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注文請書とは?書き方や印紙の要否、電子化のメリットを解説!

帳票の基礎知識作成日:2022.09.25 更新日:2024.02.08

商取引のなかでは、企業間でさまざまな文書をやり取りすることになります。
そして、注文請書(ちゅうもんうけしょ)も商取引のなかで発行する文書のひとつです。

しかし、注文請書を発行せずに取引が進むケースも少なくないため、その役割や書き方、発行・受領後の扱い方がわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、注文請書の意味や必要性などの基礎知識から、記載項目や書き方といった作成時のポイント、保存期間や保存方法についてわかりやすく解説します。
さらに、注文請書を電子化するメリットや方法、事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

【経理担当必見】帳票の役割と電子化のポイント

・どの帳票がどの場面で必要なのか整理したい
・紙ベースで処理している帳票を電子化して、業務を効率化したい
こんな課題を抱える経理担当者の方へ、経理部門が関わることの多い帳票の役割と、電子化する際のメリットやポイントをわかりやすく解説します。

注文請書の基礎知識

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まずは基礎知識として、注文請書の意味や必要性、収入印紙の要否、そして混同しがちな注文書との違いを確認していきましょう。

注文請書とは?

注文請書とは、商品・サービスについて発注があった際に、受注者(注文を受ける側)が発行する文書です。

読み方は注文請書(ちゅうもんうけしょ)で、発注請書(はっちゅううけしょ)と呼ぶこともあります。

注文請書には、商品・サービスの内容や数量、納期や金額といった注文内容が記載され、発行することで「記載した内容で注文を引き受けます」という意思表示になります。

注文請書を発行するまでの一般的な流れは以下の通りです。

  1. 発注者が見積もりを依頼
  2. 受注者が見積書を作成・提出
  3. 発注者が注文書(発注書)を作成・提出
  4. 受注者が注文請書(発注請書)を作成・提出

注文請書と注文書の違い

注文請書と注文書は混同してしまいがちですが、注文書は「この内容で注文します」という意思表示をするために発注者が受注者に対して発行する文書です。

一方の注文請書は、注文書を受け取った受注者が「注文を引き受けます」という意味で発行する文書です。

発行のタイミング、発行者の立場が異なるため、混同しないように注意しましょう。

注文請書の必要性

注文請書は法的に発行が義務付けられている文書ではないため、注文請書を発行することなく取引が進むケースも多々あります。

しかし、注文請書を発行することによって、発注者・受注者の認識のズレを防ぐことができ、無用なトラブルを回避することができます。

また、商品・サービスの納品後、納品内容が注文内容と合致しているかを確認する際にも注文請書が役立ちます。

発行義務はないものの、注文請書を発行することで発注者・受注者が安心して取引を進めることができるでしょう。

注文請書に押印は必要?

ビジネス文書を発行する際、書面に社印などの印鑑を押すことが多々ありますが、法的には注文請書に押印する義務はありません。

ただし、注文書に押印をすることで、会社が発行した文書であるという信頼性を高めたり、改ざんや複製などの不正防止に一定の効果が期待できます。

また、企業によっては文書発行の際の押印をルール化していたり、受領する文書に押印がないと正式な文書として認めないという企業も存在するため、特別な事情がない限りは印鑑を押すことをおすすめします。

収入印紙の要否について

取引内容によっては、注文請書に収入印紙の貼付が必要になる場合があります。

収入印紙の貼付が必要になる具体的なケースとしては、請負契約に該当する1万円以上の取引が挙げられます。

取引金額によって貼付する収入印紙の金額が異なるため、注意が必要です。

  • 1万円未満:非課税
  • 1万円以上 100万円以下:200円
  • 100万円超 200万円以下:400円
  • 200万円超 300万円以下:1,000円
  • 300万円超 500万円以下:2,000円
  • 500万円超 1,000万円以下:1万円
  • 1,000万円超 5,000万円以下:2万円

