MUFGグループとして安心・安全を届けるタイムスタンプに採用されたTrustee
MUFGグループにおいて、与信管理や代金回収、決済業務の合理化など顧客の商流を支えるソリューションを提供している三菱UFJファクター。日本で最初に設立された本格的なファクタリング会社として1972年に創業、三菱UFJ銀行の戦略子会社として、グループ内で重要な役割を担いながら、⾧年にわたって企業の信用リスク管理(与信管理)や販売代金回収を支えている。具体的には、企業の売上債権を保証し、販売先の倒産などで回収不能になった場合に保証限度額の範囲内で保証金が支払われる「ファクタリング」事業とともに、口座振替やコンビニ収納による代金回収業務を代行することで業務の効率化に寄与する「代金回収」事業とでんさいを活用し、債権の発生から期日前の資金化までを金融機関等が一体提供する決済・資金調達する「でんさい一括ファクタリング」事業を展開。商流&決済ソリューションのベストパートナーとして、企業の成長戦略を金融サービスの面から下支えしている。
そんな三菱UFJファクターが手掛けるファクタリングサービスでは、2018年よりオンライン上で請求書や通知書をやり取りするWeb配信の仕組みを展開している。かつては社内の業務システムから請求書を紙にて出力したうえで封入・封緘して郵送する運用が中心だったが、請求書の早期受領を希望する顧客に向けてPDF化してメールにて送付する仕組みを提供。その後、コロナ禍の影響でオフィス解約の流れが多くの企業で進み、請求書を受け取ることが困難な顧客が急増。請求書をWeb配信する仕組みを整備し、2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法により電子データ保存の要件が緩和されたことを契機に、社内にて電子データ化された請求書に対するタイムスタンプ付与の是非が議論されることに。
このタイムスタンプを付与する仕組みとして採用されているのが、デジタルトラストサービス「Trustee」だ。「当時は改正電子帳簿保存法の要件がどうなるか不透明ながら、法要件として請求書を発行する我々サイドがタイムスタンプを付与する必要がないことは分かっていました。それでも、MUFGグループとして安心・安全、信用、信頼といったキーワードを重視してビジネスを行っていることから、タイムスタンプがないことでお客さまの負担が増えることは避けるべきだという結論に。企業の姿勢として、あえてコストをかけてでもタイムスタンプを付けるべきだという結論に至ったのです」と執行役員 事務システム本部 システム部長 和田 隆志氏は当時を振り返る。

1秒間に1,000文書へのタイムスタンプ発行が可能、事業拡大も柔軟に対応できるTrustee
ウイングアークとの接点は、かつて請求書のPDF化に際してシステム開発ベンダーから紹介を受けたSVF Cloud for Salesforce(以降、SVF Cloud)の導入がきっかけだった。SVF Cloudは、Salesforce上にある顧客情報をもとに請求データを帳票化しPDFとして出力できるソリューション。導入した当初はPDF化した請求書をメールで送っていたが、顧客への利便性を向上させるべく、2020年に取引先との安全で効率的な帳票のやりとりが可能なSVF Transactを導入、請求書をWeb配信する仕組みを整備した経緯がある。
そして、改正電子帳簿保存法の流れを受けて、MUFGグループとしての安心・安全を担保するべくタイムスタンプ導入を検討、2022年からSVF Transactのオプションを利用して請求書に対するタイムスタンプ付与を実施したという。請求書のWeb配信を希望する顧客に対しては請求書原本の郵送を原則廃止しつつ、紙での請求書を希望する顧客に向けては、紙帳票を印刷・封入封緘・郵送業務を代行するウイングアークのBPOサービスを活用して郵送する環境も維持している。
2022年からはSVF Transactのオプション機能でタイムスタンプを付与していたが、処理速度の向上が必要であると考え、2025年に新たなソリューションである「Trustee」へと移行した。
「すでに導入済みのタイムスタンプの仕組みとの違いをお聞きしたところ、スペック上サーバー内の折り返しだと1秒間に1,000文書に対してタイムスタンプが発行出来るという高速性が大きな売りの1つでした。契約社数が増え関連帳票が増加した場合でも、高速処理のおかげで十分なキャパシティが確保できることが大きな魅力だと感じたのです」と事務システム本部 システム部 副部長 髙橋成和 氏は説明する。

現状は約5,000社を超える顧客にファクタリングサービスを提供しているが、オンラインにて請求書を提供しているのは2,000社超で、まだ半数ほどは紙による請求書の郵送を行っているが、全顧客へのWeb配信を目指して進めており、そのプロセスを支える有効なソリューションだと捉えているという。
結果として、導入済みのタイムスタンプを置き換えるメリットが享受できると判断し、Trusteeによるタイムスタンプに切り替えることを決断したのだ。
請求書のデジタル化及びWeb配信環境を支援するウイングアーク
現在は、三菱UFJファクターが手掛けるファクタリングサービス契約企業のうち、2,000社ほどに対してSVF CloudでPDF化した請求書を送付しており、そのうちSVF TransactによるWeb配信を利用する企業が600社余りに達している。これらのPDF化した請求書に対してTrusteeでタイムスタンプが付与されている状況だ。
請求書を送付するパターンは3つほど用意されている。1つ目が、SVF Cloudにて帳票としてPDF化され、Trusteeにてタイムスタンプを付与したうえでSVF Transactが持つWeb配信によって顧客自ら請求書ファイルをダウンロードするパターン。2つ目が、タイムスタンプが付与された請求書データをSalesforce側に戻して営業担当が直接顧客へ請求書を送付するパターン。そして3つ目が紙による請求書郵送を規模する顧客に対して郵送サービスを経由するパターンだ。請求書の帳票作成からWeb配信、郵送による送付まで、全てのプロセスでウイングアークが持つ幅広いソリューションが活用されているわけだ。

