
お客様の情報を地図と紐付けて管理する統合システム「LINKS」
北海道ガスでは、家庭や企業へのガス等のエネルギー供給はもちろん、より賢いガスの使い方の提案や、ガス機器の保守点検・各種サービスなどの顧客接点業務を、「北ガスフレアスト」(ガスの開栓や工事、点検、機器販売などを行うグループ企業。以下、フレアスト)を通じて提供している。この接点業務を強化しお客様への価値を効率化する手段として、2013年10月より新しい業務支援システム「LINKS」を稼働させた。LINKSは社内の既存システムを統合したIT基盤で、住所や地番単位で情報を管理しながら地図機能とも連動させている。お客様情報をガスメーター単位ではなく、住所・地番単位で一元管理し、統合して活用するのは、ガス業界としては初となる画期的なシステムだ。
LINKSの狙いを同社営業企画部 営業企画グループ 係長の二瓶 浩一氏は「社内に散在するシステムやデータを一元的に管理し、データを活用してビジネスを回すことが狙いです。契約済みのお客様だけでなく、当社のサービス提供エリア全域のご家庭や法人が見込みのお客様となります。営業機会で得られた全データをLINKSに格納し、お客様との信頼関係を深めるために活用していきます」と説明する。
お客様に接する“フレアスト”が使いやすいシステムを目指す
北海道ガスでは、かねてより「データに基づく経営」を指向していた。2003年のシステム刷新においてもBI基盤を問題発見のためのツールと位置付け、現場担当まで利用できるようにしていた。しかし、データの構造を公開して汎用性を高め、「なんでもできる」ようにしたことで利用の難易度を上げてしまい、普及が思うようには進まなかった。
「旧システムは、情報システムの管理担当者にとっては融通が利くものの、一般の業務担当者にはバラバラにしかデータを取りだせなかったり、目的のデータをうまく抽出できなかったりといった使い勝手の面で問題があったため、現場業務の属人化といった課題を抱えていたのです」と話すのは、同社ICT推進部 プロジェクト推進グループ 係長の五十嵐 潤氏だ。
また、その後のシステム拡張や改修によってシステムやデータが社内に散在し、業務担当者やフレアストは、使い勝手の異なる複数のシステムを利用せざるをえない状態だった。「特別なスキルを持たない業務担当者でも、自らの手でデータ活用のできるシンプルなBIツールが必要でした」(五十嵐氏)
「データをどう使うか?」BIコンサルタントと議論を重ねて構築
2012年1月から開始された製品選定の初期段階は、グループ会社の北ガスサービス株式会社(以下、KGS)が担当した。同社の営業情報グループ システム営業チーム 係長 田野 正人氏は、機能や価格、導入実績などはもちろんだが、重要な評価ポイントとして「柔軟性」を挙げる。「要件は多様で、導入後に変わることもありますので、変化に対応できることを重視しました。また、導入・運用中のサポートも大きなポイントでした」(田野氏)
また五十嵐氏は、「操作が単純かどうか。業務担当の触れるインターフェイスをシンプルにしたかった」と、旧システムの課題でもあった「業務担当の利用しやすさ」を選定基準として重視した。そのため業務担当を2層に分けることにした。「1層目は『データの抽出だけをする業務担当』です。シンプルな画面で直感的に条件の設定ができ、容易にデータを抽出できます。2つめの層はデータ抽出の定義を作る業務担当者層です。業務担当ごとにニーズがありますので、インターフェイスの良さを比較しました」(五十嵐氏)
こうして2012年4月にDr.Sum EAの採用を決定。設計・構築のフェーズでは、特にデータマートの設計に時間をかけ、利用部門からの粒度の異なる要望にも対応した。ここでは、ウイングアーク1stのBIコンサルタントの知見が大いに役立った。
北ガスサービス株式会社 開発運用グループ 主任の村田 岳久氏は、「ウイングアーク1stのコンサルタントに支援してもらい、弊社の業務内容や業界特性を把握してもらった上で『こういう使い方は可能か?』というレベルから相談できました。ディスカッションできる関係になり、運用の知識を吸収できたのは大きなメリットでした」と振り返る。また、五十嵐氏も「ベンダーの担当者がバックにいるという安心感は大きかった。現在は当社とKGSだけで運用できています」と話す。
スマートデバイスとの相乗効果で、業務効率が20%向上
システム稼働後は、トレーニングの効果もあり、早くも現場に浸透している。「直感的な操作が可能なので、トライ&エラーで目的の情報を引き出せる」(二瓶氏)ことが、属人化の解消と業務の標準化、利用拡大を後押ししていると言えるだろう。
フレアストが利用する端末をスマートデバイスにしたことで、外出先でもデータの即時入力を行えるようになり、業務の精度とスピードが向上した。二瓶氏は「従来と比較して20%の時間短縮、20%の効率向上と推測しています」と効果を話す。
他のシステムとも連携したことで、業務系の部門からも「二重入力が不要になった」「無駄な中間帳票がなくなった」と評価されている。従来は月次だったものが、現在では翌日に確認できるようになった。社内広報誌などを使って活用事例を積極的に紹介するなど、利用促進にも力を注いでいる。使い方を知ることで効果が上がることが現場にも認知され、利用の工夫は広がっている。例えばイベント企画の際に、ターゲットとなるお客様の情報をBIから抽出し、地図情報と連動させて該当地域内の見込み客を絞り込むといった使い方などが挙げられる。現在は100以上のレポートが公開され、利用が促進されている。
最後に、LINKSの将来構想について二瓶氏は、「今後、開発は第2フェーズに入り、未統合のシステムを吸収する予定です。そして将来的にはLINKSが基幹システムとして中心的な役割を担うことになるでしょう」と期待を話す。また、田野氏は「ウイングアーク1stには、データサイエンティスト的な役割やデータ活用の提案などを期待しています」と話してくれた。
エネルギービジネスを拡大していく北海道ガスにおける「データに基づく経営」は、ますます高度化し定着していきそうだ。






