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原価管理とは?目的やメリット・重要性、具体的な管理方法などを解説

作成日:2023.03.01 更新日:2024.01.23

原価管理とは、製造において重要な原価を管理し、無駄を省くことで、利益をより大きなものとするための手法のことです。

この記事では、原価管理の概要や目的、重要性、具体的な管理方法、原価管理における課題と解決策についてわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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原価管理とは

原価管理とは、より多くの利益を得られるように製品の製造にかかる原価の管理を行うことです。

かかった原価を計算するだけでなく、適切な原価と実際の原価との差異を分析したり、対策を立てて改善活動を行ったりすることも含まれ、「コストマネジメント」とも呼ばれます。

原価管理は製造業を中心に、さまざまな業種で取り入れられています。

原価管理によって正確な原価予測ができるようになると、利益目標や予算が立てられるようになります。

したがって、原価管理は、経営計画や財務にも関わる重要な業務のひとつといえます。原価を正しく計算し、適切に管理・改善することが大切です。

原価とは

そもそも原価とは、ものを製造したりサービスを提供したりするにあたってかかった費用のことをいいます。

原価にはさまざまな種類があり、例えば以下のようなものが挙げられます。

  • 製造原価:原材料の仕入れや製品の加工など、製造業者が製品を製造する過程でかかった全ての費用のこと
  • 売上原価:製造にかかった費用のうち、実際に売れた製品にかかった費用のこと

 

原価管理を行うことでわかること

原価管理を行うことで、以下のようなことがわかるようになります。

  • 損益分岐点はどこか
  • 製品ごとの採算性はどうなっているか
  • どこに無駄なコストがかかっているか
  • 正確な原価予測

これらのデータが把握できると、自社ではどの程度の生産を行えば利益が出るかということがわかり、さらにコスト削減も可能になるでしょう。

原価計算を正しく行うことで、利益を大きくすることにつながります。

原価管理と予算管理の違い

原価管理と似た言葉に、予算管理があります。原価管理と予算管理との違いは、予算管理のほうが広義だということです。

原価管理は、製造原価の目標と実績を確認し、利益が出るように管理を行います。一方、予算管理は、予算と実績の分析、予算編成などを行うものです。原価管理は予算管理を行うために必要なものとなります。

原価管理と原価計算の違いにも注意

原価計算は原価管理であるかのように思われますが、原価計算しているだけでは原価管理をしていることにはなりません。原価計算とは、製品やサービスを提供するためにかかった費用を計算することです。

原価管理には、基準になる原価から外れないように統制したり、基準より原価を下げる取り組みをしたりといったことも含まれます。つまり、原価管理をするために、原価計算が必要になるのです。

業種によって管理する原価の項目は異なる

業種によって、管理する原価の項目は異なります。

例えば製造業であれば、材料費、動力費、変動費、固定費、労務費、設備費などが、管理すべき原価の項目としてよく挙げられます。

これらの項目について原価を調査した上で、それぞれの管理目標や改善の方向性を決めていきます。

どの原価から管理すべきか検討する際には、原価のなかで大きな割合を占める項目や、改善活動が効果的な項目に注目するとよいでしょう。

原価管理の目的

原価管理には、いくつかの目的があります。どのような目的があるかを解説します。

リスク管理

原価管理をすることで、リスク管理も一緒に行うことができます。

原価管理をしないと、販売価格に対して仕入れ価格がどれほど占めてよいものかを想定できません。仕入れ価格と販売価格のバランスが取れずに、損失が生じる可能性があるのです。

継続的に原価管理をすることで、原価がどのように動いているかを知ることができます。原価変動のリスクを予測し、対策を立てることが可能です。

利益管理・利益確保・利益拡大

原価管理の最大の目的は、自社にもたらす利益の程度を把握することにあります。自社の利益を正しく把握し管理することで、利益確保、利益拡大につなげていくことが目的です。

原価管理が行われていない場合、製造した製品に対していくらの値段をつければ利益が上がるのかということが把握できません。原価管理をすることではじめて、利益をあげるための最適な価格設定が可能になります。

原価管理するメリット・重要性

企業にとって正確な原価管理は重要です。原価管理には、以下のようなメリットがあります。

損益分岐点がわかる

損益分岐点がわかることは、原価管理の大きなメリットのひとつです。

損益分岐点とは、これ以上売れると利益が出るが、これ以下だと利益が出ずに損失になるという売上の分岐ポイントです。損益分岐点がわかることによって、利益の目標値に対して必要な販売量、製造量がわかってきます。損益分岐点は、経営方針や、仕入、製造量などを左右する、非常に重要な情報です。

無駄なコストがわかる

原価管理をすると、無駄なコストがわかってきます。無駄なコストを洗い出して削減していくことを、原価低減と呼びます。

原価管理のなかには、製品を製造するための仕入費だけではなく、経費、労務費、流通費といったものも含まれています。

それぞれの項目について、削減できる部分はないかを一つずつ見直していくことがコスト削減につながります。細かなコスト削減が大きな原価の減少となるのです。

(製造業以外では)サービス原価がわかる

原価管理は、製造業だけに必要とされているわけではありません。製造業以外ではサービス原価として、サービスの提供にかかった経費を原価とみなし、原価管理を行うことが可能です。

