RPA活用に不可欠なinvoiceAgent AI OCR導入によって 本社管理本部の作業時間を250時間/月削減 自動化と精度の両方を最大化するために不可欠な人のチカラ

Company Profile

社名:株式会社三條機械製作所
事業内容:産業機械製造及び設置工事 ・鍛工品製造
設立:1942年7月31日
URL:https://www.sanjokikai.co.jp/
業種:製造
規模:社員数470名(2025年4月1日現在) 
利用製品:invoiceAgent AI OCR
用途:勤怠データ修正申請書のデータ化/鍛造金型棚卸票のデータ化

お話を伺った方

株式会社 三條機械製作所
取締役 本社管理本部長
立神 剛氏

株式会社 三條機械製作所
本社管理本部 本社管理部 情報システム課 主幹
阿部 修策氏

株式会社 三條機械製作所
本社管理本部 本社管理部 情報システム課
増田 雄太氏

株式会社 三條機械製作所
本社管理本部 本社管理部 情報システム課
小島 健汰氏

  • AI_OCR
  • DX
  • RPA
  • バックオフィス改革
  • 作業時間削減
  • 業務効率化
  • 自動化
  • 製造業

株式会社三條機械製作所は1942年の設立以来、卓越した技術によるものづくりを続け、高い評価を集めてきました。業務プロセス改革を目指す同社は、2021年よりRPA導入を進め、invoiceAgent AI OCRと組み合わせることで、工数削減による大幅な効率化を実現しています。導入の背景や取り組み、実際の成果、将来展望などについてお伺いしました。

業務プロセス改革、工数削減により品質と生産性を向上

株式会社三條機械製作所(以下三條機械製作所)は産業用機械、自動車用部品などの鍛工品、プラント設備、ラベル印刷機、ロータリーダイなどの製造・販売を行っています。機械部門では設計から製造・組立まで、鍛造部門では素材の開発から製造・加工・組立までの一貫生産を行い、1942年の設立以来、長年培った技術力を結集することで世界から評価されるものづくりを続けています。

同社は業務プロセス改革に積極的に取り組み、業務の標準化・共通化を進めるとともに、生産管理システムの刷新プロジェクトを進めています。

本社管理本部長として、全社のIT戦略を統括する立神 剛氏は次のように話します。

「弊社の最大の差別化ポイントは品質です。お客様に三條機械製作所でなければと選んでいただくことが重要です。品質を維持・向上していくためには熟練工の技術が欠かせません。暗黙知を含んだ熟練工の技術すべてを可視化することはできませんが、できる限りの可視化を行うとともに、業務プロセスの標準化・共通化によって、技術の継承と人材育成、品質向上を進めていきます。また、業務プロセスをよりシンプルに効率化することで、工数が削減され、生産性や競争力を高めることができます」。

三條機械製作所は2021年4月よりRPA導入プロジェクトを開始し、RPAツールとinvoiceAgent AI OCRを導入。2024年8月時点で、全社で300時間/月の作業時間削減を実現しています。

立神氏は導入におけるポイントを

「現場へのヒアリングと説明を十分に行い、理解と合意を得た上で進めることが重要」

と話します。

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▲立神氏

RPAとOCRを組み合わせ、本社管理本部では約半年で188時間/月削減


三條機械製作所は2021年7月にinvoiceAgent AI OCRを導入しました。導入の背景を本社管理部 情報システム課 主幹の阿部 修策氏は次のように語ります。

「導入前にRPAによって得られる効果を算定しました。弊社には手書きよる紙の帳票が多く、それらすべてを電子帳票に切り替えるのは困難です。RPAの効果を最大化するには、OCRの導入が不可欠という結論に達しました。そこでRPAとOCRを組み合わせ、本社管理本部の総務・人事・経理などバックオフィス部門の業務効率化を目指しました」。

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▲阿部氏

最初に取り組んだのは勤怠データ修正申請書でした。タイムカード打刻を打ち忘れた人が出退勤の時刻修正を申告する帳票です。

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従来、各事業部門の事務担当者は、提出された紙の勤怠データ修正申請書を元に手作業で入力を行い、それを本社管理本部の勤怠担当者へと渡し、チェックと勤怠管理ツールのデータ修正が行われていました。

invoiceAgent AI OCR導入後は、申請書を複合機でスキャンしOCRでデータを読み取り、本社の担当者がチェック。そのデータをRPAが勤怠管理ツールに渡すことで業務が完了します。

「開発当初は完全自動化を目指していました。しかし、どれだけチューニングに時間を費やしても、OCRの精度は100%にはなりません。そこでOCRを行った後に、人によるレビュー(チェック)をはさむ運用とすることで、2021年11月に稼働させることができました」(阿部氏)。

次に取り組んだのが鍛造金型棚卸データの作成でした。金型の棚卸データは製造現場だけでなく、償却など経理業務でも必要とされます。従来は情報システム課のメンバー5~7人が手書きの棚卸帳票を手分けしてExcelに入力し、複数のExcelデータを1つのシートに集約。その作業をもう一度繰り返し、1回目と2回目の差を取ってデータ修正を行い、基幹システムに送っていました。

invoiceAgent AI OCR導入後は棚卸帳票を複合機でスキャンし、OCRで読み取ったデータをレビュー。レビューを終えたCSVデータをRPAツールが基幹システムに送るというプロセスに変更しました。

スキャンされた紙の帳票はPDF化され、社内サーバーに保存されます。社内サーバーをinvoiceAgentのBridgeサービスが監視しており、そのPDFファイルを社内のクラウドサービスへとアップ。ファイルは振り分けられinvoiceAgent AI OCRで必要な部分がデータ化されます。そのデータを人間が2回レビューし、RPAツールが利用しやすい形にして基幹システムや業務システムに受け渡します。

