

大陽日酸株式会社
産業ガスのリーディングカンパニーが挑戦
ウイングアークの製品導入・コンサルティング支援によりデータドリブン企業文化の醸成とデータ民主化を実現

- 業種
-
化学
導入背景
110年以上の歴史を持つ産業ガスのリーディングカンパニーである大陽日酸は、従来の「Excel文化」によるデータの散在や、経験と勘に頼った業務オペレーションという課題に直面していた。そこで、新たに設立されたDXセンターが主体となり、デジタルを活用しデータを軸とする企業風土・文化への変革に必要なデータの民主化を推進。そのための基盤として、ウイングアークのデータ分析基盤「Dr.Sum」とBIツール「MotionBoard」を導入、またプロジェクト推進の一環としてウイングアークのBIコンサルティングサービスを利用している。
- 課題
-
- 社内に「Excel文化」が根付いており、さまざまなシステムにデータが散在
- 経験や勘に頼る業務オペレーションから脱却、データドリブン企業文化に向けた改革が必要
- これまでのデータ活用基盤の刷新後、更なるデータ活用の推進が求められていた
- 解決策導入ポイント
-
- データドリブン企業文化の醸成を目指し、適切な人が適切な情報にアクセスし課題を解決できる「データ民主化」への取り組みを加速
- データ民主化の基盤として、ウイングアークのデータ分析基盤「Dr.Sum」とBIツール「MotionBoard」を採用
- 「目的ありきのデータ統合」を目指し、必要なデータを集約してダッシュボードにて可視化する環境を整備
- 事業部門も巻き込み、現場目線を重視したダッシュボード開発を推進
- ウイングアークのBI伴走支援のもと、サプライチェーンのデータ統合・可視とデータマネジメントへの取り組みを強化
- 効果
-
- データに基づき意思決定を行う意識変革を実現
- マーケティング、営業から調達、生産、配送、顧客管理まで、サプライチェーンの可視化を促進
- ユーザー部門が実際に活用できるダッシュボードを構築し、課題解決を迅速化
- データマネジメント基本方針を策定、ガバナンスの強化に貢献
- DX人財がデータを利活用する環境を整備
データドリブン企業への変革を目指し、データ民主化を推進
1910年に創業、110年以上の歴史を持つ産業ガスのリーディングカンパニーとして業界をけん引する大陽日酸は、鉄鋼、化学、エレクトロニクス、自動車、食品など様々な分野に事業を展開しており、2020年10月より日本酸素ホールディングスの事業会社としてすべての国内事業を担っている。2022年4月には、DXセンターを設立。ビジネスドメインと連携しながら、ガス生産工場のリモート・オペレーションとSCM最適化の2本柱でDX戦略を推し進めている。
そんな同社では、従来からExcel文化が根付いており、様々なシステムにデータが散在している状況だった。また、経験や勘に頼る業務オペレーションもあったと経営企画・ICTユニット DXセンター所長の赤井 康昭氏は語る。「これらの課題を解決し、データに基づいて意思決定を行う意識変革を実現するために、データ民主化への取り組みが必要だったのです」。そこで、適切な人が適切な情報にアクセスし課題を解決できるデータ民主化に向けたプロジェクトが始動することになる。

「目的ありき」のデータ統合と可視化でデータ民主化を推進
データ民主化プロジェクトの開始前より、コスト抑制の観点から過去導入したDWH製品の刷新に併せてデータ基盤の整備が進められ、ウイングアークのデータ分析基盤「Dr.Sum」とBIツール「MotionBoard」へ切り替えた経緯があった。しかし、部分的な導入に留まり全社的なデータ活用基盤として有効活用されていなかった。そこで、新たに立ち上がったプロジェクトでは、すべてのデータを統合するのではなく、必要なデータを基盤に集約して利用する「目的ありきのデータ統合」を目指す方針を掲げることに。このデータ民主化のためのデータ活用基盤として改めて着目したのが、Dr.SumとMotionBoardだった。

データ民主化プロジェクトでは、発足当初からウイングアークのコンサルティングメンバーが参画し、各ユニットや事業部門に対し、データ活用に関するアンケートを実施し、ニーズの洗い出しを行っている。「ニーズを明確化して目的を定めたうえで、必要なデータをDr.Sumに集約し、MotionBoardのダッシュボードで可視化するというプロセスで進めていきました」と同社 経営企画・ICTユニット DXセンター デジタルビジネス推進部 プロジェクト企画課長の峯 竜二氏は当時を振り返る。
現場目線を重視したダッシュボード開発
データ民主化プロジェクトでは、ダッシュボードの利用促進にユーザー部門の現場目線が欠かせないと判断し、ウイングアークの支援のもと、DXセンターやICT部門に加え、事業部門も当初から参画している。同社 経営企画・ICTユニットDXセンター デジタルビジネス推進部の佐藤 優成氏は「現場で使えるものに仕上げないと意味がありません。ウイングアークにモックアップを作ってもらい、ダッシュボードを実際に見て議論することで、課題や改善点を明確化することができたのです」と語る。

