MotionBoardの入力機能を活用しMRの対話スキルが向上 OJTなど部署の垣根を超えた人財育成を実施

Company Profile

社名:小野薬品工業株式会社
事業内容:医療用医薬品を主体とする各種医薬品の研究、開発、製造、仕入および販売
設立:1947年
URL:https://www.ono-pharma.com/ja
業種:医薬品
利用製品:MotionBoard Cloud
用途:OJT管理、研修受講管理

お話を伺った方


小野薬品工業株式会社
営業研修部 能力開発室 第一課 課長
城方 孝充氏

小野薬品工業株式会社
営業研修部 能力開発室 第二課
沖 龍馬氏

  • DX
  • データ活用促進
  • 営業DX
  • 業務改革

小野薬品工業株式会社は、患者さんとそのご家族、医療従事者、社員、パートナーなど同社に関わるすべての人の体験価値を向上する「人中心のDX戦略」を掲げています。同社ではデータによってMR(Medical Representatives:医療情報担当者)の様々な活動を支援していますが、営業研修部が取り組んでいるのがMRの医療従事者に対する対話スキル向上です。全国の営業所長にMotionBoard Cloudを展開し、営業所長、MR、営業研修部、が連携し、OJT(On the Job Training)が実施されています。MotionBoard導入の背景とねらい、実際の効果についてお聞きしました。

「人中心のDX戦略」を推進
求められるMRの「対話スキル」向上

小野薬品工業株式会社(以下小野薬品)は「病気と苦痛に対する人間の闘いのために」という企業理念のもと、創業以来300年以上にわたる歴史の中で、独創的な医薬品を創製してきました。患者さん本位に立つことを第一に、医療ニーズの高い疾患領域において、積極的な投資を実行しながら、新薬の研究・開発、製造、販売を行っています。

小野薬品は事業環境が大きく変化する中、デジタルトランスフォーメーション(DX)による成長戦略の加速、事業プロセスの革新、新たな価値創造を目指しています。同社はIT基盤の整備、DX人財の育成、全社的なデータ利活用基盤の構築などに取り組みつつ、関わるすべての人の体験価値を向上する「人中心のDX戦略」を掲げています。

MRは医師・薬剤師等の医療関係者に医薬品の品質・有効性・安全性等に関する情報の提供・収集・伝達が主な業務です。 医薬品のより安全・効果的な使用を実現することで、患者さんや医療への貢献を行っています。

近年、小野薬品のMR活動において重視されているのが、医療従事者との「対話スキル」です。    
               
小野薬品 営業研修部 能力開発室 第一課 課長の城方 孝充氏は次のように話します。

「コロナ禍や医師をはじめとする医療従事者のワークスタイルの変化などによって、MRが医療従事者に直接接触できる機会が減少しています。そのため、1回1回のコミュニケーションの質を向上させる必要があります。医師の抱えている課題や患者さんの背景をMRが正確にヒアリングし、それを踏まえた上で適切な提案ができる対話スキルが、より強く求められています。」

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▲城方氏

MRは基本的に一人で活動することが多いため、医療現場で、実際にどのような対話を医療従事者と行っているのか営業所長、本社は把握しづらく、 現場でなされる対話スキルを向上させる教育手段も限られています。

そうした課題を解決するため小野薬品では、2016年よりオンコロジー(がん治療)領域のMRを対象に対話スキル向上のための研修を実施してきました。その中で、OJTとして、営業所長がMRに同行し、医療従事者との対話スキルを評価・指導し、その内容をExcelでまとめて営業研修部に報告するという施策が実施されました。しかしながらExcelによる報告であったため報告の手間や、双方向での情報共有が適切なタイミングで実施できなかったことからExcelによる報告は2019年に終了となりました。

一方、プライマリー(がん以外の日常診療)領域でも2019年より、対話スキル向上のための研修を開始し、OJTの新たな仕組みづくりを進めました。2022年11月、MRの対話スキルに対する評価・指導内容を入力・共有するため、全国のプライマリー領域の営業所長にMotionBoard Cloudが導入され、運用が開始されました。

MotionBoard選択の決め手は
ユーザーが活動情報を入力できる「双方向性」

MotionBoard選択の理由は何だったのでしょうか?

