導入事例

株式会社SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズ

“ブラックボックス化している分析ロジックを若い世代に継承したい”
BIダッシュボードによる製造力改革
  • MotionBoard
  • 製造
Before
Accessから直接レポートを作成することができず、集計結果をいったんExcelに送ってグラフやチャートを作成するなど体裁を整えていた。このプロセスに常に人間が介在し、非効率的な作業を繰り返すことになっていた。加えて作られたレポートは定型的なもので、視点やデータの粒度(メッシュ)を柔軟に変更することができなかった。
after
製造メンバーを集めてミーティングを行う際にも、説明の流れに沿ってフレキシブルに画面を切り替えることができ、問題点や要因の説明を行う上で非常に役立っている。単なる集計表ではなくグラフやチャートによって一目瞭然で理解できる、可視化の効果も大きなインパクトをもたらしている。

導入背景

● AccessやExcelを利用したレポート作成では体裁の加工を手作業に依存することになり、現場で無駄な工数が発生していた

● レポート作成のタイミングが月次のため、最新のデータを閲覧できない

● データ集計や分析のロジックがブラックボックスでノウハウの継承が難しい

導入ポイント

● リコーのグループ会社における生産現場のKAIZEN活動への活用実績

● 様々なBI市場シェアの指標の中で、トップ3以内にランキングしている安心感

● サーバーライセンスのため、ユーザーを限定しない全社的な利用が可能

導入効果

● 半年の短期間で50種類を超える既存レポートをダッシュボードに移行

● 視点の切り替えやドリルダウンなどの動的な操作を、その場で簡単に実行

● 日次でデータを閲覧できるようになり、経営陣の意思決定を迅速化

導入製品

MotionBoard / Dr.Sum EA

Company Profile

所在地:京都市上京区
事業概要:印刷関連機器事業は、インクジェット技術を応用したデジタル印刷機を中心に、印刷工程の合理化と印刷品質の向上に貢献するソリューションを提供。プリント基板関連機器事業は、直接描画技術や画像処理技術などのコア技術を基に、微細化が進む配線パターンを迅速かつ高精細に描画・検査する装置やサービスを提供。

 

株式会社SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズ

製造統轄部 統轄部長 穴吹 栄満 氏

株式会社SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズは、原価管理や在庫管理などの様々なKPI(重要評価指標)を可視化することで、効率的かつ高品質なものづくりを追求している。しかし、現状のAccessやExcelを使ったレポート作成では、グラフやチャート作成などの加工を手作業に頼ることになり、現場で無駄な工数が発生していた。また、データ分析のロジックがブラックボックス化していたため、ノウハウの共有や継承が進まなかった。この課題を解決したのが、Dr.Sum EAとMotionBoardだ。既存の定型的なレポートを、画面を動的に切り替えながら操作できるダッシュボードに移行するとともに、予実達成の推移についてはデジタルサイネージに表示することで部門全体の達成意識を高めている。

ブラックボックス化している分析ロジックを若い世代に継承したい

株式会社SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズは、株式会社SCREENホールディングス(旧、大日本スクリーン製造株式会社)の主要なグループ会社のひとつ。印刷工程で使用される様々な機材やサービスを提供する印刷関連機器事業、電子機器のプリント基板を製造するための装置やサービスを提供するプリント基板関連機器事業を主事業としている。

同社が、事業の競争力を高めるために注力しているのが、製造に関する各種KPI(重要評価指標)の可視化だ。同社の基幹システムはSAPERP上で運用されており、そこから製造に関するデータを日次バッチでデータウェアハウス(Microsoft SQL Server)に収集・蓄積し、原価管理や在庫管理を行う上で必要となるデータ集計や分析をAccessで行ってきた。

しかし、「そこに大きな課題がありました」と話すのは、同社 製造統轄部の統轄部長を務める穴吹 栄満氏だ。

「Accessから直接レポートを作成することができず、集計結果をいったんExcelに送ってグラフやチャートを作成するなど体裁を整えなくてはなりません。このプロセスに常に人間が介在するという非効率的な作業を延々と繰り返していたのです」

さらに、穴吹氏が懸念していたのが、データ分析ノウハウの継承だ。データウェアハウスに対して目的とするデータの検索を行うAccessのクエリーの大半は穴吹氏によって作られたもので、製造統轄部内の他のメンバーがその処理内容をトレースすることは容易ではない。すなわち、分析ロジックがブラックボックス化していたのだ。

