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電子帳簿保存法の対応方法とシステム選定のポイントを徹底解説

法対応作成日:2022.12.22 更新日:2024.02.08

2022年1月に施行された電子帳簿保存法の改正によって、今まで以上に国税関係帳簿書類を電子保存するハードルは低くなりました。
一方で、具体的にどういった対応が必要なのかわからず、電子帳簿保存法への対応を進められていない企業も多いのではないでしょうか。

この記事では、電子帳簿保存法の概要についておさらいしつつ、企業に求められる具体的な対応やシステム選定のポイントを解説します。
電子帳簿保存法への対応を検討している企業は、ぜひ参考にしてみてください。

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電子帳簿保存法の改正により要件が緩和された一方で、企業として適切な対応をするためには押さえるべきポイントがあります。
・どのような流れで対応を進めればいいのだろう…
・自社にはどんなシステムが合うのだろうか…
とお悩みの方へ、電子帳簿保存法対応のための5つのステップをご紹介します。

電子帳簿保存法の概要

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まず、電子帳簿保存法とはどのような制度か、簡単におさらいしていきましょう。

電子帳簿保存法は、国税関係帳簿書類の全部または一部について、電子データ(電磁的記録)による保存を認める法律のことで、「電帳法」と省略して表記・呼称されることもあります。

電子帳簿保存法では、電子保存の方法として以下3つの保存区分を設けています。

  • 電子帳簿等保存
    自社がPCなどを使って電子的に作成する帳簿や書類を、電子データのまま保存する方法
  • スキャナ保存
    取引相手から紙で受領した書類や、自社が作成・交付した書類の写しをスキャナで読み取り、電子データとして保存する方法
  • 電子取引
    電子メールやWebサイト、EDI、クラウドサービスなど、インターネットを介して授受する取引情報を電子データとして保存する方法

      保存区分によって細かな規定は異なりますが、電子帳簿保存法に対応するには「真実性の確保」と「可視性の確保」という大きく2つの要件を満たす必要があります。

      電子帳簿保存法の詳しい内容や改正の要点については、以下の記事で解説しています。あわせてお読みください。

      企業に求められる電子帳簿保存法への対応とは?

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      電子帳簿保存法には3つの保存区分があるとお伝えしました。

      そのなかで、「電子帳簿等保存」および「スキャナ保存」については、紙で保存するか、要件を満たして電子データとして保存するかを従来通り任意で選択することができます。
      つまり、「電子帳簿等保存」と「スキャナ保存」に関しては、無理に電子帳簿保存法への対応を進めなくても、これまで通り紙媒体での保存を選択できます

      一方、「電子取引」については対応が必要です。
      従来、電子取引で授受する取引情報は、書面に印刷して保存する「紙の保存に代える措置」が認められていました。
      しかし、2022年1月に施行された改正によって、原則として電子取引で授受した取引情報は電子データのまま保存しなければならなくなりました。

      2023年12月31日までは「紙の保存に代える措置」の猶予期間が認められているものの、電子取引を行うすべての事業者は、猶予期間中に電子取引要件を満たす運用体制を整備しなければなりません

      電子取引における「検索機能の確保」と「真実性の確保」の対応方法

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      さて、電子帳簿保存法の3つの保存区分のなかでも対応が急務となる電子取引要件ですが、具体的には以下のような対応が必要になります。

      1. システム概要に関する書類の備え付け
      2. 見読可能装置の備え付け
      3. 検索機能の確保
      4. データの真実性を担保する措置

      このうち、「1.システム概要に関する書類(マニュアルなど)の備え付け」「2.見読可能装置(モニター・ディスプレイなど)の備え付け」については、自社で電子取引データを確認する際に必要なものであり、特別な対応は必要ありません。
      ポイントとなるのは、「3.検索機能の確保」と「4.データの真実性を担保する措置」です。

