DENON
DCD-2500NE(CDプレーヤー)
PMA-2500NE(プリメインアンプ)

株式会社ディーアンドエムホールディングス(以下、D&M)は、2002年にデノンおよび日本マランツの経営統合によって誕生した世界有数の音響映像機器メーカーだ。2005年よりDr.Sum EAを基盤とするBI環境の整備に取り組み、営業部門における品目別の売り上げや在庫照会、経理の予算実績管理、製造部門における有害物質検索など、様々な業務で成果を上げてきた。そして現在、BI環境の構築・活用の主体は、品質保証部や設計・開発部門(白河ワークス)といった、業務部門へと大きくシフトしている。IT部門の環境を整備し、業務部門が主体的にBIへ取り組むことで、現場のニーズに合致した活用を実践している。

Part 1 品質保証部における「修理データの分析」

顕在化していた、Excelを利用するがゆえのデータ分析の属人化

D&Mは、100年の歴史を持つ「DENON」をはじめ、「Marantz」や「Boston」などのブランドが培ってきた技術・ノウハウをもとに、オーディオ&ビジュアル機器の製造・販売を手掛け、フィールドを世界中に広げている。

その高品質のものづくりを支えているのが、不具合に関する絶え間ない情報収集と分析への取り組みだ。品質保証部 CSグループのシニアマネージャーである中井 和宏氏は、このように語る。

「アメリカ、ヨーロッパ、アジア、日本の4つの主要リージョンをはじめ、世界各国で販売された製品に、どんな種類の故障がどれだけ起こったのか、原因はどこにあったのか、どんな修理を行ったのか、1件1件のデータを日本に集めて集計・レポートし、毎月の品質会議で精査を行い、結果を設計・開発部門にフィードバックします」

ただ、この取り組みは大きな問題を抱えていた。D&Mでは世界各国から集まる修理データをExcelに取り込んで集計していたのだが、そのデータ件数は月間約数万件にも及んでおり、キャパシティもパフォーマンスも限界に達していたのである。加えて顕在化していたのが、データ分析の属人化の問題だ。

品質に関する実態や傾向を正確に判断するうえでは、単に修理台数を販売台数で割った不良率だけを追いかければよいわけではない。

販売や顧客の満足度に大きな影響を与える項株式会社ディーアンドエムホールディングス目に対して、品質改善の効果が目標どおりに表れているのかなど、D&M独自のKPIを見える化したレポーティングが必要とされる。「その仕組みをすべてExcel のマクロで作り込んでおり、作った本人以外には中身がわからず、レポートのアウトプットもメンテナンスもできない状態でした」と中井氏は語る。

BIコンサルティングによる短期間での構築

そこで目を付けたのが、IT 部門の主導によって社内に導入されていたDr.Sum EAだ。「修理データを個人PCではなく、全社共通のデータベースに集約することでガバナンスを効かせ、データの透明度を高めることができます。

また、品質に関わる多様な部門のマネージャーや担当者に向けて、より簡単かつ便利に分析結果を利用できる環境を提供したいと考えました」と中井氏は語る。

こうして品質保証部CSグループが中心となり、2010年11月にDr.Sum EAを基盤とした「Quality Report」の構築に着手。ウイングアークのBIコンサルティングによる構築支援を受け、2011年2月に早くも運用にこぎつけた。

品質保証部CSグループの技師である西村 道男氏は、「BIコンサルティングの方々は、Excel に取り込んでいるデータやマクロの処理内容、アウトプット形態を素材に議論を重ねる中から私たちの意図を理解し、単に現状を再現するだけでなくユーザーインターフェイスを大幅にブラッシュアップするなど、プラスアルファの構築を短期間で実現してくれました」と評価する。

「Quality Report」の数字がグローバルの“共通言語”にQuality Report の効果はすぐに表れた。これまでとは比較にならないほどの、自由度の高い柔軟なデータ分析が可能になったことも大きな成果の一つである。

「以前は各地域から不具合に関するデータを集め、Excel に取り込む下準備だけで2週間程度かかっていました。この作業が自動化されたことで煩雑な手間はほとんどなくなり、その工数をモデルや地域などの切り口を変えた分析や、生データに遡った原因追及などに割けるようになりました。また、Dr.Sum EAのデータベースには直近のものだけではなく、過去10年分の不具合データが蓄積されている

