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電子帳簿保存法の「スキャナ保存」とは?対象書類や適用要件、対応方法を解説!

法対応作成日:2023.04.21 更新日:2024.03.02

2022年1月に施行された電子帳簿保存法の改正により、国税関係帳簿書類のペーパーレス化に着手する企業が増えつつあります。
なかでも、紙で受領・保存している文書のスキャナ保存を検討している企業は多いのではないでしょうか。

一方で、
「スキャナ保存の対象書類や適用要件は?」
「スキャナ保存に対応することのメリットは?」
「スキャナ保存に対応するシステム選びのポイントは?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、スキャナ保存の基礎知識から対象書類・適用要件、対応のメリットについてわかりやすく解説します。
スキャナ保存に対応するシステム選びのポイントや、具体的なソリューションも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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電子帳簿保存法の改正により要件が緩和された一方で、企業として適切な対応をするためには押さえるべきポイントがあります。
・どのような流れで対応を進めればいいのだろう…
・自社にはどんなシステムが合うのだろうか…
とお悩みの方へ、電子帳簿保存法対応のための5つのステップをご紹介します。

スキャナ保存の基礎知識

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スキャナ保存は、電子帳簿保存法で定められている保存区分のひとつです。
まずは、電子帳簿保存法について簡単におさらいするとともに、スキャナ保存の内容を確認していきましょう。

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法とは、紙媒体での保存が原則とされている国税関係帳簿書類を電子データとして保存することを認める法律で、「電帳法」と省略して表記・呼称するケースもあります。

電子帳簿保存法は1998年に制定されて以来、複数回にわたって改正が行われており、直近では2022年1月にも改正が行われました。
この改正によって、電子帳簿保存法に対応するための要件が従来よりも緩和されており、スキャナ保存についても以前より対応しやすくなっています。

電子帳簿保存法の詳細や改正のポイントについて詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてお読みください。

スキャナ保存制度とは?

電子帳簿保存法のスキャナ保存とは、紙で受領したり作成した書類をスキャナで読み取り、画像データとして保存できる制度を指します。

スキャナ保存の対象書類

スキャナ保存の対象となるのは請求書や見積書、注文書などの取引関係書類で、取引先から受領した文書だけでなく、自社で発行した文書の控え(写し)も含まれます。
賃借対照表や損益計算書などの決算関係書類や、仕訳帳、総勘定元帳などの国税関係帳簿はスキャナ保存の対象外となるため注意が必要です。

国税庁では、スキャナ保存の対象書類を重要度別に高・中・低の3段階に分類しており、重要度が高・中に該当するものを「重要書類」、重要度が低に該当するものを「一般書類」と位置づけています。

以下は、重要度別の主なスキャナ保存対象書類です。

重要書類(重要度:高)重要書類(重要度:中)一般書類(重要度:低)
  • 契約書
  • 領収書
    など
  • 請求書
  • 納品書
  • 送り状
  • 約束手形
  • 小切手
    など
  • 検収書
  • 見積書
  • 注文書
    など

スキャナ保存の適用要件

スキャナ保存を行うには、「真実性」および「可視性」を確保するための各種要件を満たす必要があります。

なお、スキャナ保存に用いる機器は、いわゆる「スキャナ」や「複合機」などの原稿台と一体となっている機器に限定されていましたが、平成28年度税制改正によって一定基準を満たすデジタルカメラやスマートフォンの使用も可能になりました。
また、画像データ化した文書を保存するためのシステムや運用体制にも、満たすべきいくつかの要件が存在します。

スキャナ保存の適用を受けるための要件は以下の通りです。

要件重要書類一般書類過去分重要書類
入力期間の制限
(書類の受領後または業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに入力)
一定水準以上の解像度(200dpi以上)による読み取り
カラー画像による読み取り
(赤・緑・青それぞれ256階調(約1677万色)以上)
※1
タイムスタンプの付与
解像度および階調情報の保存
大きさ情報の保存〇※2
ヴァージョン管理
(訂正または削除の事実および内容の確認等)
入力者情報等情報の確認
スキャン文書と帳簿との相互関連性の保持
見読可能装置(14インチ以上のカラーディスプレイ、4ポイント文字の認識等)の備え付け※1
整然・明瞭出力
電子計算機処理システムの開発関係書類等の備え付け
検索機能の確保

