営業・製造部門を中心に約1000名が日常的に使いこなすデータ活用基盤 成功の舞台裏にあった『仲間』の存在

Company Profile

社名:アマノ株式会社
事業内容:
企画・設計・製造・販売・施工・メンテナンス/時間情報事業/時間管理機器事業/パーキングシステム事業/環境システム事業/クリーン・ロボットソリューション事業/アウトソーシング事業(情報システム、駐車場運営受諾、清掃受諾)/時刻配信・認証サービス事業
資本金:182億3958万円(2023年3月末現在)
設立:1945年(昭和20年)11月22日
URL:https://www.amano.co.jp/
業種:製造
規模:連結 5,083名/単独 2,017名(2023年3月末現在)
利用製品:MotionBoard、MotionBoard Cloud,Dr.Sum
用途:営業・製造現場での報告資料作成/業務効率化

お話を伺った方


アマノ株式会社
営業企画部 営業戦略企画課 課長
小俣 智夫氏

アマノ株式会社
営業企画部 営業戦略企画課 主査
鶴見 拓男氏

アマノ株式会社
ものづくり推進部 兼 情報システム部 主査
佐藤 純氏

アマノ株式会社
ものづくり推進部 兼 情報システム部 主査
錦郡 健二氏

  • 脱Excel
  • DX
  • グループ展開
  • データ活用促進
  • データ統合
  • 営業DX
  • 業務改革
  • 短期社内浸透
  • 製造業
  • 資料作成工数の削減

「人と時間」「人と空気」の分野で多様な事業を展開するアマノ株式会社は、2019年よりデータ活用への取り組みを本格化させ、社内の様々なデータを集約することで、全社共通のデータ活用基盤を構築しました。製造、営業など様々な部門でBIの活用を進め、業務の効率化やデータを元にした精度の高い活動を実現。短期間で全社員の半数にあたる約1000名に活用が浸透しています。取り組みの背景や活用推進のポイント、効果などを伺いました。

データを素早く可視化・共有できるツールが求められていた

アマノ株式会社(以下アマノ)はブランドステートメントとして「未来が求める、時間と空気を。」を掲げています。「人と時間」をテーマにしたタイムレコーダーや勤怠管理システムなどの時間情報事業、駐車場機器・システムなどのパーキングシステム事業、「人と空気」をテーマにした清掃ロボットなどのクリーン・ロボットソリューション事業、集塵機や空気輸送システムなどの環境システム事業を中心に展開。全国71カ所の支店営業所、2カ所の生産拠点(事業所)を持ち、企画・設計・製造・販売・施工・メンテナンスを一貫して手がけています。

「アマノ流働き方改革」として、全部署・全職種でECRS(イクルス)の原則を用いて業務を見直し、ムダを排除することなどで効率化を推進しています。

アマノは社内システムの整備に積極的に取り組み、2015年には会計や生産を中心とした基幹システム(以下ERP)の更新と同時に営業支援システム(以下SFA)の刷新にも取り組み、見積・受注伝票作成システムを先行リリースしました。

一連のシステム更新やデータ活用を先導した営業企画部 営業戦略企画課 課長の小俣智夫氏は、同社の2018年~2019年におけるデータ活用の課題を次のように振り返ります。

「必要とされるデータを素早く可視化・共有し、データに基づく意思決定を行う必要性は認識されていましたが、それを実現するためのツールがありませんでした。当時はERPやSFA、グループウェアであるNotesデータベースなどに入力されたデータをCSVで出力し、それをExcelで集計、印刷して会議などで配っていました。全社的にそうした一連の作業に多大な手間と時間をかけていたため、まずはそうした『集計作業』によるムダをなくしたい、その上で全社共通のデータプラットフォームを構築し、スピーディーに可視化したいと考えていました。あるBIツールがすでに導入されていましたが、使い勝手や様々な制約などから活用ができていませんでした」(小俣氏)。

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▲小俣氏

社内の様々なデータをDr.Sumに集約。製造部門で活用が本格化

2018年12月、小俣氏は導入を検討していたMotionBoardクラウド版の試用を開始しました。さまざまなテストを行う中、2019年7月、製造部門(相模原事業所、細江事業所)の中でITを活用し製造部門でデータ活用の取り組みを始めていた、ものづくり推進部を中心に、MotionBoardを導入したいという声が上がりました。

製造現場では、それまで手書きだった検査表などの帳票類をi-Reporter(株式会社シムトップス)を活用したデジタル入力に切り替え、ペーパーレス化とより正確・迅速なデータ入力を実現していました。そうして入力されたデータを可視化・共有するツールとして選ばれたのがMotionBoardでした。

