Company Profile
-
社名:株式会社千葉興業銀行
事業内容:預金業務・貸出業務・商品有価証券売買業務・有価証券投資業務・国内為替業務・外国為替業務・社債受託および登録・付随業務
資本金:621億2,053万円
設立:1952年1月
URL:https://www.chibakogyo-bank.co.jp/
業種:金融・保険
規模:1,238名(2024年3月31日現在)
利用製品:SVF、invoiceAgent 電子取引,invoiceAgent 文書管理,invoiceAgent AI OCR
用途:電子交付システム構築によるコスト削減・電子帳簿法保存法対応・投資信託販売のためのOCRシステムの内製化
お話を伺った方
株式会社千葉興業銀行
デジタルイノベーション部 デジタルICT企画担当 部長代理
宇佐見 信吾氏
株式会社千葉興業銀行
デジタルイノベーション部 デジタルICT企画担当 上席調査役
菊池 信一氏
- DX
- システム内製化
- 郵送費削減
- 金融業
地域密着型金融に積極的に取り組む株式会社千葉興業銀行は、invoiceAgent文書管理、invoiceAgent電子取引、invoiceAgent AI OCR、SVF Cloudを導入することでインボイス制度に対応した電子交付システム、投資信託販売のためのOCRシステムを内製化。大幅に郵送費とシステム更改費用を削減しました。取り組みの背景やねらい、内製化のポイント、将来展望などについて伺いました。
インボイス制度対応のための電子交付システム構築により、約20万通分の郵送費を削減
株式会社千葉興業銀行(以下千葉興業銀行)は「地域とともに」「お客さまのために」「親切の心で」の企業理念のもと、地域への円滑な資金提供やお客さまの経営支援等の地域密着型金融に積極的に取り組んでいます。
2022年に設置された同行のデジタルイノベーション部には2つの役割があります。1つ目はDX推進の役割。デジタルによるビジネスイノベーション、企業文化の変革に関する企画・立案・牽引です。2つ目は情報システムとしての役割。銀行の情報システムに関する企画、調整、管理とシステムリスクにかかわる統括管理です。それぞれの役割を担うチームは緊密な協力を行いながら、DXの推進や業務の効率化を進めることで、より質の高いサービスの提供を目指しています。
同行では2022年よりインボイス制度および電子帳簿保存法への対応を進めていました。その中でinvoiceAgentの導入が検討されました。
デジタルイノベーション部 デジタルICT企画担当 部長代理として、情報システム部としての役割を担う宇佐見 信吾氏は次のように話します。
「これまで大部分は口座振替による自動引き落としで済んでいた手数料などの領収書や計算書を、インボイス制度の開始とともに印刷・封入して郵送しなければなりません。月約20,000通、年間約200,000通を送ることになるため、郵送費だけでもかなりの金額が予想されます。郵便料金も今後上がっていく見込みのため、invoiceAgentによる電子交付を目指しました」
▲宇佐見氏
2023年1月、デジタルイノベーション部 デジタルICT企画担当 上席調査役の菊池 信一氏はinvoiceAgent 文書管理を導入し、電子交付のための準備を開始。取引先が求める帳票の種類を整理し、帳票フォーマットを統合、さらに紙での交付が必要な取引先を洗い出しました。
同年7月に帳票出力のための帳票基盤ソリューションSVF CloudとinvoiceAgent 電子取引を導入し、電子交付のテストを行いました。
システム構成はBeSTA(地銀共同センター)からのデータを元に自行バッチシステムが帳票データを作成し、そのデータからSVF Cloudが帳票PDFを出力、invoiceAgent 文書管理がそれを振り分けて保管し、invoiceAgent 電子取引を使用して取引先へ電子交付します。
システムの構築について菊池氏は
「基幹システムで各種電子帳票をオンプレミス版のSVFで開発しているため、SVF Cloudで新規帳票を作成すると開発を進めやすいため導入しました。BeSTAからのデータを元に帳票を作成する流れ以外に、そこに含まれていないコンサルティング業務にかかる手数料などのデータについては、ワークフローシステムを使って手作業で帳票を作成し、封入・郵送していました。そこについてもinvoiceAgentとワークフローシステムを連携させることで、電子交付できるようにしました」
と語ります。
ウイングアーク1stのサポートもあり、システム構築は順調に進み、インボイス制度がスタートする2023年10月には無事稼働を開始。電子帳簿保存法にも対応することができました。
宇佐見氏は最大の効果は郵送コストの削減だと話します。
「システムを導入しなければ必要だった年間約20万通におよぶ帳票の印刷、封入、郵送の作業がなくなりました。特に郵便料金は今後値上げが見込まれるため、非常に大きな経費削減効果が得られました。また、ワークフローシステムによって作成する帳票も、印刷、封入、郵送の作業が不要となり、大幅な業務負担軽減とペーパーレス化を実現しています」(宇佐見氏)
