導入事例

株式会社チュチュアンナ

株式会社チュチュアンナ

分析データの取得スピードを最大60倍に高速化し、分析の自由度も向上
「誰でもできるマーチャンダイジングの実現」を目指す

女性用の靴下やインナーウェアを中心にした商品の企画・販売を手がける株式会社チュチュアンナ(以下、チュチュアンナ)。同社では基幹システムの刷新に併せてデータ活用基盤を再構築した。データ分析基盤としてウイングアークの「Dr.Sum」を新たに導入し、社内の各システムからのデータを統合。マーチャンダイジング(MD)や営業、マーケティング、さらには国内で展開する直営約250店舗におけるデータ分析と活用の環境を整えた。

導入背景

他社のBIツールを使った旧来のデータ活用基盤は、決められた仕様のもとでデータを集めて定型的な分析を行うための仕組みだった。新しいデータの分析ニーズが生じた際には、担当者が複数のシステムから分析に必要なデータを手作業で集めて統合したり、情報システム部門に依頼をかけて分析項目の追加開発を行う必要があった。扱うデータ量も膨大で、集計・分析処理に時間を要していた。

課題
  • 商品の流行や販売要件が目まぐるしく変化する中で、BIシステムを中心にした従来のデータ活用環境では固定的な分析しか行えなかった
  • データの集計処理に時間がかかりBIツールのレスポンスが悪かった
  • 従来のBIツールはデータのドリルダウン、ドリルスルーが容易に行えなかった
  • 店舗におけるデータの分析と活用が進んでおらず、経験と勘に頼った運営が行われていた
解決策導入ポイント
  • Dr.Sumでデータ活用基盤を再構築し、大量のデータをスピーディーに集計・分析できるようにした
  • 自由分析が可能なBI環境を整えて分析力をアップ
  • 分析データを可視化するMotionBoardを各店舗に導入し、店舗でのデータドリブン型のオペレーションの実現へ
効果
  • 分析データの取得スピードが最大60倍に高速化され分析の対象範囲が広がった
  • データの自由分析が実現され分析の質が向上した
  • ビジネス現場からの分析対象データの拡張要求に簡単に対応できるようになり情報システム部門の負担が減った
  • 今後のAI活用を見据えたデータ活用基盤が整備できた

1億5千万の売上データが分析対象


 チュチュアンナは、女性用の靴下やインナーウェア、服飾雑貨などを中心とする商品の企画、卸売・小売事業を展開する企業だ。国内外に約450の直営店舗・フランチャイズ店舗を構えるほか、ECサイトでの販売も行っている。また近年では、女性向けの服飾品のみならず、美容クリームや男性向け商品の開発にも力を入れている。 


 同社の小売事業では、取り扱う商品の点数が多いうえに短サイクルで新しい商品が次々に追加される。加えて、店舗の地域特性や広さに応じて販売する商品のラインアップも最適化する必要もある。そのため、データを使って「どの商品が、どこで、どれだけ売れているのか、どれだけ売れそうか」をとらえ、各所の在庫を適正に保つことが非常に重要となる。 


こうしたことから同社では、かねてよりデータの分析・活用に力を注いできた。そのデータ量は膨大で、年間で取り扱う商品が約5千点に上るため、商品の売上データだけでも年間5千万レコードに達する。さらに、過去3年分の売上データを分析対象とするため、総数は1億5千万レコードに及ぶ。加えて、在庫データについても約30万SKU(ストック・キーピング・ユニット)分を分析対象としている。 


 また、各店舗の前に人の動きをとらえるカメラを設置して、店舗前の通行量と入店数から入店率を割り出し、それとPOSデータとを突合させながら、その時に実施していたマーケティング施策の良否を判断するといった取り組みも行っている。 


意思決定に必要なデータが得られないことが課題


 同社ではこれまで、上述したような膨大なデータの分析、活用のための仕組みとして、すでにBIツールを使用していた。ただ、そのBIツールを使った以前のデータ活用環境は、定型分析を行うための仕組みに過ぎず、自由形式の分析ができなかった。また、分析対象のデータを追加するのも容易ではなかった。加えて、データ集計の性能にも難があり、分析データを取得するのにもかなりの時間を要していた。 