(参照:No.7102 請負に関する契約書|国税庁

なお、物品の譲渡契約(売買契約)で発行する注文請書は非課税であり、収入印紙は不要です。また、電子データとして注文請書を発行する場合も収入印紙は必要ありません。

注文請書の記載項目と書き方

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注文請書は法律で発行が義務付けられている文書ではないため、インターネット上で提供されているテンプレートを使用したり、独自にフォーマットを作成して使用しても問題ありません。

ただし、注文請書には記載するべき項目が存在するため、書き方とあわせて確認しておきましょう。

タイトル

「何についての文書か」が一目でわかるように、書面の上部中央などの目立つ場所にタイトルとして「注文請書」もしくは「発注請書」と記載しましょう。

発行日

「いつ注文が確定したのか」を明確にするため、注文請書の発行日を記載します。
注文があってから受注という流れになるため、基本的に注文請書の発行日は注文書(発注書)の発行日以降となります。

発注者(注文する側)の名称

「誰からの発注(注文)なのか」を明確にするため、発注者の名称を記載します。
会社名や氏名は省略せずに正式名称を記載し、会社名であれば「御中」、氏名であれば「様」を敬称として付けましょう。発注者が会社の場合、部門名と担当者名も記載します。

受注者(注文を受ける側)の名称

「誰が注文を引き受けたのか」を明確にするため、受注者の名称を記載します。
会社名だけでなく、担当者の所属部署と氏名を記載し、所在地や電話番号などの連絡先情報もあわせて記載しましょう。

受注内容

受注内容として、商品・サービスの名称や数量、金額、納品方法、納期などを具体的に記載します。
発注者との間で注文・受注内容に関する認識のズレが生じないように、注文書の内容と合致しているか確認しましょう。

支払方法

代金の支払方法について記載します。
支払いに関する情報が明確に記載されていない場合、納品後のトラブルにつながりかねません。
いつ・どのような条件で支払いが発生するのか明確に記載しましょう。

注文請書の保存期間・保存方法

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注文請書は取引の事実を証明する証憑類に該当するため、発行・受領後の扱いに注意が必要です。

次は、注文請書の保存期間や保存方法について確認していきましょう。

注文請書の保存期間

注文請書は、法令により一定期間の保存が義務付けられています。

法人の場合、7年間の保存が原則であり、欠損金の繰越がある事業年度に関しては10年間の保存が必要です。

個人事業主の場合、青色申告・白色申告に関わらず、5年間の保存が必要です。

これらの保存期間の起算日は、その事業年度の確定申告期限日の翌日であり、発行日が起算日ではないため注意が必要です。

また、保存期間の間、注文請書をただ保管すればよいわけではなく、必要に応じて速やかに参照・提出できるように整然とした形で保管しておくことが大切です。

注文請書の保存方法

注文請書は、紙媒体での保存が原則とされています。

しかし、電子帳簿保存法の法的要件を満たすことで、注文請書を電子化して保存することも可能です。

電子帳簿保存法とは、一定の要件を満たすことで国税関係帳簿書類の一部またはすべてを電子データ(電磁的記録)で保存することを認める法律であり、注文請書は電子帳簿保存法で定められている国税関係書類に該当します。

ペーパーレス化やDXの動きが活発化している昨今、注文請書などの文書を電子化する企業が増えつつあります。

注文請書を電子化するメリット

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次は、注文請書を電子化するメリットとして以下の4点をご紹介します。

