導入事例

株式会社オカムラ

株式会社オカムラ

サプライチェーンの「共通言語」をつくる
MotionBoard+Dr.Sumで実現した、現場発の需給可視化

株式会社オカムラ
業種

製造

オフィスを中心とするワークプレイスづくりをはじめ、店舗・商環境、物流システムなどの領域で事業を展開する株式会社オカムラ。需要変動が大きく、少量多品種化も進む中、欠品を防ぎながら在庫を圧縮するサプライチェーン改革が重要なテーマとなっている。同社が取り組んだのは、需要の変動に振り回されない対応力を持ち、営業と生産の間の摩擦を減らし、経営と現場が同じデータを見て判断できる状態をつくることだった。既存の基幹データベースとMotionBoard・Dr.Sumを組み合わせ、現場の使い勝手を起点に段階的に仕組みを広げることで、経営層から各事業所までが共通の指標で状況を把握、異常を早期に察知して迅速な判断とアクションにつなげている。

導入背景

課題
  • 欠品を防ぎながら在庫を圧縮する、サプライチェーン全体の最適化が求められていた
  • 在庫、受注、生産日程などの情報が複数のシステムや画面に分散し、全社横断での把握が困難であった
  • Excelによる手作業集計に一人が毎日数時間を費やしており、異常の察知や対応が、担当者の確認や経験に依存していた
解決策導入ポイント
  • Dr.Sumで在庫、受注、生産日程などのデータを集約・加工、MotionBoardで全社共通の指標を可視化
  • 納期回答、在庫、ストックアウトなどを一画面で確認できる「日程管理指標」ボードを構築
  • 要件を固めすぎず、まず画面を作って試し、現場の反応を見ながら改良する進め方を採用。データ構造や画面はウイングアークと協働で開発
効果
  • 経営層から各事業所までが共通の指標で状況を把握し、全社的な判断に活用
  • 在庫や受注、生産状況を横断的に確認できることで、迅速な意思決定が可能に
  • 現場発の画面が次々と生まれ、"見られている"意識がデータ更新の精度を支える文化に


需要変動と少量多品種化に対応する
全社サプライチェーンの最適化が課題に


 創業80周年を迎えた株式会社オカムラ。オフィスを中心としたワーク&ライフクリエイション事業、店舗・商環境を支えるコマースソリューション事業、物流システムを展開するスマートロジテック事業などを幅広く手掛けている。ものづくりでは、OPS(Okamura Production System)による改善活動を基盤に、サプライチェーン全体の最適化を推進。2026年に始動した「中期経営計画2028」では、「需要創出型企業」への転換を掲げ、事業構造改革や生産体制の最適化を加速している。


 改革を迫る要因は、大きな需要変動、少量多品種化、そして工場間で増える受発注や輸送だ。サプライチェーン本部 サプライチェーンマネジメント部 課長の芝山 博紀氏は、その難しさをこう語る。


 「当社の商品は需要の繁閑差が非常に大きく、特にオフィス関連は3月に需要が集中し、単月で通常の1.5倍から2倍程の受注が入ることもあります。必要な時期に納入できなければ他社製品に切り替えられてしまうため、適正在庫の維持とリードタイムの短縮は重要な課題です。


 さらに、顧客ニーズの細分化に伴い少量多品種化も進んでいます。また、社内で生産可能なものは可能な限り自社で生産する方針から、工場間の受発注や輸送も増加傾向。こうした変化に対応しながら、コストを抑え、生産性を高め、必要な商品を確実に供給できる体制の構築が求められました」 


株式会社オカムラ サプライチェーン本部 サプライチェーンマネジメント部 課長 芝山 博紀 氏

各事業所での「見える化」の取り組み
しかし全社判断には至らず


 同社は以前から他社のBIツールを活用し、生産現場の見える化に取り組んでいた。しかし、必要なデータを担当者が抽出・加工して掲示する使い方が主で、活用できる人も限られていた。


 そこで同社はMotionBoardを導入。2023年8月、つくば事業所の新工場竣工に合わせて、出来高や生産進捗、スタッフ業務の工数などを確認できるダッシュボードを構築した。現場担当者が日常業務でデータを活用する動きが広がり、同年12月以降はそのほかの国内生産事業所へと展開していった。


 「MotionBoardで出来高や生産進捗などを現場で日常的に確認できるようになり、各事業所で活用が広がりました。ただし、各事業所の状況を全社で一元的に把握し、共通の判断に使うところまでは至っていませんでした」


 次に求められたのは、各事業所のデータを全社の意思決定へつなげることだった。 


「聞かなければ分からない」から
「共通の指標で気づける」へ


 そこで同社は、次のステップとして全社サプライチェーン管理にMotionBoardを活用する方針を固め、2024年6月、本社と各事業所が共通の指標で状況を把握し、判断できる仕組みの構築に着手した。


