Company Profile

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社名:株式会社有沢製作所
事業内容:電子材料、産業用構造材料、電気絶縁材料、ディスプレイ材料などの製造・販売
設立:1949年7月1日
URL:https://www.arisawa.co.jp/
業種:製造
規模:連結 1,498名/単体 604名(2025年3月末現在)
利用製品:MotionBoard
用途:製造・品質データの可視化による業務効率化/監査・顧客対応のデータ活用/スマートファクトリー推進
お話を伺った方
株式会社 有沢製作所
生産本部 製造部 スマートファクトリー推進室
室長
竹田 智幸氏
株式会社 有沢製作所
生産本部 製造部 スマートファクトリー推進室
小島 知之氏
株式会社 有沢製作所
生産本部 製造部 スマートファクトリー推進室
金子 哲氏
- DX
- データ活用促進
- 効率化
- 業務効率化
- 業務改革
- 製造業
株式会社有沢製作所は「織る」「塗る」「形づくる」の技術を基盤に日々の暮らしや産業の発展に欠かせない製品を生み出し続けています。同社はスマートファクトリーを推進し、データを集約・可視化することで生産性や品質、顧客満足度を高め、企業価値を向上させることを目指しています。スマートファクトリー推進室の取り組みとMotionBoard活用法、データ活用浸透のポイント、将来展望などについてお聞きしました。
企業価値向上のためスマートファクトリーを推進
推進室メンバーの選出条件は現場を理解していること
株式会社有沢製作所(以下、有沢製作所)の歴史は1909年バテンレースを製造することから始まりました。そこで培われた技術は、様々な素材との出会いや技術革新によって「織る」「塗る」「形づくる」の一貫した製造ラインへと発展。有沢製作所独自の技術を確立してきました。同社が製造する製品は、FPC(フレキシブルプリント基板)などスマホやパソコンに組み込まれる電子材料、航空機用パネルなどの産業用構造材料、電気絶縁材料、ディスプレイ材料など幅広い分野の産業で活用され、私たちの日々の暮らしを支えています。
有沢製作所はデジタル技術の活用によって生産システムを自律的に最適化するスマートファクトリーの実現を目指しています。同社は2020年7月にスマートファクトリー推進室を発足させました。
スマートファクトリー推進室 室長の竹田 智幸氏は
「MotionBoardやデジタル入力ツール、OCR、RPAなどを活用することで品質管理の強化、環境対応、生産性、顧客満足度の向上などを目指しています。スマートファクトリーの最終的な目標は、働き方改革も含めた企業価値の向上です。まずは工場のデータを集約し、それを可視化することから始めました。生産システムとMotionBoardに連携させるためのデータベースを置き、MotionBoardで工場の様々なデータの見える化に取り組みました」
と話します。

▲竹田氏
有沢製作所は2021年1月にMotionBoardを導入しました。
現在、MotionBoardを製造部のFPCグループ、塗工グループ、成形グループ、スマートファクトリー推進室、品質保証部の品質保証グループ、開発支援部の開発支援グループ、ARISAWA Innovation Center(※)の4部門、7グループで活用しています。
スマートファクトリー推進室の5人のメンバーのうち4人が製造部で現場を経験し、1人が工場の機械設備の導入やIT化などを担当する生産技術部の出身です。メンバー選抜の条件は製造現場における課題やニーズを十分に理解していること。それぞれが独自のスキルと経験を活かし、現場に寄り添いながらデータベース構築やボード作成などを行っています。
生産、設備、品質などのデータをリアルタイムに可視化
現場の幅広いグループ、多様な用途で活用が進む
スマートファクトリー推進室の小島知之氏は
「最初に情報システムグループと協力しながらFPCグループのデータをMotionBoardで可視化しました。MotionBoardを触るのは初めてだったのですが、マニュアルを読んだり、カスタマーサポートに問い合わせたり、nestの情報を参考にしたりすることで、必要なスキルを効率的に身に着けることができました」
と振り返ります。