5~7人で3日かかっていた作業が2022年3月の導入後は3人で1日に短縮され、入力ミスもほぼゼロになりました。OCR機能をよりスムーズに正確に利用できるよう、現場のメンバーと話し合って帳票の書き方を変更したり、レビューを実施したファイル名をリネーム機能で1回目と2回目で変えるなどの工夫を行っています。

阿部氏はinvoiceAgent AI OCRの使いやすさとして

「レビュー画面では右画面に読取画像と読取結果、左画面に全体が表示されチェックがしやすい。4つのOCRエンジン使い分けられるので精度を高められる。Bridgeサービスによって複合機でスキャンしたデータをクラウドに上げて活用できる。明細行の読取設定を容易に便利に行うことができる」

ことを挙げました。

2022年3月本社管理本部で約188時間の作業時間削減を実現。着実に実績を上げることで、全社の理解と関心を醸成し、RPA導入への機運を高めました。

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各事業部門との協力により、様々な業務の工数削減が実現

情報システム課ではRPA導入に関して、2022年4月から9月まで社内の各事業部門に対してヒアリングと説明を行いました。各事業部門にinvoiceAgent AI OCRを導入する予定はなかったもののOCRへの関心は深く、質問が集中しました。

情報システム課は2022年4月より鍛造本部の作業日報のデータ化に取り組みました。約300種類ある手書きの作業日報は従来キーパンチャーが手動で入力していましたが、その一部をOCR化することで業務負担が大幅に軽減されました。

阿部氏は

「OCRの精度は100%ではありませんが、すべて手動で入力するより、エラーをレビューによって修正するほうがはるかにラクだという声が上がっています。手動入力では起こり得ないエラーが生じるため、レビュー作業には集中力が求められますが、トータルで見れば生産性が大きく向上しました」

と話します。

本社管理部 情報システム課の増田 雄太氏は

「日報のデータ化では、帳票のレイアウトや記入方法をなるべく変えず、日報を記入する現場の作業者に負担をかけないよう心がけました」

と振り返ります。

本社管理部 情報システム課の小島 健汰氏は

「invoiceAgent AI OCRは、同じ内容が複数行並ぶ明細行に対して、読取フィールドの繰り返し機能が活用できるため、帳票設計を効率的に行うことができました。また、読み取ったデータをCSV出力する時にも、繰り返し読み取りの分だけ行を分けてくれるのでデータ加工がやりやすかったです。」

と話します。

2022年10月には、前述の勤怠データ修正申請書に加えて、休暇届など各種勤怠申請書の管理にもinvoiceAgent AI OCRを活用するようになりました。入力やチェックの工数が減るとともに、勤怠管理ツールのライセンス数も減らすことができたため経費削減にも繋がっています。勤怠申請書には読取箇所に枠をつけるなど、OCR用に帳票レイアウトを変更しています。

また、2023年8月には鍛造本部で従業員から寄せられる改善提案書からinvoiceAgent AI OCRで社員ナンバーと改善テーマを抽出し、ファイルとして一覧できるようにしました。

こうした一連の取り組みにより、本社管理本部では2024年8月までに約250時間/月の作業時間削減が達成されました。また、機械本部と鍛造本部を合わせた時間削減実績は月あたり約30時間程度ですが、その他部門での取り組みも含めると、全体では約300時間/月程度の削減効果が出ていると見込まれます。

阿部氏は

「invoiceAgent AI OCRの導入によって大幅な効率化が実現しました。それに伴いOCR機能を前提とした帳票の設計や業務プロセス改善に関する提案が上がってくるようになりました」

と話します。

さらなる工数削減による効率化、品質向上を目指す

阿部氏は2024年6月、nest Conference24に登壇し、一連の取り組みについて講演しました。

「nestメンバーと直接会い、同じような課題や悩みを抱える仲間と意見交換できる場はとても貴重でした。特に他社の成功事例や失敗例を知ることは大変有意義です。今後はnestに積極的に関わっていきたいと考えています」(阿部氏)。

今後の展望として、阿部氏は

「現在取り組んでいる新生産管理システムにもinvoiceAgent AI OCRを活用できる部分が出てくると思うので、検討を進めていきます。また、MotionBoardによってデータ活用を推進し、いっそうの品質向上を実現していきたい

と語りました。

増田氏は

「今後は社内の様々なデータを収集・分析することで、業務改善や製品の需要予測に繋げたい」

と意気込みます。

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▲増田氏

小島氏は

「invoiceAgentの文書管理機能を活用し、手書きデータや活字データをより簡単に保管・検索できるようにしたい」

と話します。

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▲小島氏

立神氏は

「弊社はものづくりの会社ですので、失敗を怖れずチャレンジし、常に価値ある製品を生み出し続けなければなりません。業務プロセス改革においても、最新の技術動向を見極めながら最適のソリューションを積極的に導入・活用し、工数削減による効率化、品質と競争力の向上を実現したいと考えています」

と未来への展望を意欲的に語りました。

▼編集後記

三條機械製作所様の「完全自動化にこだわらない柔軟な姿勢」がとても印象的でした。
 OCRとRPAを組み合わせた取り組みは、単なる業務の効率化にとどまらず、「人とテクノロジーの協働」をどう実現するかという本質に向き合うものだったと思います。
「最も効果的な運用とは何か」を模索し続ける中で、人の目による確認の重要性も見直され、現場との丁寧な対話を通じて、精度とスピードの両立が図られていました。
 DX推進において、ツールの導入だけでなく、"人の力"をどう生かすかが大切だということを改めて実感する事例です。
三條機械製作所様の取り組みが、これから業務改革に取り組まれる皆さまにとって一つのヒントとなれば幸いです。


カスタマーマーケティング室 下岡