たとえば、ITシステムを提供する会社や、経営コンサルティング会社なども、サービス原価を知ることで大幅なコスト削減につながる可能性があります。

長期的・現実的な経営計画を立てられる

原価管理ができると、原価に関連するさまざまなデータや利益の出し方の目安を知ることができます。結果的に、長期的かつ現実的な経営計画を立てるのに役立ちます。

原価管理は経営活動において、とても重要な管理項目の一つです。

原価管理の具体的な方法

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原価管理は以下の4つの手順で行います。それぞれについて解説します。

1.標準原価を設定する

標準原価とは、製造にあたって目標とすべき原価のことです。製品に対して使われている原材料の量や価格、その他さまざまな要素から算出されます。標準原価は概算で算出されるため、実際の原価とは完全に一致しません。

一方、実際にかかる原価のことを実際原価といいます。標準原価の設定は、実際原価の差異分析により、どの部分が無駄になっているかを明らかにし、改善につなげることが目的です。

2.原価計算する

原価計算は材料費、労務費、経費のすべてを合計して割り出すものですが、できるだけ正確に行うことが必要です。

どのような小さな値でも、原価に含まれるものであればすべて計上するようにしましょう。

原価計算には、標準原価計算・実際原価計算・直接原価計算の3種類があります。これらの原価計算を行うことによって、正確な利益がわかります。

3.差異分析する

標準原価と実際原価とを比較して、差異分析を行います。

差異分析のポイントは、直接材料費、直接労務費、製造間接費の3項目です。それぞれの標準原価と実際原価との違いを見ることで、事業における課題点が洗い出せます。

例えば、材料費の場合は材料にかかる価格や数量の差異について、労務費の場合は作業員の作業時間の差異について分析するなど、要素ごとに比較することが重要です。

4.改善する

上記までの流れをふまえて分析し、問題点があれば改善します。

差異分析の結果、標準原価と実際原価との間に差異が大きい場合は、改善できる部分も大きいとみることができます。差異が大きい部分には何らかの問題が隠されていることが多く、その問題について、なぜ差が出るのかということを掘り下げてみましょう。

問題がわかったら、実際に原価を抑えるための改善活動につなげることが大切です。

原価管理の課題

原価管理には課題もあります。どのような課題があるかを解説します。

原価を正確に把握することは難しい

原価の正確な把握は大変難しく、原価管理を行う際の大きな課題となります。

原価は社会情勢や為替レートなどさまざまな要因によって大きく価格変動することもあり、ベテランのスタッフでもその変動を把握することは難しいものです。

特に多品種少量生産を行う場合にはさらにその難易度が上がり、属人的な原価管理ではリスクも高くなります。

原価管理における計算には専門知識が必要

原価管理の計算方法は複雑で、正確な計算には専門知識が必要です。原材料はもちろんのこと、関連するスタッフの労務費までも把握しなければなりません。関連する部門が多いほど複雑さを増します。

専門知識を持つスタッフであっても、常に原価を正確に把握していくことは難しいでしょう。まして、専門知識のないスタッフが原価管理を行う場合、後から赤字になることが判明してしまうケースも考えられます。

原価管理作業に手間がかかる

原価管理の作業には、基本的に手間がかかるものです。

エクセルで原価管理を行っている企業も多いようですが、この場合、担当者の手作業や手入力の負担があります。手間の多さはデメリットともいえます。

データ活用によって原価管理の課題を解決

これまで紹介してきたような原価管理の課題を解決するには、データ活用によって原価管理の解像度を高めることが有効です。

経理データや生産実績データなどを組み合わせて項目ごとに可視化することで、改善すべき要因を特定しやすくなり、改善アクションにつなげることができます。

また、より正確なデータ活用をするためには、管理システムを導入する方法もあります。

効率的な原価管理のためには、原価管理システムや生産管理システムといったシステムを使う方法がおすすめです。

原価管理システムの特徴

原価管理システムとは、原材料費、設備費、人件費など、原価管理にかかわるすべての原価について把握できるシステムです。ただ原価の価格を割り出すだけではなく、損益計算、原価差異分析ができ、問題点の発見やコスト削減にも役立ちます。

生産管理システムの特徴

生産管理システムとは、原価管理システムよりもさらに広い範囲をカバーする管理システムです。システム上で、原価はもちろんのこと、納期、在庫、生産スケジュールといった生産にかかわる情報の一元管理が行えます。

まとめ

原価管理は、現状の損失を洗い出し、コスト削減や利益につながる最適な生産を実現するために重要な活動です。正確な原価管理をするためには、原価を可視化する必要があります。

ウィングアーク1stでは、原価分析を可視化するためのBIダッシュボード「MotionBoard」を提供しています。データを可視化することで原価の問題点をすぐに把握できるので、さらなる利益拡大につなげることが可能です。

収益力向上のために原価の見直しを行いたいという方は、下記より原価管理におけるデータ活用術について解説している資料をぜひダウンロードください。

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