      ここでは、電子取引要件の肝となる「3.検索機能の確保」と「4.データの真実性を担保する措置」の対応策について具体的に解説していきます。

      「検索機能の確保」の対応方法

      検索機能の確保とは、保存している電子取引データを必要に応じて速やかに検索・参照できるような仕組みを確保することを指します。

      具体的には、以下のような仕組みが必要になります。

      1. 「取引年月日」「取引金額」「取引先名」で検索できること
      2. 日付または金額の範囲指定で検索できること
      3. 2つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件で検索できること

      ※税務職員の求めに応じて一括ダウンロードできる場合、2と3の機能が不要

      もっとも簡単な対応方法は、上記の要件を満たす専用システムを導入することですが、システムを導入しなくても要件を満たすことは可能です。

      たとえば、保存する電子取引データに「(取引年月日)_(取引先名)_(取引金額)」のようなファイル名を付ける方法があります。
      また、電子取引データに連番を設定し、Excelなどで別途作成した索引簿と紐づけて検索できる状態にしておく方法もあります。

      ただし、システムを導入せず上記のような対応を取る場合、運用の煩雑化や負担増加といったデメリットが想定されることも覚えておきましょう。

      「真実性の確保」の対応方法

      真実性の確保とは、保存された電子データに改ざんが加えられていないことを証明する仕組みのことです。

      具体的には、保存する電子データに対して以下のような措置を行う必要があります。

      1. タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行う
      2. 取引情報の授受後、速やかにタイムスタンプを付す
      3. 記録事項の訂正・削除の記録を確認できる、もしくは訂正・削除を行うことができないシステムで取引情報の授受および保存を行う
      4. 訂正・削除の防止に関する事務処理規程を設け、その規程に沿った運用を行う

      このうち、1~3の措置については、タイムスタンプ機能や証跡管理機能が備わっているシステムを利用することで対応可能です。

      システムを導入しない場合、「4.訂正・削除の防止に関する事務処理規程を設け、その規程に沿った運用を行う」という対応が必要になります。
      この「訂正・削除の防止に関する事務処理規程」は、国税庁が公開しているサンプルを使用することが可能です。
      ただし、自社で行われる電子取引の実態にあわせて内容を修正し、規程に沿った運用を徹底する必要があります。

      電帳法対応に向けたシステム選びのポイント

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      先述したように、システムを導入することなく電子帳簿保存法の電子取引要件を満たすことは、運用の負荷が大きくなってしまう要因となります。
      そのため、電子取引要件を満たしつつ効率的な運用を目指すのであれば、専用のシステムを導入することをおすすめします。
      また、対応が任意となる「電子帳簿等保存」や「スキャナ保存」においても、同様の理由からシステム導入による対応を推奨します。

      とは言え、数あるシステムのなかからどういった製品を選択すればよいのか迷ってしまう方も多いことでしょう。

      次は、電子帳簿保存法に対応するためのシステム選びで押さえておきたいポイントをご紹介します。

      • JIIMA認証の取得有無
      • 保存区分に応じたシステム選定
      • 利用者にとっての使いやすさ
      • サポートの充実度

      JIIMA認証の取得有無

      電子帳簿保存法に対応するためのシステム選びでは、「JIIMA認証」の有無が重要になります。
      JIIMA認証とは、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が管理する認証制度で、電子帳簿保存法の要件を満たすソフトウェアに認証が与えられます。

      JIIMA認証を取得しているシステムであれば、自社で独自に運用体制を整備・確認する手間がかからず、スムーズに電子帳簿保存法への対応を進めることが可能です。
      JIIMA認証の有無は、製品のパッケージやWebサイト上に認証ロゴが掲載されているかどうかで判別可能です。
      また、JIIMAの公式サイト上で認証製品一覧が公開されており、国税庁ホームページのリンクからも確認することができます。

      保存区分に応じたシステム選定

      電子帳簿保存法は、保存区分によって満たすべき要件が異なります。
      そのため、自社が対応したい電子帳簿保存法の保存区分に応じたシステムを選定する必要があります。
      先述したJIIMA認証にはいくつかの種類があるため、対応したい電子帳簿保存法の保存区分に応じてシステムを選定しましょう。

