
医療分野の市場調査でより良い医療の実現に貢献
マーケティングリサーチ事業を中核とするインテージグループの一員である株式会社アンテリオ(以下、アンテリオ)。「ヘルスケア領域における専門性の高いリサーチノウハウを駆使し、お客様の最適な意思決定に不可欠な質の高い“知”の提供に努め、健康を願うすべての人々がより良い医療を享受できる環境づくりに貢献する」という事業ビジョンに基づいて、医療分野における豊富な経験やスキル、知識を生かした市場調査やコンサルティング事業を展開している。
2015年4月には、同じくインテージグループである株式会社インテージのヘルスケア事業を統合することを発表。医療用医薬品市場調査と並ぶ新たな事業の柱として、SDI(全国一般用医薬品パネル調査)や生活健康基礎調査、ヘルスケアトレンドパネル調査、健康食品・サプリメント市場実態把握調査などのリサーチサービスで構成される一般用医薬品市場調査の提供も開始している。
プライマリとセカンダリ
2つのサービス形態を展開
アンテリオの調査には、顧客からの依頼で、顧客が抱える課題解決の調査を実施する「プライマリ」と呼ばれるサービスと、一般に公開されている情報や市場調査会社がマルチクライアントで自主的にデータ収集する「セカンダリ」と呼ばれるサービスの大きく2つがある。今回刷新したのは、セカンダリのリサーチサービスの一つである「Impact Trac」のシステムだ。
Impact Trackは、全国4,000名以上の勤務医と開業医を対象に、MR(医薬情報担当者)やMS(医薬品卸販売担当者)、e-marketing、講演会/研究会による医療施設へのプロモーション活動状況を調査し、拡大推計したメーカー別訪問回数や製品別ディテール回数、メッセージ分析、分析用ローデータを提供。インターネット経由で毎日データを収集し、毎週木曜日にウィークリーデータを、毎月初旬にマンスリーデータを公開している。
従来、Impact Trackのシステムは、社外のベンダーが開発・運用していた。そのため、市場のニーズに合わせてデータ収集項目や報告データの内容を変更する必要があっても、修正箇所に応じて社外のベンダーに変更を依頼しなければならなかった。ファーマ・ソリューション事業部 ソリューション開発部 チームリーダー リサーチディレクターである奥長 ひろ子氏は、Impact Trackが抱えていた課題を次のように語る。
「システムの改修を依頼するときに、修正のポイントがうまく伝わらず、手戻りが発生することがありました。また、外部ベンダーが管理するシステムを我々が直接見ることができないため、間違いが起きてもどこの設定がおかしいのか自らチェックできないことに煩わしさを感じていました。さらに、調査ごとに異なるシステムを利用しているため、ユーザーへのデータ提供UIもバラバラで、1つのシステムへの統合に対する強い思いがありました。このほか、インターフェイスがはじめての人にはわかりにくいことや、チャートの種類は固定で一つずつしか表示ができないことも合わせて改善したいと考えていました」
こうした背景からImpact Trackのシステム刷新プロジェクトがスタートした。新システムのインフラとしてクラウド環境の「Amazon Web Services」(以下、AWS)を選択し、BIソリューションとしDr.Sum EAとMotionBoard、ソフトウェア基盤としてインフォテリア株式会社のデータ連係ツール「ASTERIA WARP」(以下、ASTERIA)を採用。この新システムのSIをTIS株式会社が担当した。
医療用医薬品市場調査サービスのフロントエンドとしてMotionBoardを提供
アンテリオでは、AWS、ASTERIA、Dr.Sum EAおよびMotionBoardの採用を2014年6月に決定。8月にクラウド環境が完成し各製品のシステムの構築を開始するとともにトレーニングを実施。2015年3月にImpact Trackのサービスを公開した。
新しいImpact Trackは、毎日の調査で集まったデータをASTERIAでクレンジング・集計し、回答データ、テキストマイニング結果データ、市場定義、ドクター属性、加工前のローデータの5つのビューをDr.Sum EAにロードして、MotionBoardで自由に集計・分析できる仕組みになっている。MotionBoardは、医療用医薬品市場調査サービスのフロントエンドとして顧客企業に公開している。
Dr.Sum EAおよびMotionBoardを採用した理由についてファーマ・ソリューション事業部ソリューション開発部長の佐藤 暢章氏は、次のように語る。
「特別な機能説明をしなくても、直感的に使える操作性を評価して採用を決めました。また、他社製品はユーザーライセンスのため利用者が増えるとコスト増になりますが、利用者が増えても導入コストが変わらないサーバーライセンスなので安心でした」
Dr.SumとMotionBoardで自ら開発・運用できるBIを実現
Dr.Sum EAとMotionBoardにより、自分たちでダッシュボードのデータやチャートを自由に変更しユーザーに提供できるようになった。ユーザーである製薬企業からもレスポンスが早くなったと評価も上々だ。2014年12月には、社内用にDr.Sum EA Datalizerを導入することで、ユーザーの様々な分析ニーズにも対応できる環境を整えた。
また、奥長氏が「開発・運用のハードルが低いことが最大の魅力です」と語るように、データのクレンジングや集計のための週次処理のフローが100種類以上運用されているASTERIAと組み合わせることで、すべて自分たちで開発・運用できる仕組みを実現することができた。
Impact Trackでは、毎週火曜日にデータを収集しクレンジングや集計を行っている。以前はこの処理に約12時間かかっていたが、これを7.5時間に短縮。また表示するのに数分かかっていた報告データも、新システムではほとんどが数秒に短縮することができた。奥長氏は、「今後さらに時間を短縮できる可能性を感じています」と期待を話す。
最後に佐藤は、「ひと口に拡大推計といっても、分析ごとに異なるシステムを利用しているため、あまり効率的ではありませんでした。今回、2系統だった旧システムを一つに統合できるBI基盤を構築できたので、プロセスを標準化できたメリットに加え、新サービスの短期導入や事業継続性の向上など、ビジネス的にも大きなインパクトがありました。今後、ほかのシステムへの展開する際にも、Dr.Sum EAとMotionBoardには大いに期待しています」と話す。