「定型化されたデータ集計や分析を行っていればよいというわけではなく、事業を取り巻く市場トレンドや顧客ニーズなどの状況変化に応じて、KPIそのものを常に見直し、切り口やデータのメッシュ(粒度)を柔軟に変更しながら分析を行う必要があります。属人化しているこのノウハウを、どうやって若手を中心とするメンバーに継承していくのか―。なんとしてもデータ分析に対する“ 勘所” を製造現場で育成し、定着させる必要があったのです」

可視化されたデータは全員が共有できなければ意味がない

こうした悩みを、長年のSIパートナーであるリコージャパンに打ち明けたところ、提案されたのがDr.Sum EA とMotionBoardを用いたBI 基盤だった。

リコーのグループ会社であるリコーインダストリー株式会社は、Dr.Sum EAをベースに生産現場に密着したデータの可視化によってKAIZEN活動を支援するBI 基盤を構築。2008年から現在まで運用を続ける中で、生産工程の最適化や品質向上、コスト削減につながる大きな成果を上げている。この実績に裏付けられた提案に、穴吹氏は心を動かされた。

「正確な数字がシステムから自動的かつタイムリーに提示され、その指標に基づいて現場の担当者が対策や改善のためのアクションを迅速に起こせる仕組みが、非常に上手く構築されていると感じました」

国内におけるBI ツールの市場シェアで、ウイングアークの製品が多くの調査でトップ3にランクインしていたことにも、大きな安心感があった。

そして決め手となったのが、他社の多くのBIツールに見られるユーザーライセンスではなく、サーバーライセンスで利用できるメリットだ。「BIの目的のひとつに“ 見える化” がありますが、この“ 見える化” は多くの人の目に触れなければ意味がありません。メンバーを限定することなく関係者全員で共有するという要件を満たしてくれるBI ツールは、他に見当たりませんでした」

こうして同社は2014年末、Dr.Sum EA およびMotionBoardの導入を決定した。

ミーティングの流れに沿って画面を切り替えながら状況把握

2015年2月までに基盤構築を終え、3月からさっそくダッシュボードの構築を開始した。第1ステップの目標は、これまでAccess やExcel を用いて作成していた約50種類の月次レポートの移行だ。複雑なデータの前処理が必要であり困難が予想された1本を除き、ダッシュボードについてはすべて内製化するという基本方針で臨んだ。

「自分達で必要なものを作るというのが大事な条件です。最初のうちはボードひとつを作るのに1時間以上かかっていましたが、だんだん慣れて要領を掴むにつれ、業務の片手間で10分もあれば作成できるようになりました。この結果、半年間で既存レポートのほぼすべての移行を完了しました」と穴吹氏は語る。ダッシュボードを使い始めると効果はすぐに表れた。従来のAccessやExcelによる定型的なレポートと違い、MotionBoardを用いたダッシュボードでは視点の切り替えやドリルダウンなどの動的な操作を、画面上から簡単かつ迅速に実行することができる。

「製造メンバーを集めてミーティングを行う際にも、MotionBoardを使えば、説明の流れに沿ってフレキシブルに画面を切り替えることができ、各自の状況把握を促す上で非常に役立っています。単なる集計表ではなくグラフやチャートにすれば一目瞭然で理解できます。ビジュアル化による分かりやすさも製造現場に大きなインパクトをもたらしています」

また、MotionBoardによるダッシュボードは、製造現場のみならず経営陣の間でも利用が定着しつつある。

「これまで経営会議などに向けて提供してきた定型レポートは月次が基本でしたが、MotionBoard によるダッシュボードには日次のデータが反映されています。これにより経営陣は日次でダッシュボードを確認することができ、最新データに基づいて迅速な意思決定を行えるようになったと高く評価しています」

デジタルサイネージを設置し製造部門全体の達成意識を高める

2015年9月には、MotionBoardによるダッシュボードを大画面に表示するデジタルサイネージも設置された。画面には、KPI の中でも特に重要な、「欠陥コスト」「変動費率」「在庫」の3つの項目について、その達成度が表示される。

今期の目標値に収まっているものは「青」、目標値を少し超えているものは「黄」、目標値を大きく超えているものは「赤」で表示される。製造統轄部の部員がこの画面を日々目にできる状況にある。