      • 電子帳簿等保存であれば「電子帳簿ソフト法的要件認証」や「電子書類ソフト法的要件認証」を取得しているシステム
      • スキャナ保存であれば「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証」を取得しているシステム
      • 電子取引であれば「電子取引ソフト法的要件認証」を取得しているシステム

      利用者にとっての使いやすさ

      電子帳簿保存法に対応するためのシステム選びでは、利用者にとっての使いやすさも重視すべきポイントとなります。
      たとえ電子帳簿保存法の要件を満たすシステムであっても、使い勝手が悪ければ運用負荷が高まってしまったり、帳票の電子保存自体が社内で浸透しない恐れがあります。

      操作方法はシンプルか、既存の帳票フォーマットをそのまま利用できるか、社内承認や押印といった既存の業務フローを再現可能か、といった点に注目し、利用者の負担を軽減できるシステムを選定しましょう。

      サポートの充実度

      電子帳簿保存法のシステム選びでは、サポートの充実度も大切なポイントです。
      問い合わせ窓口はもちろんですが、伴走型サポート、利用者同士でノウハウの共有や情報交換ができるユーザーコミュニティ、動画やe-ラーニング形式のトレーニングコンテンツなど、サポートにもさまざまな種類が存在します。
      こうしたサポートが充実しているシステムであれば、導入から運用開始後の活用・定着までしっかりと寄り添ってくれるでしょう。

      電子帳簿保存法への対応なら「invoiceAgent」

      ここまでは電子帳簿保存法に対応するためのシステム選びのポイントについてご紹介しました。

      次は、電子帳簿保存法への対応を実現する具体的なソリューションとして、ウイングアーク1stが提供する「invoiceAgent(インボイスエージェント)」をご紹介します。

      「invoiceAgent」は、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)より「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証」、「電子書類ソフト法的要件認証」、「電子取引ソフト法的要件認証」を取得しており、電子帳簿保存法の法的要件を満たした文書の電子化・電子取引・文書管理を実現可能です。

      では、「invoiceAgent」の特徴を見ていきましょう。

      企業間取引の電子化なら「invoiceAgent 電子取引」

      「invoiceAgent 電子取引」は、請求書や領収書といった企業間取引帳票の送受信を電子化するソリューションです。
      PDF化した帳票データをアップロードするだけで送受信することができ、「invoiceAgent 電子取引」上で複数の取引先とのやり取りを完結することができます。
      電子帳簿保存法の電子取引要件への対応はもちろん、2023年10月から始まるインボイス制度に対応する機能も搭載予定となっているため、電子取引における各種法令への対応を同時に推進することが可能です。

      紙文書のデータ化なら「invoiceAgent AI OCR」

      「invoiceAgent AI OCR」は、紙文書のデータ化を実現するソリューションです。
      高精度な5つのOCR(光学的文字認識)エンジンを搭載しており、読み取り項目に応じて適したOCRエンジンを選択したり、1つの読み取り項目に対して複数のOCRエンジンを利用することも可能です。
      さらに、読み取り帳票の歪み・傾きを自動補正する機能も備えています。

      これらの特徴により、活字・手書き文字を高精度に読み取ってデータ化し、目視や手入力による作業工数の削減、さらにはWebAPIやRPAとの連携による業務自動化を実現します。

      文書データの一元管理なら「invoiceAgent 文書管理」

      「invoiceAgent 文書管理」は、文書データの一元管理を実現するソリューションです。「invoiceAgent AI OCR」でデータ化した文書はもちろん、他システムで出力・作成した文書データもまとめて取り込み、あらかじめ設定したルールに基づき自動で仕分け・保存を実行します。

      タイムスタンプ機能や検索機能、証跡管理機能といった電子帳簿保存法に対応する機能はもちろん、文書の保存期間に応じた自動削除機能も備わっており、文書のライフサイクルを効率的に管理することが可能です。