▲金子氏
主にデータベース構築やデータ連携を担当したスマートファクトリー推進室の金子 哲氏は
「MotionBoardをデータベースに繋ぎさえすれば、簡単に短時間でデータを可視化できることが印象的でした」
と話します。
製造部のFPCグループから始まったMotionBoardによるデータ活用は品質保証部、製造部の塗工グループ、成形グループへと広がっていきました。
現在FPCグループでは生産進捗確認系ボードとして、メールや電話で確認していた作業が不要になる「出荷検品待ちリスト」、製品の常温放置可能時間が一目でわかる「製品ライフカウントダウン」が活用されています。設備データ系ボードでは、従来手書きのチェックシートでチェックしていた各設備の設定値をリアルタイムで確認できるようにした「張力監視、条件照合」を活用しています。
品質監視系ボードでは、どの製品でどれだけの不良が出ており、それがどのような不良で、どのロットで発生しているのかをドリルダウンで深掘りできる「不良品監視」を活用。従来のExcelによる資料では難しかった素早い原因の追求と対策が可能になりました。さらに「製品中間検査結果監視」によって、製品材料の粘度などが従来と比較してどうなのかをすぐに確認できるようになりました。
インフォメーション系ボードでは「無災害記録、クレーム記録」、「来社(監査、工場見学)日程」、現場の暑さ指数が一定値を超えるとアラートメールが配信される「暑さ指数表示」が利用されています。これらのボードは現場の大型モニターなどに表示され、リアルタイムで必要な情報を確認することができます。
品質保証部では品質監視系ボードとして、「原材料性能監視」「製品性能監視」「製品中間性能監視」が活用されています。従来こうした数値はExcelなどで集計しグラフ化していましたが、そうした作業がなくなり、管理値を超えた場合はアラートが出るため確認しにいく必要もなくなりました。また、インフォメーション系ボードの「材料情報検索」により、それまで製造データと原材料データを合体させExcelで集計していた作業が不要となり、どの製品にどの原材料を使用し、その原材料の特性値はいくつだったかを即座に検索できるようになりました。検索結果は月次で顧客へ報告しています。
ARISAWA Innovation Centerは次の100年に向け、企業や業界の枠を超えて共創する「オープンイノベーション」の研究開発拠点として2025年9月に設立されました。同施設では、発電や電力使用、省エネなどの状況を表示する「エネルギー状況表示」や「太陽光発電」、「建物コンセプト説明」のダッシュボードを見学者への説明資料として活用しています。
問い合わせや監査時に即座に適切なデータを提出
社内外の信頼が深まり、データへの意識も浸透
MotionBoardによるデータ活用により、生産や設備、品質などのデータを集計・グラフ化などの手作業を行うことなく、リアルタイムでわかりやすく確認できるようになりました。
竹田氏は
「不良品の発生や生産工程での傾向変化などを素早く把握できるようになったため、トラブルの予防や対策を効果的に行えるようになりました。システムによるリアルタイム監視を行っているため、お客様から問い合わせや監査を受けた際など、迅速に的確なデータを示すことができます。おかげで社内外からの信頼が深まり、企業価値が向上していると感じます。現在ではMotionBoardなしの業務は考えられません」
と話します。
従業員のデータへの意識も変わりつつあります。
小島氏は
「データを見ることが、生産性や品質の向上につながるという認識がチームリーダ―を中心に広がってきました。現場からこのデータを使って、こういうものが見たいという要望が多数寄せられています。別々のデータをシステム間で紐づけることで、新たな視点でデータを捉えられるという意識も社内に浸透しつつあり、デジタル人材の育成という観点でも有効だと感じています」
と語ります。

▲小島氏
ダッシュボードの作成はスマートファクトリー推進室の5人のメンバーが担当。現在、約300のボードが活用されています。
「各メンバーがそれぞれの製造部での経験を元に現場のニーズに沿ったボードを作成しているため、スムーズに活用が進んでいます。また、現場の各グループからスキルなどを認知されているメンバーに要望が集まる傾向があります。そのため現場とのコミュニケーションも重視しています」(竹田氏)。
現場に寄り添うことのできるデジタル人材を育成
AIなどを活用することでイノベーションを創出
今後の課題は製造部内のデータ格差の改善と人材の確保・育成です。
竹田氏は
「製造部内の各グループにデータ活用の専任担当者を配置し、データの布教活動と現場の要望の収集を行ってもらいます。また、現在スマートファクトリー推進室の2人のメンバーが塗工グループと成形グループに常駐し、現場に密着した形でデータ活用を推進しています。人材に関しては社内での育成と外部からの採用の両面で進めていきます。人材育成については社内インターンシップ制度を活用して、製造部から数カ月間スマートファクトリー推進室に留学してもらい、スキルを身に着けた上で元の職場に戻ってもらうことも検討中です。製造部に寄り添ってデータ活用を進められる人材を育成したいと考えています」
と展望を語りました。
小島氏は
「生成AIによる製品の試作やRAG(検索拡張生成)の活用によって、開発や業務の効率を大きく向上させたい」
と話します。
金子氏は
「現場にはまだ手書きが残っています。今後、デジタル化のメリットをしっかりと伝えることでデータ活用を推進し、製造部全体がより効率的に動けるようにしていきたいですね」
と語りました。
有沢製作所はデータを駆使したスマートファクトリーで、次の100年を見据えたイノベーションを生み出していきます。
※ARISAWA Innovation Center詳細はこちら
今回の取材で印象的だったのは、「現場に寄り添う」という姿勢でした。スマートファクトリー推進室のメンバーの多くが製造現場を経験しているからこそ、現場の課題やニーズを深く理解しながらデータ活用を進めている点が、有沢製作所の取り組みの大きな強みだと感じました。
また、データを見ることが生産性や品質向上につながるという意識が社内に浸透し、データ活用が単なるツール導入にとどまらず、組織文化として根付き始めている様子もうかがえました。
今後どのようなイノベーションを生み出していくのか、非常に楽しみです。
カスタマーマーケティング室 大野