システム構築の実務を担当した小野薬品 営業研修部 能力開発室 第二課の沖 龍馬氏は、従来のBIツールにはなかった、ユーザーが入力できることから生じる双方向性だと語ります。

MotionBoardを使えば、営業所長がOJTの評価や指導内容を現場ですぐに入力でき、営業研修部は、その内容に対して、即座にコメントをフィードバックすることができ、双方向のやり取りが生まれます。そのため営業所長も自身の指導スキルの向上やOJTへの意欲が高まり、積極的にMotionBoardを活用するようになりました。また、入力した指導履歴や評価を『見える化』し、MRと共有することで、MRも自身の課題や成長を実感出来ることも大きなメリットです」(沖氏)

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▲沖 氏

城方氏は決してツールありきの導入ではなく、ツールが活用され、OJTが実践される仕組みづくりが重要だったと話します。

まずMRに対話スキルの重要性を周知し、2022年6月には営業所長に対して対話スキルを指導するためのコーチング研修を実施。営業所ごとに対象とするMRに対してOJTを行うことをルール化しました。

MotionBoardの入力画面では、MRの面談情報とともに、対話スキルのチェック項目が並び、営業所長がそれぞれに点数評価とコメントを入力します。

「営業所長にはOJTのためにMRに同行し、指導、評価や内容を入力するという手間がかかります。しかし現場の声をしっかりと聞き、粘り強くOJTの必要性を訴え、実践のための準備を行うことで定着させることができました」(城方氏)

プライマリー領域での感触をふまえて、20232月、オンコロジー領域の営業OJTを効果的に実施するため、オンコロジー領域においても、事前に営業所長を対象としたコーチング研修が実施されました。

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Motion Boardにより、営業所長、MR、営業研修部が緊密に連携
教育研修履歴の一元管理にも活用

MotionBoardの導入とOJT実施による効果を城方氏は次のように語ります。

「対話スキルの項目を定め、点数化と指導内容の言語化をきちんと行うことで、どの営業所長も同じ基準で評価・指導が行なえるようになりました。営業所長からは、『MRの対話スキルが目に見えて向上した』『指導を行うことでコーチングスキルが磨かれ、自分自身の成長も感じている』『MRもOJTによる効果やメリットを感じ、対話スキル向上への意識が高まっている』などの声が寄せられています。MotionBoardの入力アイテム機能によって、営業所長、MR、営業研修部が連携して対話スキル向上に取り組むことが可能になりました」

過去の評価や指導履歴も一覧できるため、成長過程を確認でき、異動などから生じる引き継ぎもスムーズに行えるため、継続性・連続性のある指導も可能になりました。

また、MotionBoardはMRの教育研修履歴の管理にも活用されています。MRの資質認定のために公益財団法人 MR認定センターに研修受講履歴を毎年報告する必要がありますが、それまでは、MRが受講した研修履歴を統一した書式で管理していなかったため、研修履歴をまとめ、資料を作成する作業には多大な時間と労力を要していました。これまでの研修受 講履歴データをMotionBoardに移行し一元管理を行うことで、資料作成の工数が激減し、業務効率の改善が実現しています。各MRの教育研修履歴も一目で確認でき、たとえば「このMRは研修の時期に休職中で受講しておらず、復職後に受講の必要がある」といった情報も即座に把握できるようになりました。

社内の多様なデータを活用し
MRの活動と成長を支援していく

小野薬品の営業研修部では、今後MotionBoardを対話スキルだけでなく、他のスキル研修や育成情報の共有にも活用し、MR教育に役立てたいと考えています。また、スマートフォンやタブレットでの利用も可能にすることで、出先での入力など利便性の向上を計画しています。

「対話スキルという目に見えないものをMotionBoardによって可視化し、それぞれのMRの成長を継続して見られるようになりました。『人中心のDX戦略』ではデータの利活用を掲げています。今後はMotionBoardのデータと社内の様々なデータをかけ合わせることで、より効果的・効率的に人財育成ができるシステムを構築し、MRの成長や活動の支援を行っていきたいと思います」

と城方氏は語りました。

▼編集後記

人中心のDXを推進している小野薬品工業株式会社では、MRのOJTにおける対話スキルの向上を目指し、OJTの対話情報のデータ化と活用に取り組まれています。データ活用を進めている方々の中には「データ化したいがデータ化できていない」「データはあるが活用できていないデータが手元にある」という方も多いのではないでしょうか。データを活用する手段の一つとしてMotionBoardの入力機能を活用していて行くというのも解決方法の一つになるのではないかと思います。ぜひお手元にあるデータを活用に困られているかたに参考にいただきたいです。

nest企画室 大野