Company Profile

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社名:豊田通商株式会社
事業内容:各種物品の国内取引、輸出入取引、外国間取引、建設工
設立:1948年7月1日
URL:https://www.toyota-tsusho.com/
業種:卸売・小売
規模:3,251名(2025年3月末時点、出向者を含み、受入出向者を除く)、連結 69,111名(2025年3月末時点)
利用製品:SVF Archiver、SVF Transact
用途:電子帳簿保存法対応/経理業務の効率化/ペーパーレス化
お話を伺った方
豊田通商株式会社
DX推進部 コーポレートDX推進グループ
プロフェッショナルパートナー
中川 敦氏
豊田通商株式会社
DX推進部 コーポレートDX推進グループ
岡田 祐子氏
- DX
- グループ展開
- バックオフィス改革
- 作業時間削減
- 働き方改革
- 業務効率化
- 業務改革
豊田通商株式会社はペーパーレス化と働き方改革を目指し、年間約240万枚におよぶ紙帳票の電子化と請求書の電子配信に取り組みました。紙と押印を重視する文化の中で、担当者はどのようにプロジェクトを推し進めたのでしょうか? システムの活用と浸透を実現するためのポイント、業務現場との信頼関係構築や理解の促進などについてお聞きしました。
IT部門出身者が
帳票の電子化と請求書の電子配信に挑む
豊田通商株式会社(以下、豊田通商)は金属、資源、モビリティ、エネルギー、機械、食料、ヘルスケアなど幅広い分野の事業を展開し、グループ7万人の力を結集することでサステナブルな成長を目指しています。同社は2020年4月、全社横断組織である「デジタル変革推進部」を設置し、事業/業務変革、DX人材育成を推進。2025年4月には主にシステムインフラを担当するIT戦略部が加わった「DX推進部」へと再編され、さらなる業務変革とビジネスの成長に取り組んでいます。
豊田通商は2021年1月より帳票基盤の刷新・統合に取り組み、年間約240万枚におよぶ紙帳票を電子化することで、ペーパーレス化を推進。印刷・保管の費用が削減され、承認機能の活用や検索性の向上などにより業務効率が大幅に向上しました。また、2023年5月には請求書の電子配信を開始。押印や社内承認などのために出社する必要がなくなったため、リモートワークが促進され、働き方改革とビジネスのスピードアップが実現しています。
一連のプロジェクトを主導したのは、現在DX推進部に所属する中川 敦氏と岡田 祐子氏でした。中川氏は約40年間にわたりシステム開発に従事。一方岡田氏は営業本部企画部、海外統括部署での勤務を通して、業務現場での経験を培ってきました。IT経験豊富なベテラン技術者と非IT部門出身者がタッグを組み、プロジェクトが推進されました。
紙や押印を重視する傾向を打ち破るには
業務現場の理解と意識改革が不可欠だった
中川氏は帳票基盤の刷新・統合、帳票電子化について次のように振り返ります。
「背景として大型センタープリンターから汎用プリンターへの移行、既存の帳票管理システムのリプレース、コロナ禍によるリモートワークの推進がありました。当時は基幹システムの改修を終えたばかりだったため、新たな改修やテストはなるべく避けたいと考えていました。そこで多様なインターフェースを備え、上流システムへの影響を最小限に抑えられる業務アプリケーションの統合出力基盤『SPAIS』を採用しました。また、全社の業務を見直すことで、システムに任せる業務、システム化を見送る業務を見極め、量の多い帳票から優先順位をつけて電子化を進めました」。
同社ではそれまで当たり前のように紙帳票を印刷・保管し、印鑑を用いた社内承認を進めてきました。電子化を行うと、パソコンなどの画面上で帳票をチェック・承認し、PDFで保管するようになります。紙への安心感、押印を重視する傾向が根強い中、業務フローを根本的に変え、円滑に活用を進めるには、業務担当者の理解や意識改革が不可欠でした。