      「invoiceAgent」を活用した電子帳簿保存法の対応事例

      最後に、「invoiceAgent」を活用した電子帳簿保存法への対応事例をご紹介します。

      電子帳簿保存法への対応で月7,000枚の請求書を電子化(ロジクエスト)

      【ロゴ変更】case_logiquest.png

      配送代行・緊急配送・国際輸送の3つの事業を展開する物流会社である株式会社ロジクエストは、電子帳簿保存法への対応を目指して「invoiceAgent」を導入しました。

      同社では、全国の契約ドライバーや協力会社から毎月7,000枚の月報件請求書が集まり、倉庫を2ヶ所借りて保管していました。
      しかし、過去の帳票を探し出すのが大きな手間となっており、保管方法に関するルールも煩雑化していました。

      上記のような課題を解消するため、同社は電子帳簿保存法への対応に着手。
      「JIIMA認証製品」「使いやすさ」「費用面」などを評価し、「invoiceAgent」を導入しました。
      「invoiceAgent」の導入により、荷主企業からの問い合わせや、今後の監査対応時に過去の帳票を迅速かつ確実に取り出せる体制が整いました。また、コピー用紙の使用量削減などペーパーレス化の効果も表れています。

      今後は月報件請求書だけでなく、電子帳簿保存法の対象となる帳票の電子化を推進するとともに、e-文書法への対応も視野に入れるなど、物流業界に根付く紙文化からの脱却に率先して取り組んでいく姿勢です。

      ▼事例詳細はこちら
      株式会社ロジクエストのinvoiceAgent導入事例をもっと見る

      請求書のWeb配信で電子帳簿保存法への対応を推進(JFEスチール)

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      世界有数の鉄鋼メーカーとして知られるJFEスチール株式会社は、「invoiceAgent」の導入で請求書のWeb配信を実現し、改正電子帳簿保存法への対応にも効果を得ています。

      同社では従来、請求業務を紙ベースで運用しており、請求書の発送や問い合わせ対応などを人手で行っていました。
      しかし、鉄鋼業界では「20日締め月末払い」という商習慣が根付いており、請求業務のスケジュールはタイトで、郵送によるタイムラグが課題となっていました。
      さらに、コロナ禍となり請求書のデータ送付を希望する取引先が増え、請求データの分割作業およびPDF化して送付する作業が大きな負担となっていました。

      そこで同社は、上記の課題を解消するために請求書をWeb配信する仕組みの構築を決断。
      改正電子帳簿損法への対応も見据え、「invoiceAgent」を導入しました。

      「invoiceAgent」の導入後、請求業務の負担が軽減され、郵送によるタイムラグも解消。「20日締め月末払い」のプレッシャーからの解放という心理的なメリットも実感しています。
      電子帳簿保存法への対応基盤が整ったことで、今後は「invoiceAgent」のさらなる適用範囲拡大を進めていく考えです。

      ▼事例詳細はこちら
      JFEスチール株式会社のinvoiceAgent導入事例をもっと見る

      まとめ

      今回は、電子帳簿保存法への具体的な対応方法やシステム選定時のポイントをご紹介しました。

      電子帳簿保存法の3つの区分のなかでも、電子取引への対応は多くの企業にとって急務だと言えます。

      そして、電子帳簿保存法への対応および効率的な運用を目指すのであれば、JIIMA認証を取得しているシステムの導入が有力な選択肢となるでしょう。

      電子帳簿保存法への対応に課題を感じている企業、とくに電子取引を行っている企業は、今回ご紹介した情報も参考に「invoiceAgent」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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      電子帳簿保存法の改正により要件が緩和された一方で、企業として適切な対応をするためには押さえるべきポイントがあります。
      ・どのような流れで対応を進めればいいのだろう…
      ・自社にはどんなシステムが合うのだろうか…
      とお悩みの方へ、電子帳簿保存法対応のための5つのステップをご紹介します。

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