2020年3月にはDr.Sum、MotionBoard、DataSpider(Dr.Sum Connect)(オンプレミス版)が全社に正式導入されました。それと前後して佐藤純氏と錦郡健二氏が入社し、ものづくり推進部に配属。MotionBoardによるダッシュボード制作をはじめ、製造部門におけるデータ活用に携わることになりました。小俣氏はこうした仲間を得たことが、全社のデータ活用推進の大きな力になったと振り返ります。

2020年4月より社内の様々なシステムのデータをDr.Sumに集約。約1年かけてデータを活用するための基盤を構築しました。Dr.Sumに集められたデータはMotionBoardによって可視化されます。

2021年4月より製造部門での本格的な活用が始まりました。現在、製造の現場では大型モニターで品質や製造の進捗状況などに関するダッシュボードを表示しています。

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錦郡氏は

「製品ごとの不良率などを表示することで、製造ラインの状況を鏡のように客観的に把握できるようになり、各担当者の『意識づけ』に役立っています。i-Reporterで入力されたデータが素早く正確に可視化されるため、入力漏れや入力ミスなどが生じず業務が大幅に効率化しました」

と話します。

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▲錦郡氏

製造工程で問題が生じたときには、ダッシュボード上に調査・対処が必要なことを信号のように赤いボタンで表示。そのボタンを選ぶと詳細を確認することができるため、問題を素早く把握・対応できるようになりました。

佐藤氏は

「MotionBoardの最大の特徴はリアルタイムで状況を知り、それに対してすぐに手が打てることです。データを元に次の適切なアクションにつなげられることは大きなメリットです」

と語りました。

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▲佐藤氏

集計など資料作成の業務負担が軽減、入力機能の活用で商談管理の精度が大きく向上

2021年4月、営業本部でSE業務を担当していた鶴見拓男氏が営業企画部 営業戦略企画課に異動。営業部門におけるMotionBoardの活用推進とダッシュボード制作に取り組みました。

鶴見氏は

「全国71支店営業所で、毎週の会議のためにSFAからデータをCSV出力し、Excelのマクロを使って集計している方々がいました。そうした非常に時間と労力のかかる作業をなくしたいと思いました」

と振り返ります。

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▲鶴見氏

2022年4月から営業部門でもMotionBoardの活用が始まりました。MotionBoardにアクセスするだけで商談一覧などのダッシュボードが瞬時に表示されます。資料作成をしなくても画面を見ながら保有商談の把握や、受注・売上予測などが確認できるようになり、ダッシュボードの閲覧数が急増しました。

その後、営業現場から、商談の質や見込みを判断するためBANT-C(予算、決裁権、必要性、時期、競合の情報)を表示するダッシュボードがほしいという要望が寄せられました。それまでBANT-CはSFAに商談ごとに入力できるようにしていましたが、入力がしづらくExcelで補足している事が多く、ここでもかなりの時間と労力がかかっていました。

鶴見氏はMotionBoardの入力機能を活用し、BANT-Cを一覧で表示できる商談管理ダッシュボードを作成。2023年4月より利用が開始され、会議のための資料作成がなくなり、データ活用がいっそう促進されました。

「MotionBoardの画面上で案件の進捗管理をしながら入力もできるようになったことでExcelは不要となり、受注予測の精度も大きく向上しました。」(鶴見氏)。

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現在は営業部門に加え、事業部門でも各事業部活動の効果測定にMotionBoardを活用しています。ものづくり推進部と情報システム部の業務を兼任する佐藤氏と錦郡氏は、基幹システムのデータ整合性チェックの自動化など情報システム部内における MotionBoard活用も進めています。その他インターンシップの体験課題やロボット掃除機の動作ログ分析にも活用しています。

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社員の約半数が日常的に活用。短期間で浸透させられた理由とは?

2023年11月現在、アマノの社員約2000名のうち、営業部門、事業部門で約1100名、製造部門で約500名、合計約1600名がMotionBoardのユーザーになり、そのうち約1000名が日常的に活用しています。ダッシュボード制作者は30名におよびます。

これほどの短期間でなぜアマノはMotionBoardとデータ活用を浸透させることができたのでしょうか?

小俣氏はその理由を次のように語ります。

「MotionBoardを活用すれば集計作業などの作業負担が軽減され、欲しいデータをすぐ見られるようになる。そうしたニーズが社内に根強くあることを感じていました。だからこそ経営層や各部門の部門長に伝えたとき、理解を素早く全社に広めることができました。MotionBoardのようなツールがずっと求められていたのだと思います。また、私は統一されたプラットフォームによるデータをスタンダードと認め、全社で同じデータを見ることの重要性を痛感していました。そのことを上司である営業企画部の部長が社内の重要な会議で何度も継続して呼びかけてくれたおかげで、ムダなデータや資料を作成せず、共通のデータを見るという文化が生まれました。

