導入事例

ホクレン農業協同組合連合会

ホクレン農業協同組合連合会

FAXからWeb配信への移行と電帳法対応を同時に実現
帳票作成・配信環境の共通化で将来の開発者不足に対応

共生の大地である北海道から「農」と「食」の未来を担っているホクレン農業協同組合連合会(以下、ホクレン)では、ウイングアークの総合帳票基盤ソリューション「SVF」、電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent 文書管理」、配信プラットフォーム「invoiceAgent 電子取引」を導入し、FAXからWeb配信への移行および電子帳簿保存法(電帳法)の対応を同時に実現した。

導入背景

支払案内書をFAXで送信していたが、使用していたISDN回線が2024年1月から段階的にサービスを終了することとなり、代替手段への移行が必要となった。また。電帳法対応の宥恕(ゆうじょ)措置期限も迫っており、対象書類を法令に則って適切に管理できる環境が求められた。

課題
  • FAXに使用していた回線サービスの提供が終了するため、代替手段への移行が必要だった
  • 電帳法の宥恕措置期限が迫り、対象書類の保管環境を整備する必要があった
  • 帳票作成・配信の仕組みが部署やシステムによって異なっており将来に不安があった
解決策導入ポイント
  • SVFとinvoiceAgentを組み合わせて書類の送付をFAXからWeb配信に移行する
  • invoiceAgent 文書管理で電帳法に対応する
  • システム毎に個別最適だった帳票まわりの仕組みを統一化する
効果
  • 120の農協に送信する月間約1,000枚のFAXをWeb配信に切り替えた
  • FAX送信エラーの発生に対応する毎朝の定型業務が不要になった
  • 約2,000人の職員が文書の一元管理によって対応漏れを防止しやすくなった
  • ホクレン内の帳票作成・配信を統一可能なプラットフォームにして、技術者不足のリスクを軽減

次の100年に向けてデジタル技術の活用を進めるホクレン


 ホクレンは北海道内の農協が出資し、農協の経済事業を担うことを目的として設立された組織だ。コーポレートメッセージ「つくる人を幸せに、食べる人を笑顔に」のもと、生産者の営農活動を支える「生産者支援」および消費者への「食の安定供給」を責務として活動している。


 生産者支援では、生産現場に不可欠な資材やエネルギーの供給、技術面・情報面でのバックアップなど、農畜産物を安定的に生産するためのサポートを行っている。また食の安定供給では、全国の消費地・消費者に安全・安心な北海道産農畜産物を供給しているほか、北海道ブランドの構築やPR活動など、新しい需要を開拓する活動も展開する。


 北海道の農業と地域社会に貢献するべく取り組んできたホクレンは、2019年に創立100周年を迎え、現在は次の100年に向けて2030年をめどに目指す姿を「Vision2030」としてまとめ、その実現に向けて取り組んでいる。


 当然、デジタル技術の活用も重要なテーマとなる。2020年に策定したDX推進計画で柱の1つに位置付けた「基幹システムの再構築」を展開中であり、2024年2月にはICT推進部を新規に立ち上げ、その中にデジタル推進課を新設した。


FAXの移行と電帳法の対応が必須のミッションに


 ホクレンでは基幹システムの再構築と並行して、2つの対応を迫られていた。1つは、FAX送信に利用しているISDN回線サービス(INSネット ディジタル通信モード)の提供終了が発表されたことに伴う代替手段への移行だ。ICT推進部システム開発課の新川 武司氏は「道内の農協様にお届けする支払案内書の一部は、基幹システムの夜間バッチ処理で作成しFAXで自動送信していました。2022年12月に回線サービス終了が発表されてから間もなく、請求書をPDF化するための基幹システムの改修方法と、さらにそのPDFを自動配信するための基盤整備について検討を始めました」と説明する。 


新川 武司 氏

 もう1つの対応とは、電帳法である。


 「メールなどで受け取ったPDFや、紙の書類をPDFにして保管するペーパーレス化の仕組みはありましたが、タイムスタンプ付与などJIIMA認証には対応していませんでした。そこでFAXを廃止してPDF化した支払案内書のほか、ホクレンが授受した電帳法に則って保管すべき書類を一元管理できるプラットフォームの導入を目指しました」(新川氏) 


