
「紙のレポート」の業務スタイルから数字を分析する重要性への気づき
プラスのステーショナリーカンパニーでは、従来ユーザー部門への情報を Microsoft Accessで作成した帳票やレポートを印刷して配布していた。同カンパニーの管理本部 IT戦略室 マネージャーの政井 仁人氏は、「IT担当の私たちの部署にとって、従来のレポーティングは管理・運用の面で非常に負荷の高いものでした」と振り返る。
組織の統合に伴うシステム刷新が行われた2009年3月、この課題を解決すべくカンパニー全体で利用するBI基盤の構築の検討を開始した。「業務とシステムを改善する絶好の機会である と考えました。システム刷新に向けた調査の結果、自社のやりたいことはCRMやSFAではなく数字の分析であること、そして情報共有が目的であることに気づき、BIツールの導入に踏み切りました」(政井氏)
導入のしやすさや使いやすさ、ライセンス体系を評価
BI基盤の構築において、政井氏が懸念したのは導入までの時間だった。当初、政井氏は汎用データベースに、別のインターフェイスを乗せるほうがシステムとして利便性が高いのではと考えた。しかしその場合にはOLAPキューブの設計など専門的な知識や構築作業にかなりの時間が必要となる。一方、独自データベースにインターフェイスを載せるDr.Sum EAならばそうした負担は小さい。
また、ライセンスコストにおけるメリットも大きかった。「利用者の増加は予見できないものです。より多くの社員が利用してほしいと考えていたので、利用者数に左右されないサーバーライセンスであることは重要でした」(政井氏)
こうして2009年12月にDr.Sum EAの運用を開始した。
クラウド環境「AWS」へ移行し運用負荷を軽減
Dr.Sum EAの運用開始から約3年が経過した2013年、自社による運用環境からクラウド環境であるAWSに移行した。その経緯について政井氏は次のように説明する。
「ハードウェアの更改をきっかけに移行を検討しました。クラウド環境へ移行することで、ハードウェアの運用・保守から解放されたほうがよいのではないかと考えたのです」
AWSの環境で運用テストを実施した結果、Dr.Sum EAのパフォーマンスに問題がないことが明らかになった。「AWS Direct Connect※」サービスを使って、社内LANと同様の環境で接続しているため、セキュリティについても心配なかったと政井氏は言う。
「AWSはスモールスタートが可能ですし、リソースの増強も随時行うことができます。何らかのトラブルが発生し障害を特定しなければならない場合でも、ハードウェアを考慮対象からはずすことができます。問題解決のためのプロセスがかなり減ったと感じています」
※自社の設備からAWSの専用ネットワーク接続を簡単に確立できるサービス
「確認」から「分析」へ
マーケティング部の運用体系を確立
Dr.Sum EAの導入から5年が経過し、現在でこそ営業やマーケティングの現場に浸透しているが、導入当時は「よくわからない」という声も聞かれたと政井氏は話す。
「それまでは紙資料が配布されていたので『データを見たければDr.Sum EAにアクセスすればよい』という意識が定着するまで時間がかかりました。現場と会話し、Dr.Sum EA Datalizerの実際の操作画面を見ながら、操作方法を学習してもらいました。その後、一部のユーザーが利便性を実感し、使い方を周囲のユーザーに伝える形で利用が浸透していきました」
Dr.Sum EAの導入によって「運用が体系的になった」と話すのは同社マーケティング本部の日名子 康介氏だ。
「運用の仕方を決めたことが浸透の要因のひとつです。例えばマーケティング部では、基本的に月次集計の実績動向を追います。新商品が発売されたり、メディア露出があったりした場合にはスポットで情報を取りに行くこともありますが、月次を基本とする『漏れのない運用』を実現できています」
Dr.Sum EAの導入以後、いつでも振り返って正確な数字を確認できるようになった。
「マーケティング担当者は、新製品の売り上げ、金額、個数、商品カテゴリー、サイズ、色や柄、エリア特性、単品・パック売りの差、販売チャネルによる違いなど、細かく比較・分析します。レポートの作り方は担当者それぞれですが、Dr.Sum EA がなかったら、ここまで体系立ったレポートを作ることはできなかったと思います」(日名子氏)。
Dr.Sum EAの導入以前は、IT部門が提供するレポートを見て実績を確認するだけだったが、今は、数字に対して分析したい項目を各自がチェックできる。「データに基づいて販売状況の特性を分析できるようになり、実績の『確認』から『分析』へと業務が変わったと感じています」と、日名子氏は業務でのBI活用が現場へ浸透している様子を説明する。
同社では、基幹システムの情報を分析するだけでなく、営業やマーケティング、カスタマーサービスで得た情報をCSVに出力して、Dr.Sum EAに蓄積している。
「この機能が非常に便利です。例えば、当社のお客様である問屋さんが、どの小売店へどんな商品を販売したのかといった情報は、基幹システムには格納されていません。そうした情報をはじめ、カスタマーセンターに寄せられたお客様の声も取り込むなどしています。いずれ、業務に関する全データをDr.Sum EAに集約したいと考えています」(政井氏)
10年分の蓄積データを活かし「アナリティックス 3.0」の実現へ
今後、現場でのさらなる情報活用を実現するために、「IT担当として『ユーザーが本当に欲しいものは何か』を常に考え続けるのが我々の役割です」と政井氏は語る。IT部門で最終的なアウトプットまで作り込まずに、ユーザー部門の利用をアシストしていく仕組みが重要だということだ。いわゆる「アナリティクス3.0」を実現することが、同社が指向し ていることだ。
「Dr.Sum EAは、こうやって分析したら新しい発見があるのでは?』といった“気づき”を与えてくれます。マーケティング担当者のひらめきやセンスを支援してくれるのです」(日名子氏)
「ITの部門のレポーティング業務が軽減され、業務をより良くするための新たな企画立案などに注力できるようになりました」(政井氏)
同社ではデータの蓄積が間もなく10年分に達する。ステーショナリーカンパニーでは、このデータ資産を有効活用していく施策を検討している。今後も業務の要としてDr.Sum EAが重要な価値を生み続けていくことに、政井氏や日名子氏は強い期待を寄せている。






