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e-文書法とは?対象の文書や保存要件、電子帳簿保存法との違いについて解説!

法対応作成日:2022.09.20 更新日:2024.02.08

DX化の進展やテレワークの普及により、文書の電子化に着手する企業が増えつつあります。
文書の電子化は企業にさまざまなメリットをもたらしますが、電子化にあたって対応するべき法律があり、そのひとつが「e-文書法」です。

しかし、
「e-文書法ってどんな法律?」
「e-文書法で対応するべき要件とは?」
「e-文書法と電子帳簿保存法の違いは?」
といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、文書の電子化に関わる法律のなかでもe-文書法に焦点を当て、その概要や電子帳簿保存法との違いについて解説します。
文書を電子化するメリットや実現方法、成功事例もご紹介しているので、文書の電子化を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

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電子帳簿保存法の改正により要件が緩和された一方で、企業として適切な対応をするためには押さえるべきポイントがあります。
・どのような流れで対応を進めればいいのだろう…
・自社にはどんなシステムが合うのだろうか…
とお悩みの方へ、電子帳簿保存法対応のための5つのステップをご紹介します。

e-文書法の基礎知識

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最初に、e-文書法の基礎知識として、その概要や対象となる文書、制定された背景について確認していきましょう。

e-文書法とは?

e-文書法とは、各種法令で書面(紙媒体)による保存が義務付けられている文書について、文書データ(電磁的記録)での保存を認める法律であり、電子文書法とも呼ばれます。

e-文書法は2005年4月に施行された以下2つの法律の総称です。

  • 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律
  • 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律

e-文書法の対象文書は?

e-文書法の対象となる文書は多岐にわたります。

たとえば、企業が扱う文書のなかで、e-文書法の対象となる文書には以下のようなものがあります。

<e-文書法の対象書類>
国税関係帳簿:総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳など
取引関係書類:契約書、納品書、請求書など
決算関係書類:賃借対照表、損益計算書、棚卸表など
会社関係書類:株主総会議事録、取締役会議事録、定款など

なお、上記はあくまでe-文書法の対象書類の一部であり、法令で保存が義務付けられている文書の大部分が対象となっています。

ただし、以下の文書はe-文書法の対象外となるため注意が必要です。

<e-文書法対象外の文書>
  1. e-文書法が施行された時、すでに電子保存を容認していた法律の文書
  2. e-文書法施行後に制定された法律の文書

また、緊急時を想定した文書や、現物である必要性が高い文書は紙での保存が必須となっています。

<紙での保存が必須の書類>
緊急時など即座に閲覧する必要がある文書:船舶に備える手引書など
現物性が高い文書:免許証・許可証など
条約で制限されている文書

e-文書法の対象書類の詳細については、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室が公開している「e-文書法によって電磁的記録による保存が可能となった規定」から確認可能です。

e-文書法の要件

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e-文書法の具体的な要件は関連する各府省令によって異なりますが、経済産業省では前提となる以下4つの技術的基本要件を定めています。

  1. 見読性の確保
  2. 完全性の確保
  3. 機密性の確保
  4. 検索性の確保

なお、必ずしも4つの要件すべてを満たさなければならないわけではありません。

すべての対象文書で必須とされる要件は「見読性の確保」のみで、対象文書の種類によって満たすべき要件が異なるため注意が必要です。

また、上記4つは各帳票を電子保存するための前提となる要件であり、電子化する帳票の種類に応じて、管轄する各省庁の省令や施行規則、ガイドラインで規定された要件を満たす必要があります。

