自動化・効率化によって、従業員のデータへの気づきを促し、 「同時多発DX」を起こすことで企業を変革

Company Profile

社名:ナトコ株式会社
事業内容:塗料・インキ・合成樹脂・ファインケミカル製品の製造・販売及び関連商品の販売
設立:1948年11月1日
URL:https://www.natoco.co.jp/
業種:製造
規模:221名(臨時従業員及びパートタイマーを除く)
利用製品:invoiceAgent 文書管理、dejiren
用途:電子帳簿保存法対応/経理業務の効率化/ファイル管理の自動化及び検索の簡易化

お話を伺った方

ナトコ株式会社
取締役 専務執行役員
山本 豊氏

ナトコ株式会社
経営管理部 情報システムグループ マネージャー
水野 敦之氏

  • AI
  • DX
  • 業務効率化
  • 自動化
  • 製造業

創業以来、常に時代の先端をいく塗料を送り出してきたナトコ株式会社は、「ファインケミカル事業」「塗料事業」「蒸留事業」を展開しています。同社はDXによる業務の自動化・効率化に取り組むとともに、データ活用を積極的に推進。invoiceAgentやdejirenによって、誰もがデータを活用できる環境の実現を目指しています。DX推進の背景やツールの活用方法、DXがもたらす企業変革などについてお聞きしました。

より効率的な業務の実現、意思決定への活用を目指し、データ活用基盤を整備

ナトコ株式会社(以下ナトコ)は「ユニークな発想で新しい価値を創造する」をミッションに「ファインケミカル事業」「塗料事業」「蒸留事業」を展開しています。1948年の創業以来、常に時代の先をいく高品質な塗料を世に送り出してきました。現在は海外拠点の拡充で、さらなる事業拡大に取り組んでいます。

1999年にいち早く社内ポータルを立ち上げ、社内の情報共有を促進。その後、販売部門、会計部門、生産部門などのシステムを整備するとともに、それらをEAIツールによって連携させ、全社のデータを集約・活用できる基盤づくりを進めています。

取締役 専務執行役員の山本 豊氏は、データ活用を軸としたDXについて次のように話します。

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▲山本氏

「目的は大きく2つあります。1つはより効率的な業務を実現すること。たとえばお客様やお取引先、関連会社と様々なデータを共有することでお互いの状況を瞬時に把握できるようになります。もう1つは意思決定や経営への活用。データによって現状を把握し、それを元に施策を立てPDCAを回していきます」。 

山本氏はデータ活用を推進するためには、一人ひとりがデータの意味や活用することで何ができるのかを理解し、成功事例を生み出すことで、従業員の気づきや意識変革を促すことが必要だと指摘します。 

自動化・業務改善で「余裕」を生み出し、データの意味や重要性への気づきを促す

経営管理部 情報システムグループ マネージャーの水野 敦之氏はナトコで社内ポータルによる技術情報の共有などを進める一方、自動化による業務の改善を数多く進めてきました。たとえば同社の製品が出荷される際、研究所の事務担当者には顧客へ検査表を提出する業務があります。しかし担当者は出荷されたという情報を直接得られないため、社内ポータルから出荷情報を調べ、検査システムから検査データを引き出し、コピー&ペーストして顧客に送るという作業を行っていました。そこで、出荷情報のチェックから、検査情報の取得、担当者への連絡というすべての作業を自動化する仕組みを構築しました。

水野氏は

「業務の流れを変えずラクになることは、従業員にとって一つの成功体験になります。これまでやっていた大変な作業は何だったんだ?という思いが、日々疑問を持たずに行っている業務を考え直すきっかけになります。やるべきことを便利にするのではなく、当然のようにやっている業務をやめられないか考えてみる。大事なのは自動化による業務改善で、従業員の余裕を生み出すこと。余裕がなければデータの意味や活用を考えることは難しい」。

と語ります。

invoiceAgent、dejirenでデータ活用しやすい環境を実現し、ナレッジマネジメントを推進

ナトコは電子帳簿保存法に対応するため、20217月にinvoiceAgentを導入しました。

水野氏はグループウェアと複数のアプリを組み合わせ、支払依頼書に関連する領収書などの信憑書類を経理グループに送り、担当者が確認後、invoiceAgentにアーカイブする仕組みを構築。大幅な業務改善を実現しました。

