OEE(設備総合効率)とは
OEE(Overall Equipment Effectiveness)は、日本語で「設備総合効率」と言います。公益社団法人日本プラントメンテナンス協会が提唱したTPM(全員参加の生産保全)の考え方に基づく指標で、設備における効率を測定するためのKPI(重要業績評価指標)です。IATF16949やISO22400といった国際規格にも定められており、国内外の多くの企業で活用されています。
たとえば、OEEの値が高ければ、時間や材料、エネルギーなどのリソースやコストを抑えて製品を生産できているということになります。逆にOEEの値が低ければ、非効率な生産体制になっていることを表し、改善する必要があるということです。
このように、OEEの値を計算することで自社の生産効率を明確化できるため、ムダなコストの削減と生産性向上を実現するための改善策立案に役立ちます。なお、OEEは0〜100%で表され、世界トップクラスの工場では85%以上が一つの目安とされています。ただし、業種や生産方式によって適正水準は異なるため、自社の状況に応じた目標値を設定することが大切です。
OEEの計算方法
OEEの計算式は、以下の式で算出します。
- OEE = 時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率
このように、OEEを計算するには、大きく3つの比率を算出しておく必要があります。
時間稼働率
時間稼働率とは、設備が実際に稼働している時間比率のことです。時間稼働率は以下の式で算出できます。
- 時間稼働率 = 稼働時間 ÷ 負荷時間
時間稼働率を算出するためには、稼働時間と負荷時間の値が必要です。稼働時間とは、設備に電源が入っており負荷がかかっている時間(負荷時間)から、設備が停止しており負荷がかかっていない時間(停止時間)を引いた時間です。
稼働率は、以下の式で算出します。
- 稼働時間 = 負荷時間 – 停止時間
なお、稼働率と混同されやすい言葉に「可動率」があります。稼働率が定時内における設備の稼働割合を示すのに対し、可動率は「動かしたいときに正常に動いていたか」を示す指標です。両者の違いを理解しておくことも、OEE改善のポイントを見極めるうえで役立ちます。
性能稼働率
性能稼働率とは、設備が稼働している時間の中で、設備の性能通りに製品を生産できた時間の割合のことです。性能稼働率は、以下の式で算出します。
- 性能稼働率 = 基準サイクルタイム × 生産数 ÷ 稼働時間
性能稼働率を算出するには、基準サイクルタイム、生産数、稼働時間の値が必要です。基準サイクルタイムとは、製品を1つ生産するために定められた時間を表します。性能稼働率は、製品の生産を計画通りに進めるための重要な指標です。
良品率
良品率とは、設備で生産された製品の中で、品質基準を満たしている製品の割合を示す指標です。良品率は、以下の式で算出します。
- 良品率 = 良品数 ÷ 生産数
算出に必要な良品数とは、生産数から不良品の数量を引いた数のことです。良品数は以下の式で算出します。
- 良品数 = 生産数 ‐ 不良品数
なお、OEEと混同されやすい指標に、TEEP(Total Effective Equipment Performance:設備機器総合有効生産力)があります。OEEが稼働予定時間内の効率を評価するのに対し、TEEPは年間365日24時間を基準に算出する点が異なります。24時間稼働体制の最適化を検討する場合は、TEEPも合わせて確認するとよいでしょう。
OEE改善のために見直すべき7大ロス

製品生産における効率を低下させる原因は「7大ロス」として大別されます。各「ロス」について理解して見直すことが、OEE改善のために重要です。
故障ロス
故障ロスとは、設備が故障や不具合によって生産が停止することで発生する損失のことです。故障には突発的なものや経年劣化によるものなどの原因が考えられます。
故障はダウンタイムを引き起こし、生産性の低下や、修理や部品交換に伴うコスト発生に繋がります。故障ロスを軽減させるためには、定期的なメンテナンスや予防保全が重要です。
刃具交換ロス
刃具交換ロスとは、生産工程で使用される刃具、ツールの交換にかかる時間やコストの損失のことです。刃具の寿命や性能低下により交換頻度や時間が異なります。効率的な交換方法や高性能で耐久性のある刃具を使用して交換回数を減らすことで、刃具交換ロスを減少させることが可能です。
このような対策をすることで、交換作業に伴う設備停止時間や再調整の時間も最小限に抑えることができるようになります。