同社 経営企画・ICTユニット DXセンター デジタルビジネス推進部長の松島 洋輔氏は「モックアップを本番に近いイメージで、丁寧に作成いただけました。このモックアップがあったおかげで、ダッシュボードの具体的な使い方はもちろん、課題解決に役立つのかが理解しやすかった」とウイングアークを評価。赤井氏も「視覚化の工夫で見え方が変わる」とウイングアークの実装力に対して高く評価する。なお、ダッシュボードのポイントについては「グラフの表現方法や機能追加により、一目で気づきを得られることが大切」とウイングアークのBIコンサルティング部門メンバーは言及する。

このMotionBoardを活用することで、マーケティング、営業から調達、生産、配送、顧客管理まで、サプライチェーンの可視化を実現している。
また、さまざまな切り口でのダッシュボード構築と合わせ、ウイングアークによる支援のもとでデータマネジメントにも取り組んでいる。「適切な人が適切なデータを利用できるデータ民主化は、ガバナンスやセキュリティがあってこそ実現できます」と赤井氏は力説する。ウイングアークのコンサルティングメンバーは、「1年かけて、セキュリティルール、責任の明確化、保存・閲覧権限管理など基本方針づくりをお手伝いしました」と説明。システムによるデータ管理の観点から、今後はデータカタログも整備していく予定だ。データカタログが整備されれば、統合したデータに対し、データの場所、種類、内容などが管理できるようになるという。

今回取り組んだデータ民主化は、技術と業務の一体化が欠かせない。そこで尽力したのがウイングアークだ。「産業ガス業界という特殊なビジネスモデルに対し、理解を深めることに力を入れていました。その姿勢のおかげで、データ統合・可視化からデータマネジメントまで一気通貫で支援いただけたと感じています」と峯氏の評価も高い。
プロジェクトを成功に導くウイングアークの伴走支援に今後も期待
2025年6月、データ民主化プロジェクトは一区切りをつけた。今後は、プロジェクトにて作成したデータマネジメント基本方針を、同社情報セキュリティ担当部門のチェックを受け、全社方針として展開する計画となっている。また、ダッシュボード利活用状況のモニタリング、成功事例をまとめたノウハウ共有も図っていく予定だ。
今後については「データドリブン企業文化の醸成に向け、データマネジメントを含め、データ民主化を支える基盤を構築できました。それを利用するDX人財育成にも着手しています。今後、サプライチェーンのデータ統合・可視化をさらに進めていくことが重要なテーマの1つであり、事業部門に対しては引き続きアンケートやヒアリングを実施し、課題解決に役立つダッシュボードを増やしていきたい」と赤井氏。データドリブン企業への変革に向けた環境整備に向けて、これからも同社に寄り添ったウイングアークの伴走支援に期待していると最後に締めくくった。
Company Profile
大陽日酸株式会社
創業:1910年10月30日
本社所在地:〒142-8558 東京都品川区小山1丁目3番地26号
主な事業内容:産業ガスの製造・販売および関連事業
URL:https://www.tn-sanso.co.jp/jp/

(写真左より)
経営企画・ICTユニットDXセンター デジタルビジネス推進部 佐藤 優成氏
経営企画・ICTユニット DXセンター デジタルビジネス推進部 プロジェクト企画課長 峯 竜二氏
経営企画・ICTユニット DXセンター デジタルビジネス推進部長 松島 洋輔氏
経営企画・ICTユニット DXセンター所長 赤井 康昭氏
導入製品
Dr.Sum
あらゆるデータをリアルタイムに収集・蓄積・分析する、データベースエンジンを軸としたデータ分析基盤。10億件のデータも1秒台で集計する超高速集計を実現。
MotionBoard
様々なデータを統合・可視化するBIダッシュボード。統合・可視化にとどまらず、データ入力や柔軟な画面設計で業務に必要なアプリケーションをノーコードで作成可能。
BIコンサルティングサービス
Dr.SumおよびMotionBoardなど弊社BI関連製品の導入を行うユーザー企業やSIerに対し、技術コンサルティングや作業支援を行うサービス。