導入事例

日鉄ソリューションズ株式会社

日鉄ソリューションズ株式会社

AgentforceとSVF Cloud for Salesforceで見積作成業務を自動化
業務負担を大幅に削減し本来の業務に注力できる環境を整備

日鉄ソリューションズ株式会社
業種

情報・通信

日本製鉄グループの総合システムインテグレーターとして、製造、金融、通信、流通、公共など幅広い分野へITソリューションを提供している日鉄ソリューションズ株式会社(以下、日鉄ソリューションズ)。営業部門の業務効率化を目指す「ミドルオフィスプロジェクト」の一環として同社が取り組んだのが、AIを活用した見積作成の自動化だった。その仕組みを支えるのが、「Agentforce」と帳票ソリューション「SVF Cloud for Salesforce(以下、SVF Cloud)」を連携させた「見積作成エージェント」だ。AIによる自動化で見積作成にかかる負担を大幅に削減するとともに、作成から送付までのリードタイムも実質ゼロに短縮できた。同社は構築と運用で得た知見をもとに、顧客への提案にも活かしていく。

導入背景

課題
  • 営業担当者が事務作業に追われ、お客様への提案など本来の業務に時間を割けていない
  • 見積作成が1件あたり最大1時間かかり、その数が膨大であった
  • 多忙のため見積の承認者が承認を滞留、リードタイムが長期化する要因となっていた
解決策導入ポイント
  • 「Agentforce」をベースとした「見積作成エージェント」を構築し作成を自動化
  • 帳票出力に「SVF Cloud」を選定しAgentforce との連携で迅速な開発を実現
  • AIエージェントの活用に際して、業務フローの整備・決裁ルールの変更など、ガバナンスと正確性を担保する仕組みを確立
効果
  • 見積作成にかかる工数が削減され、営業担当者が本来の業務に集中できる環境を整備
  • 1〜2日を要していたリードタイムを大幅に削減、お客様をお待たせすることなく見積をお届けすることで、機会損失をなくすことやCS向上に寄与
  • 最新AI活用の知見を蓄積しながら、今後の顧客提案における競争優位性を確保

営業担当者の事務作業の効率化に向けて、見積作成の自動化に取り組む


 日鉄ソリューションズは、「長年にわたって蓄積された深い業務ノウハウと高度な技術力を最大の強みに、お客様が直面する経営課題の解決や業務効率化、競争力の強化を多角的に支援してきました。さらに当社では2030年に向けたビジョンとして『新たな価値共創のエコシステム』を掲げ、顧客やパートナー企業、ひいては社会とともに、デジタル技術を駆使した共創を推進しています」ITサービス&エンジニアリング事業本部 セールス&マーケティング第一本部 エンタープライズビジネス第三部 草島 直弥氏は語る。 


ITサービス&エンジニアリング事業本部 セールス&マーケティング第一本部 エンタープライズビジネス第三部 草島 直弥氏

 こうしたなか、ITサービス&エンジニアリング事業本部が営業部門の業務効率化に向けて2024年10月から取り組んでいるのが、「ミドルオフィスプロジェクト」だ。草島氏は、「このプロジェクトの背景には、営業担当者が事務作業に追われ、主な業務であるお客様訪問や新規提案に注力しきれていない現状を改善し、本来の活動時間を確保するという狙いがありました」と話す。


 浮き彫りとなった課題に対して社内の業務を精査した結果、多くの改革テーマのひとつとして定められたのが、「見積作成業務の自動化」だった。「日々多くの見積書を営業事務職員が、作成・送付していたのですが、1件あたり30分から1時間ほどを要しており大きな負担となっていたのです」と、エンタープライズビジネス第三部 第2グループ 岡本 壮馬氏は語る。


 当時の具体的なフローは、顧客からの見積依頼をメールで受け取ると、担当者は見積システムへ直接入力を行って作成、その後PDF化した見積書を相手先にメールで発送するという手順で行われていたという。また、金額が変動する、あるいはその都度見積が必要な製品についてはベンダーへの問い合わせも発生するため、その回答を待ってから作成しなければならなかった。


 「このほかにも、見積書の承認依頼が担当営業やグループリーダー、金額により部長職へと順次回付されていました。承認者の負担と決裁されるまでのリードタイムが課題でした。」(岡本氏) 


