営業責任者と運用管理者の緊密な協力によって 全社でデータを共通言語とした 組織横断的コミュニケーションが浸透

Company Profile

社名:エムオーテックス株式会社
事業内容:自社プロダクト製品の企画・開発・販売、セキュリティサービス事業
資本金:2,000万円
設立:1990年7月
URL:https://www.motex.co.jp/
業種:情報・通信
規模:国内4拠点
利用製品:MotionBoard Cloud for Salesforce
用途:営業、マーケティング部門におけるパイプライン管理、実績管理における業務効率化

お話を伺った方

エムオーテックス株式会社経営企画本部 本部長
中本 琢也 氏
エムオーテックス株式会社営業本部 西日本営業部部長
金子 大輔 氏
エムオーテックス株式会社経営企画本部 経営企画部
芝田 沙織 氏

  • Salesforce
  • データ統合
  • トップダウン
  • 会議の効率化
  • 商品分類の再構築
  • 営業DX
  • 資料作成工数の削減

ネットワークセキュリティ分野で高いシェアを誇る「LANSCOPE」など多様なソフトウェアの開発・販売を行うエムオーテックス株式会社は、経営方針である「データドリブン経営」を推進し、着実な成長を続けています。本格的なデータ活用のきっかけとなったウイングアーク1stのBIダッシュボード「MotionBoard Cloud for Salesforce」導入の背景、活用法や実際の成果などについてお聞きしました。

より効率的で迅速なビジネス実現のため
MotionBoard Cloud for Salesforceを導入

エムオーテックス株式会社(以下エムオーテックス)は「Secure Productivity」――ビジネスにおける安全と生産性の両立を掲げ、ネットワークセキュリティ分野で高い評価を集める「LANSCOPE」、AIアンチウイルス「CPMS」など多様なソフトウェアの開発・販売を行っています。

経営企画本部 本部長の中本琢也氏は、

「経営企画本部の主要ミッションは数年先の未来を想定しながら経営課題を解決し、会社の成長を実現することです。弊社社長の宮崎は自ら『データドリブン経営』を提唱し、客観的なデータに基づいたより的確で迅速な意思決定と活動を追求しています。経営企画本部はデータドリブン経営を実現するためのデータ基盤の整備やBIなどによるデータ活用の推進を担っています」

▲ 中本氏

と話します。

同社は2017年、営業データの統合・管理を目的にSalesforceを導入しましたが、運用に関していくつかの課題が生じていました。

毎月末、経営企画本部の担当者がSalesforceに入力されたデータを元に5営業日かけてExcelで販社別実績資料を作成していました。

例えばある商品の出荷月ごとの出荷金額をSalesforceからレポート(一覧)出力し、ピボットテーブルを作っていました。販売店/地域/商品などテンプレート先のフォーマットに合わせてピボットのフィルターかけて、その内容をExcelテンプレートにそれぞれコピー&ペーストするのですが、ピボットのフィルターのかけ間違え、コピー&ペーストするときの貼り付けミス、細かいコピー&ペースト箇所の更新を忘れるなどの問題が生じていました。ダブルチェックをかけていましたが、量と箇所が細かすぎるため追いつかず、5営業日かけて作業しても毎月何らかのミスが発生しているという状況でした。さらに増加する取扱製品やデータの複雑化、Salesforceに登録せずにExcelで管理しているデータの取り扱いなどの課題がありました。

資料を利用する営業本部側も、資料完成までの待ち時間が生じるためデータを基にした迅速なアクションが取れず、新たなデータの集計依頼も経営企画本部の作業負担を考えると依頼しづらい状況でした。

こうした課題の解決と業務の効率化、さらなるデータ活用のため、2018年、ウイングアーク1stのBIダッシュボード「MotionBoard Cloud for Salesforce」が導入されました。

資料作成の工数が大幅削減
迅速に柔軟性のある資料を提供

MotionBoard Cloud for Salesforceの運用管理者である経営企画部の芝田沙織氏は、その利点を次のように語ります。

「利点は大きく3つあります。1つ目はユーザーの管理がしやすく、メーリングリストからの通知管理が容易な点。2つ目は Salesforceからのデータ取得が簡単な点。3つ目は SalesforceとMotionBoardをシームレスに使用できる点。Salesforce、MotionBoardと別々にログインする必要がなく、両者間のデータのやりとりがラクで、スムーズにストレスなく作業を進めることができる点です」

