導入事例

株式会社クレスト

Dr.SumとSVFの組み合わせで、オフコン環境の段階的なオープン化に成功
オフコンはそのまま活かしつつ、新たに情報系システムを構築

導入製品
業種
食料品
投稿日
2015.02.01

鶏卵ならびに豚肉を大手スーパーマーケットや生活協同組合などに卸している株式会社クレスト(以下、クレスト)では、日々変動する相場や取引条件に対して迅速に営業状況を集計・分析することが経営上の関心事となっている。経営から求められる集計軸は、取引先や取引条件と商品との組み合わせパターンが増える度に変化する集計軸の追加と経営への報告の両方について迅速さを求められる管理本部 システムグループでは、データ入力やデータ項目の追加において柔軟性に欠ける現行オフコン環境に限界を感じていた。一方で、現行オフコンは基幹業務である「出荷業務」を担っているため、リプレイスするならば基幹業務停止のリスクを抱えることになり、容易でない。この局面においてクレストが選択したのはDr.SumとSVFだった。

導入背景
「基幹業務を支えるオフコン環境は正規化されておらず、集計項目の追加や取引条件レコードの追加を1 件ずつ作業する必要があり、取引先や経営の要請に対して即座に応えることができない状態でした。そのため、業務現場は取引先向けレポートや経営への営業報告を各々で手作りしていました」

課題
  • 取引先や取引条件と商品との組み合わせ情報を現行オフコン環境では一点ずつ入力する効率の低さ
  • 経営や業務部門が必要とする集計を行う際、情報システム部門がボトルネックとなる
  • 社員一人ひとりのソフトウェアライセンスを管理するだけの情報システム要員がいない
解決策導入ポイント
  • オフコンからインポートした仮想データベースに対して、項目追加と一括編集が容易
  • 表計算ソフト程度の操作で業務部門が必要とする情報を業務部門自身で抽出・集計できる
  • サーバーライセンスであり、ライセンス管理の手間がかからない
効果
  • 経営分析上は必要となる「付加データ項目」の一括登録を実現し、情報システム部の運用効率を向上
  • 集計手順の現場定着化を3ヶ月という短期間で実現
  • サーバーライセンスの利点を活かして、あらゆる集計業務を単一ツールで標準化することに成功

「オフコン上のアプリケーションを無理に改変するのではなく、オフコンの外側でデータベースを用意しました。Dr.Sum はデータベースを正規化するための現状調査に役立ち、かつ、取引先レポート作成の自動化や経営への営業報告の迅速化に貢献しました」


日々変動する事業環境を分析する 「統合データベース」をDr.Sumで実現


 「Dr.Sum EA」で、オフコン自体のデータ構造やプログラムロジックは修正せず、分析用の統合データベースを実現。 効果として、経営に対する営業報告業務の迅速化だけではなく、営業個々人が手作業で作成していた取引先提出レポートの自動作成を実現するなど、営業現場の「仕組み化」 に貢献している。


Dr.Sum導入を機にオープン化したデータベース環境を活かし、オフコンの外側で出荷指示出力システムをSVFで実現


 出荷伝票出力に必要な出荷指示データをオフコンの外側に 用意したデータベースから取り出す方式へ移行し、出荷業務 システムをオフコンの外側で再構築。オフコン停止による 事業継続性リスクへの対応と出荷指示出力の標準化につながっている。


非正規的なオフコン環境で如何に「出荷を止めずに経営要請に応えるか」


 食品メーカーであるクレストグループは、大正8年に愛知県小牧市で採卵養鶏業を創業して以来、鶏卵ならびに豚肉の生産・製造・販売を主体事業としている。朝産まれたての原料卵から食品としての「たまご」へ商品化する鶏卵自動選別包装施設(Grading and Packing Center、略してGPセンター)を千葉県、愛知県、兵庫県、岡山県に保有し、年間6万トンのたまごを市場に出荷している。出荷先は、首都圏、中京圏、関西圏のスーパーなど大手量販店を中心としており、商品の売れ行き状況を分析しながら売り場作りの提案を行っている。