エンタープライズビジネス第三部 第2グループ 岡本 壮馬氏

見積作成の自動化にAgentforce、帳票出力にSVF Cloudを選択


 課題解決に向けて日鉄ソリューションズが打ち出した施策が、AIによる見積作成の自動化である。AIチャットボットを通じて、見積依頼の受付から見積書の作成、送付までを自動化するというものだ。


 この「見積作成エージェント」を実現するためのプラットフォームとして選択されたのが、Salesforce社の提供する「Agentforce」である。ITサービス&エンジニアリング事業本部がすでにSalesforceをCRMとして利用しており、顧客情報が集約されていたため、環境の面でも親和性があったというのが採用の理由である。


 「営業の業務に関する重要なデータがSalesforce上に蓄積されていたので、そのデータを活用しAIによる業務支援を行うのであれば、Agentforceを選択するのは自然な流れでした」と、ソリューション企画推進部 AIイノベーショングループ エキスパートの亀井 良成氏は語る。


 また、ソリューション企画推進部 AIイノベーション グループリーダーの平井 雅章氏も「これまでも当社は、SIerとしてSalesforceを外部企業に提案してきました。さらなる競争優位性を確保するには、Agentforceのような最新のAI機能を組み入れたエッジの効いた提案が不可欠です。見積作成エージェントの開発を通じて、自社が『カスタマーゼロ』の立場で業務課題を解決し、実戦的な知見を蓄積するという目的もありました」と話す。 


ソリューション企画推進部 AIイノベーション グループリーダー 平井 雅章氏

 そして、見積書の出力ツールとして選ばれたのが、ウイングアークが提供する帳票ソリューション「SVF Cloud for Salesforce」である。採用の理由は、Salesforceとの優れた連携性により開発工数の大幅な削減が可能なことだった。亀井氏は、一般に、帳票システムをから開発する場合外部APIの実装やデータのマッピングなど高度な技術と多くの開発時間が必要です。しかし、SVF CloudはSalesforceのアドオンツールとしての位置づけにあり他のツールと比べて容易に開発を行えることが最大の魅力でした。また、Salesforce上のデータと帳票項目のマッピングをマウス操作のみで直感的に行えるといった優れた操作性、開発効率を大きく高めると期待しました」亀井氏は語る。 


SVF Cloudの優れた操作性により、スピーディな開発を実現


 20252月から見積作成エージェントの本格的な開発が進められた。開発にあたっては、SVF Cloudの高い操作性と柔軟な変更対応力が大きく寄与した。「SVF Cloud はGUIベースで帳票レイアウトを作成できるほか、既存のPDFのフォーマットを読み込み、Salesforceの項目をマッピングするだけで帳票を完成させることができます。このことは、開発に飛躍的なスピードをもたらしました。また、現場からの依頼に基づく修正対応も容易で、1日ほどで完了できたものもあります」と亀井氏は話す。


 操作方法の習得についても、Web上にSVF Cloudの詳細なマニュアルや設計内容が公開されているため、比較的容易に行えたという。不明な点が出た場合、その都度ウイングアークに相談しサポートを受けられたことも開発のスピードアップにつながった。


 見積作成エージェントの構築にあたって日鉄ソリューションズは、「ガバナンスの確保」と「データの正確性」を担保するための仕組みづくりにも注力した。見積作成エージェントの運用で懸念されたのは、誤った金額で見積書が発行され、それで発注がかけられてしまうことだ。「そこで、自動発行できる見積の範囲を特定の管理者が決裁できる金額以下に制限し、あらかじめ承認されたメニューのみを対象とするなど、事前決裁ルールを適用しました」と岡本氏は説明する。


 また、亀井氏も「Agentforceから受け取ったデータをSVF Cloudで帳票化する前の段階で、すべての処理内容をシステム内で可視化し、確認できる仕組みも構築しています」と付け加える。 


 


ソリューション企画推進部 AIイノベーショングループ エキスパート 亀井 良成氏

見積作成にかかる負担が大幅に削減、提出までのリードタイムもゼロに


 その後、20258から日本製鉄グループ一部の企業を対象に見積作成エージェント提供が開始されている。具体的な見積作成のフローは次のように刷新された



  1. はじめにお客様は、専用のポータルサイトにアクセスし見積作成エージェントを起動する。 

  2. 見積作成エージェントから製品要望に関する問いかけが行われ、お客様は『Excelがほしい』『PowerPointが必要』などとチャットに回答すると、製品一覧リストが表示される。 