MotionBoard Cloud for Salesforceの活用により、資料作成の工数は大幅に削減され、これまで締め日から5営業日後だった資料提出が、翌日へとスピードアップしました。営業本部 西日本営業部 部長の金子大輔氏は、

「売上げや販売実績などをいち早く把握できるようになったため、より迅速な判断や行動が可能になりました。パートナーである販売代理店様への報告も従来は資料の完成を待つことで締め日の翌週にアポイントメントを入れていましたが、その週のうちに報告できるようになり、ビジネスの速度が大幅に向上しました」

と話します。

さらに、柔軟な資料の提供と営業担当者など利用者自らが資料を加工することが可能になりました。

芝田氏は次のように話します。

「従来、利用者から『ここをもう少し詳細に出せませんか?』『この切り口で見たいのですが?』という要望をたびたびいただいていました。しかしその都度Excelを修正する必要があり多くの工数がかかっていました。そこで、たとえば商品区分別や販売形態別など求められそうな切り口の集計を事前にMotionBoardに用意しておき、利用者が必要とする部分だけを利用できるようにしました。作成者の工数が減り、利用者はPowerPointで必要な部分を出力するだけなので待ち時間も短縮されます。さらに集計表をPowerPointにワークシートとして埋め込むことができます。利用者自らがMotionBoardから使いたいグラフ・表を『具材』としてピックアップし、自由に組み合わせて使うことができるので、必要な資料を自分で作成できるようになりました」

▲ 芝田氏

バラバラだった商品分類を再構築
サブスクリプションビジネスにも対応

エムオーテックスの取り扱い製品は増加を続け、データはどんどん複雑化しています。しかしSalesforceに登録されているデータは、違う商品が同じ商品名で登録されている、ある商品の階層だけが一階層深いなど、分類がバラバラな状況が生じていました。そのまま集計してしまうと、求める正確なデータを得ることができません。そこで、これまでの分類をいったん分解し、整理のための対応表を作り、MotionBoard上で新しい分類を再構築。それを元に「社内販売実績詳細」「社内販売実績簡易」「社外用」など用途に合わせて分類のパターンを作成しました。

再分類することで新しい商品がどこに分類されるのかが明確となり、その商品についての議論も行いやすくなりました。さらに、分類の一覧を提供することで利用者が各自で集計してグラフで出力したり、集計内容の詳細を確認したりすることも可能になりました。

従来はExcelで行っていた営業部門の予定と実績の管理も、MotionBoardで行なえるようになりました。目標や実績、進捗など
Salesforceの複数のデータを取り込み、MotionBoardの入力機能で実績と予定の確認、予測を一元管理。大幅な作業時間の削減、作業効率の向上が実現しています。営業担当者は一目でそれらの数値を確認できるため、データに基づいた効率的な活動を行うことができます。

さらに、エムオーテックスでは近年オンプレミス型の販売だけでなく、サブスクリプションによるビジネスも拡大しています。MotionBoardは、自動的に商談金額を按分し、毎月の計上額を計算。売上予測も正確に行なえるようになりました。来月、再来月以降の案件の精査が容易になり、未来案件の見通し精度も向上しました。

部、課、個人の営業活動を可視化
営業会議の効率も格段に向上

MotionBoard Cloud for Salesforceはエムオーテックスの営業現場にどのような効果をもたらしているのでしょうか?

金子氏は次のように語ります。

「最初は部長・課長クラスだけが使えるよう導入ライセンス数も限られていましたが、現在では営業本部約60人全員分のライセンスを導入しました。最大のメリットはみんなの主観的な判断や思い入れではなく、客観的なデータを共通言語として議論をかわし、意思決定できるようになったこと。誰でもいい報告はしたがりますが、悪い情報はデータがないと出て来にくい。結果が悪ければ、その原因を分析し、冷静にとるべき対策を検討することができます。また、来期の目標を達成するためには、今期このくらいパイプラインを積んでおく必要があるなど、適切な予測も容易に行なえるようになりました。」

▲ 金子氏

営業本部では部、課、個人のすべてのレベルで、売上げ、目標、予測はもちろん、担当商談の進捗状況などもMotionBoardで見ることができます。ウイングアーク1stの営業ダッシュボード「MAPPA」を参考に金子氏を含む営業部門と芝田氏が徹底的に議論と試作を繰り返し完成。部、課、個人レベルで営業活動を可視化し、より注力すべき点など効率的に戦略を練ることができます。

