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押印とは?捺印との違いや必要性、脱ハンコのポイントをご紹介!

業務効率化作成日:2022.09.25 更新日:2024.02.09

商習慣として多くの企業で行われている文書への「押印」。
しかし近年、ペーパーレス化やDXの動きが活発化するなかで、業務における押印の必要性を見直して脱ハンコに取り組む企業が増えつつあります。

この記事では、押印の意味や法的効力といった基礎知識から、脱ハンコのメリットや推進方法をご紹介します。

「そもそも押印って何?」
「押印を伴う業務のデメリットとは?」
「脱ハンコを実現する方法は?」
といった疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。

ペーパーレス化を実践する3つのステップとは?

業務効率化・テレワーク実現に向けて、まず取り組むべき「ペーパーレス化」。
・ペーパーレス化により業務を効率化しテレワークを促進したい
・ペーパーレス化を実践するための手順が知りたい
こんな課題がある方へ、ペーパーレス化を実践するための3つのステップを解説します。

押印の基礎知識

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まずは、そもそも押印とは何を指すのか、そして法的効力はあるのか、といった基礎知識から解説します。

押印とは?

「押印」とは、印章(ハンコ)に朱肉を付けて紙に押して、印影(ハンコの跡)をつける行為であり、「記名押印」を省略した言葉です。

記名とは、自筆以外の方法で自分の名前を記すことであり、あらかじめ名前が記された書類を印刷したり、名前が刻印されたゴム印を押したりといった方法が該当します。

このことから、広い意味では「ハンコを押す行為全般」ですが、厳密には「自筆以外の方法で名前が記された文書にハンコを押す行為」だと言えます。

※以降、この記事では前者の「ハンコを押す行為全般」を「押印」、後者の「自筆以外の方法で名前が記された文書にハンコを押す行為」を「記名押印」と記載します。

たとえば、会社で伝票や注文書などにハンコのみを押すことは押印です。また、宅配の受取にハンコを押すのも押印の一種だと言えます。

捺印との違いは?

「押印」とよく似た言葉に「捺印」があります。

押印が「記名押印」の略であるのに対し、捺印は「署名捺印」を省略した言葉です。

署名とは、本人の自筆で名前を記すことを指します。

つまり捺印は、自筆で名前を記すことに加えてハンコを押す行為を指し、自筆の署名があるぶん、押印よりも証拠能力が高いとされています。

押印と捺印を区別する際は、「署名の有無」に注目するとよいでしょう。

押印や捺印の法的効力は?

次に、記名押印や署名捺印の法的効力について見ていきましょう。

民事訴訟法の第228条には、以下のように記されています。

第二百二十八条 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
(略)
4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
引用:民事訴訟法|e-GOV法令検索

これは、「文書に署名もしくは押印があることで、文書が真正に成立したものと推定できる」という意味であり、記名押印にも署名捺印にも一定の証拠力が認められることを示しています。

ただし、先述の通り記名押印と署名捺印では証拠力に違いがあります。

記名押印の場合、筆跡鑑定を行うことができず、ハンコの複製が容易であることから証拠力は高くありません。

一方、署名捺印の場合は筆跡鑑定を行うことできるため、記名押印よりも証拠力が高くなります。

ハンコによる押印の課題・デメリットとは?

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押印を伴う業務には以下のような課題・デメリットが存在します。

押印の課題・デメリット
  • 業務の停滞・意思決定スピードの低下
  • ペーパーレスの妨げ
  • テレワークが定着しない

次は、押印の課題・デメリットについて詳しく見ていきましょう。

業務の停滞・意思決定スピードの低下

ハンコによる押印は、業務の停滞や意思決定スピードの低下を招きます。

たとえば、紙の文書に押印する稟議・申請手続きでは、印刷した紙を手渡しで回覧する必要があり、差し戻しがあった場合には回覧を一からやり直す必要があります。

また、承認者・決裁者がオフィスに不在の場合や、取引先の押印が必要な文書の場合、押印待ちによる業務の停滞が発生してしまいます。

このように、紙とハンコによる業務には多くの無駄や非効率が潜んでおり、業務の停滞や意思決定スピードの低下につながりやすいと言えます。

ペーパーレス化の妨げ

押印を伴う業務が残っていることで、ペーパーレス化の遅れにもつながります。

働き方改革やDXの活発化、そしてSDGsへの関心の高まりから、業務のペーパーレス化が重要視されています。

しかし、電子化した文書データにハンコを使って押印することはできないため、押印ありきの業務が残っていると文書の電子化が進みません。

また、各種文書を電子化できないことでデータ活用が進まず、DXを推進する基盤も整えることができないでしょう。

テレワークが定着しない

ハンコを使った業務は、テレワークの導入・定着を妨げる要因にもなりかねません。

2020年春に新型コロナウイルス感染症が拡大した際、多くの企業が在宅勤務への移行を余儀なくされました。

しかし、紙書類の確認やハンコによる押印といった作業のために出社せざるを得ない人が多く、メディアでも「ハンコ出社」が大いに話題となりました。

このように、押印を伴う業務から脱却できなければ、テレワークを導入できない、あるいは導入したとしても定着しない可能性が高まってしまうでしょう。

脱ハンコに取り組むメリットとは?