  3. リストの中から欲しい製品を選択すると、合計金額が提示され、見積作成の案内が行われる。 

  4. お客様が承諾すると、AgentforceからApexやフローを通じて、Salesforce内の見積オブジェクトなどのデータ領域にお客様の要望や納品期日が書き込まれる。そのオブジェクトのデータが、マッピングされたSVF Cloudにデータが渡され、見積書や注文書のサンプルなどの帳票が作成される。 

  5. 作成された帳票は見積オブジェクトに添付されるとともに、Salesforceが発行するURLがエージェント側に返される。 

  6. お客様は表示されたURLをクリックすることで、その場で見積書をダウンロードすることができる。 


Agentforceによる見積作成自動化プロセス

 このような仕組みにより、主にユーザー側で見積作成が行われ自動化が実現されたことで、ITサービス&エンジニアリング事業本部では多くの効果を得ることができている。


 その1つが、当初の目的として定めていた見積作成における業務負荷の削減だ。「これまで1件あたり30分から1時間程度を要していた見積作成業務が実質ゼロになったことで、パートナーの業務負担が大幅に削減されました。また、営業担当者やグループリーダーも承認依頼に追われることがなくなり、他の業務に時間を充てられるようになっています」と草島氏は話す。


 同様にパートナーも定型的な雑務から解放され、より付加価値の高い業務に従事できるようになっている。


 見積依頼から送付までのリードタイムの短縮も大きなメリットだ。岡本氏は、「従来は見積依頼の受付から送付まで、社内承認を含めて最短でも1〜2営業日を要していました。そのプロセスが、顧客自身の操作によって即時に完結するようになっています。これにより、滞留時間は実質的にゼロに短縮されています」と語る。 


見積作成エージェントの適用範囲をさらに拡大、グループ会社のAI活用推進を支援


 日鉄ソリューションズは、今回の取り組みを足がかりとして、さらなるシステムの適用範囲と機能拡張を計画している。現在は、特定の顧客やマイクロソフト社製品に限定して運用されているが、今後は他ベンダーの製品への拡大や、他のグループ企業への展開も検討している。


 スポットの見積作成だけでなく、サブスクリプション契約のような毎年更新が発生する継続契約の見積書発行を自動化するプロジェクトも進められている。亀井氏は、「継続契約も数多く取り扱っていることから、その領域にも見積作成を自動化することによって、さらなる工数削減が見込めます。このような活動を通じて、さらなる業務効率化を推進し、本来の業務に集中できる環境づくりを目指していきます」と語る。


 また、草島氏も「現在、グループ各社へのAI導入を推進すべく勉強会なども開催していますが、今回の見積作成エージェントには、『自社でもAIが活用できるのではないか』という気づきを与える、営業ツールとしての役割も期待されています。これからも利便性の高いツールを提供することで、日本製鉄グループ全体の業務効率化や新たなビジネス創出に貢献していきたいと考えています」と話す。


 多くの企業がAIの業務活用を模索しているなか、今回の日鉄ソリューションズによるAgentforceとSVF Cloudを活用した取り組みは大きな示唆を与えるものといえる。同社では、今回の施策を通じて得られた知見を顧客への提案に最大限活かしていく考えだ。最新技術を実務に合ったかたちで実装し、業務変革を推進する日鉄ソリューションズ。これからも同社の取り組みに注目が集まる。 


Company Profile

日鉄ソリューションズ株式会社

設立:1980年10月1日
本社所在地:東京都港区虎ノ門一丁目17番1号 虎ノ門ヒルズビジネスタワー
主な事業内容:情報システムに関する企画・設計・開発・構築・運用・保守及び管理
URL:https://www.nssol.nipponsteel.com/

(写真左より)
ソリューション企画推進部 AIイノベーション グループリーダー 平井 雅章氏
ソリューション企画推進部 AIイノベーショングループ エキスパート 亀井 良成氏
ITサービス&エンジニアリング事業本部 セールス&マーケティング第一本部 エンタープライズビジネス第三部 草島 直弥氏
エンタープライズビジネス第三部 第2グループ 岡本 壮馬氏

導入製品

Salesforceとシームレスに連携したクラウド帳票サービス。柔軟な帳票レイアウト設計とPDFやExcelなどの多様な出力ニーズに対応。

 
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