 その中心は、在庫管理。商品を「常備在庫品」「在庫品」「受注生産品」などに整理し、数百アイテムの常備在庫品を重点管理の対象とした。


 「常備在庫品については、営業部門と生産部門の間で欠品を起こさないことを共通認識とし、重点的に管理しています。しかし従来は在庫や受注、生産日程を確認するには複数の画面を行き来する必要がありました。そこで経営側から、担当者に確認しなければ状況が分からない運用を改め、必要な情報を一目で確認でき、その日の状況が自動的に共有される仕組みが求められました」


 この仕組みを実現するには、在庫、受注、生産計画など、複数のシステムに分散するデータを集約・加工する基盤が欠かせない。


 「当社の基幹データベースには詳細なデータが蓄積されているものの、必要なデータは細かく分かれ、抽出には人手と時間を要します。さらに、Excelなど他のデータとの連携も必要。これらをExcelで集約すると、一人が毎日数時間を費やす作業になります。検討の結果、データマートを構築する必要があると判断しました」


 そこで同社は、データマートの基盤にDr.Sumを採用。ウイングアークの支援のもと、Dr.Sumで必要なデータを集約・加工し、MotionBoardで可視化する全社向けダッシュボードを構築した。


 「各事業所で個別に進めてきた見える化を、全社のサプライチェーンを共通の指標で把握し、判断する運用へと広げることができました。在庫、受注、生産日程など多岐にわたるデータをDr.Sumに集約したことで、本社と各事業所がMotionBoardで共通の指標を確認できるようになりました」 


KPIを「管理指標」から「アクションのための指標」へ


 こうして同社は、そのMotionBoard上に「日程管理指標」ダッシュボードを構築。納期回答、在庫、ストックアウト、受注生産品のリードタイムなどを一画面に集約し、朝一番と午後2時の1日2回、登録ユーザーへ配信している。受注は一定のタイミングでまとまって発生するものではなく、日中随時変動する。1日2回という更新頻度は、この不確実性に生産側が即応するための運用設計でもある。


 「納期回答の状況や、常備在庫品でストックアウトが発生していないか、発生していればどのアイテムなのかまで確認できます。受注生産品についても、目標製造リードタイムで生産できている品目と超過している品目を把握し、それぞれ目標値を設定して毎日管理しています。1日2回配信しているのは、朝の時点で問題がなくても、その後の受注によって在庫数が変動するためです。不足の兆候があれば生産側がすぐに対応し、常備在庫品のストックアウトを防ぎます」 


「日程管理指標」ダッシュボード:納期回答、在庫、ストックアウト、受注生産品のリードタイムなどを一画面に集約している

「日程管理指標」内の一画面である、「希望納期応答状況」ダッシュボード

 社内の通路に設置している大型タッチディスプレイ型のミーティングボード「MAXHUB」でもMotionBoardを活用し、日常の中で変化に気づける環境を整えている。4分割した画面の一つにMotionBoard上の日程管理指標を常時映し、異常があれば商品などの詳細までドリルダウンして確認できる


MAXHUBモニターにMotionBoardを投影しながらミーティングを行う様子

 生産本部の役員が画面を直接タッチしながらその場で数値の背景を確認する場面もあるという。芝山氏は次のように振り返る。


 「役員が画面を見ながら『これはどうなっているのか』とその場で聞いてくることがあります。担当者もその場で画面を掘り下げて説明できるので、報告のために資料を作り直す必要がありません。経営が日常的に同じ画面を見ているという実感は、現場にもしっかり伝わっていると思います」


 こうした経営層と現場の情報共有に加え、日々の業務の中で異常の兆候に気づきやすくなったことも大きな変化だ。


 「従来は、自ら確認しに行かなければ状況を把握できませんでした。現在は通路を歩けば画面が目に入り、変化に気づくことができます。たとえば、通常は24時間以内の納期回答率が9割程度ある事業所が急に6~7割まで下がれば、何らかの異常が発生していると分かる。原因の究明はその後でも、まず異常を早期に察知できることに大きな意味があります。KPIは、四半期ごとや年次で振り返るだけでは意味がありません。日次で数字が更新され、関係者が同じ画面を確認することで、KPIは単なる管理指標ではなく、実際のアクションにつなげる数字になりました」 


「今、出荷できる商品」がすぐわかることで販売機会獲得と余剰在庫圧縮を両立


 MotionBoardの活用は、生産管理の枠を越えて営業にも広がっている。その一例が「製品在庫検索」だ。当日朝時点での全社倉庫横断の受注未引当在庫が分かり、すぐに出荷可能な商品が把握できる。 


「製品在庫検索」ダッシュボード:全社倉庫横断の受注未引当在庫が分かり、すぐに出荷可能な商品を把握可能

 「従来は、特定商品の在庫の有無を確認して、在庫がなければ別の商品を・・・と繰り返す必要がありました。現在はシリーズ名などで該当商品の在庫を、一覧で確認できます。特に繁忙期は、生産能力にも余裕がなくなる一方、お客さまからは『3月中に納入可能な椅子を30台』『いますぐ50台まとめて納入できる商品』といった要望が入ります。そうした際、すぐ出荷できる商品を把握できることは、営業活動で大きな価値があります」


