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課税事業者とは?免税事業者との違いやインボイス制度への対応方法を解説!

法対応作成日:2023.04.20 更新日:2024.03.02

消費税は国内のあらゆる事業者にとって関係がある税金であり、なかでも課税事業者は消費税の納税義務を果たす責任があります。
また、インボイス制度の開始に伴い、課税事業者への変更を検討している免税事業者も少なくないことでしょう。

しかし、
「課税事業者の意味や判定基準は?」
「課税事業者に必要な届け出はある?」
「インボイス制度による課税事業者への影響は?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、課税事業者の概要や判定方法、必要な届け出や計算方法、そしてインボイス制度による影響などをわかりやすく解説します。
インボイス制度開始後の業務効率化につながるソリューションも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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課税事業者とは?

「課税事業者」とは、消費税の納税義務がある事業者(法人や個人事業主)のことを指します。
反対に、消費税の納税義務が免除される事業者は「免税事業者」と呼ばれます。

では、どのような事業者が課税事業者に該当するのか、その判定基準について確認していきましょう。

課税事業者の判定基準

課税事業者に該当するか否かは、「基準期間の課税売上高」もしくは「特定期間の課税売上高・給与支払額」によって判定することができます。

「基準期間の課税売上高が1,000万円超」の場合、課税事業者に該当し、消費税の納税義務が生じます。
この基準期間とは、法人であれば前々年度、個人事業主であれば前々年のことを指します。

また、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、「特定期間における課税売上高が1,000万円超、なおかつ特定期間における給与支払額が1,000万円超」の場合、課税事業者に該当します。
特定期間とは、法人であれば前年度の期首から6ヶ月間、個人事業主であれば前年の1月1日~6月30日の6ヶ月間を指します。

課税事業者と判定される基準
  • 基準期間の課税売上高が1,000万円超
  • 特定期間における課税売上高が1,000万円超、なおかつ特定期間における給与支払額が1,000万円超

新たに設立・開設した法人・個人事業主が課税事業者に該当するケースも

新たに法人を設立した場合や、個人で事業を開始した場合、基準期間や特定期間に該当する期間がないため、基本的には免税事業者となります。

ただし、新設法人については、事業年度開始における資本金もしくは出資金額が1,000万円超の場合などは、課税事業者として消費税の納税義務が生じるケースがあります。
また、個人事業主についても、相続によって事業を承継し、なおかつ被相続人の基準期間の課税売上金額が1,000万円超の場合などは、課税事業者に該当します。

このように、新たに設立・開業した法人や個人事業主であっても、支払い能力が認められる場合には課税事業者に該当するケースがあるため注意が必要です。

「消費税課税事業者届出書」とは?

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先述した判定基準で課税事業者に該当する場合、その課税期間の開始前に「消費税課税事業者届出書」を所轄税務署に提出しましょう。

判定基準を満たすことで課税事業者へと自動的に切り替わりますが、還付金を受け取るためには「消費税課税事業者届出書」を提出している必要があります。
たとえば、「課税売上に係る消費税額」よりも「課税仕入等に係る消費税額」が大きい場合、その差額が還付金となります。しかし、「消費税課税事業者届出書」を提出していないと、発生した還付金を受け取ることができません。

届出には基準期間用と特定期間用があり、国税庁のホームページからダウンロードできます。届出者の住所氏名などの詳細、適用開始課税期間、事業内容等を記入し税務署に持参もしくは郵送します。提出の期限は適用を受ける課税期間の初日の前日までです。

ただし、新たに法人を設立する際に資本金が1,000万以上で課税事業者となる場合、税務署に「法人設立届出書」を提出していれば、「消費税課税事業者届出書」の提出は必要ありません。

免税事業者が課税事業者になるには?

免税事業者に該当する事業者であっても、所轄税務署長に事前届出を行うことで課税事業者になることが可能です。

後述する2023年10月1日のインボイス制度開始後、仕入税額控除の適用を受けるためには原則として適格請求書の適正保存が必要になります。そして、適格請求書を発行できるのは、税務署に事前申請を行い登録を受けた課税事業者のみです。
そのため、インボイス制度の開始に向けて課税事業者に変更する免税事業者が増えてきています。

免税事業者が課税事業者になるためには、「消費税課税事業者選択届出書」を税務署に提出することが原則です。
ただし、インボイス制度の開始にあたって、免税事業者が2023年3月31日までに適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し、2023年10月1日に登録を受ける場合、「消費税課税事業者選択届出書」を提出しなくても2023年10月1日から自動的に課税事業者となることができます。

また、インボイス制度の開始に伴い免税事業者から課税事業者への変更を検討しているのであれば、簡易課税制度の利用も選択肢に加えてみることをおすすめします。

簡易課税制度とは、中小事業者や個人事業主の事務負担軽減を目的とした特例措置で、仕入税額控除のための計算・処理を簡易化することができます。また、課税事業者と同様に適格請求書発行事業者になることができるのもポイントです。
「基準期間の課税売上高が5,000万円以下」という条件がありますが、該当する場合には利用を検討する価値があると言えるでしょう。

課税事業者の消費税の計算方法

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課税事業者は、消費税を申告・納税する際に「仕入税額控除」を行います。
仕入税額控除とは消費税の二重課税を防ぐための制度のことで、控除額および納税額を算出する計算方法は以下のようにいくつかの種類があります。

  • 全額控除の計算方法
    納税額=「課税売上に係る消費税額」-「課税仕入等に係る消費税額」
  • 個別対応方式の計算方法
    納税額=「課税売上に係る消費税額」-{「課税売上にのみ要する課税仕入等に係る消費税額」+(「課税売上と非課税売上に共通して要する課税仕入等に係る消費税額」×「課税売上割合」)}
  • 一括比例配分方式の計算方法
    納税額=「課税売上に係る消費税額」-(「 課税仕入等に係る消費税額」 × 「課税売上割合」)
  • 簡易課税の計算方法
    消費税の納税額=「課税売上に係る消費税額」-(「課税売上に係る消費税額」×「 みなし仕入率」)