投資信託販売のためのOCRシステムを内製化
更改費用を削減し、より正確で迅速な業務を実現
電子交付のシステムと並行して進められたのが、投資信託販売におけるinvoiceAgent AI OCRとMotionBoardを連携させたシステムの構築でした。
支店での投資信託の口座開設や購入時、顧客が記入した紙の申込書をスキャナとOCRシステムで読み取ります。現在はタブレットによる入力やインターネットバンキングの増加により、紙での受付は減少しましたが、システム障害やBCPへの対策として、なおOCRシステムは必要とされています。
千葉興業銀行のOCRシステムは更改時期が近づいていましたが、紙による受付が少数となった今、高価な更改費用は見合いません。
菊池氏はinvoiceAgent AI OCR を使うことでシステムを内製化できないかと考え、2023年2月にウイングアーク1stに相談しました。ウイングアーク1stのカスタマーサクセスなどの支援を受け、同年5月にはプロトタイプを作成。所管部署である市場業務部にデモを見せることで承認を得ることができました。
基本的なシステム構成は次の通りです。
支店でスキャンされたPDFファイルはSPA Bridege Serviceのフォルダ監視によってinvoiceAgent AI OCRに連携。文書定義で自動的に振り分けられ、最適なOCR方式が選択・実行されるとともに、レビュー機能によって複数人によるチェック(ベリファイ)がなされます。チェックの終わったデータはinvoiceAgent 文書管理に受け渡され保管されるとともに、MotionBoard Cloudによってエントリーやチェック、完了の件数など全体の進捗状況を確認できます。
菊池氏は構築の段階で生じた課題をウイングアーク1stのサポートを受けながら、一つずつ解決していきました。
「特に苦労したのがMotionBoard Cloudで、投信契約管理センターに連携できるデータを作成することでした。何とかインターフェイスデータを作成し、RPAなどを使って指定時刻にデータを連携できるようにしました」(菊池氏)。
さらにMotionBoardとDr.Sumを活用することで、支店側でも進捗管理が可能になりました。
同年8月まで構築を、12月までテストを行い、2024年1月から本番稼働を開始しました。
宇佐見氏は内製化によるOCRシステム構築のメリットを次のように語ります。
「OCRシステム更改の費用を約4分の1に削減できました。支店や市場業務部の業務に適合したシステムを短期間で開発でき、スムーズに活用を進めることができました。invoiceAgent AI OCRの認識率が非常に高いため、より正確でスピーディーな業務が実現しています。また、スキャンした内容も保管し、検索をかけられます。複数の要求を仕組みで解決できた価値は非常に大きいと感じています。」(宇佐見氏)
一連のウイングアーク1st製品を活用した内製化により、短期間・低コストで実際の業務にマッチしたシステム開発が実現しました。大幅な経費節減、業務効率の向上が達成され、活用も円滑に進みました。ペーパーレス化は業務負担軽減に加え、省資源やSDGs実現にも貢献しています。
菊池氏は開発において心がけたこととして、すでにあるものを組み合わせて最大限活用すること、従来の業務の形をなるべく変えないこと、見やすさ、使いやすさにこだわったことを挙げます。また、菊池氏は内製化が成功した理由として、ウイングアーク1stよるサポートのおかげだと語ります。
「ウイングアーク1stさんのカスタマーサクセスによる支援がなければ内製できなかったと思います。invoiceAgentの初期構築(オンボード)支援をいただき、こちらの相談や疑問にきめ細かく応えていただくことで無理なく構築を進めることができました」(菊池氏)。
宇佐見氏は今後のinvoiceAgent活用について
「いっそう活用を進めることで、支店、本部ともに業務効率を向上させ、本来力を注ぐべき仕事により集中できる環境を実現していきたいと思います」
と語りました。
▼千葉興業銀行様のデータ活用事例はこちら
千葉興業銀行様では、SVFやinvoiceAgentを活用して電子交付システムの構築や投資信託販売のためのOCRの内製化を実現し、大幅なコストの削減や業務の効率化を実現されました。
今回お話をお伺いして感じたことはチームとして取組むことの重要性でした。「やりたいことを実現するために課題となっている事象をどう解消するか」をチーム一丸となり考え実行していた点と、 「今あるものを最大限利用して取り組む姿勢」が成功の鍵だったのではないかと感じました。 今回の千葉興業銀行様の事例を金融やそれ以外の幅広い業種でDXに携わる方々に読んでいただければ幸いです。
Customer Marketing室 藤本