立ち上がりロス
立ち上がりロスとは、設備の起動や準備にかかる時間による損失のことです。多くは、生産開始時やライン変更時に発生します。
立ち上がりロスは、迅速な起動手順の確立や事前準備の徹底により短縮が望めます。また、オペレーターの操作習熟度向上や試運転による動作確認も有効です。設備がすぐに稼働し、生産を開始できる工夫が求められます。
段取り・調整ロス
段取りや調整ロスは、製品変更や品質調整の際に発生する損失です。各設備の設定を変更する際には時間を要します。たとえば、製品切り替え時に必要な金型交換や生産パラメータの変更などが原因でロスが生じます。
この時間は付加価値を生まないため、短縮しなければなりません。段取り・調整ロスを防ぐには、設備の柔軟性を高め、設定変更を簡素化することが有効です。
速度低下ロス
速度低下ロスとは、設備の稼働速度が低下し、予定の生産数に達しないことで発生する損失です。設備の劣化やメンテナンス不足が主な原因に挙げられます。
速度低下ロスを減らすためには、定期的なメンテナンスや設備のアップグレードが必要です。また、作業手順の見直しや効率的な作業方法の導入も有効でしょう。受注状況に応じて稼働速度を調整し、設備への過剰な負荷を避ける工夫も大切です。
チョコ停ロス
チョコ停ロスとは、設備の短時間の停止や小さな異常によって生じる損失です。これは、軽微な故障や一時的なトラブルが原因に挙げられます。生産への影響は一見小さいものの、頻繁に発生すると大きな影響を及ぼすでしょう。
特に無人設備や自動化された生産ラインでは、このロスの頻度が高まることがあります。チョコ停ロスを低減するためには、設備の監視を強化し、異常が発生した際には迅速に対応することが重要です。
不良・手直しロス
不良・手直しロスは、不良品の生産やその修正作業に伴う時間の損失です。不良品の発生には、設備の問題をはじめさまざまな不具合が関係しています。不良・手直しロスを防ぎ繰り返さないためには、不良品の原因を徹底的に分析し、根本的な原因の究明と再発防止策を実施する必要があります。
OEE改善のメリット
7大ロスを見直し、OEEを改善することでさまざまなメリットがあります。ここでは、大きく3つのメリットに分けてみていきましょう。
故障ロスによるコストを削減できる
OEEの改善は、故障ロスによるコスト削減が可能です。設備の故障は生産ラインの停止を引き起こし、修理や交換の費用が発生するだけでなく、生産スケジュールの遅延や納期の遅れによる顧客満足度の低下を招く可能性もあります。
OEEを改善するための故障予防策を実施することで、これらの問題を未然に防ぐことができるようになり、その結果コストの削減に繋がります。
保全活動のコストを削減できる
OEE改善は、保全活動のコスト削減も期待できます。設備の稼働率が向上することで、故障やトラブルの発生頻度が減少し、定期的なメンテナンスの回数をはじめとしたコストが低減できます。また、突発的な修理や部品交換のコストも削減されるでしょう。
これにより、保全にかかる人件費や資材費も抑えられ、企業の運営コスト全体が効率化されます。
品質管理のコストを削減できる
OEEの改善が、品質管理のコストを削減します。設備の稼働状況が最適化されることで、不良品の発生率が低下するためです。これにより、品質検査や再加工にかかる手間とコストも減少します。
さらに、設備の安定稼働が製品の品質水準を均一に保つため、クレーム対応や返品処理のコスト削減にも繋がります。その結果、品質管理にかかるコストが削減されるのです。
OEEを改善するにはデータの可視化が不可欠

OEEの改善には、データの可視化が不可欠です。7大ロスを正確に把握し見直すためにも、どこでどのようなロスが発生しているかを定量的に見える化する必要があります。データが可視化されれば、設備の稼働状況や生産効率をリアルタイムで把握することができ、異常の早期発見に繋がります。
さらに、MES(製造実行システム)と連携することで、生産現場の情報を一元管理し、リアルタイムでデータを収集・分析できるようになります。MESを活用すれば、設備の稼働状況や生産プロセスの詳細なデータを取得して可視化できます。可視化されたデータは、設備のパフォーマンスを分析するための重要な基盤となり、具体的な改善策の立案に有効です。データの可視化は、OEE改善に向けた第一歩になるでしょう。
▼MESについては、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