なお、基準期間の「課税売上高」および「課税売上割合」によって使用できる計算方法が異なります。

仕入税額控除の仕組みや計算方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。

インボイス制度開始に伴う課税事業者への影響

すべての課税事業者が理解しておくべき制度に、「インボイス制度(正式名称:適格請求書等保存方式)」があります。
インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除に関する新制度のことで、2023年10月に開始されました。

では、インボイス制度の開始によって、課税事業者にどのような影響があるのか確認していきましょう。

適格請求書を発行するには登録申請が必要

先に触れた通り、インボイス制度の開始後、課税事業者が仕入税額控除を受けるためには「適格請求書(通称:インボイス)」の適正保存が必要です。
そのため、売手としての企業間取引がある課税事業者は、適格請求書発行事業者になるための事前申請を行う必要があります。

適格請求書発行事業者の登録申請方法の詳細については、以下の記事をあわせてお読みください。

取引先の見直しが必要になるケースも

仕入取引において、取引先が適格請求書発行事業者ではない場合、適格請求書を受け取ることができず、当該取引に関して仕入税額控除が適用されません。
そのため、場合によっては取引先の見直しを行う必要があります。

課税事業者の取引先に対しては、適格請求書発行事業者の登録予定はあるかを事前に確認しましょう。
また、免税事業者の取引先に対しては、課税事業者への変更および適格請求書発行事業者の登録予定があるかを事前に確認しておきましょう。

ただし、インボイス制度の開始から6年間は、免税事業者からの仕入取引について経過措置が設けられています。
免税事業者の課税仕入れについて、2023年10月1日から2026年9月30日までの3年間は80%の控除が、2026年10月1日から2029年9月30日までの3年間は50%の控除が可能となっています。
この経過措置はインボイス制度開始後6年で終了してしまうため、取引先とのこれまでの関係性なども考慮しつつ、慎重に取引先の見直しを進めましょう。

請求関連業務の煩雑化

インボイス制度の開始後、請求関連業務にも変更点が生じます。
適格請求書は現行の区分記載請求書とは様式が異なり、以下のような記載項目が必要になります。

(1)書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
(2)取引年月日
(3)取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
(4)税率ごとに区分して合計した対価の額、および適用税率
(5)税率ごとに区分した消費税額等
(6)適格請求書発行事業者の氏名または名称、および登録番号
(※太字部分がインボイス制度開始後の追加箇所)

そのため、売手側(請求書発行側)は適格請求書の要件を満たすフォーマットに変更し、税率ごとに区分した消費税額および合計金額を算出して記載するほか、適格請求書発行事業者の登録番号の記載も必要になります。

買手側(請求書受領側)においては、受領した請求書の記載事項が適格請求書の要件を満たしているかを確認するほか、登録番号の照合作業が必要になります。
また、取引先に免税事業者がいる場合には、課税事業者と区別して経理処理を行う手間も発生します。

このように、インボイス制度の開始後は今まで以上に請求関連業務が煩雑化すると予想されており、業務効率化・負担軽減の必要性が高まっているのです。

インボイス制度について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。

インボイス制度への対応なら「invoiceAgent 電子取引」

インボイス制度の開始後、請求関連業務の煩雑化が予想されるなか、デジタルインボイスの注目度が増してきています。
デジタルインボイスとは「標準化され構造化された電子データの適格請求書」のことを指し、請求関連業務の効率化、およびインボイス制度開始後の負担軽減に有効です。

次は、インボイス制度への対応、およびデジタルインボイスへの切り替えを実現するソリューションとして、ウイングアーク1stが提供する「invoiceAgent 電子取引(インボイスエージェント 電子取引)」をご紹介します。

アップロードするだけで請求書の送受信が可能

「invoiceAgent 電子取引」は、請求書などのPDFファイルをアップロードするだけで取引先との間で文書データを送受信することができます。
電子データとして帳票の授受を行うことは電子取引に該当しますが、「invoiceAgent 電子取引」であれば、電子帳簿保存法の電子取引要件に対応することができます。
複数の取引先とのやり取りを「invoiceAgent 電子取引」上で完結することができるので、請求関連業務の効率化・負担軽減にも効果的です。

インボイス制度に対応する機能を搭載

ウイングアーク1stはデジタル庁の認定を受けたPeppolサービスプロバイダーであり、「invoiceAgent 電子取引」はデジタルインボイスの標準規格「Peppol」経由のデータ送受に対応しています。
また、受領した適格請求書のデータ化や、適格請求書発行事業者の登録番号確認も「invoiceAgent 電子取引」で行うことが可能です。
これらの特徴により、インボイス制度開始後の適格請求書のやり取りにもスムーズに対応することができるでしょう。

まとめ

今回は、消費税の課税事業者に焦点を当て、その概要や判定基準、インボイス制度開始による影響などをご紹介しました。

記事内でも触れた通り、インボイス制度の開始後、適格請求書を発行できるのは「適格請求書発行事業者」として登録を受けた課税事業者のみとなります。

そして、インボイス制度開始後は請求関連業務が今まで以上に煩雑化することが予想されており、その負担を軽減するためにはデジタルインボイスへの対応が効果的です。

紙ベースで請求業務を行っている課税事業者、あるいは課税事業者に変更予定の免税事業者は、今回ご紹介した「invoiceAgent 電子取引」でデジタルインボイスへの切り替えを検討してみてはいかがでしょうか。

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