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先述した押印の課題・デメリットから、近年は「脱ハンコ」「脱押印」に取り組む企業が増えつつあります。

「電子印鑑」や「電子署名」などの技術を用いて押印を電子化したり、形骸化している押印作業を撤廃して「脱ハンコ」を推進することで、以下のようなメリットが期待できます。

脱ハンコのメリット
  • ペーパーレス促進・コスト削減
  • 業務効率化・生産性向上
  • テレワークへの対応
  • セキュリティ・コンプライアンスの強化
  • 企業イメージの向上

次は、脱ハンコに取り組むことで企業が得られるメリットについて詳しく見ていきましょう。

ペーパーレス促進・コスト削減

脱ハンコを進めることで、ペーパーレス化が促進されます。

ハンコによる押印作業を電子化することで、紙を印刷する必要がなくなります。

これにより、ペーパーレス化が進み、従来発生していた以下のようなコストを削減することが可能です。

  • 紙代・インク代などの印刷コスト
  • 複合機の維持・メンテナンス費用
  • 取引先への郵送コスト
  • 文書の保管場所や備品のコスト

など

また、後述する業務効率化の効果により、紙やハンコによるアナログ業務の工数が削減され、人的コストの節約にもつなげることができます。

業務効率化・生産性向上

脱ハンコおよび文書のペーパーレス化が進むことで、業務効率化や生産性向上につながります。

脱ハンコを推進することで、PCなどのデバイス上で作業を完結でき、取引先や別拠点にもメールなどで配信することが可能になります。

また、文書データのまま保存しておくことができるため、後から参照・提出する際も、速やかに検索・出力することが可能です。

こうして削減された工数を、より付加価値の高い業務に充てることで、組織全体の生産性向上にもつなげることができるでしょう。

さらに、今まで活用が難しかった文書情報をデータとして扱うことが可能になるため、データ活用やDX推進の基盤づくりにも有効です。

テレワークへの対応

脱ハンコはテレワークを促進する上でも重要です。

先述の通り、押印を伴う業務はオフィスにいなければ行えないケースが多く、テレワーク導入・定着の妨げとなってしまいます。

一方、電子印鑑や電子署名などを導入して脱ハンコを推進することで、PCなどのデバイス上で業務を遂行することが可能になり、テレワーク推進のための体制を整えることができます。

テレワーク促進は働き方改革を実現する上でも重要な課題であり、働き方改革の推進という面でも脱ハンコの取り組みは有効だと言えるでしょう。

セキュリティ・コンプライアンスの強化

脱ハンコの取り組みは、セキュリティ・コンプライアンスの強化という観点でも有効です。

従来のハンコによる押印は、ハンコ自体の複製が容易であるだけでなく、本人以外がハンコを無断で使用してしまう可能性も否定できません。

一方、識別情報が付与された電子印鑑や電子署名であれば、複製や他人によるなりすましのリスクを低減することが可能です。

また、電子文書に時刻情報を付与することができる「タイムスタンプ」と組み合わせることで、文書の原本性をさらに高めることができます。

企業イメージの向上

脱ハンコの取り組みは、企業イメージの向上にもつながります。

近年は、SDGsやESGなどサスティナビリティに対する関心が高まっており、企業にも社会課題に向き合う姿勢が求められています。

先述の通り、脱ハンコの取り組みはペーパーレス化の取り組みでもあり、紙資源の使用量を削減することで結果的に環境保全への貢献になります。

つまり、脱ハンコによるペーパーレス化に取り組むことで、社会課題の解決に積極的に取り組む企業としての認知につながり、企業イメージの向上にも効果が期待できます。

脱ハンコを進める際のポイント

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次は、脱ハンコを推進する際のポイントをご紹介します。

脱ハンコを進める業務を検討する

脱ハンコには多くのメリットが期待できるものの、業務で行われるすべての押印を一度に廃止するのは困難です。

たとえ実現できたとしても、準備にかかるリソースやコストの負担が大きくなり、導入後の混乱も避けられません。

そのため、まずはどの業務から脱ハンコを進めるのか検討する必要があります。

たとえば、契約業務における業務負担が大きいのであれば、契約手続きの脱ハンコが有力な選択肢となるでしょう。

一部の業務からスモールスタートで脱ハンコの成功体験を作ることで、別の業務や文書にもスムーズに展開しやすくなります。

脱ハンコの対象業務に適したシステム選定

脱ハンコを推進する文書や業務が決まったら、電子化の方法を検討します。

請求業務などの企業間取引を電子化するのであれば電子配信システムの導入が適切です。ワークフロー機能を備えた電子配信システムなら、発行前の押印作業をシステム上で再現することができます。

