品質管理にBIを活用するメリット
はじめに、製造業における品質管理の重要性と、BIを活用するメリットについて解説します。
品質管理の重要性
製造業において、製品やサービスの品質を一定の水準に保ち、不良を発生させないための重要な取り組みである「品質管理」。QC(Quality Control)とも呼ばれます。品質管理には下図で示すとおり、大きく「工程管理」「品質検査」「品質改善」の3つの項目があり、製品の品質の維持や向上を実現するために、各社でさまざまな取り組みが進められています。
品質管理にBIを活用するメリット
品質管理は、管理することだけではなく、その結果として得られた知見を基に、検証を繰り返し、改善のための施策につなげることが目的です。
いま、多くの企業でBI(ビジネスインテリジェンス)が導入され、品質管理で活用されているのは、BIが「データ(状況)の見える化」、「分析と評価」、「改善活動」というサイクルを早く・多く回すことができるからです。
BIツールによる品質管理 見える化の例
それでは、品質管理にBIを活用した見える化のイメージを見ていきましょう。
BIツールは、製品の製造工程や品質に関わるさまざまなデータを収集し、整理、分析する品質管理ダッシュボードを作ることができます。品質管理に必要なデータを一元化し、目的に合せたダッシュボードをノンプログラムで作成することが可能です。
BIツールを活用してデータを一元的に可視化することで、以下のようなメリットが得られます。
- 不良発生のリアルタイム検知と通知
- 品質のバラツキ、要因分析
- 品質改善により不良品の対応や手直しにかかるコストを削減
- 一元管理が可能になりトレーサビリティを確保
分析の際には、「QC7つ道具」と呼ばれる、下記の手法がよく用いられます。
- グラフ
- パレート図
- ヒストグラム
- 散布図
- 特性要因図
- 管理図
- チェックシート
BIによる「情報の見える化」だけでは埋まらない、ラストワンマイルとは?
このように、品質管理にBIツールを活用することで、大きなメリットが得られます。しかしながら、実際にその活動を進めた企業では、次なる壁にぶつかることが多いことが分かってきました。
その壁とは、「情報を見える化しても、人の行動変化につながらないことがある」ということです。その理由は、同じデータや分析結果を見ても、利用者の職責や経験値によって、目的や判断、意思決定が異なるためです。
BIツールで品質情報の可視化ができたとしても、その解釈は人の経験値で補完されているため、情報の受取り側担当者によっては、「判断にばらつきが生じる」「行動につながらない」「スピード感がでない」ということが発生してしまうのです。
この壁を乗り越えるには、情報をしっかり「見える化」した上で、「行動を起こす」ことにつながる仕組みが求められます。利用する人の役割や経験値に合わせて、データへのアプローチ方法を最適化する必要があるのです。
ラストワンマイルを埋める生成AI活用事例
それではここからは、生成AIを活用して、利用者の役割や経験値に合わせたデータへのアプローチを実現することで、「データを見る」から「行動に移す」ラストワンマイルを埋めることに成功した、取り組み事例をご紹介します。
生成AIを活用した「行動につながる」仕組み作り-BIによる「見える化」の次なるステップ
この事例では、「見える化」のためのBIツールとしてDr.Sum/MotionBoardを活用し、その後の「行動に移す」役割をdejiren ✕ 生成AIで実現しています。
dejirenとは、いわゆるビジネスチャット機能の提供に加えて、生成AIのインターフェースとしての役割を果たすプラットフォームです。
dejiren×生成AIによって、以下の取り組み事例のような機能が実現します。
取り組み事例① 過去トラブル分析サポート
一つ目の取り組みは、過去トラブルの中からカイゼンすべき事例を見つけて、早期にアクションにつなげていく事例です。
前述の通り、BIツールを用いて過去発生した不良に関する発生箇所・原因・対策などの情報を見える化。しかし、登録件数が多く、該当の事例を探すだけでもひと苦労です。非効率であるだけでなく、経験の浅い担当者は、カイゼンに着手すべき事例を見つけることすら困難でしょう。
そこでdejiren+生成AIを使うと、対話形式での「対象の抽出」や「絞り込み」が瞬時に行えるようになり、行動へと迅速に結びつけていくことができます。この時、ベテランの担当者であれば自分のやりたいことが明確なのでフリーコメントで、経験の浅い担当者は選択式で生成AIとやり取りできます。
これを日々、繰り返し行うことで、自然に経験値による対応レベルの差を埋める、スキルの底上げにもつながります。
▼デモ動画でもっと詳しくみる
過去トラブル分析デモ~ベテラン向け~
取り組み事例② 不良発生時の行動サポート
二つ目は、製造現場で不良が発生したときの、柔軟かつ迅速な判断や意思決定の、人によるバラつきをなくすための取り組み事例です。
まずは、ベテラン技術者の行動スキルをヒアリングしてまとめ、登録しておきます。そして現場で不良が発生した際に、作業者が生成AIとdejirenを通じて対話形式でやり取りすることで、不良の発生を現場部門に知らせる、不良品が及ぼす後工程への影響の把握、対処方法を判断するといった流れが、あたかもベテラン技術者にアドバイスを受けているかのように実現します。
▼デモ動画でもっと詳しくみる
過去トラブル分析デモ~初心者向け~
このように、ベテラン担当者の経験値や行動パターンを、生成AIとの対話を通じて経験の浅い担当者のアドバイスに活かすことで、職制や経験値によらず、正しい判断や意思決定が迅速に行えるようになるでしょう。
BIツール導入により製造現場のデータ分析を加速!
今回解説した事例は、品質管理にBIを活用した際の情報の解釈、判断を人の経験値に委ねる部分が残ることで起きる「判断がばらつく」「行動につながらない」「スピード感がない」という3つの課題に対して、生成AIを「行動につながる情報提供」ツールとして、まずは使ってみよう、という取り組みです。ただしこれは、データを収集、分析、改善につなげるサイクルを確立する基盤が整っていることが前提となります。
そのためには適切なツールの選択が重要であり、データの収集から分析、可視化までを一貫して行えるBIツールの導入が成功のカギとなります。
統合的なデータ活用を実現するMotionBoard
ウイングアークが提供する「MotionBoard」は、製造現場の様々なデータを一元管理し、リアルタイムに可視化できるBIダッシュボードです。製造設備のセンサーデータ、品質検査データ、生産実績など、異なるシステムに散在するデータを統合的に管理し、必要な情報をすぐに確認できる環境を提供します。
導入・活用をサポートするコンサルティングサービス
データ活用の成功には、段階的なアプローチが重要です。ウイングアークのコンサルティングサービスでは、お客様の現状に合わせた最適な導入・活用計画を提案します。製造現場をよく知る専門家が、プロジェクトの計画から運用定着まで一貫してサポートします。
まとめ
この記事では、品質管理における課題解決に生成AIを活用する事例を紹介しました。BIツールによるデータの見える化を実現した次のステップとしては、生成AIを用いた行動支援で「ラストワンマイル」を埋める取り組みが重要です。
BIツールの効果を最大限に引き出すためにも、ウイングアークが貴社の課題に合わせた最適なソリューションをご提案します。まずは下記より「製造ソリューション資料」をダウンロードいただき、貴社の製造現場改善の第一歩としてご活用ください。