製造実行システム「MES」とは?そのメリットや機能、導入事例を紹介|ウイングアーク1st (wingarc.com)
製造現場を可視化する「MotionBoard」
製造現場を可視化する際には、設備の状態をデータとして収集し、蓄積されたデータを分析・解析してフィードバックするという仕組みが必要です。また、データをリアルタイムに可視化することも欠かせません。
そこで導入したいのが、「MotionBoard(モーションボード)」です。1つのプラットフォームでデータ活用に必要な機能を提供するBIツールで、工場の稼働状況の可視化や在庫の適正化に役立ちます。たとえば、以下のような用途に活用できます。
- 設備稼働状況
- 品質管理
- トレーサビリティ
- 在庫適正化
- 設備総合効率向上
データ分析基盤の「Dr.Sum」とMotionBoardを活用することで、データを定量的に分析・解析して可視化できます。工場内の設備の情報をIoTデバイスで収集してDr.Sumへ集め、Dr.Sumがデータを蓄積・収集・加工・分析・解析を行った結果がMotionBoardへ反映されるという流れです。
以下はMotionBoardで稼働率やロスを表示した画面です。

このように、数値やグラフで可視化された設備の状況を基に、OEE改善の施策を行うことが可能になります。
▼Dr.Sumについては、以下をあわせてご覧ください。
設備データをはじめとするさまざまなデータを一元化|ウイングアーク1st (wingarc.com)
▼MotionBoardについては、以下をあわせてご覧ください。
簡単・シンプルにはじめる設備データ収集・活用ソリューション|ウイングアーク1st (wingarc.com)
活用事例:データの見える化によるボトルネックの解消と現場意識の改革に成功!
「MotionBoard」を活用した具体的な事例として、日本特殊陶業株式会社の取り組みを紹介します。同社では、データの見える化によって設備総合効率の最大化に成功させ、スマートファクトリー化で高い生産性と高品質を目指すため、Dr.SumとMotionBoardを導入しました。
MotionBoard導入の背景
同社では、IoT技術を使って各工場の生産設備からデータを取得していました。しかし、取得したデータの分析や活用ができていなかったと言います。取得したデータを分析・解析して可視化し、生産性の向上を目指すためにDr.SumとMotionBoardを導入するに至りました。
課題
同社には以下のような課題がありました。
- 生産性向上を実現するためのボトルネック発見について、高精度の分析を行う必要があった
- リアルタイムに稼働状況を把握して、現場の改善を行う必要があった
これらの課題を解決するため、IoTデバイスで取得したデータを分析・解析して、可視化するためのソリューションが必要でした。そこで、Dr.SumとMotionBoardを導入したのです。
MotionBoard導入の効果
データ収集基盤のDr.Sumで、取得したデータを分析・解析してMotionBoardへ反映させることで、以下の効果に繋がりました。
- 分析された出来高や稼働率のデータで、ボトルネックの解消が可能になった
- リアルタイムに数値化されたデータが可視化され、現場の意識改革が実現
Dr.Sumで収集したデータ加工が迅速に行えるようになり、さらにリアルタイムでデータを分析して可視化できる環境が整うことにより、現場の状況が可視化されました。また、グラフはExcelに近かったため見やすく、その他のBIツールでは利用できなかったガントチャートも活用できることが、MotionBoard導入の決め手になりました。
MotionBoardは使い勝手が良く、導入部門全体の約70%に浸透しています。

▼活用事例の詳細については、以下で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
日本特殊陶業株式会社 | 導入事例|ウイングアーク1st (wingarc.com)
まとめ
OEE改善には、7大ロスを見直すことが大切です。これにより、故障ロスによるコストや保全活動のコスト、品質管理のコストを削減できるようになります。OEEの計算方法を理解したうえで、製造現場を可視化するソリューションを導入することが、OEE改善の近道となるでしょう。
取得したデータの分析や解析、それを可視化するBIツールについては、製造業を支えるソリューションであるDr.SumとMotionBoard導入を検討してみてはいかがでしょうか。