もう一つ大きかったのは鶴見、佐藤、錦郡という優秀な人材がちょうどいいタイミングで参加してくれたことです。彼らが新しいツールの理解者として、古いツールややり方に捕らわれず、一緒に推進する仲間になってくれました。そうした人と人との繋がりのおかげでここまで活用を進めることができました」(小俣氏)。

佐藤氏は2021年より製造部門でダッシュボードを制作するための勉強会を実施し、ダッシュボード制作者を増やしてきました。

「現場での理解を深め、データ活用を他人事ではなく自分事として捉えてもらう。まずは理解者を増やしていくことが重要です。次の段階として使いたいダッシュボードを自分でつくってもらうという流れで取り組みました」(佐藤氏)。

錦郡氏は現場が求めるものを提供するためには、課題や困りごとを引き出せるよう十分にコミュニケーションをとることが重要だと話します。

「事業所に行き、製造現場にはりついてコミュニケーションをとっていると『実はこんなことで困ってるんだ、こういうことができないかな?』という声が上がってきます。そうした声から課題を拾っていきます」(錦郡氏)。

鶴見氏は営業部門でのニーズを知り、使いやすく役に立つダッシュボードをつくるには業務への理解が不可欠だと指摘します。

「私には営業経験はありませんが、業務をできるだけ知るため営業担当者に話を聞きながら、『こういうことが求められているのでは?』と長年のSE業務で培った想像力を駆使して考えています」(鶴見氏)。

小俣氏は

「活用浸透をスピーディーに進められた理由をもう一つあげるとしたら、サーバーライセンスというライセンス形態だったことで、利用人数を気にすることなく全社員がアクセス可能な環境を構築できたことかと思います」

と振り返りました。

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社内の各部門が同じデータを見て議論することが新たな価値を生む

    小俣氏はデータ活用推進プロジェクトの最大の成果を「全社共通のデータ活用基盤を構築できたこと」と話します。

    営業、製造など社内の各部門が、共通のプラットフォームによる同一のデータを見て考え、話し合い、次のアクションにつなげるための基盤が整備されました。

    その結果、全社で行われてきたデータ集計、資料作成の業務負担を大幅に軽減し、その社員が本来なすべき仕事により時間と労力を注げる環境になりました。それに伴い時間外労働時間の削減も期待されています。

    「営業活動はこれまで主に経験と勘で行われてきましたが、『データを元に考え、話し合い、行動する』より精度の高いスタイルへと変わりました。全社的にデータへの意識が高まり、データに基づいた活動が定着しつつあります」(小俣氏)。

    製造部門での変化について、佐藤氏は

    「リアルタイムにデータを見られることで、生産性や品質向上への意識が高まっています。データを元に業務自体をさらに改善していきたい」

    と話しました。

    現在、開発部門の約300名、管理部門の約100名、合計約400名はMotionBoardを利用していません。今後、開発部門や経理部、人事部、総務部など、それぞれの業務に合った活用法を模索していきます。

    これからの取り組みとして鶴見氏は、これまで制作してきた報告や省力化のための「守り」のダッシュボードだけでなく、売上や受注増につながる「攻め」のダッシュボードをつくっていくことを挙げました。

    佐藤氏はダッシュボード制作者を育てる勉強会を、錦郡氏は現場の声から課題を引き出す活動を今後も継続していきたいと話します。

    小俣氏は今後の展望について次のように語りました。

    「MotionBoardを使って社内の各部門が越境して会議を行うことを期待しています。たとえば営業部門で大きな受注が決まりそうなとき、営業部門と製造部門がMotionBoardの同じデータを見て話し合い、生産計画を修正する。データ活用の共通基盤があるからこそできることです。そこで重要になるのがデータの定義づけを全社で共有すること。一つのデータを別の解釈でとらえていては有効な議論ができません。

    弊社はB to Bのダイレクトセールスを行っているため、お客様のデータをたくさん持っています。そうしたデータを営業、開発、製造、サポートなどの部門でいっそう活用していきます。また、製造現場の高齢化に伴う人材不足対策や技術継承にもデータを役立てたいと思います」(小俣氏)。

    データ活用で業務を効率化し、より精度と価値の高い企業活動を実現していく。これからもアマノの取り組みは続きます。

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    ▼編集後記

    全社へデータ活用を浸透させていく秘訣は、データ活用の意義を深く理解する同じ志を持った「仲間」がいること。小俣様がかねてより構想されていた「データ活用基盤の構築」も、仲間がそろったことで実現しました。ただ待つだけではなく、常に仲間を探し続け、つくりつづけること。これがいかに大事かを強く感じた取材でした。現在MotionBoardやDr.Sumの活用浸透に奮闘されているユーザーの皆様は、ぜひ今一度「仲間づくり」を意識してみてはいかがでしょうか?アマノ様の事例が、全社へ活用を広げていく際のヒントになれば嬉しく思います。


    nest企画室 春