
店頭活動の最前線に立つ現場スタッフのモチベーションを高めたい
アサヒビールを中核企業とするアサヒグループは、2016年に更新した長期ビジョンにおいて「高付加価値化を基軸とするリーディングカンパニーを目指すとともに、日本発の『強み』を活かすグローバルプレイヤーとして独自のポジションを確立する」という事業の将来像を掲げている。また、その実現に向けた中期経営方針では「稼ぐ力」の強化を打ち出した。
そうした中、店頭活動においても営業改革を推進している。現在、アサヒグループが手がける酒類ビジネスは、一般家庭で消費される「量販市場」と飲食店に提供する「業務用市場」の2つのマーケットに大別され、このうちグループ全体の約70%の売上を占めているのが量販市場である。アサヒグループの経営管理本社であるアサヒプロマネジメント 業務システム部の清水 博氏は、「ITを活用して店頭活動を可視化し、その最前線に立つ現場スタッフのモチベーションを高めたいと考えました」と、その目標を語る。
使い慣れたExcelの書式やインターフェイスを踏襲できるBIツールが必要
アサヒビールの量販活動は、チェーン本部の担当者がそれぞれ受け持つバイヤーと商談し、そこで決定した販売計画に基づいて、各店舗において「フィールドパートナー」と呼ばれるスタッフが店頭活動を行っている。
2012年頃までフィールドパートナーは、本部担当者から指示された内容を店頭で決められたとおりに実行するだけだった。しかしながら、これでは昨今のような流通を取り巻く環境の激しい変化に対応することはできない。そこで2015年頃からは、本部担当者とフィールドパートナーが綿密なコミュニケーションを重ねながらエリア実販の責任をもつユニット体制にあらため、店頭商談力の向上を図ってきた。
とはいえ、体制をあらためるだけでは現場は変わらない。店頭活動を最前線で担っているフィールドパートナーに知らされる実績は、すべて月例会議において紙ベースで配布されたもので2週間から1ヶ月もの遅れがある。「これでは事実に基づいて、各店舗に対してより迅速に提案を行える仕組みになっていない」と清水氏は強調する。
この課題を解決すべくアサヒビールが導入したのが、MotionBoard Cloudだ。「本部担当者やフィールドパートナーにとって、業務そのものが大きく変わることがなく、使い慣れたExcelの書式やインターフェイスを踏襲できることがベストです。この要件を満たしたBIツールがMotionBoard Cloudでした」と清水氏は語り、以下のような3つの選定ポイントを示す。
まずは「Excel運用時と変わらない画面設計ができる」こと。従来のExcelとほとんど同じ“見た目”を実現できるため、フィールドパートナーに対しても簡単な操作研修を行うだけで実業務に適応することが可能だ。
次に「多様なデータソースへの対応」。Salesforceをはじめ複数のデータソースから収集した大量のデータを、MotionBoard Cloudならば一元的に処理できる。
さらにモバイル用のアプリが用意されていることも重視した。クラウドサービスなら、新しい機能がバージョンアップされるとすぐに利用が可能できるため、内製工数の省力化による開発コストの削減が期待された。
「MotionBoard CloudをBIツールとして捉える業務部門とシステム部門の双方の目的が合致したことが、非常に大きな成功ポイントです」と清水氏は評価する。
実績をリアルタイムに把握することで、数値に基づいた提案
2017年9月に導入されたMotionBoard Cloudは、翌10月に早くもプレ運用をスタートした。「タブレット端末を全国の店頭現場に一斉展開する時期が決まっており、実質的な開発作業および展開準備を4 ~ 6週間程度で完成させる必要がありました。構築してくれた日本事務器株式会社とウイングアークの全面的な協力のおかげでスケジュールどおりに稼働させることができました」と清水氏は振り返る。
結果としてMotionBoard Cloudは、すでに多くの導入効果を上げつつある。商談スピードの向上はその最たるものだ。本部担当者もフィールドパートナーも、これまで月次や隔週でしか得られなかった実績をほぼリアルタイムで把握することが可能となり、数値に基づいた提案力が飛躍的に向上したのだ。「紙ベースの報告書をやりとりしていた月次会議においても事前に最新の実績が共有されているため、個々の店頭活動についてより具体的な議論を行うことが可能となりました」と清水氏は強調する。
これは同時に現場のモチベーション向上にもつながっている。フィールドパートナーは自分が行った店頭活動の成果がすぐ手元で確認できるため、売り場づくりの提案に対しても今まで以上に大きなやりがいを感じるようになった。
また、MotionBoard Cloudで可視化された実績はSalesforceのChatterグループ内でも共有が可能となっており、スタッフ同士が刺激し合う関係につながっている。
そして今後に向けて期待しているのがコスト削減だ。「紙で配布している報告書の削減のほか、進化し続けるMotionBoard Cloudの機能を柔軟に取り入れていくことで、今後のメンテナンスコストも低減できればと考えています」と清水氏は語る。
オムニチャネル戦略を再定義される中で、アサヒビールはメーカーとしてリアル店舗へのさらなる支援強化を目指している。その取り組みを支える基盤としてMotionBoard Cloudの利用を拡大していく意向だ。