 生活協同組合から地場スーパーまで日々多様な量販店と取引を行っているクレストでは、食品を卸すだけではなく、量販店から分析のためのデータ提供を求められている。例えば、請求データを量販店の指定様式かつCSV形式で提供したり、適用相場確認表を量販店毎に提出したりしている。これら帳票は、基幹システムであるオフコンに元となる情報が蓄積されているものの、容易に抽出できる状況ではなかった。管理本部 システムグループ 執行役員部長の高野 由則氏は、当時の状況を次のように語る。

 「当社のオフコンのデータベースは、正規化されていません。得意先マスタに帳合先(販売を仲介する業者)情報や取引先の店舗情報が混在している状況であるため、帳合先別や取引先別の集計を行うために業務部門が手作業でデータ加工を行う必要がありました。データ加工や集計は業務部門の誰もができるわけではなく、財務部門の社員や表計算ソフトが得意な社員に時間を割いてもらっていました」

 データベースが非正規的であることが原因で、現場部門が本来の業務に集中できない状況を作っている。では、根本的にデータベースを作り直すのか。

 「根本的にデータベースを正規化するシステム改修を行うとするならば、オフコンそのものをオープン系の仕組みに切り替える必要があります。しかし、オフコンが担っている業務は当社の生命線である出荷です。当社では、受注から出荷まで2時間以内でオペレーションを完了する場合があり、たった数時間のシステム停止が大きな影響を与えます。オフコンの切り替えによって出荷が止まってしまうリスクを会社として背負えません」

 クレストが運用しているオフコンはすでに製造中止となり、5年後に保守切れになる。プログラム仕様は保守ベンダーが文書化しておらず、項目の用途や演算仕様がブラックボックスになっている状態のため、仮にオープン化するリスクを取った場合でも、現状解析に相当な時間を要することは容易に想像できた。

 「そこで、当社では、オフコンの外側で正規化されたデータベースを用意し、そのデータベースを使って集計報告業務を行う選択をしました。この方法のメリットは二つあります。ひとつは、オフコンそのものを改修しないため、基幹業務である出荷が止まるリスクを背負わずに済みます。もうひとつは、ブラックボックスになっている現行データベースの項目仕様を明らかにすることができます」

 「現行データをDr.Sum EAに移行して、ようやく業務が期待するデータがどの項目に蓄積されているか判明し、データベースに残す項目と残さなくて良い項目を仕分けることができました。これは、数年後を予定しているオフコンのオープン化に必要な、現状仕様の調査に役立つと考えております」


2009年に運用開始してからトラブルがないDr.Sum ー 選んだポイントとは


 オフコンを活かし、新たに正規化データベースを作る選択をしたクレストは、ツール選びに着手した。オフコンを保守しているベンダーに問い合わせたり、取引ベンダー(旧ユーフィット、現TIS株式会社)に相談したりした結果、たどり着いたツールがDr.Sum EAであった。ツールを確定させるにあたり、何度もウイングアークの営業所に足を運び、実現性を腹落ちできるまで説明を聞いた。

 高野氏は、「最も重視した点は、現行のデータベース構造に対してデータ項目の付加が容易であり、かつ当社で用意したマスタテーブルを容易に結合して『仮想データベース』を構築できる点でした。 Dr.Sum EAはその点を最も満たしているツールでした」と話す。

 では、クレストがDr.Sum EAを選んだポイントはどのようなところだったのか。管理本部 システムグループの加藤 耕基氏は以下の三点で説明してくれた。

 選定ポイント①:データマートに対する集計項目の付加が容易
 「Dr.Sum EAには、仮想データベースという仕組みがあるため、集計項目が増えることを見越してダミー項目をあらかじめ定義しておくことが可能です。当社では、集計項目の名前や用途が決まった段階で、ダミー項目の属性を修正する運用を行っています。この項目追加が必要なタイミングでCOBOLプログラムの繰り返し項目定義を修正せずに実現できるという点は、作業効率に大きく影響します」