ため、任意の期間の比較も簡単に行えます」と西村氏は語る。

中井氏も、「いつでも、どこからでも、誰でも、同じデータを簡単に見えるようになったことで、Quality Report がグローバルの“ 共通言語”となりました」と、その成果を語る。

以前は、各リージョンの営業部門が独自の判断で集めた修理データを、各自のロジックで加工・分析するケースも一部に見られた。あいまいだった指針がQuality Reportに完全に統一されたことで、そうした余地がなくなり、グローバル全体で共同歩調をとれるようになったのである。

また、データ分析の属人化が解消されたことで、特定の人物に負担が集中することもなくなった。実際、2015年末にはデータ分析の

キーマンである西村氏が突如、1ヶ月近く病気で出社できなくなってしまったのだが、業務への支障を避けることができた。

「Excel を利用していた時代であればタイムリーに月次レポートを出すこともできず、品質会議を開催できないような事態に陥っていたでしょう。Dr.Sum EA を基盤とするQuality Report によって、システマチックなデータ分析の体制が整ったことが実証されました」と中井氏は語る。

Part 2 白河ワークスにおける「ユーザー操作ログ分析」

製品の使われ方をインターネットで収集

福島県白河市にある白河ワークスでは、2015年4月からDr.Sum EAを使用したDENON、Marantzブランドのユーザー操作分析や新機能稼働率等の分析が始まった。

現在、D&Mが注力している製品の一つに、主に欧米のホームシアター市場で高いシェアを誇る「AVR(AVサラウンドレシーバー)シリーズ」があり、この各モデルに数年前からインターネット接続機能を搭載。ユーザーの合意を得たうえで、「どのようなセッティングや操作を行ったのか」といった情報を収集している。

グローバル プロダクト ディベロップメントソフトウェア エンジニアリングの今濱 由晴氏は、その狙いを次のように語る。

「新しいユーザー層を開拓していくためには、既存のモデルがどのような使われ方をしているのか、電話やアンケートでは不可能な詳細なデータを収集し、潜在的なニーズがどこにあるのかを掘り下げていく必要があります。

例えば、オンラインミュージックやインターネットラジオなどの視聴頻度が高いという事実が明らかになったら、その機能をより便利に簡単に利用できるユーザーエクスペリエンスを提供するという方向を定め、新モデルの開発を進めることができます」

分析のシナリオや結果を“全員”で共有する価値もちろん、これまでもデータ分析が行われていなかったわけではない。先述の品質保証部における取り組みと同様、白河ワークスでも代表的な販売先であるアメリカ、ヨーロッパ、アジア、日本の4つのリージョンごとに収集したデータをExcel を用いて処理し、それぞれ約60ページに及ぶレポートを毎月出力していたが、「その作業負担は、個人レベルでの対応範囲をはるかに超えていました」とグローバル プロダクト ディベロップメント エンジニアリング システムソフトウェアの黒石 英輔氏は振り返る。

AVRシリーズからインターネット経由で直接収集するセッティング・操作データは、150~200項目にわたり、月間のデータ量は約10万件に達する。このような大量・多様なデータをExcel で処理するためには、フィルタリングをかけて対象を絞り込むほか、「ユーザーはこんな使い方をしているのではないか」という仮説に沿ったシナリオをあらかじめ設定しておく必要がある。こうした複雑な処理のほとんどをマクロに頼っていたのである。

狙いどおりの結果に辿り着くまでに何度も試行錯誤を繰り返すことになり、検証とバグ修正にも手間をとられ、膨大な時間を費やしていた。「年度初めに各国のアナリストから提示される要求が不明確なものであり、アウトプットを提示する度に視点変更やレイアウト変更が発生し、1ヶ月半程度の期間を費やしていました。さらに、毎月のレポーティング作業も2~3日の時間を要していました」と黒石氏は語る。

そして、この課題を解決する手段として、黒石氏は当初、他社セルフサービス型のBI ツールに興味を持ち導入を検討していた。まさにそのとき、IT 部門からすでに社内に導入済みだったDr.Sum EAの存在を知らされたのだ。

