事業成長に帳票業務が追いつかない
シモジマでは月に6回の締め日があるが、近年は月末締めへの集中が顕著になり、月末だけで全請求の約8割を占めるようになっていた。紙の請求書発行では、基幹システムによる締め処理が完了した後、SVFで出力した帳票を封入するところまでを17時の集荷時刻までに完了させる必要がある。かつては2〜3名で交代しながら乗り切れていたが、取引件数の増加とともにその余裕は失われていった。
管理本部 経理部 業務管理課 課長の伊澤 英俊氏は「現在の件数を電子化なしでやっていたら、物理的に間に合いません。まず初日は出力するだけで終わって、2日目に封入・発送という丸2日がかりになっていたと思います」と語る。さらに、郵便の到着サイクルが長期化したことで「帳票がまだ届いていない」という取引先からの問い合わせ電話が月末月初に集中。「時期によっては電話がひたすら鳴って対応して、今すぐ控えをFAXします、という時代がありました」(伊澤氏)と言い、担当者が業務を中断せざるをえない状況が常態化していた。
加えて、続く郵便料金の値上がりが経営課題として重くのしかかっていた。取引件数の増加に伴い郵送コストは上がり続ける一方で、帳票の発行数は増え続けるばかりで危機感が高まっていた。
成長を支えるデジタル帳票基盤を構築
シモジマとSVFの付き合いは2006年にさかのぼる。今年で30周年を迎えるSVFを、シモジマはその3分の2にあたる20年にわたって使い続けてきた。さらに、約10年前にウイングアークが帳票の「配信機能」のニーズをヒアリングした際に協力した企業の1社でもある。そのフィードバックが後のSVF Transactの開発につながっている。長年SVFを使用し、製品進化の歩みを共にしてきたシモジマにとって、SVF Transactの採用は自然な選択だった。
基幹システムで入金消込や締め処理を行い、生成された帳票データをSVFが受け取って種類ごとに振り分け、電子配信対象はSVF Transactを通じて取引先の専用ポータルへ自動配信という一気通貫のフローを確立した。
この基盤を安定運用させるうえで、件数急増への対応が大きな課題となった。2025年10月に納品書の電子配信を開始して配信件数が急増した際、納品書の配信が荷物の到着より遅れる事態が発生したためだ。管理本部 情報システム部 渋谷 俊郎氏は「件数が爆発的に増えた時期に、処理完了時刻を2回見直して今の形に落ち着きました。これがもっと増えれば、またスケジュールの調整が必要になるかもしれませんが、今は安定して稼働しています」と話す。配信完了時刻を当初の17〜18時から朝8時頃へと前倒しすることで対応し、現在は月間約20,000通超という大規模な配信を毎日安定して処理する基盤が確立されている。
段階的な展開で請求書電子化率80%を達成
電子化の第一歩として選んだのは「請求書」だった。BtoB取引先が相手で締め日ごとの発行のため管理しやすく、また件数の多さから費用対効果が見込めると判断した。帳票の電子配信を開始するにあたり、壁になりがちなことが、取引先から同意を得ることだ。同意取得の推進を担った営業統括本部 業務部 大阪業務課 課長 出井 哲也氏は「導入推進担当者を決めて、経理担当者あてに専用のアンケート形式の案内をFAXで一斉に送りました。1回だけでは登録率が上がらず、間隔をあけて未登録の取引先へのFAX案内を繰り返すことで比率を上げていくことができました。新規の取引先については、Web配信のみという形で導入を推進しました」と語る。
当初の電子化への切り替え率は約15%だったが、この粘り強いアプローチの結果、現在は80%まで到達している。請求書の電子配信で構築した配信体制を活かしてメール案内のWeb回答への変更により、2025年10月には納品書の電子化へと拡大した。納品書は日々の取引ごとに発生する帳票であり、件数は請求書を大きく上回る。現在も電子化の交渉を地道に続け、配信件数は納品書配信開始前の月間約4,000件から、わずか半年で5倍の20,000通へと急拡大した。
業務負荷とコストを同時に削減
電子化の効果は業務時間・コスト・品質の三つの軸で明確に現れた。
業務時間の面では、月末締めの請求書発行において作業完了の見通しが14時頃に立つようになり、約3時間の短縮を実現した。以前は昼食も取れず17時の集荷に追われていたが、伊澤氏は「ゆっくりお昼を取れるようになりました」と笑顔で話す。担当人員も月末以外の締め日は1名で対応できるようになり、2〜3名体制が必要だった月末も2名でカバーできる水準になった。また、毎日発生する納品書の封入・発送作業も、電子化率約20%の段階ですでに所要時間が20%程度に削減されている。
コスト面では、値上がりし続ける郵便料金の影響を大幅に抑制。試算ベースではあるものの、経理部の郵送コストは月間20%程度の削減を実現している。取引件数が増加しているにもかかわらずコストが下がる傾向にあり、納品書の電子化率向上が進むにつれてさらなる削減が見込まれる。
品質面では、取引先からの問い合わせ電話がほぼゼロになった。電子配信により帳票が即日到達するようになったことで、郵便遅延に起因するクレームが解消され、担当者が本来業務に集中できる環境が整った。
さらなる成長に向けて電子化を拡大
次のステップとして取り組んでいるのが、仕入先向け「支払明細書」の電子化だ。仕入先数が急増しており、近い将来大幅な業務負荷が見込まれる。すでに仕組みの構築は完了しており、2026年6〜7月に試験運用を開始する予定だ。
伊澤氏は「取引件数は大幅に増えているが、人は増やせない。テクノロジーを使ってどうやって処理するかを毎日考えている。件数が増える未来はもう確定しているので、今のうちから地道に電子化を拡大させて、将来のコストと業務負荷を抑えていきたい」と語る。請求書の電子化から段階的に取り組んできた積み重ねが、月間約20,000通超の安定稼働を支える帳票基盤につながっている。 SVFは今年30周年を迎えたが、その進化に終わりはない。事業成長に伴う帳票件数の増加が続くシモジマを支えながら、ウイングアークは帳票基盤のさらなる進化を共に追い続けていく。