契約手続きにおける脱ハンコを推進するのであれば、電子契約サービスを利用しましょう。

従来の契約書における署名や押印の代わりに、電子署名やタイムスタンプによって法的な証拠力を担保することができます。また、契約締結前の社内承認も電子化できるよう、社内承認フロー機能が備わったサービスを選ぶことをおすすめします。

電子帳簿保存法に対応する文書管理システムを導入

脱ハンコにより文書を電子化するのであれば、電子帳簿保存法に対応する文書管理システムの導入も検討しましょう。

電子化した文書をデータのまま保存しておくためには、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。

電子帳簿保存法に対応するシステム選びの基準となるのが、JIIMA認証の有無です。

JIIMA認証とは、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)による認証制度で、電子帳簿保存法の法的要件を満たすソフトウェアに対して与えられます。

JIIMA認証を取得しているシステムであれば、脱ハンコと文書の電子化を安心して進めることができるでしょう。

脱ハンコを推進するソリューションは?

次に、脱ハンコを推進するソリューションとして、ウイングアーク1stが提供する「invoiceAgent」をご紹介します。

「invoiceAgent」はJIIMA認証を取得しているので、電子帳簿保存法の要件を満たしつつ脱ハンコ・ペーパーレス化を推進することが可能です。

では、「invoiceAgent」の特徴を見ていきましょう。

請求書など電子文書の送受信なら「invoiceAgent 電子取引」

「invoiceAgent 電子取引」は、請求書などの企業間取引文書の送受信を実現するソリューションです。

PDF化した文書を専用のWebサイトにアップロードするだけで取引先へのWeb配信が可能で、取引先から発行される帳票もWebサイトを介して受け取ることができます。

また、簡易承認フロー機能と画像イメージ付加機能が備わっているので、文書データと電子押印による社内承認フローを再現可能です。

紙での受け取りを希望する取引先への郵送サービスも利用できるので、郵送とWeb配信のハイブリッド運用に対応できます。

契約手続きの電子化なら「invoiceAgent 電子契約」

「invoiceAgent 電子契約」は、契約手続きの電子化を実現するソリューションです。

従来の契約手続きにおける署名と押印に代わり、電子署名とタイムスタンプを付与することで契約の効力を担保します。

面倒な契約手続きをクラウド上で完結することができ、契約業務の効率化や締結までのスピードアップを実現します。

また、ウイングアーク1stのクラウドサービスと連携することで、契約に紐づく帳票のWeb配信や一元管理など、契約にまつわる業務を一気通貫で電子化することも可能です。

電子文書の一元管理なら「invoiceAgent 文書管理」

「invoiceAgent 文書管理」は、電子化した文書データの一元管理を実現するソリューションです。

新規作成した電子文書や他システムから出力される電子文書を取り込み、指定したルールに基づき自動で仕分け保存します。

文書の保存期間に応じた自動削除機能が備わっているほか、保管した電子文書にはタイムスタンプや電子署名を付与することができるので、文書の作成から破棄までの証跡を残すことが可能です。

また、高度な検索機能により、必要に応じて保管している文書データを速やかに参照・出力することもできます。

「invoiceAgent」による脱ハンコ・ペーパーレス推進事例

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最後に、「invoiceAgent」を活用してペーパーレスを推進した企業の事例を見ていきましょう。

世界有数の鉄鋼メーカーであるJFEスチール株式会社では、かねてよりICT活用に力を入れており、全社的な脱ハンコ・ペーパーレス化が計画されていました。

製品ごとに複数の営業部がある同社では、各営業部から請求金額の情報が営業統括部に集約され、紙とハンコによる請求作業を人手で行っていました。そうしたなか、新型コロナウイルス感染症の流行による出社制限に伴い、請求書の電子化ニーズが急速に高まります。

そこで同社では、「invoiceAgent」の導入を決定し、業務負担が大きかった営業統括部から請求書をWeb配信できる仕組みづくりに着手。

現在、営業統括部では月間1,100枚の請求関連帳票のWeb配信を実現しており、今後はWeb配信の適用範囲を拡大し、さらなるデジタル化・業務効率化を推進していく想定です。

▼事例詳細はこちら
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まとめ

今回は、ビジネスシーンで行われる押印に焦点を当て、その意味や課題、脱ハンコのメリットや推進方法をご紹介しました。

ペーパーレス化・DX化が重要視される現在、押印による業務を見直すタイミングだと言えるでしょう。そして、押印を廃止して脱ハンコを推進することは、企業に多くのメリットをもたらします。

今回ご紹介した情報も参考に、業務のなかで行われる押印を見直し、脱ハンコの取り組みに着手してみてはいかがでしょうか。

ペーパーレス化を実践する3つのステップとは?

業務効率化・テレワーク実現に向けて、まず取り組むべき「ペーパーレス化」。
・ペーパーレス化により業務を効率化しテレワークを促進したい
・ペーパーレス化を実践するための手順が知りたい
こんな課題がある方へ、ペーパーレス化を実践するための3つのステップを解説します。

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