  • 印刷・郵送コストや印紙代などの削減
  • 取引の迅速化
  • 文書管理の負担軽減
  • テレワークへの対応

各メリットについて詳しく見ていきましょう。

印刷・郵送コストや印紙代などの削減

注文請書を電子化するメリットとして、コストの削減を挙げることができます。

紙の注文請書の場合、印刷コストや郵送コストがかかるほか、取引内容によっては印紙代が発生してしまいます。

また、紙媒体で保管する場合、保管場所の賃料やファイル・キャビネットなどの備品代もかかってしまいます。

注文請書を電子化することで、印刷・郵送のコストを削減でき、印紙代も不要になります。さらに、保管スペースや備品にかかるコストも削減することができるでしょう。

取引の迅速化

注文請書を電子化することで、取引の迅速化にもつながります。

従来の紙の注文請書は、郵送手続きをしてから取引先に届くまでに数日のタイムラグが発生してしまいます。

また、注文請書の内容に誤りがあった場合には、記載内容を修正した上で印刷・郵送手続きをやり直す必要があるため、さらに時間がかかってしまいます。

電子化した注文請書であれば、メールやクラウド上で送受信することができるため、発行から受け取りまでのタイムラグが生じません。万が一記載内容に誤りがあった場合でも、速やかに修正して再送することができるため、取引の停滞を防ぐことができるでしょう。

文書管理の負担軽減

注文請書の電子化は、文書管理の負担軽減にも有効です。

紙の注文請書を保管する際は、取引先名や取引年月日などで仕分けを行い、ファイリングした上で保管場所に格納する必要があります。

また、過去の取引について問い合わせがあった際や、監査で提出が求められた際、大量の書類のなかから該当の注文請書を探し出す必要があります。

注文請書を電子化することで、PC上で仕分けを行うことができ、自社サーバーやクラウド上に保存しておくことが可能です。

また、取引先名や取引内容、取引年月日など、さまざまな条件で検索することができるため、必要に応じて過去の注文請書を速やかに参照・出力することができます。

テレワークへの対応

テレワークへの対応という面でも、注文請書の電子化は効果を発揮します。

紙の注文請書の場合、印刷や押印、収入印紙の貼付、郵送手続きなど、オフィス以外での対応が困難な作業が発生してしまいます。

注文請書を受領する側も、書面の確認やファイリング、保管場所への格納といった作業が発生します。

一方、電子化した注文請書であれば、上記に挙げた作業を含む一連の業務をPC上で完結させることができ、在宅勤務などのテレワーク中でも業務を遂行することが可能になります。

注文請書を電子化する方法

注文請書を電子化するメリットについてはわかりましたが、電子化するにはどのような方法があるのでしょうか。
次は、注文請書をデータ形式で発行する方法や、書面で受領・保存している注文請書をデータ化する方法をご紹介します。

注文請書の発行を電子化する方法

注文請書を電子データで発行する場合、PDFファイルで出力することが推奨されます。

ExcelやWordなどで作成した注文請書をそのままのファイル形式で発行・送付してしまうと、内容を容易に書き換えることができてしまいます。
一方、PDFファイルであれば、ExcelファイルやWordファイルに比べて情報の書き換えが困難なので、改ざんなどの不正防止に効果が期待できます。
ExcelやWordで注文請書を作成する場合は、PDFファイルとして出力してから送しましょう。

また、PDFの注文請書データを送付するもっとも簡単な方法は、メールに添付して送信する方法でしょう。
ただし近年は、セキュリティの観点からPPAP(パスワード付きzipファイルをメールで送信し、別途パスワードを共有する方法)をはじめ、メールでのファイル共有を禁止する企業も増えてきています。
また、メールでのファイル共有は、宛先や添付ファイルのチェック、送信後の検索性などの観点で、業務効率の低下を招く恐れがあります。

セキュリティおよび業務効率を考慮すると、注文請書などの企業間取引文書の送受信には、電子取引システムなどのサービスを利用することをおすすめします。
電子帳簿保存法の法的要件を満たすソフトウェアの証である「JIIMA認証」を取得している電子取引システムであれば、電子帳簿保存法にもスムーズに対応することができるでしょう。

紙の注文請書をデータ化する方法

取引先から紙で受領した注文請書や、自社で発行した紙の注文請書控えは、スキャナやスキャン機能を搭載している複合機でPDF化することができます。

ただし、単にスキャンしただけでは文字情報をテキストデータとして扱うことができず、管理の効率性は低いと言えます。

OCR(光学文字認識)ツール・サービスを利用することで、文書内の情報をテキストデータとして扱うことが可能になり、作業効率を高めることが可能です。

注文請書の電子化を実現するソリューション

次は、注文請書の電子化を実現する具体的なソリューションとして、ウイングアーク1stが提供する電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent」をご紹介します。