専門家のアドバイスを参考に実績あるウイングアーク製品を採用


 対応方法の検討は、目下の課題解決だけでなく、ホクレン全体最適の視点を取り入れて進めたという。


 「ホクレンは米穀、農産、てん菜、酪農畜産、資材、生活、農業総合研究所などさまざまな事業を行っており、それぞれに必要なシステムを順次導入してきました。すでに請求書をWeb配信している事業本部があるなどホクレン全体で見れば配信環境が乱立しており、特定のシステムに依存したものが多いため、必要な技術や知識に統一性がなく、コストだけでなく将来の技術者確保にも不安がありました。そこで帳票配信の仕組みを統一プラットフォーム上に載せ替えることも視野に入れたのです」(新川氏)


 ホクレンでは今回の対応に先駆けてウイングアークの総合帳票基盤「SVF」を導入済みで、例えばドットインパクトプリンターで出力していた複写式の請求書をPDF化するなどしていた。その経験もあったため、基幹システムのデータをSVFに渡して請求書PDFを作成し、電帳法対応の電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent 文書管理」に保管した上で、配信プラットフォーム「invoiceAgent 電子取引」によって取引先に配信するという流れを描いたという。データの出力元となるシステムの改修には費用と時間がかかる上に、取引先への周知などシステム外の対応も欠かせないことから、まずはFAXからの置き換えが必須の支払案内書から対応し、投資対効果の高い書類から順次載せ替えていく方針とした。


 ウイングアーク製品を選定した理由について、新川氏は次のように説明する。


 「システム業界にいる者であれば、帳票作成ツールといえばSVFという印象を持っているのではないでしょうか。歴史と実績のある成熟した製品ですし、専門家のアドバイスもあってホクレンでも使い始めました。SVFに不満はありませんでしたし、ウイングアークが必要な製品をラインアップしていて親和性のある連携や一貫したサポートが可能なのは理想的です。ウイングアークの技術サポート担当者と密に会話しながら設計していきました」


 また、コストも検討材料の1つだった。電帳法対応では文書管理システムを約2,000人の職員が利用するため、ユーザー数に比例する価格体系では二の足を踏むが、invoiceAgent 文書管理はユーザー単位で計算しないオンプレミス版を選択することでクリアできたという。


120の農協が利用するWeb配信を実現


 invoiceAgent 文書管理およびinvoiceAgent 電子取引の導入前には、トライアルを3ヶ月ほど実施した。使い勝手を検証したICT推進部システム開発課の髙野 杏実氏はinvoiceAgent 電子取引について「ホクレンが発行した書類を受け取る取引先の立場では、特に複雑な操作は必要なく、ログインするだけなので心配はありませんでした」と話す。 


髙野 杏実氏

 トライアルを経て2023年2月にinvoiceAgent 文書管理およびinvoiceAgent 電子取引の購入手続きを終え、これらの導入と基幹システムの改修、SVFでの帳票開発に着手した。


 「invoiceAgent 文書管理は、SVFで作成したPDFの保管だけでなく、ホクレンの大多数の職員が電帳法対象の書類を保管するために日常的に利用するシステムです。そのため豊富な機能や設定を理解しながら、できるだけユーザーが迷ったり誤操作したりしないように工夫して使いやすくしました。設定だけでなくシステム連携なども含めた開発全体を通して振り返ると、ウイングアークが提供するWeb上のサポート情報ではわからない点もありましたが、困ったときには技術サポート担当やカスタマーサポートの方に相談しながら解決しました」(髙野氏)


 こうした製品の選定、検証、構築には子会社のホクレン情報サービス株式会社およびNDIソリューションズ株式会社による適切なリードもあり、FAXの回線サービス終了と電帳法対応の宥恕措置期限を迎える前の2023年12月にリリースを終えた。


 プロジェクトを振り返ると、FAXから置き換わるWeb配信の利用者が120の農協と広範囲であるがゆえに、いつもとは異なる配慮が必要だったという。


 「支払案内書がFAXからinvoiceAgent 電子取引に変わることの説明や、アカウント作成のためのメールアドレス収集は、システム開発にはない不慣れなタスクなので苦労しました。ただ、invoiceAgent 電子取引にはメールアドレスを収集する機能があったので、その負荷を減らすことができました」(髙野氏)