 当時の状況についてチュチュアンナ 店舗営業部 兼 デジタルマーケティング部 ゼネラルマネージャーの北裏 泰士氏は次のように振り返る。 


 「当社では毎週月曜日に経営会議があり、営業・マーケティング部門や商品部門などでは前週の実績を会議の場で報告しなければなりません。そのため、月曜朝にはデータ活用環境(BIツール)へのアクセスが集中し、定型分析データの取得に2分もの時間を要するのが通常でした。また、かつてのデータ活用環境では、経営上の意思決定に必要なデータが得られないことが間々あり、そのような場合には、営業部や商品部の担当者が、各所に散在するデータを手作業で集めて必要な資料を作成する必要がありました」 


店舗営業部 兼 デジタルマーケティング部 ゼネラルマネージャー 北裏 泰士氏

パフォーマンス、分析の柔軟性、操作性でDr.Sumを選択


 こうした課題を解決すべく、同社ではサーバーを増強するなどの施策を講じてきたが、それでも状況は改善されなかった。そこで、基幹システムの刷新プロジェクトの一環として、データ活用環境の再構築に踏み切ることにし、新たなデータ活用環境におけるゴールとして「データ集計・分析性能の大幅なアップ」「誰でもできるMDの実現」「在庫管理の精度向上」「計画・予測精度の向上」「店舗設計や商品分析の向上」「店舗における自動発注の精緻化」などを設定した。 


 これらの目標の中で特に重要だったのが「誰でもできるMDの実現」だ。例えば、本社では店舗の収益向上に向けて、商品の売り方や数量や販売期間、店舗内での配置などに関して、さまざまな指示を出すが、現場の状況は店舗ごとに異なる。そのため、本社の指示が必ずしも正解とは限らず、各店長は自らの判断で自店舗に適したMDの施策を練り、展開していく必要がある。従来、そうした現場判断は、店長の属人的な経験や勘を頼りに行われてきた。 


 「経験・勘はそう簡単には得られません。また、経験や勘を頼りにした属人的な施策は成功の再現性が低く、かつ、成功体験を他店舗と共有し生かすのが難しいといった問題もあります。そこで、店長が自らデータを活用して、本社の指示に頼らず、適切な判断を下せるようにしたいと考えました。その実現に向けては、データ分析ツールの扱い不慣れな人でも使えるような操作性に優れた環境が必要とされました。旧来のBIツールはドリルダウンやドリルスルーといったデータ分析の基本的な操作すら、ビジネス現場の担当者ではできない仕組みでしたが、その操作環境を大きく改善することを目指したのです」(北裏氏) 


 ゴールの達成を目指して、同社が最終的に選んだのがDr.Sumだ。チュチュアンナ情報システム部マネージャーの石井 久雄氏は、選定理由についてこう話す。 


 「Dr.Sumを使用した経験のあるスタッフが情報システム部にいて、Dr.Sumはデータ集計のパフォーマンスが良く、自由分析も柔軟に行えて、操作性にも優れていると採用を強く勧められたことが導入の決め手になりました」 


情報システム部 マネージャー 石井 久雄氏

エンドユーザー自らがドリルダウン分析


 Dr.Sumの採用を決めた同社では、まず旧来のシステム環境で一部のデータ分析をDr.Sumで行えるよう開発を進め、それと並行して本社の人員や店舗の店長に対してDr.Sumと、Dr.SumのデータをExcelやWebブラウザーで扱えるDr.Sum Datalizer(以下、Datalizer)の使い方教育を実施した。これは、2023年8月の新基幹システム稼働のタイミングに合わせて、エンドユーザーがDatalizerを使ってドリルダウン分析が行えるようにするためだ。 


 この取り組みを進めるに当たり、ウイングアークには柔軟な対応をしてもらえたと、導入を担当した同社 情報システム部の安井 誠豪氏は評価する。 


 「ウイングアークはDr.Sumに関するトレーニングメニューを用意していますが、それを1から学ぶとかなりの時間がかかることが想定されました。そこで、我々が分からない部分だけの質問に答えてもらったり、当社向けの簡単な教育をしてもらったりと、臨機応変な対応をしてもらいました。その結果、導入プロジェクトが効率化でき、Dr.Sumを使ったデータ活用環境の開発ノウハウも社内に蓄積され、現在はDatalizerの新しい画面開発のほとんどを自社で行うようになっています」(安井氏) 