「最初のうちは、当初検討していたBI ツールに後ろ髪を引かれる思いもありました。しかし、そのセルフサービス型のBIツールは、どんなに高機能な分析機能を備えていたとしても、恩恵を受けるのは“個人”に限定されてしまいます。これに対してDr.Sum EAでは、必要なユーザーに広くアカウントを配布し、分析のシナリオや結果を“ 全員” で共有することができます。これこそがBI ツールのあるべき姿であることに気づいたのです。Dr.Sum EAを利用できたことは結果として非常に良かったと思います」(黒石氏)

「今ではグローバルで利用されており、設計・開発部門はもちろんのこと、役員であっても見たいときに自分で画面を開いて確認しています」(今濱氏)

また、Dr.Sum EA であれば大量の生データをそのまま蓄積し、複雑な分析シナリオも「ビュー」として簡単に定義することができる。「ウイングアークのBI コンサルティングによる短期構築サポートのおかげでDr.Sum EAのメリットを活かし、Excel 時代に苦労していたマクロ作成の手間から完全に解放されました。毎年1ヶ月半かけていた年度初めのマクロの作り直し作業がなくなり、また毎月のレポーティング作業はデータをインポートする1~2時間程度の作業になりました。これらの工数は導入前の数百分の1に削減されています」と黒石氏は強調する。

このBI 環境は、白河ワークスに着実に根付いている。

「現在では、どんな機能が使われているのか、あるいは使われていないのかという数字が誰でもすぐに把握できると好評です。これまでも明確なデータに基づいて議論と意思決定が行われていましたが、すぐに全員で数字を共有できることが合意形成にも役立ち、意思決定のスピードを加速させています。私自身は社内研修会や日頃の業務で使い方を啓蒙しているうちに、チームや部門を超えて相談を受けるなど頼りにされる存在になり、社内での知名度も上がりました(笑)」と今濱氏は語る。

この成果を受けて白河ワークスでは、ユーザー使用状況レポートの対象をさらに「HiFimini」の製品ラインナップにも横展開していくほか、経理部門でのロイヤリティ管理での活用も計画している。

Part 3 現場のBI活用をサポートするIT部門

業務部門が必要とする情報とBI環境を一元的に提供

IT 部門がDr.Sum EAを導入したのは2005年に遡る。基幹システム(SAP ERP)から収集したデータをもとに、品目別の売上や在庫照会、営業所別の売上実績、販売速報や倉庫在庫のほか、経理の予算実績管理などの集計業務やレポートの作成に活用したのが最初だ。

その後、製造部門における有害物質検索や集計処理といった業務でもDr.Sum EAの活用は進んでいる。

この結果、D&Mのグローバル全体におけるDr.Sum EAのユーザー数は、200名を超えるまでになった。

とはいえ、「様々な業務におけるBI 活用の成熟度は、まだまだ十分なレベルに達しておらず道半ばです」と語るのは、ITマネージャーの中島 俊夫氏である。

「営業部門を中心にExcel に対する信奉は根強く、実際にそれで日常の大半の仕事をこなせるだけに考え方を変えることが難しいのです。仮に担当者がダウンしてしまった場合、そのデータをチームや部門で拾い上げて活動を継続できるのかというところまで意識が回っておらず、上長レベルで危機感が高まっています。また、レポートを作成するだけで精一杯となり、データ活用まで手が回らないことも多いと聞きます」

そこで、IT 部門では社内研修会の開催を通じて、業務部門の担当者も巻き込んだBI ツール活用への積極的な啓蒙活動に努めているという。社内研修会では、品質保証部や白河ワークスの活用法を紹介。参加者が利用のイメージがしやすいこともあり、「自分たちも使ってみたい」という声につながっている。

一方、従来のようにIT部門自らが前面に立ってシステム構築に乗り出すのではなく、様々な業務部門の取り組みや要望を支援していく形態を取っている。ITマネージャーの岡本 俊行氏は、「業務部門が必要とする情報をとりまとめて一元的に提供していくことが重要です。

BI 環境の整備や基幹システムとの橋渡しを行うところまでがIT部門の役割。その後のデータ分析については、業務部門自身が主体となって取り組んでこそ、現場の意識を変えていくことができ、スピード感をもった課題解決にもつながっていきます」と語り、ウイングアークとの共同体制で、各部門を支援していく考えだ。

また、新たなアプローチとして、ダッシュボード製品の「MotionBoard」の導入を決定。グローバル展開するビジネスに、より直感的かつリアルタイムに情報活用できる体制を目指している。

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