 本来、余剰在庫は抑えるべきもの。しかし在庫があるなら、それを販売機会に変えたい。「製品在庫検索」によって、営業は各事業所の在庫情報が即座に把握できるようになり、短納期ニーズに対する提案の幅が広がった。販売機会の獲得と余剰在庫の圧縮、その双方につながるデータ活用例だ。


現場が主役のダッシュボード文化
トップダウンとボトムアップの両輪


 同社では役員自ら日常的にダッシュボードを確認し、事業所訪問時は現場と同じ画面を見てKPIやストックアウトの状況を協議。各事業所と月2回程度行うPSI(生産・販売・在庫)会議でも、MotionBoardが共通の確認画面として使われている。


 「経営側が常に同じ画面を見ていることが、現場にも伝わります。重要性が共有されることで、データをきちんと更新し、活用していこうという意識にもつながります」


 もう一つ活用を広げたのが、現場要望を素早く形にできる点だ。従来は、要件定義や情報システム部門との調整、開発を経て、要望の実現まで数ヶ月を要することもあった。MotionBoardなら、まず画面を作って試し、利用者の意見を反映しながら改良していくことができる。 


 「現場の要望をアジャイルで開発、短いサイクルで応えられるようになったことも、大きな成果。社内にウイングアークのハンズオントレーニングを受けた担当者がいますので、簡易な画面作成や改修は内製で進められます」


 経営が使うことで重要性を浸透させ、現場の要望は素早く形にする。このトップダウンとボトムアップが、MotionBoardの活用を社内に広げている。 


内製とウイングアークの支援を組み合わせ
データ活用を継続的に改善


 こうしたDr.SumとMotionBoardを組み合わせた全社向けダッシュボードの構築は、同社が確認したい指標や画面イメージをExcelで具体化し、それをもとにウイングアークと協働で、必要なデータやデータ構造、加工方法、表示方法を検討しながら実行された。


 そして、システムは構築して終わりではない。芝山氏はウイングアークの支援を、こう評価する。


 「運用開始後も、各部署から『この情報も確認したい』という要望が出てきます。自分たちで対応できるところは内製し、難易度が高い場合はウイングアークに相談しています。ベンダーによっては担当領域の境目で『そこは当社の範囲ではありません』と言われることが多々ありますが、ウイングアークはMotionBoardだけでなく、Dr.Sumやデータ連携まで、全体を通して支援いただけます。また、問い合わせへのレスポンスも非常に速く、サポート窓口でも当日中に確実に回答いただけるなど、とても助かっています」 


サプライチェーン改革を次なるステップへ
在庫半減、より迅速な意思決定を目指す


 同社がいま、サプライチェーン改革の次なる目標として掲げるのが、欠品を防ぎながら、さらなる在庫圧縮を進めることだ。前中期経営計画では製品倉庫費用を年間約4億円削減。現在約1.2ヶ月の在庫保有月数についても、2035年度には半減を目指している。


 そのために現在進めているのが、これまで以上に幅広い生産データの活用。共通MESでは、設備の稼働ログやIoTデータなどを取り込むための基盤を整備しており、今後は蓄積されるデータを実際の業務で使える情報へ変えていくことが求められる。


 「今後はさらに多くのデータが蓄積されます。しかし、データは収集しただけでは業務に活用できません。どのように加工し、どの情報を、どのような形で見せるのかを考える必要があります。データ構造やテーブルの設計、画面の見せ方も含め、ウイングアークの知見に期待しています」


 一方、MotionBoardの活用が各部門に広がるにつれ、画面の乱立を防ぎ、全社で共有する指標や情報を整理するといったガバナンスも必要になる。


 「本社や経営層が見る指標、各事業所が見る詳細な情報はかなり整ってきました。しかし、見えるようにしただけで終わっては意味がありません。今後は、誰が何を確認し、異常に気づいたときにどう動くのかなど、データを実際の判断や行動につなげるところまで進めたいと考えています」


 欠品を防ぎながら在庫を圧縮し、変化をいち早く捉えて次の行動につなげる。同社のサプライチェーン改革は、データを可視化する段階から、判断と行動に結びつける段階へ進もうとしている。 


Company Profile

株式会社オカムラ

創業: 1945年10月
本社所在地: 神奈川県横浜市西区北幸1丁目4番1号 天理ビル19階
事業内容: スチール家具全般の製造・販売、産業機械その他の製造・販売、商品陳列機器その他の製造・販売、各種医療機器その他の機械器具の設計・製造・販売など
URL: https://www.okamura.co.jp/

株式会社オカムラ サプライチェーン本部 サプライチェーンマネジメント部 課長 芝山 博紀 氏

導入製品

様々なデータを統合・可視化するBIダッシュボード。統合・可視化にとどまらず、データ入力や柔軟な画面設計で業務に必要なアプリケーションをノーコードで作成可能。

あらゆるデータをリアルタイムに収集・蓄積・分析する、データベースエンジンを軸としたデータ分析基盤。10億件のデータも1秒台で集計する超高速集計を実現。

 
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