情報システム部 安井 誠豪氏

分析データの取得スピードが最大60倍に高速化


 現在(2024年8月)、Dr.Sumには新旧基幹システムのデータや各店舗の売上データ(POSデータ)などが統合され、Datalizerを通じて商品(アイテム)別、エリア別の週間の売上実績を前年比、前週比のかたちで見える化し、経営施策・営業施策の立案、改善に役立てられている。また、商品部では、Datalizerを使いアイテムを「素材」や「靴下丈の長さ」といった要素にドリルダウンし、それぞれの売れ行きのトレンドを分析して仕入れ・在庫の調整・管理などに役立てている。 


 こうした使い方を踏まえつつ、石井氏はDr.Sumの導入効果についてこう話す。


 「何よりも大きな変化は、データ集計の処理スピードが大幅にアップし、エンドユーザーが分析データを取得するスピードが劇的に向上したことです。例えば、定型分析データの取得については、従来15秒かかっていたものが1秒に、2分を要していたものが2~3秒へと短縮されています。つまり、分析データの取得スピードが最大60倍に高速化されているということです」 


 加えて石井氏は「Dr.Sumの導入で自由分析が可能になり、分析の質が上がり、経営陣やビジネス部門からも良い評価を得ています」と語り、こう続ける。 


 「Dr.Sumの導入を機に、データ活用環境で使用できるデータの幅を広げました。ビジネス部門からは引き続き新しいデータ取得に関する要望は来ますが、ほとんどの要望に対しては、Datalizerの使い方を案内するだけで済むようになりました。結果として、情報システム部門が突発的なデータ要求への対応で多くの手間とリソースを取られるケースが大幅に減り、業務負担の軽減につながっています」 


 Dr.SumとDatalizerの導入は、ドリルダウンなどのデータ分析の簡便化にもつながっている。これにより店舗でのデータ分析・活用を活性化させ、データを使ったオペレーション改善の事例を店舗間で共有し、波及させていくことも計画している。この取り組みをさらに前に進める目的で、同社では、ウイングアークのBIツール「MotionBoard」も導入し、2024年9月から各店舗での利用を開始した。 


「MotionBoardを使うことで、各店舗の店長は自店舗の状況を一目で確認できるようになります。今後は、Dr.Sumで細かい分析をして、MotionBoardで分析した結果をビジュアル化して見るという形で両製品を使い分けていく考えです」(北裏氏) 


Dr.Sumでデータ活用基盤を再構築し大量のデータをスピーディーに集計・分析

データ分析・活用の高度化によりお客様中心の店舗展開や商品開発を目指す


 チュチュアンナでは今後、データ分析・活用を一層高度化させ、需要予測や在庫管理の精緻化や顧客理解の深化に役立ていく計画だ。 


 この点について北裏氏は「当社が扱っている商品は、お客様のリピート購買が多い商品です。だからこそお客様のニーズをとらえることが重要です。お客様の行動データをDr.Sumで統合・分析してお客様に対する理解を深めていくことで、お客様を中心にした店舗展開や商品開発ができるようになります」と意欲的だ。 


 さらに同氏は、「今回のDr.Sumの導入で、活用すべきデータの整理ができました。ウイングアークには引き続き優れた技術の提供とご支援いただきたいと願っています」とウイングアークへの期待感を示してくれた。 


Company Profile

株式会社チュチュアンナ

創業:1973年8月
所在地:大阪府大阪市
事業内容:レッグウェア、インナー、ウェア、服飾雑貨等の商品企画、小売、卸売
URL:https://www.tutuanna.co.jp/

(写真左より)
チュチュアンナ情報システム部 安井 誠豪氏
情報システム部マネージャー 石井 久雄氏
店舗営業部兼デジタルマーケティング部ゼネラルマネージャー 北裏 泰士氏

導入製品

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Dr.Sum DatalizerのWebインターフェイスは、ブラウザ上で複雑なプログラミングは必要なく、Dr.Sumのデータを容易に集計・分析できる環境を構築できるツールです。

Dr.Sum DatalizerのExcelインターフェイスは、Microsoft Excelの画面上で複数の集計結果を比べながら集計分析する拡張ソフトです。使い慣れた環境を変えることなく、さらなる分析業が可能となります。

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