「部員は、自分の担当が置かれた状況をある程度把握できていますが、日々の業務に追われる中で、つい現実から目をそらしてしまうことがあります。常に客観的な“ 事実” が明らかにされ、その状況を周りのメンバーからも見られているという、緊張感を持ってもらいたいと考えました」と、穴吹氏はその狙いを語る。

デジタルサイネージに示されている各項目は、複雑な要因が絡み合っているため、実績が見えたからといってすぐに改善を図れるような単純な問題ではない。それは上層部としても十分に分かっているが、だからといって手をこまねいているわけにはいかない。

目標達成のために部員は、小さなことからでも何らかのアクションを起こして努力を重ねてほしい。周りのメンバーも当事者意識を持って課題を直視し、気づいたことや改善のための良いアイデアがあればどんどん伝えてほしい―。

デジタルサイネージには、そんな思いが込められているのだ。

様々な周辺システムからもリアルタイムにデータを収集

こうして築き上げてきた土台をもとに、2016年下期からいよいよ第2ステップに向けた取り組みを本格化させる計画だ。テーマは、製造現場におけるデータ分析の“ 勘所” の育成である。

穴吹氏がサンプルとして取り上げるのは、サプライヤーに対する評価を可視化したダッシュボードだ。「購入額(縦軸)」と「評価点数(横軸)」からなるマトリックスに各サプライヤーを位置づけて表示するもので、「評価が低いにもかかわらず取引が多いサプライヤー」、逆に「評価が高いにもかかわらず取引が少ないサプライヤー」といった存在が一目瞭然で明らかになる。これをもとに今後どのサプライヤーからの調達に重点を置くべきか、どのサプライヤーを育てる必要があるかの重要な判断材料となる。

「BI ツールの活用において重要なのは、データの“ 見方” につながるそもそもの発想です。それがなければ、それを具現化するダッシュボードの作成には至りません。現場の一人ひとりのメンバーの問題意識をいかに高めることができるか、自分なりの仮説を立てる力をどうやって育成できるかにかかってきます。幸いなことにMotionBoard に定義されたロジックは、Accessのクエリーと比べるとはるかに読み解くことが簡単です。メンバーには、中身に踏み込んだ理解を促していきたいと考えています」と、穴吹氏は地道な教育と啓蒙を進めていく考えだ。

併せて、基幹システムに限らず製造現場に存在する様々な周辺システムからのデータ取り込みを推進していく予定だ。

「SAP ERPからデータを取り込むタイミングは、本番業務に負荷をかけられないため日次が限界ですが、周辺システムからは1時間や10分間隔といった短サイクルでのデータの取り込みも可能です。これによってリアルタイムに近い状況の可視化やデータ分析を実現したいと考えています。周辺システムとBI は一体運用していくのが理想的で、現場の多様なデータを簡単かつ素早く見られる環境を整えることが、一人ひとりのメンバーのより豊かな発想の育成につながると思います」と穴吹氏は語る。

国産ベンダーならではサポート力グループ会社への水平展開も決定順調に進んできたと見られるSCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズにおけるBI 導入の取り組みだが、その過程でまったく苦労がなかったわけではない。

例えばAccess およびExcel で作られた既存のレポートをダッシュボードに作り替えるにあたり、データ移行を一つひとつ手作業で行わなければならないという問題に直面し、スケジュールの大幅な遅れが危惧された。

この相談を受けたウイングアークは、営業が迅速に開発部隊に働きかけ、データ移行を一括して行うユーティリティを提供することで問題を回避した。

「おかげで予定どおりのスケジュールで、BI 導入が実現できました。『このデータ移行ユーティリティは他のユーザーの案件をはじめ、Dr.Sum EAやMotionBoardの次期バージョンの開発でも必ず役に立ちますから』と快く対応してくれました。また、導入後の大きな不満がありません。これはすごいことだと思います。Dr.Sum EAとMotionBoardを選んで良かったです」と、穴吹氏はその対応を高く評価する。

なお、今回構築したダッシュボードは、他のグループ会社の目に留まり、ほぼ同じ基盤の導入が決定した。穴吹氏の現場変革への思いから始まった情報活用が、SCREENホールディングスのグループ全体に広がりつつある。

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