「請求書のデジタル化によってトレーサビリティが確保でき、処理の自動化や効率化が進むなど、オンラインサービスを利用するお客さまは確実に増えています。お客さまと共有する売掛先企業の表記ゆれなどで発生する恐れのあるトラブルなども未然に防げるなど、デジタル化のメリットは大きい」と和田氏。また、SVF Transactを利用したWeb配信のおかげで、顧客に手作業で請求書を送るといった営業担当者の負担も軽減され、メールによるファイル受領に関するPPAP問題の解消にもつながるなど、ウイングアークが提供するソリューションから得られるメリットを顧客および自社双方が享受している状況にある。
AIによる改ざんリスク軽減にも役立つタイムスタンプ
デジタル文書が持つハッシュ値をベースに作成時刻を証明するタイムスタンプの付与によって、改ざんされていないことを証明でき、MUFGグループとして顧客との取引における安心・安全な環境づくりに大きく貢献していることに対する評価は高い。昨今では、生成AIによってPDF画像の偽造が可能になるなど改ざんリスクの懸念が高まっているが、タイムスタンプの存在が真正性の証明と改ざん防止に一役買っているという。タイムスタンプがあることで、生成AI側でも改ざんしてはいけないデータであることが認識できるなど、より改ざんが難しい環境づくりにタイムスタンプが貢献しているわけだ。「AIによる情報の改ざんリスクが軽減できることは、タイムスタンプを導入した当時は意識していませんでした。副次的な結果といえばすこし語弊がありますが、お客さまの安心・安全に貢献できる環境を維持したまま、我々としてもビジネス拡大に向けた準備が整えられたと言えるでしょう」と和田氏は評価する。AIがもたらす脅威に対してはシステム部門としても喫緊の課題となっているが、システム面で一定の防御効果が発揮できるタイムスタンプの効能は大きいという。
特にタイムスタンプに関しては、外部のタイムスタンプ技術を使って処理する仕様から、自ら総務省の認定事業者となったウイングアークの純正タイムスタンプサービスとなったTrusteeに切り替えを行っている。「数少ない総務省の認定事業者として認証を取得していることは信頼感の観点から高く評価しています。特にTrusteeは、スペック上1秒間に1,000文書にタイムスタンプが付与できるため、1秒間に1文書しか付与できない他サービスに比べてスピードの桁が違う。ビジネスが拡大して扱う帳票類が増えたとしても、バッチ処理の迅速化によって1秒でも早く請求書を受け取りたいと考える経理部門の方のニーズにお応えできる環境が整備できました」と髙橋氏。付与に時間がかかっていた従来環境の場合、数十分ごとにタイムスタンプがきちんと付与されているかどうかの確認作業が数回発生していたが、バッチが高速化したことで確認作業も1度で済むなど、確認作業のフローも軽減できている点も見逃せない効果の1つだ。
ウイングアークについては、「ソリューションを活用している立場からすると、根っこのロジックまでは当然分かっていません。そこを分かるように説明いただきたいとお願いすると、すぐに回答いただけてアクションにつなげてくれる。しっかりサポートいただけてありがたいと感じています」と和田氏は高く評価する。ウイングアーク自身が開発しているソリューションとしての安心感とともに、顔の見える支援体制含めていい関係が醸成できていると好評だ。
タイムスタンプの横展開と真正性の確保に向けたeシールに期待
現在はSVF Transactを使って請求書のWeb配信を行っているが、実際には依頼書の受付機能など国内企業向けにデジタル取引のインフラとしてウイングアークのソリューション活用が広がりつつある。「情報活用やお客さまの利便性向上の視点で、データをわかりやすく可視化できるMotionBoardと大量データを分析できるDr.Sumなど、蓄積したデータを活用するソリューションを数多くお持ちです。お客さまに安心いただける環境づくりとともに、便利に使っていただけるための環境づくりにも取り組んでいきたい」と髙橋氏は意欲的だ。
また2026年4月にはファクタリングや代金回収といったサービスを一体的に運営していく体制へと組織再編を行った三菱UFJファクター。「今回の組織再編で我々システム部門もファクタリングだけでなく、決済事業や電子債権など担当する範囲が広がっています。すでにファクタリング以外の領域でも社内帳票の作成にSVF Cloudを利用しているケースもありますが、安心感が得られているウイングアークの仕組みを仮に広げていくのであれば、タイムスタンプというキーワードで横展開できる可能性は十分考えられる」と和田氏。過去の銀行合併で事業本部ごとにアーキテクチャが分散していた環境を整えていくという意味でも、帳票作成やタイムスタンプなど共通言語化できる部分は大きなチャンスになると期待を寄せている。
なお、Trusteeにはタイムスタンプの機能に加えて、発行されたデジタル文書の発行元と非改ざんを証明するeシール機能をリリースした。三菱UFJファクターでは今後、このeシールを活用し、デジタル文書の真正性をこれまで以上に確保していくことも視野に入れている。