 選定ポイント②:取引条件など集計に必要なマスタデータの一括登録が容易
  「現行のオフコンでは、マスタメンテナンスを行う際に一括登録できず一件ずつ入力する必要があります。一方、Dr.Sum EAでは、システムグループが一括登録するためのCSVファイルをあらかじめ用意しておけば、集計に必要なマスタデータを一 括でメンテナンスすることが可能です。これにより当社の経営陣から新たな取引条件で集計した売上報告を求められてもすぐに提出できるようになりました」

 選定ポイント③:Dr.Sum EAはマニュアルが充実、現場が覚えやすい操作手順
  「海外製のBIツールを比較検討しましたが、製品操作マニュアルが煩雑であり、該当手順が探しづらいと感じました。一方、Dr.Sum EAのマニュアルは、画面ショットが充実していて、データベースの基礎知識がなくても、概ね理解できる内容になっているのではないでしょうか。業務現場に対しては、集計項目の意味付けを整理したマニュアルを別途用意しました。当社の業務現場にとって必要な操作は、ドリルダウンやドリルスルーではなく集計手順です。Dr.Sum EAの集計手順は、ログインして項目一覧から行と列を選ぶだけで良いため、1時間程度の説明会を行っただけで業務部門にDr.Sum EAの操作手順を覚えてもらうことができました。おかげで、3ヶ月程度でDr.Sum EAを現場に定着化することができました」


社長が求める切り口で瞬時に集計報告できる環境を実現


 Dr.Sum EAの運用開始から5年以上が経った現在、クレストでどのような集計業務でDr.Sum EAを使っているのだろうか。

 「全社のあらゆる集計業務でDr.Sum EAを使っています。課題になっていた取引先に提出する各種レポートを業務現場が手作業で作ることはなくなり、レポート作成が効率化できました。時間で言うと格段に縮まりました。わずか数分です。また、売上単価推移、相場価格と小売価格の比較分析などの売上報告レポートを社長から欲しいと言われたときに即座に提出できるようになりました。Dr.Sum EAがないととてもできないことです」(高野氏)

 鶏卵を生産者から量販店に提供する卸価格は、生産者が決めるものではなく、鶏卵相場にしたがって決められるものである。鶏卵相場は、たまごのサイズ毎(SS・S・MS・M・L・LL)に存在し、消費動向や季節等による需給バランスの変動によって上下する。かつて鶏卵相場は物価の優等生と呼ばれ、相場価格の変動が少なく安定していたが、近年、気温変動の大きなぶれや農水省の政策によって相場の乱高下が続くケースがあり、注視する必要がある。クレストでは、鶏卵相場が上がったにもかかわらず小売価格が上がっていないような状況がないかを毎日チェックしている。Dr.Sum EAを導入したことによって、この相場チェックを現場で定量的に行うことができるようになった。


Dr.Sum活用の将来像:通信回線が細い農場での活用、食の安全のトレーサビリティ


 売上分析から請求回収業務までクレストのあらゆる集計業務で使われているDr.Sum EA。最後に、今後の展開を畜産業ならではの観点で伺ってみた。

 「農場の温度管理や家畜の個体数管理に適用できないか、検討しています。農場は通信回線が細い山間部にありますので、Dr.Sum EAが回線に負担をかけずに通信できるか、検証する必要があるでしょう」と加藤氏は話す。

 また、高野氏は、「現実問題としてできるかどうかわかりませんが、生産から販売出荷まで食の安全に関する情報を提供できるトレーサビリティシステムをDr.Sum EAを使って実現したいと考えています。これは、受注時に付加データをどれだけ入力できるか、入力の問題を解決する必要があると考えています」と今後の展開について語ってくれた。


Company Profile

株式会社クレスト

設立 :1963年(創業:1919年)
所在地 :愛知県小牧市大字大草5995
事業内容 :鶏卵及び豚肉の生産・販売、有機堆肥の製造販売、直売施設「くりの木ランチ」の運営、飼料・畜産機械・種豚販売 、ハム・ソーセージ・菓子等の製造販売
URL :https://www.crestfarm.co.jp/

管理本部 システムグループ 執行役員部長 高野 由則 氏(写真中央)
管理本部 システムグループ
加藤 耕基 氏(写真左)
管理本部 システムグループ
山﨑 静香 氏(写真右)

導入製品

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