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▲水野氏

「電子帳簿保存法への対応はどちらかというと保存に特化した使い方ですが、今後はinvoiceAgentを書類のデータベースとして活用したいと思います。安全に文書を保管するとともに、データベースとしても使えるinvoiceAgentはまさに理想的なツールでした。しかし誰もがinvoiceAgentの機能を使いこなすのは難しい。そこでクローズアップされたのが『dejiren』でした」(水野氏)。

dejirenは複数のサービスを横断する業務フローをノーコードで作成でき、バーチャルアシスタント(VA)が業務フローを自動処理&データ収集することで、効率化に大きく貢献します。

水野氏はnest Membership Portalにブログ「dejirenのお時間です」を連載し、dejirenの機能や活用方法などをわかりやすく解説し、広い層に向けて情報発信しています。

前述の経理関連業務では、dejirenを活用することで誰もが簡単に文書ファイルを検索し、文書閲覧権限のコントロールを容易に行えるようになります。また、各種精算書や許可証などのファイル名を読み取って振り分け、担当部署に送付することも可能です。他にもMotionBoardと連携させ、生産現場において設定しておいた数値を外れる事象が発生した際、担当者に過去事例とともにお知らせするなど、活用方法は数多く考えられます。

「データとデータを繋いだら、次は人と人、人とデータを繋ぎたいと考え、dejirenの活用を始めました。手順書を書くだけで様々な業務をこなしてくれる有能なアシスタントであり『デジタル社員』です。dejirenを使いこなすことで、人は人が本来やるべき仕事に専念することができます」(水野氏)。

水野氏は今後、invoiceAgentとdejirenをナレッジマネジメントに活用していく意向です。

「技術関連のデータは膨大で、ベテランと若手では必要な情報を見つけ出す能力に差があります。若手でもdejirenを活用することで、invoiceAgentのデータベースに保存された情報に簡単にアクセスできるようになります。また、実験中に記したメモや撮影した写真なども保存し、dejirenで容易に呼び出せるようにしていきます」(水野氏)。

さらにAIと組み合わせることで活用法はさらに広がっていきます。invoiceAgentに保存された文書ファイルの内容をAIが読み取り、要約するという活用法も検討中です。

積極的な発信で「同時多発DX」を起こす。データへの理解を深め、企業変革を実現

水野氏はnestで活発に活動し、登壇やSNSを通して積極的な発信を続けています。

dejirenを軸に成功しそうなタネをたくさん撒くことで関心と理解を広げ、いろいろな場所で『同時多発DX』が起こることを目指しています。私自身もnestでの交流を通じて他社の取り組みや考え方を吸収することができ、得られものは大変大きいです。自分が発信すればするほど、受け取るものも大きいと実感しています」(水野氏)。

dejirenを使いこなすコツとして、水野氏はまずは少しずつでも触ってみて、外国語を習得するように慣れながら学んでほしいとアドバイスします。

水野氏は

「バーチャルアシスタントという『デジタル社員』を受け入れることは、深刻化する人材不足という課題を解決する鍵になると思っています。デジタル社員には人間に対するのと同じやり方で仕事の手順を伝えることができませんし、人間と同じことができるわけでもありません。そのため、なんとかうまく使いこなそうと工夫を重ねることになります。デジタル社員の上手な活用法を考える過程で人間の社員がやるべき仕事、デジタル社員のやるべき仕事が明確に別れてくるので、それがDXの糸口になると考えています」

と話します。

山本氏は

「自動化・効率化を積み重ねることで、従業員がデータの重要性を意識する機会を増やしたい。データ活用への理解を深め、それを企業変革へと繋げていきます」

と語りました。

ナトコの2030年ビジョン「あらゆる表面のリノベーション&イノベーションカンパニーへ」の実現をDXが強力に後押ししていきます。

※「dejirenのお時間です」はこちらからご覧ください。ご覧いただくにはnest Membership Portalへの登録(登録無料)が必要となります。

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▼編集後記

「ツールを入れたら終わり」ではなく、データ活用や自動化を"身近なもの"として捉えるためのヒントが詰まっていました。難しそうに思えるDXも、小さな成功体験の積み重ねで、誰でも一歩ずつ進めることができる----そんな前向きなメッセージを感じました。
そして何より取材で印象的だったのは、山本さん、水野さんの深い信頼関係。
経営のビジョンに対して現場が柔軟かつ的確に応え、さらに創意工夫を加えて前進している姿勢はDX推進の理想形を体現しているようでした。
現場の巻き込み方に悩んでいる方、経営と現場の橋渡しをしたいと考えている方に、ぜひ読んでほしい事例です。

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カスタマーマーケティング室 大野