※1:一般書類の場合、グレースケール(白黒画像)での読み取り・保存も可能
※2:受領者が読み取る場合、A4以下の書類サイズに関する情報は保存不要

なお、過去分重要書類については、所轄税務署長等宛に適用届出書を提出するとともに、当該の画像データの保存とあわせて、画像データの作成および保存に関する事務手続きを明らかにした書類の備え付けが必要です。
(参考:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】令和4年6月|国税庁

2022年電帳法改正によるスキャナ保存の変更点

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先述したように、2022年1月に施行された電子帳簿保存法の改正によってスキャナ保存の要件が緩和され、事業者は今まで以上に取引関係書類の電子保存に着手しやすくなりました。

次は、2022年1月電子帳簿保存法改正におけるスキャナ保存制度の変更点を確認していきましょう。

事前承認制度の廃止

改正前の電子帳簿保存法では、電子取引以外の帳簿書類を電子保存する場合、事前に所轄税務署に申請し、事前承認を得る必要がありました。
今回の改正により、スキャナ保存を含むすべての保存区分において、税務署への事前申請および承認が不要となりました。

検索機能要件の緩和

改正前、保存した文書を速やかに参照できるよう、範囲指定や項目の掛け合わせといった複雑な検索機能が必要でした。
今回の改正で、ダウンロードの求めに応じる場合には複雑な検索機能は不要となり、検索要件が「取引年月日」「取引金額」「取引先」のみになるなど、改正前よりも大幅に緩和されています。

タイムスタンプ要件の緩和

改正前、書類の受領からおおむね3営業日以内にタイムスタンプを付与する必要がありました。
改正後は、書類の受領からタイムスタンプ付与までの期間が、最長約2か月とおおむね7営業日以内に延長されています。

また、電子データの訂正や削除をした場合でも、その事実と内容を確認することができるか、入力期限内に電子データを保存したことが確認できるクラウドシステムなどを利用すれば、スキャナ保存におけるタイムスタンプの付与は不要となりました。

適正事務処理要件の廃止

改正前の電子帳簿保存法では、タイムスタンプが付与された後に「記録事項の確認(相互けんせい)」や「定期チェック(原本と電子化文書)」を行うことが義務付けられていました。
改正によって「記録事項の確認」および「定期チェック」といった適正事務処理要件が廃止され、承認後の紙文書は廃棄することが可能になりました。

ペナルティの厳格化

今回の電子帳簿保存法改正によって上記のような要件緩和があった一方で、不正に対するペナルティが厳格化された点についても理解しておく必要があります。
スキャナ保存した電子データの記録事項に関する改ざんや隠ぺいなどが発覚した場合、通常課される重加算税の金額に加えて、10%がペナルティとして加算されます。

スキャナ保存に対応するメリット

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次は、スキャナ保存に対応することで得られる主なメリットとして、以下の2点をご紹介します。

スキャナ保存に対応するメリット
  • 文書管理のコスト削減
  • 問い合わせ・監査対応の効率化

では、各メリットについて詳しく確認していきましょう。

文書管理のコスト削減

請求書や領収書、契約書などの取引関係書類は、法律で一定期間の保存が義務付けられています。
これらの書類を紙媒体で保存しておくには、保管するためのファイルやキャビネット、そしてスペースが必要になります。
取引の数が増えるほど保存しなければならない書類の数が増え、保管用の備品・設備にかかるコストも増大化してしまうでしょう。

スキャナで読み取った紙の文書は、タイムスタンプの付与および承認後に廃棄できるため、保管のための備品・設備にかかっていたコストを削減することができます。

問い合わせ・監査対応の効率化

保存している取引関係書類について、取引先や社内の担当者から問い合わせを受けるケースや、監査で提出を求められるケースは少なくありません。
しかし、紙媒体で帳票書類を保存していると、大量の書類のなかから当該書類を探し出さなければならず、大きな手間と労力が発生してしまいます。

書類をスキャナ保存していれば、ファイル名や文書内の情報で速やかに検索することができ、問い合わせや監査対応の効率を高めることが可能です。

スキャナ保存要件に対応するためのシステム選びのポイント

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次は、スキャナ保存要件に対応するためのシステム選びで重要なポイントを確認していきましょう。

JIIMA認証の有無

スキャナ保存の適用を受けるには、「真実性」と「可視性」を確保するためのいくつかの要件を満たす必要があるとお伝えしましたが、すべての要件をひとつずつ確認してシステムを選ぶのは非常に大変です。