同社では様々な商品に関する担当者別ランキングを「いろいろランキング」としてMotionBoardで作成・公開しています。単に売上げ上位は誰と発表するだけではなく、様々な視点でランキングを出すことで、多くの人に光を当て、モチベーション向上を図ることが目的です。今回誰もが互いの実績を見られるようにしたことで、さらなる意識の向上やモチベーションアップが期待されています。

また、営業会議のスタイルもMotionBoardによって激変。現在ではMotionBoardの画面を共有するだけで実績に関する報告は終了します。そのデータを基にすぐに具体的な議論に入ることができます。これまで報告者は資料作成にかなりの時間を割いていましたが、その時間で別の仕事をすることが可能となり、多くの面で効率化が進んでいます。

トップダウンとボトムアップで
社内全体のデータ活用を推進

営業本部ではデータ活用推進のためにどのような方策を行ってきたのでしょうか?

「営業本部長が先頭に立って推進しています。まずはデータを入力しないと、個人や課の実績が共有されないので、みんなが自然と入力するようになりました。また、各課の案件会議でもMotionBoardを見ながら話が始まるので、着実に浸透し続けています。今後は会議での個人発表でもMotionBoardの活用を促していきます」

と金子氏は話します。

現在、MotionBoard Cloud for Salesforceはマーケティング部門、CS部門、管理部門などでも活用されています。マーケティング部門では蓄積されてきたリードデータの分類・整理などに、CS部門ではカスタマーヘルススコアの把握などに活用しています。

中本氏は、

「社長から各本部長、各プロダクトマネージャーまで、それぞれの要望を聞き、それに着実に応えることで社内横断的にデータ活用を推進しています。また、MotionBoardでつくったレポートを社内ポータルで公開して社員がデータに触れる機会を増やしていく、さらには実際にMotionBoardを使いたい方に対して芝田が『MotionBoard塾』を開催しています。トップダウンとボトムアップの両面からデータ活用を推進しています」

と話します。また、芝田氏は、

「MotionBoardは役に立たないと思われたくない。営業部門などからボードの依頼があったら、できるだけ速く、遅くとも1週間以内にはプロトタイプを出すように努めています。中には実現が難しい依頼もありますが、その場合も単に『できない』と答えるのではなく『こういう形ならできますよ』と必ず代替案を出すようにしています」

と語ります。

社内の様々なデータを取り込んで一本化
データ活用できるメンバーを増やしていく

データ活用の未来図として、芝田氏は意思決定元になるデータと分析技術を提供することを思い描いています。

「Salesforceからのデータだけでなく社内の様々なデータを取り込みDWHによってデータベースを一本化。そのデータをMotionBoardで可視化し、様々な課題を解決していきたい。そしてデータの分析基盤を整備することで、データを活用できるメンバーを増やしていきたい。営業部門ではMotionBoardのライセンスを全員分導入しましたが、今後は全社的に現場のメンバーが活用できるようライセンスを増やしていきたいですね。データドリブン文化を根づかせ、データを共通言語とした組織横断的コミュニケーションを実現するのが目標です」(芝田氏)

中本氏はデータドリブンが全社に浸透しつつあることを実感しています。

「全社的に『こう思います』という報告ではなく、データを基に『こういう理由でこうなっています』と報告する姿勢が定着しつつあります。上手くいっている理由、あるいはうまくいかない原因を客観的なデータを基に分析しないと、正しい手が打てないという理解が広がっています。ビジネスは日々変化しており、チャーンなどサブスクリプションビジネスに必要な指標の重要性も認識されつつある。今後もデータ活用を推進することが、弊社の成長とお客様の利益に繋がると考えています」

と中本氏は語りました。

編集後記

エムオーテックス株式会社では営業マネージャーとデータやツール運用のプロフェッショナルがタッグを組み、信頼関係のなかでデータ活用が着実に社内に根付いていることを感じました。インタビューの中で印象的だったのは「いろいろランキング」のお話です。様々な切り口でデータを見ることによって売上に貢献している多くの営業が見えてくる。データ活用によってこれまで気付かれなかった活動にスポットを当てることが出来るというお話。データ活用に興味関心を持ち強力な武器として活用いただくためにはデータ活用の価値を知っていただく事が不可欠です。きめ細やかなデータ活用推進活動の実践例として非常に参考になる事例となりました。

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