1.見読性の確保

見読性とは、電子化した文書データをディスプレイに表示したりプリンターで出力した際に、記載された情報が明瞭な状態(解像度・階調などが適切な状態)で確認できること。

また、必要なときに速やかに表示、もしくは書面として出力できる状態にしておく必要があります。

可視性と表記・呼称されるケースもあります。

2.完全性の確保

完全性とは、保存期間中における電子文書の消失・破損を防ぎ、改ざんの防止および改ざんがあった場合に事実検証が可能な状態であること。

また、電子署名やタイムスタンプなどの技術を用いて、文書の作成者・作成日などが、ありのままの状態で保存されていることを証明できなくてはなりません。

3.機密性の確保

機密性とは、権限を持たない第三者による不正なアクセスを防ぎ、文書データの盗難や漏えい、盗み見などを防止できる状態であること。

セキュリティ対策を講じて、アクセス制御や文書の暗号化などを行う必要があります。

4.検索性の確保

検索性とは、電子化された文書データが体系的に保存されており、必要な文書データを速やかに引き出せる状態であること。

ファイル名での検索だけでなく、記載内容や日付などによる検索や、複数項目による検索を行える仕組みが必要です。

e-文書法と電子帳簿保存法の違い

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e-文書法が制定された背景でも触れた通り、文書の電子保存に関わる法律には電子帳簿保存法という法律も存在します。

混同しやすい2つの法律ですが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。

ここでは、e-文書法と電子帳簿保存法の違いについて解説します。

対象となる文書の範囲

e-文書法と電子帳簿保存法の大きな違いが、対象となる文書の範囲です。

e-文書法は、複数の省庁が管轄する約250の法律を横断し、法律で保存が義務付けられている書類全般が対象となります。

一方の電子帳簿保存法は、法人税法などで保存が義務付けられている国税関係帳簿書類が対象です。

保存要件の違い

e-文書法と電子帳簿保存法の違いとして、対応する際の保存要件も挙げられます。

先述の通り、e-文書法では大きく「見読性」「完全性」「機密性」「検索性」という4つの要件が定められています。

一方、電子帳簿保存法では、「真実性の確保」「可視性の確保」という2つの要件があり、各要件にはさらに詳細な規定が設けられています。

以前は「事前承認の要否」という違いも

e-文書法では文書の電子保存にあたって事前承認が不要であり、電子帳簿保存法においては所轄税務署長による事前承認が必要、といった違いがありました。

ただし、2022年1月1日の改正により、現在は電子帳簿保存法も事前承認が不要となっています。

文書を電子化するメリット

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ここまでは、e-文書法の概要や電子帳簿保存法との違いについてご紹介してきました。

次は、文書を電子化することで得られるメリットとして、以下の4点をご紹介します。

  • コスト削減
  • 業務効率化
  • テレワーク促進
  • セキュリティ強化

 

コスト削減

文書の電子化に取り組むメリットのひとつが、コスト削減です。

企業では、社内向け・社外向けを問わず、日々大量の文書がやり取りされています。これらの文書を紙で運用・管理している場合、以下のようなコストが発生します。

  • 紙代やインク代などの印刷コスト
  • 印刷機器のメンテナンス・維持コスト
  • 拠点間・企業間の輸送コスト
  • 保存期間を終えた文書の廃棄コスト など

紙の文書を電子化すれば、上記のようなコストを削減することが可能です。

また、文書の保管スペースを縮小することができるため、オフィス・設備費用を節約できるケースもあります。

業務効率化

文書を電子化することで、以下のような紙ならではの非効率を解消することが可能です。

  • 印刷や押印の手間
  • 承認者不在による回覧の停滞
  • 手作業によるファイリングや郵送準備
  • 目視と手作業による業務システムへの入力 など

上記のような作業が効率化されることで、今まで発生していた作業工数をほかの業務に割り当てることができます。より生産性の高い業務に注力することで、企業全体の生産性向上にも効果が期待できるでしょう。