そこで重要になるのが、「JIIMA認証」の有無です。
JIIMA認証とは、公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会による認証制度で、電子帳簿保存法の要件を満たすソフトウェアに認証が与えられます。
JIIMA認証の「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証」を取得しているシステムであれば、スキャナ保存で必要になる要件に対応しているため、安心して導入することができるでしょう。

システムの拡張性

システムの拡張性についても確認することをおすすめします。
すでにお伝えしている通り、スキャナ保存は紙で授受した取引関係書類をデータ化して保存する制度です。
文書の発行から授受、保存という一連の流れのペーパーレス化を図るのであれば、スキャナ保存とあわせて電子取引への対応も検討する必要があります。
電子取引システムと連携可能なシステムであれば、ペーパーレス化の範囲を広げていくことができるでしょう。
そのほか、業務管理システムやワークフローシステムなど、各種システムとの柔軟に連携できるシステムであれば、業務のペーパーレス化・デジタル化を推進しやすくなります。

スキャナ保存要件への対応なら「invoiceAgent」

次は、スキャナ保存制度への対応、そして取引関係書類のペーパーレス化や一元管理を実現するソリューションとして、ウイングアーク1stが提供する「invoiceAgent(インボイスエージェント)」をご紹介します。

「invoiceAgent」はJIIMA認証を取得しており、スキャナ保存をはじめとした電子帳簿保存法の保存要件に対応しています。

invoiceAgentが取得しているJIIMA認証
  • 電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証
  • 電子書類ソフト法的要件認証
  • 電子取引ソフト法的要件認証

また、各種アダプターやWeb APIを用いることで、さまざまな業務システムやクラウドサービスと連携することも可能です。
では、「invoiceAgent」の特徴について詳しく見ていきましょう。

紙文書の画像データ化なら「invoiceAgent AI OCR」

「invoiceAgent AI OCR」は、紙文書のデータ化を実現するソリューションです。

高精度な5つのOCR/AI OCRエンジンを搭載しており、読み取り文書の特徴に応じて適切なOCR/AI OCRエンジンを選択したり、1つの読み取り項目に対して複数のOCR/AI OCRエンジンによる処理を実行することも可能です。
また、読み取り画像の歪みや傾きを自動で補正し、文字認識率の低下を防止します。
これらの特徴により、紙媒体で受領・保存している文書のスムーズなデータ化を実現可能です。

企業間取引の電子化を実現する「invoiceAgent 電子取引」

「invoiceAgent 電子取引」は、企業間取引における帳票の送受信を電子化するソリューションです。

先述の通り、企業間取引におけるペーパーレス化を実現するには、帳票を電子データとして授受する電子取引への切り替えが有効です。
「invoiceAgent 電子取引」であれば、PDFファイルをアップロードするだけで取引先との間で帳票を送受信することができます。
2023年10月から始まるインボイス制度に対応する機能も備えているので、電子取引への切り替えに伴う法対応もスムーズです。

文書データの一元管理なら「invoiceAgent 文書管理」

「invoiceAgent 文書管理」は、あらゆる文書データの一元管理を実現するソリューションです。

「invoiceAgent」で作成・データ化した文書はもちろん、他システムで作成・出力した文書もまとめて取り込み、指定したルールに基づき仕分け・保存を自動化することができます。
保存した文書は、電子帳簿保存法の要件である「取引年月日」「取引金額」「取引先」での検索はもちろん、範囲指定や複数項目の掛け合わせにも対応し、必要な文書を即座に参照・出力することが可能です。
また、文書の保存期間に応じた自動削除機能や、改ざんの防止・検知に役立つ証跡管理機能を備えているため、文書の効率的なライフサイクルマネジメントを実現します。

まとめ

今回は、電子帳簿保存法のスキャナ保存要件に焦点を当て、その概要やメリット、システム選びのポイントについて紹介しました。

2022年1月に施行された電子帳簿保存法の改正により、事業者は今まで以上に取引関係書類のスキャナ保存に着手しやすくなりました。

そして、これまで紙媒体で保存していた取引関係書類をスキャナ保存に切り替えることで、業務効率化やコスト削減などのメリットが期待できます。

現在、紙媒体で取引関係書類を扱っている企業は、今回ご紹介した「invoiceAgent」でスキャナ保存への切り替えを検討してみてはいかがでしょうか。

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・どのような流れで対応を進めればいいのだろう…
・自社にはどんなシステムが合うのだろうか…
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