▲中川氏
岡田氏は
「全社向けや各部署、個人に向けた説明会を数えきれないほど行いました。私自身多くの人の前で話した経験がなかったので、最初はとても抵抗がありました。でも上司に『大丈夫、できるよ』と励まされ、説明会を重ねるうちに少しずつ慣れていきました。わかりやすい説明や資料づくり、質疑応答を行うためには自分自身がシステムを理解している必要があります。必死で勉強し、実際にシステムに触って検証しながら資料を作成しました」
と話します。
新帳票基盤と電子化された帳票は2021年9月より運用が開始され、業務現場での活用もスムーズに進みました。大型センタープリンターから汎用プリンターへと切り替わり、紙帳票の保管が不要になったことでコストが大幅に削減。電子承認や必要な帳票をすぐに見つけられる検索機能により生産性が大きく向上しました。2025年12月には関連会社を含めた6社で運用されています。
電子化がリモートワークを大幅に促進
いかに現場の信頼と理解を深めるか?
請求書の電子配信プロジェクトは2022年11月にスタートし、岡田氏がプロジェクトマネージャーをつとめました。ペーパーレス化とともにリモートワークの促進が強く求められており、電子配信が実現すれば出社しなくても請求書の作成、承認、配信などの業務が可能になります。
豊田通商は『SVF Transact』を導入。SPAISと連携させることで、請求書ファイルの振り分けやチェック・承認などをシステム上で行い、取引先へと配信します。請求書ファイルは『SVF Archiver』に送られ、タイムスタンプが付与され保管されます。
岡田氏は
「まず帳票発行実績の多い3つの営業本部に出向き、説明会を行いました。さらに各本部の業務担当者やDX推進などを担当するキーパーソンに直接声を掛け、どうすれば現場が使いやすいシステムを実現できるか、要望や課題を聞き出しました。そうした声を元に、どの項目を画面上に出すか、本部ごとに異なる帳票の処理方法などについて検討しました。丁寧に話を聞き、きめ細かい対応を続けることで信頼関係が深まり、現場での電子配信への理解が深まっていったと感じています」
と話します。

▲岡田氏
また、取引先との調整にあたって、営業本部の担当者から取引先担当者へ送る電子配信開始のための書類セットを用意し、スムーズに運用へ移行できるようなサポートを実施するとともに、取引先の情報を登録する仕組みも構築しました。
2023年5月に請求書の電子配信がスタートし、現場での混乱やトラブルなく運用が続いています。印刷、押印、郵送などの手作業がなくなり大幅な工数削減が実現。承認・チェックに時間がかからなくなったため、取引先への請求書到着までのリードタイムも短縮されました。出社せずに業務が進められるためリモートワークの推進に大きく貢献。現在ではほとんどの従業員がリモートワークを実践し、働き方改革が実現しています。
安定稼働を実現し、自社に最善の運用を確立
現場の目線で信頼関係と理解を深めていく
中川氏はプロジェクト推進において
「罫線の位置など電子帳票が紙帳票と全く変わらないようチェックするなど、当たり前のことを当たり前に実行し、トラブルを起こさないことを心がけました。帳票は全社が毎日使うため、安定稼働が最も大切です。また社内の承認の規則などを変更し、自社に適した運用を確立することも重要でした」
と語ります。
岡田氏は
「私自身が業務現場にいた経験を活かし、現場目線でどうすれば便利に快適に使ってもらえるかを徹底的に考え、実行しました。その過程で現場の方々との信頼関係が生まれ、入念な説明と理解しやすい取り扱い説明書によって現場の理解が深まったと考えています」
と話します。
今回のプロジェクトでは、ITの知識が豊富な中川氏と現場の業務知識が豊富な岡田氏が互いの強みを発揮し合ったことが成功の要因だったと言えるでしょう。
「資料作成や説明会は自分だけではできなかったと思います。お互いに足りない部分を補い合うことができました。現場の担当者との人間関係が構築されると、その人から周りに理解が広がっていきます。今ではリモートワークが当たり前になりました」(中川氏)。
「紙や押印を重視する慣習を破るには使い方だけでなく、電子化によるメリットをしっかり伝えることが大切だと思いました。現場に実際のメリットを感じてもらえないと、なかなか活用が進みません」(岡田氏)。
今後、中川氏はAIなどを活用することで、社内ユーザーがより主体的にシステム活用や開発に関わっていくことに期待を寄せています。岡田氏は業務ごとに細かく分断されている現状のシステムをできるだけ一括管理できるようにすることで、ユーザーの作業負担軽減を目指しています。
「未来の子供たちにより良い地球を届ける」という豊田通商のミッション遂行のため、DXによる貢献が続きます。
※2026年4月より、invoiceAgentはSVFブランドに統合し、SVF Archiver(旧invoiceAgent 文書管理)、SVF Transact(旧invoiceAgent 電子取引)に名称を変更しています。

「ちゃんと仕組みを作ったのに、なかなか使ってもらえない」
―そんな多くの現場で聞かれる悩みに対するヒントが詰まっていたと感じました。
特に印象的だったのは、説明会を何度も重ね、現場の声を丁寧に拾い続けていたこと。
"導入する"のではなく、"使われる状態をつくる"ことに向き合い続けた姿勢が、結果につながっているのだと感じました。
DXは一気に進むものではなく、信頼関係の積み重ねの先にあるもの。
そんな当たり前だけど大切なことを、改めて教えてくれる取材でした。
DXに取り組む皆さまにとって、少しでもヒントになれば幸いです。
カスタマーマーケティング室 大野