「invoiceAgent」はJIIMA認証を取得しているため、電子帳簿保存法の法的要件を満たした文書の電子化を実現可能です。

紙の注文請書を電子化「invoiceAgent AI OCR」

「invoiceAgent AI OCR」は、紙文書を高い認識率でデータ化するソリューションです。

「invoiceAgent AI OCR」には高精度な5つのOCR(光学的文字認識)エンジンが搭載されていて、読み込み文書の歪みや傾きを自動補正する機能が備わっています。

読み取り項目に応じて適切なOCRエンジンを選択できるほか、1つの読み取り項目に対して複数のOCRエンジンで処理を行うことも可能です。

これらの特徴により紙文書を高い精度でデータ化し、目視による確認や手動での入力作業の負担軽減、RPA連携による作業の自動化を実現できます。

企業間取引文書の送受信なら「invoiceAgent 電子取引」

「invoiceAgent 電子取引」は、企業間取引文書の送受信を実現するソリューションです。

PDF化した文書データを専用のWebサイトにアップロードするだけで、企業間で帳票の送受信を行うことができます。

既存の帳票フォーマットを変更する必要がないため、現場の混乱を防ぎつつスムーズに導入可能です。

また、書面でのやり取りを希望する取引先には郵送サービスを利用することもできるので、Webと郵送のハイブリッド運用を実現可能です。

電子文書の一元管理を実現「invoiceAgent 文書管理」

「invoiceAgent 文書管理」は、文書データの一元管理を実現するソリューションです。

「invoiceAgent AI OCR」や他システムで出力・作成した文書データをまとめて取り込み、指定したルールに基づき自動で仕分け・保存を行います。

保存した文書データは、さまざまな条件で検索することができ、必要に応じて速やかに参照・出力することが可能です。

また、保存期間を満たした文書の自動削除機能や証跡管理機能も備わっているため、注文証書やその他帳票を効率的に管理することが可能です。

注文請書など帳票発行業務の効率化に実現した事例

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最後に、ウイングアーク製品を使って注文請書の電子化を実現した事例をご紹介します。

アスノシステム株式会社は、ウイングアーク1stが提供する帳票基盤ソリューション「SVF Cloud」を導入し、注文請書などの帳票発行業務の効率化に成功しています。

同社では「SVF Cloud」の導入以前、Excelなどを用いて帳票を作成しており、帳票発行業務の効率化が課題に挙げられていました。

そこで、案件管理に用いていたSalesforceとの親和性が高い「SVF Cloud」の導入を決定。

「SVF Cloud」の導入により、見積書や請求書などをSalesforceから直接発行できる仕組みが整いました。その後、注文請書や納品書兼検収書もSVF Cloudで発行可能になり、帳票発行業務の大幅な効率化につながっています。

さらに同社では「invoiceAgent」を導入し、企業間で行われる帳票の送受信の効率化にも取り組んでいます。

▼事例詳細はこちら
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まとめ

今回は、注文請書の意味や書き方、電子化のメリットや方法などの情報をご紹介しました。

注文請書は発行が義務付けられている文書ではありませんが、発行することで受注者・発注者双方の認識のズレやトラブルを防ぐことが可能です。

また、注文請書を電子化することで、注文請書の発行・管理に関わる業務の効率化につなげることができます。

注文請書などの帳票を紙ベースで運用している企業は、今回ご紹介した情報も参考に電子化を検討してみてはいかがでしょうか。

【経理担当必見】帳票の役割と電子化のポイント

・どの帳票がどの場面で必要なのか整理したい
・紙ベースで処理している帳票を電子化して、業務を効率化したい
こんな課題を抱える経理担当者の方へ、経理部門が関わることの多い帳票の役割と、電子化する際のメリットやポイントをわかりやすく解説します。

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