テレワークの促進

文書の電子化は、テレワークを促進していく上でも重要です。

紙の文書の場合、印刷や手渡しによる回覧、取引先への郵送準備など、オフィスにいなければ行えない作業が少なくありません。

これらのアナログ作業がテレワーク導入の妨げとなってしまい、実施したとしても出社せざるを得ない状況が発生していまいます。

文書を電子化することで、テレワーク環境でも文書の閲覧や社内共有、取引先への配信も可能になります。

「多様な働き方の実現」を掲げる働き方改革の推進という面でも、文書の電子化は有効だと言えるでしょう。

セキュリティの強化

文書を電子化するメリットとして、セキュリティの強化も挙げることができます。

紙の文書は、経年変化によって見読性が損なわれる恐れがあるほか、持ち出しによる紛失や情報漏えい、改ざんなどを防ぐために物理的なセキュリティ対策が必要になります。

一方、電子化された文書であれば、閲覧権限の設定やアクセス履歴の確認が可能で、不正行為に対するリスクコントロールが容易です。

また、文書データは物理的に劣化してしまう恐れがなく、バックアップデータから文書を復元することもできます。

企業イメージの向上

近年はSDGsやESGへの注目が高まっており、企業においても環境問題などの社会課題への取り組みが重要視されています。

文書を電子化してペーパーレス化を促進することは、環境保護や社会貢献の取り組みでもあり、企業イメージの向上にもつなげることができるでしょう。

紙文書の電子化なら「invoiceAgent」

紙文書の電子化は、企業にとって大きなメリットがあることをお伝えしました。

ただし、文書を電子化する際には、e-文書法をはじめとした法律への対応も必要になります

そこでおすすめしたいのが、ウイングアーク1stが提供する文書活用ソリューション「invoiceAgent」です。

「invoiceAgent」は、電子帳簿保存法の法的要件を満たすソフトウェアに与えられるJIIMA認証を取得しており、e-文書法への対応にも役立てることができま

※2022年6月より「SPA/SPA Cloud」は「invoiceAgent 文書管理」「invoiceAgent AI OCR」に名称を変更しました。

高精度な5つのOCRエンジンで文書をデータ化

「invoiceAgent AI OCR」には、高精度な5つのOCR(光学的文字認識)エンジンが搭載されています。

文書の特徴に応じて複数のOCRを使い分けたり、1つの読み取り項目に対して複数のOCRエンジン処理を行うことも可能で、自動画像補正にも対応しています。

これらの機能により、紙の文書を正確にデータ化することが可能です。

文書データのセキュリティを担保

「invoiceAgent 文書管理」は、改ざんなどの不正を防止する機能も備えています。

たとえば、文書データの存在証明と非改ざん証明を担保するタイムスタンプ機能や、文書の作成から破棄までの証跡管理機能が備わっています。

文書管理に役立つ機能も充実

「invoiceAgent 文書管理」は、文書管理の一元化・効率化を実現します。

OCR機能でデータ化した文書はもちろん、他システムで出力した文書や新規作成した文書を取り込み、自動で仕分け保管することができます。

また、取引日付、取引先名、金額などのさまざまな条件に対応する検索機能も備えています。

さらに、文書の保存期間に応じた自動削除機能により、文書のライフサイクルに沿った管理が可能です。

文書の電子化に成功した企業事例

最後に、「invoiceAgent」を活用して文書の電子化に成功した企業事例をご紹介します。

月7,000枚の請求書を電子化!対象範囲の拡大も(ロジクエスト)

【ロゴ変更】case_logiquest.png

配送代行・緊急配送・国際輸送の3事業を全国展開している株式会社ロジクエストは、全社的な取り組みとしてDXを推進しています。

DXプロジェクトのひとつであるペーパーレス化を実現するため、同社では「invoiceAgent」を導入しました。

全国の委託ドライバーから届く月7,000枚の月報兼請求書を電子化し、電子帳簿保存法に準拠した請求書管理を実現しています。

また、今後は契約書や見積書といった帳票や、e-文書法の対象となる人事データの履歴書などの電子化も見据えています。

▼事例詳細はこちら
株式会社ロジクエストのinvoiceAgent導入事例をもっと見る

まとめ

e-文書法は、請求書・納品書・領収書など、会社に関わるさまざまな文書の電子保存を認める法律です。

電子帳簿保存法とは対象となる法律や文書が異なり、文書の電子化を進める上ではどちらも理解しておくと良いでしょう。

文書を電子化することで、コスト削減・業務効率化・テレワークの促進・セキュリティの強化といったメリットがあります。

ウイングアーク1stの「invoiceAgent」であれば、既存のシステムを大きく変えることなく文書を電子化することが可能です。文書の電子化を進め、より働きやすい業務環境を整えていきましょう。

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