 運用が始まってからは、「ログインができない」という問い合わせが少なくなかったといい、髙野氏は「パスワードを変更したのを失念していたり、アルファベットの大文字と小文字を間違えていたりするケースが大半で、あらかじめ配付資料には注意点として記載していたものの、想定以上に電話応対の負荷がありました。影響が外部に及ぶ場合の知見が得られたので、今後の対応で生かしたいと思います」と話す。


 また、新川氏はinvoiceAgent 電子取引に農協からログインできなくなってしまい、カスタマーサポートに問い合わせたと、障害発生時のことを振り返る。


 「原因はオンプレミスで運用するinvoiceAgent 文書管理の管理者パスワードを我々が変更した際の対応漏れだったのですが、障害はinvoiceAgent 電子取引で発生しており、ウイングアーク側の問題だろうと想像していました。一次受付では入力フォームに情報を入力するのですが、影響範囲が広いため緊急性の高い障害だと認識していて、時間がかかるメールの往復はできれば避けたいと思っていました。すると事情を察して電話で迅速に対応してくださり、2時間ほどで復旧できました。その際のサポートが手厚く、対応していただいたご担当者様には本当に感謝しています」


帳票の作成からデータ活用までを
カバーする共通プラットフォーム構築を目指す


 現在、FAXからWeb配信へと置き換えた支払案内書は月間約1,000通だ。もともと自動化されていたこともあり送信自体の業務効率は変わりないが、送信後の業務フローは簡素化できたという。


 「FAXの運用ではしばしば送信エラーが発生するため、送信結果を確認するのが毎朝の定型業務になっていました。また、未送信分は手動での再送信が必要でした。現在はFAXでエラーが発生することがなくなったため、この業務をなくすことができています」(新川氏)


 一方、クラウドサービスに慣れていない支払案内書の配信先からは、システムにログインしてPDFを取り出す煩わしさを指摘する声もあるが、バックオフィスの在宅ワーク導入などのニーズがあるため、全体として見ればサービスの向上につながっているという認識だ。


 ホクレン内での電帳法対応については、約2,000人の職員がinvoiceAgent 文書管理を利用しており、PDFを簡易的な方法でアップロードして保存・管理する環境を整えた。これに伴って文書の検索性も向上している。


 「アップロードの説明会を実施しましたが、そもそも操作が複雑ではないため、今のところネガティブな意見は聞いていません。請求書の処理などを担当する事務関連の部署では、使いこなしているようです。また、取引先から受け取る請求書が近年は紙からPDFに変わりつつあったため管理しやすくなり、自分が担当する請求書を集約し一覧化できるので支払漏れを防ぐ効果も期待できます」(髙野氏)


 新川氏は今後について次のように語る。


「ホクレンは一貫性のあるウイングアーク製品を導入することで、紙で出力している帳票をPDFに移行し、保管し、Web配信できる統一プラットフォームを整えることができました。帳票配信の仕組みの共通化に向けて、ようやく長い道のりのスタートラインに立ったところです。技術をそろえることで開発者の不足に備えることができましたし、基幹システムの再構築と併せて、投資対効果を見極めながらWeb配信を拡大していきます。また、ウイングアークのデータ分析基盤の『Dr.Sum』やBIダッシュボードの『MotionBoard』も組み合わせて、帳票の作成からデータ活用までをカバーする共通プラットフォームを構築する方針です」


 ウイングアークは新川氏の「帳票とデータ活用分野のリーディングカンパニーとして、堂々とした戦略で今後も地位を維持してほしい」との声援を力に変えて、農業振興のために貢献していく。


Company Profile

ホクレン農業協同組合連合会

設立:1919年
所在地:北海道札幌市
事業内容:北海道内の農業協同組合と生産者を対象とする経済事業(販売・購買事業)および営農支援
URL:https://www.hokuren.or.jp/

(写真左より)
ICT推進部システム開発課 新川 武司氏
ICT推進部システム開発課 髙野 杏実氏

導入製品

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