意思決定に「数字」を使うとは?
意思決定に「数字」を使うとは実際にどのようなことを指すのでしょう?具体的なイメージを紹介します。
意思決定に数字を使うデータドリブン経営
近年「データドリブン経営」として、データを意思決定に活用することが一般的になりました。従来、意思決定においては勘や経験が重視されていました。一方で、社会の変化速度が増した現代においては、過去の経験が役に立ちにくくなっています。
このような中、データを基に意思決定を行う重要性が増しています。社員全員が数字やデータに共通の理解を持ち、意思決定やアクションにつなげることが必要です。
数字を使って意思決定するとは?
データドリブン経営を進める上では、数字を使った意思決定が重要となります。具体的には、「客観的なデータ(数字)」と「判断軸」でアクションを決めることがポイントといえるでしょう。
「客観的なデータ」とは?
データの取り扱いには、客観性が重要です。言い換えれば誰が見ても同じように解釈できることであり、恣意性を排除するためには特定のルールに沿ってデータを集計する必要があります。
集計方法が担当者によってバラバラだと、判断の根拠となる数字が人によって違ってしまうためです。
「判断軸」とは?
データの切り取り方・集計の仕方は無限に存在します。どのような軸でデータを見るかというデータの集計基準が必要です。
意思決定のルールとなる判断軸には様々な種類があります。ひとつは、自社のKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)から導き出されるKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を判断軸とするものです。
たとえば、KGIとして「販売売上・前年度比120%」を設定しており、その目標に向けたKPIとして「新規顧客開拓数100件」「既存顧客に対するアップセル率10%」を定義しているとします。これらのKPIの達成状況を逐次確認することで、目標が未達であれば追加施策を行ったり、ボトルネックの発見により適切なKPIの設定・見直しができたりといった意思決定が可能となります。
また、日々の業務における意思決定に利用する方法も考えられます。たとえば購買発注において、在庫が一定を下回ったら発注する判断軸を設定することもできるでしょう。この場合は、在庫データと想定需要を組み合わせることで、個人の感覚に頼らない発注を実現できます。
このように「客観的なデータ」と「判断軸」による意思決定がポイントであり、これらが不十分であると、データを使っていても結局担当者の経験と勘による判断から抜け出せません。
もちろん、最終的には経験や勘で判断しないといけない場面はあるかもしれませんが、データと判断軸があれば、判断における根拠として大きな武器となるでしょう。
意思決定に数字を使うメリット
意思決定において数字を使うメリットはどのようなところにあるのでしょうか。
勘や経験による主観的な判断を減らす
主観的な判断は、スキルのある担当者が存在する場合はメリットになりますが、「担当者によって判断が異なる」など質が安定しないというデメリットもあります。ここまでご紹介してきた通り、意思決定に数字を使うことで主観的な判断を減らし、結果として判断の質を安定させることができます。
たとえば、購買データや売上データを活用し管理会計を実現することは、その具体例といえるでしょう。また、購買実績や販売実績の分析データを基に、生産量や調達量の調整を行うことで、意思決定の質を向上させることもできます。
消費者ニーズの変化への対応
時代の移り変わりとともに目まぐるしく変化する消費者ニーズに対応する場合も、数字の活用が有効となります。
消費者の行動や属性が多様化する中で、自社のターゲット層がどう考え、どのようなニーズを持つかをデータで分析することで、より精度の高い商品開発を実現することができます。
たとえば、年代・性別別に製品に備える機能のニーズ調査を行い、属性ごとにどのような機能にニーズがあるのかを数字で分析したり、新サービス開発において実際に消費者に利用してもらい、満足度や利用したい機能などの調査を行ったりすることも検討できるでしょう。
意思決定に【直結する・つながる】データ活用のポイント
以下では、意思決定に数字データを使う際のポイントについて、経営層レベル・現場レベルのそれぞれで整理します。
経営層レベル:経営状況を要約した数字をリアルタイムで把握できるように
経営層レベルが意思決定を行うためには、自社の経営状況を要約した数字をリアルタイムに確認できることがポイントです。
通常であれば、各システムや各部門から情報を集め、財務分析や経営分析をするのに時間がかかっていたところ、BIツールなら、常に最新の経営情報を人の手を介することなく確認することができます。
さらに、分析結果を見ても課題がどこにあるか把握しにくい問題に対しても、BIツールであれば明細まで深掘りして見ることができるため、素早い経営判断が可能になるでしょう。
現場レベル:用途に合わせた鮮度の高いデータが必要に
現場レベルでは、たとえば購買発注や生産量の決定、人員配置、マーケティング施策の検討などに数字データを活用することができます。最適な意思決定を行うためには、可能な限り正確かつ鮮度の高いデータを集める必要があります。
一方で、たとえば複数拠点にまたがった工場において生産量を検討する場合、鮮度の高いデータを得にくいこともあります。BIツールのように共通的な環境で、リアルタイムにデータを把握する仕組みが必要でしょう。
数字に基づく意思決定に有効なBIツールとは
このように、経営層でも現場レベルでも数字データを効果的に活用していくためには、Excelなどによるレポーティングだけでは不十分であり、一元的かつリアルタイム性の高い環境を用意する必要があります。
これを実現できるのが、BIツールによる可視化です。複数のシステムからデータを収集し、手間が少なく様々な切り口で集計やグラフ化などを行うことができます。一度設定した条件で集計・可視化を行うため、上述した「客観的なデータ」と「判断軸によるデータの見方」を担保しやすいという点もメリットのひとつです。
当社ではBIツール「MotionBoard」を提供しています。MotionBoardでは閾値を設定し、アラートを活用することも可能です。様々な業務に追われる中でも、変化を見逃さずスピーディな対応を実現できるでしょう。
まとめ
この記事では、意思決定における数字データの使い方やそのメリットについてご紹介しました。
データドリブン経営の普及とともに、「データを利用しない経営」を続ける企業は相対的に競争力を失っていくことも想定されます。数字の活用は、多くの企業にとって避けられない取り組みといえるでしょう。